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「AIR/エア」(2023)“エア・ジョーダン”の誕生秘話、ナイキはジョーダンサイドを如何に掻き口説いたか!

 

監督がベン・アフレックで、盟友マット・デイモンと初共演するという。これで観ることにしました

ナイキの伝説的バスケットシューズエア・ジョーダン」の誕生秘話。スポーツ界に画期的なスポンサーと選手の契約関係を生み出し、莫大な利益を上げ、ひとつの文化“スニーカー文化”が出来上がっていくという物語。実はその裏を暴いてみせる作品です。マイケル・ジョーダンという名はよく知られていますが、こんな裏話、ナイキがジョーダンサイドを如何に掻き口説いたかという人情秘話があったとは知らなかった。

SNSで対人関係が希薄になっていく中で、「どう信頼関係を築き上げるか」と言う普遍的な問題が描かれ、観る価値はあると思います。

監督:ベン・アフレック脚本:アレックス・コンベリー、撮影:ロバート・リチャードソン編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ音楽監修:アンドレア・フォン・フォースター。

出演者:マット・デイモンベン・アフレックジェイソン・ベイトマンマーロン・ウェイアンズクリス・タッカークリス・メッシーナビオラデイビス、マシュー・マー、ジュリアス・テノン、他。

物語は

1984、ナイキ本社(オレゴン州ビーバートン)に勤めるソニー・ヴァッカロ(マット・デイモン)は、CEOのフィル・ナイト(ベン・アフレック)からバスケットボール部門を立て直すよう命じられる。しかしバスケットシューズ界では市場のほとんどをコンバースアディダスが占めており、立ちはだかる壁はあまりにも高かった。そんな中、ソニーと上司ロブ・ストラッサー(ジェイソン・ベイトマン)は、まだNBAデビューもしていない無名の新人選手マイケル・ジョーダンに目を留め、一発逆転の賭けと取引に挑む。


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

ソニーはナイキのバスケ部門のスカウト。バケスの試合を見て、ラスベガスで賭けをするのが趣味。この賭けが役立つ日が来るかもしれない!

ナイキ・バスケ部門チーフのロブ・ストラッサーは、ソニーとバスケ選手担当責任者のクリス・ホワイト(クリス・タッカー)に、バスケ部門の再建案として「予算25万ドルでランク6位から20位までの選手3人と契約する、その選手名を捜せ!」という。ソニーは「その予算ではムリだ。ひとりにすべき!」と主張して譲らず、案は纏まとまらなかった。

ソニーは寝る間もなく大学のバスケ試合のビデオを丹念に見て、古いビデオの中に大学1年生でありながら上級生からシュートを託される男、マイク・ジョーダンを発見した。点けっぱなしのTVで「ウイルソンのラケットだ!」と話すアッシュの姿が目に入った。

翌朝、「見つけ!ジョーダンだ、シューズでいける!25万ドルで契約できる」とストラッサーの部屋に飛び込むが、「アディダスコンバースがいる!」とそっけない。CEOのフィルに話すと「アディダスしか履かないぞ、エーゼントがどう出るかだ?」という。

ソニーはジョーダン担当のスポーツ・エージェント:デビット・フォーク(クリス・メッシーナ)に電話した。フォークは「今回は各社の意見を聞くがナイキは当て馬だ!」と鼻もかけてもらえない。

ソニーは再度フォークに電話で「ノースコロナイア在住のジョーダンの両親と交渉したい」と申し込んだ。フォークは「正式オファーの権利が与えられていない!」と激怒して電話を切った。

ソニーは諦められなかった。ロサンゼルスに飛び、84年ロスオリンピックのバスケチームのコーチ:ジョージ・ラベリング(マーロン・ウェイアンズ)に会った。ラベリングは「ジョーダンはナイキを選ばんだろう」という。「代理人を通さずに交渉すると首になるぞ!しかし、俺がキング牧師のスピーチに感激し、原稿が欲しいと言ったら貰えたから分からんぞ!」という。(笑)ソニーは「歴史に立ち会う」とノースカロナイナに向かった。(笑)途中でレンタカーからストラッサーに電話すると、彼は激怒した。(笑)

ソニーは両親に会った。交渉相手は母親のデロリス・ジョーダン(ビオラデイビス)だった。デロリスは「アディダスコンバースに会うことになっている」という。ソニーは「その後で結構です。マイケルの能力は他の誰とも違います。だからここまで来ました。最高の靴を準備します」と約束した。デロリスは「ありがとう」とナイキ社訪問を約束してくれた。ソニーは雑誌でジョーダンは母親をとても尊敬していることを知っていた

ソニーはエージェントのフォークに「両親に会った」と連絡した。フォークが「お前を生き埋めにしてやる。ナイキはバスケに出てこれないようにしてやる」と激怒した。(笑)

ソニーはCEOのフィルに話すと「ナイキは慎重に考える会社だがプレゼンが上手く行くなら許す!ソニーのやり方を認めた。

ジョーダン夫妻を迎える準備が始まった

 1984年ロスオリンピックでのマイケルの活動をシンプルにまとめる。

靴の製作担当のピーター・ムーアー(マシュー・マー)に「マイケル・ジョーダンの靴を作る。マイケルのイメージに合うものを作ってくれ!」と頼んだ。

ムーアは「エアーソールがいい。エア・ジョーダンと名付けたい」と提案した。そして水が流れるように美しい靴のモップアップが出来上がった。

ジョーダン夫妻がアディダスとの交渉を終えて、ナイキにやってきた。会議室でプレゼン。

真っ先に「エアー・ジョーダンです」と靴を見せた!デザイン違反の罰金は当社が持つと説明。次にジョーダンの未来について雑誌やビデオで見てもらった。

デロリスはビデオに関心がないと見て、ソニーがジョーダンの未来について語り、「靴を履いたら分かる!人生をそれで立たせるんです!ナイキはバスケのスターを捜していた。スターになると信じる」と話した。デロリスは「いいスピーチでした。そのうち返事します」と帰っていった。

ソニーは返事を待っていた。「アディダスは25万ドルにベンツをつける」と伝わり、がっかりしていた。そこにデロリスから電話は入った

「“エアー・ジョーダン”という提案を受け入れます。しかしひとつ条件があります。靴の売り上げ収益の一部を戴きたい、息子の靴だから」という提案だった。ソニーは「ナイキは上場企業、これは出来ない!」と応えた。デロリスは「マイケルはMVPとなり、オールスターになります。資本を投資したものが利益を貰うのは当然です」「マイケルを信じるのは母親です。あなたが家に会いにきた意味はなんですか!」と聞いてきた。ソニーはデロリスの言い分には反論できなかった。CEOのフィルの意見を聞いて回答することにした。

ソニーは「払う価値がある!」とフィルに勧めた。フィルは「ジョーダンを信じる。ルールを守るか名を取るかだ!」という。ナイキの社訓に「正しい行いは利益を生む」とある。ソニーはデロリスに「条件を受け入れる」と返事した。

エーゼントのフォークに「ジョーダンと契約が成立した。これからは利益配分が主流になり。君と仕事ができてよかった」と伝えた。

まとめ

マイケル・ジョーダン獲得の鍵は業界の仕来りに怯まず、挑戦したことだった

ソニーが長距離を克服し直接マイケルの母親デロリスと顔を合わせて面談したこと、デロリスの懐に飛び込んだこと。これが母親の心配を払拭した。

そして、プレゼンで徹底的にマイケルの将来に対する期待とこれを映像・モデルで具体化して見せたこと。他社のようにお金の提示する交渉とは全く異なっていた。

靴のデザイン違反に、違反金を払うと決めたこと。利益配分という契約を認めたことも未来への投資と挑戦する姿勢が報われましたね!

この物語、主役がソニーのようであって、実はマイケルの母デロリスの洞察力でした!聡明で説得力のあるデロリス役をビオラデイビスが見事に演じています。

デイモンとアフレック、ふたり協力して未来を切り開くという役を、全く普通のおっさんになって、楽しんいるようでした。(笑)頑張ったのは、お笑い役をまかされた毒舌のクリス・メッシーナでした。

この時代を再現する音楽、これは圧巻でした。そしてファッションがすばらしかった!

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