映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ウォール街」(1988)これが自由市場の社会だ。

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映画「21世紀の資本」(2019)では富の格差が描かれ、あなたは益々貧乏になると教えてくれましたが(笑)、その例として出てくるのがこの作品。

ニューヨーク・ウォール街を舞台に、一獲千金を狙う大投資家と証券マンの物語です。

投資家が金力にものを言わせ、本来の投資意義を忘れ、金儲けに企業買収を行うという過剰な資本主義の危機を訴えた作品。極々一部の富裕層の圧倒的な財力で挑みかかる社会・経済構造に警告を与え、企業倫理を訴えた作品だと思います。少し頑張りすぎるぐらいに証券マンの正義を描き、ストーンらしい作品です。(笑)

監督は「プラトーン」「JFK」のオリヴァー・ストーン、脚本はストーンとスタンリー・ワイザー、撮影はロバート・リチャードソン、音楽はスチュワート・コープランドが担当です。
出演はチャーリー・シーンマイケル・ダグラス、マーティー・シーン、ダリル・ハンナほか。マイケル・ダグラスアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。


映画『ウォール・ストリート』予告編

あらすじ:
満員電車で出勤する若手証券マン・バッドフォックス(チャーリー・シーン)、J・スタイナー社のトレーダールームで投資家を探し“有望株”と売りつけ、市場の引けで処分し、投資家から「損失はお前が払っとけ!」と怒鳴られる毎日。

この損失を補填して貰おうと航空会社"ブルースター・エアライン"の整備士をしている父カールを訪ねた。父が「墜落事故の原因はドアデザインのミスらしい」と語るのを聞き、この企業秘密で、日ごろ恰好よく儲ける大物投資家ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)に、秘書の元カノを使って近づき(笑)、「組合がうるさい」といい渋るゴードンから、ブルースター・エアライン社株の売買を引き受けた。

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これで買った株価、翌日の新聞で「ブルースター・エアライン社は白!」と報じられ一気に上昇。これでゴードンに気に入られ次々と注文が入った。

そんななかでライバルの投資家ラリー・ワイルドマン(テレンス・スタンプ)の投資情報を盗めと指示される。これはインサイダーと一度は断ったが、ゴードンの華麗な生活を覘いたバドには断れなかった。
ワイルドマンをストーカーして、アナコッカ鋼業の買収を考えていることを突き止めた。
ゴードンから「50ドルまで買い上げ、証券新聞に情報を売れ!」と指示された。トレーダールームでバドが他の証券マンに買いを煽った!

これを見たベテランの上司ルー・マンハイムハル・ホルブルック)が「景気の良いときは一獲千金だが、地道なやつは不景気に生きるんだ。株が作る金は研究を進め、雇用を高めるためのものだ!」とバドに証券マンの心を説くが「儲かったらそうする!」と聞く耳を持たない。

ルーを通して、ストーンの考え方を描いています。

ワイルドマンに「息子のためにこの会社が必要なんだ。売ってれ1」と申し込まれたが、ゴードンが譲らない。ここでバッドが売値71・5ドルを示し両者を和解させた。

これで信用を得て、香港で儲けたという80万ドルの運用とゴードンの手付女で美術・骨とうトレーダーのダイアン・テイラー(ダリル・ハンナ)を譲り受けた。(笑)

これを契機に高級マンションを購入し、ダイアンと同棲。スタイナー社で秘書付きの個室を与えられる身分となった。

大学の同窓で弁護士のロジャー・バーンズ(ジェームズ・スペイダー)から内密情報を得て、デルター製紙会社の株を購入し、取引には外国銀行を使った。デルター社の株を買い漁り、株主総会にゴートンとバッドが参加した。

マイルドマンの「ゲッコーが乗っ取りを図っている。騙されないように!」という提案に、ゴートンが「アメリカは今や二流に落ちている。この赤字は悪夢だ!副社長に20万ドル支払われ、38人もいる。最近のアメリカ企業は適格者生存でなく不適格者生存です」と会社の姿勢を糺し「“欲”は善です。欲が物ごとを明るく導く進歩の力だ」と発言し、大拍手を得た。

バッドはこのゴートンの姿勢に心打たれ、経営が危なくなっている親父がいるブルースター・エアライン社株を買うことを提言し、「組合は自分が説得する」として「今度は組ませてくれ!」と社長になることを主張した。

しかし、ゴートンの狙いは「金が全て!」と従業員の生活などお構いなしに、この会社を売り飛ばすことだった。
バッドは父カールが「財布の大きさで人間を図るのか」と悔やんだことを思い出した。

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ダリアンは「あなたを愛していた!でも一度拾った金を失うことは最初からないより辛い!」とマンションを出て行った。

バッドはゴートンへの仕返しに、大損害を与えてやろうと、ワイルドマンにこの会社の株18ドルで買わせ、ゴートンには全力で24ドルまで買わせて、クロージング10分前に全力で売る作戦を仕掛けた。まんまとゴートンがこれに嵌った。しかし、バッドはインサイダー取引で検察局に逮捕された。

ルーが「君が好きだよ!底なしの淵が見えないとき、人は本当の自分を見る。それで淵に落ちないで済むんだ!ワイルドマンが仕事を見つける」と励ましてくれた。

バッドはゴートンが語る株取引のやり方を録音して検察局に提出すると「君は正しいことをした!」と言われ、後日裁判所に出廷することになった。
                
感想:
専門用語の入るあまり親しみのない世界、株価操作の物語でした。(笑)それだけにマーテインとチャーリーという本物の親子による親子演技で泣かせ、また華麗なグリム・ハンナの登場でラブロマンスを描くという、ドラマを楽しませる工夫がしっかりしてありました。(笑)

しかし、バッドの正義感に感動することを期待しての作品でしたが、観客の反応はマイケル・ダグラスの演じる投資家に集まり、ストーンが悔しがったと言います。

この物語の肝は、ゴートンが“ブルースター・エアライン社”を買って売り飛ばすことに反抗するバトに吐く言葉です。

「この国の富みの半分はつまり5兆ドルは1%の金持ちのものだ。1/3は働いて稼いだ金、2/3は“相続した金”だ。国民の9割が何の財産も持っていない。俺が何を創っている?所有するだけだ。これが社会を動かす。戦争、平和、飢餓、紙クリップの値段。大衆は手品をみるように口を開けてみているだけだ!君もこれが民主主義だとは思うまい。しかしこれが自由市場の社会だ。俺と一緒にやろう!」
この言葉の恐ろしさを知れ!という作品でした。小さな金で株やっても絶対に儲からないということです。(笑)
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