WOWOWシネマで初公開、「SING/シング」(2016)のイルミネーション・エンターテインメント作品ということで観賞しました。
原作は1957年発表のドクター・スースの名作絵本「いじわるグリンチのクリスマス」。すでにTVアニメ、実写版(2000)があり、今作で3度目の映像作品です。もうストーリーに文句は付けようがない。では歌の良さと3Dアニメの面白さはあったが、テーマが見えにくかった。さて、本作、3Dアニメ化するとどうなるか?
監督はヤーロウ・チェイニーとスコット・モシャー、脚本はマイケル・レシュー、音楽はダニー・エルフマン。
声の出演者:ベネディクト・カンバーバッチ、ラシダ・ジョーンズ、キーナン・トンプソン、キャメロン・シーリー、アンジェラ・ランズベリー、ファレル・ウィリアムス。
幼児のころの惨めな記憶を引きずって孤独に生きてきたグリンチ。年一度の大騒ぎのクリスマスが大嫌いでクリスマスを盗みたい。シングルマザーのお母さんを楽にしてあげたいシイディ・ルーはサンタさんにあることをお願いしたい。さてどちらの願いが叶ったでしょうか。そしてグリンチは・・。
クリスマスは何をする日でしょうか?日本人には耳が痛い!これをばっちり教えてくれます。(笑)
小さな子供たちの感想を聞きたい。きっと面白かった!と声を上げて笑うのではないでしょうか?イルミネーション・エンターテインメントの狙いはこれでしょう。
あらすじ(ねたばれ):
夢でも空想でもない、クリスマスに湧くフー村。デコレーションが飾られた商店街の風景、子供たちが雪合戦やステートを楽しむ風景。「これが3D!」と言わんばかりの美しさです。
しかし、グリンチ(ベネディクト・カンバーバッチ)はクリスマスが大嫌いで、相棒の犬マックスと村里を離れた切り立った峰にある洞穴で暮らしている。マックスが朝食を準備、食事が終われば身支度して好きなパイプオルガンを楽しむ。飽きるとマックス相手にチェス。犬には負けられないとイカサマは当たり前(笑)。ところでグリンチは人間なんですかね。(笑)
この一連のグリンチの行動を愉快に見せてくれます。絶対に子供さんたちに受けるでしょう。
食材が亡くなってると気付き、スノーボートで村に買い物に出かける。見どころはスノーボートのスピード感。
村では夜の仕事を終えたシングルマザーのドナ(ラシダ・ジョーンズ)が3階建のバスに乗って、乗るや否やコックリコックリで家路を急いていた。
グリンチは雪ダルマの首を落としたり、村人に挨拶もせず、楽隊に追われ、店ではお客に悪戯をするという、嫌われ者グリンチです。これを子供たちに真似されると困りますね。お母さんたちはどう説明するか?(笑)
グリンチは村一番のノー天気野郎のブリクルバウム(キーナン・トンプソン)に出会い、「今年のクリスマスはいつもの3倍の規模になる!」と聞かされる。
家に戻ったドナは双子の赤ちゃんに食事を準備。この準備がすざましい。(笑)
長女のシンディ(キャメロン・シーリー)がサンタさんに手紙を出すとスノーボートで郵便局に出掛ける。
シンディとグリンチが村でぶち当たった! シンディはサンタさんへの手紙を失った。困っているシンディにグリンチは「直接会って頼め!」と言い放った。これがシンディの心を動かした!「サンタさんに会いたい!」。
グリンチがパイプオルガンを弾いているとき、洞穴の上空を山から切り出した大きな樅ノ木をドローンで運んでいるブリクルバウムに出会った。「あのツリーの点灯はさせん!」。
グリンチは自分が発明したカタパルトで空を飛び出し、沢山の村人が集まって今か今かと待っているツリーの点火式典に参加。運悪く点火ボタンの上に落ちた!ツリーの点火で一気に盛り上がるクリスマスへの期待。もう耐えられない!「村のクリスマスを盗む」ことに決めた。
なぜグリンチは洞穴に住み孤独で嫌がらせをする人になったのか?幼いころ、父母と別れ孤児院で育ち、人の幸せを見るのが嫌いになった。これだけで、子供たちが彼の気持ちが理解できるでしょうか?
そのころシンディが仲間のグルーパートを「自分たちの冒険小屋」に誘って、サンタ捕獲作戦を練ったが、いい案がでない。母ドナから借りたボーリング玉をどう使うか、子供の冒険心を刺激する描写が楽しい!
仲間をイルミネーションのテーマパークに集めてサンタ捕獲案を練ろうとして、子供の夜遊びは駄目!と時間切れ。次の日、シンディの家に集まることになった。うつくしいイルミネーションのテーマパークを見てください!
一方のグリンチはサンタになって、クリスマスのデコレーションやプレゼントを盗み出すというもの。
先ずはトナカの捕獲の旅にでた。トナカイの大群に出会ったが逃げられ、太ったトナカイ・フレッドを掴まえた。そしてブリクルバウムの屋上に飾ってあるソリを盗んだ。
いよいよクリスマスイブ。シンディは皆で考えたサンタ捕獲罠を仕掛けて眠った。
グリンチは夜になって、村の家に片っ端から入って、デコレーションやプレゼントを盗みだした。最後の家がシンディの家だった。グリンチは罠にはまり、シンディに捕らわれた。「プレゼントを持ってくるから!」と放たれたが、「私のママを助けて欲しい」というシンディの願いに、グリンチは戸惑った!
クリスマスの朝、沢山のかっぱらったものを1000mのクランピット山に隠したが、村の様子を望遠鏡で覘くと、誰も困っていない。
朝、シンディが「サンタさんが何ももってこなかった」と母ドナに「サンタさんを罠に掛けたから!」と謝ると、「盗られたのは物だけ。クリスマスはあります。最高の贈り物を貰ったわ!」とドナはシンディに感謝した。
これを見たグリンチの心は温かく開かれていくのだった。盗んだものは皆さんに戻した。シンディから晩餐会に呼ばれ、「クりスマスは大嫌いだった。本当に嫌いなのは孤独だ。シンディの優しさが私を変えました!」ともう大感激でした。
感想:
子供向けの作りになっているので、大人がとやかく言うのは筋違いではないかもしれませんが、キャッチコピーが示すように「このあと、どんどんひねくれる。」「この冬、とんでもないものが盗まれる。」と34D、IMAXで描くキャラクターの動きを楽しむカラフルで綺麗でファンタスティック作品になっていたように思います。子供目線なら満点でしょう!
孤独でひねくれたおじさん(53歳)が「人の愛に目覚める」という子供向けアニメに驚きでした。(笑)
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吹込版:
ドナ:杏
ブリクルバウム:秋山竜次
シンディ・ルー:横溝菜帆
ナレーター:宮野真守
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