映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「エターナルズ」(2021)現代の創世記、多様なヒーローの出現に、人類の何かを知る!

f:id:matusima745:20211108192919p:plain

アベンジャーズ エンドゲーム」後の世界を舞台に、これまで人知れず人類を守ってきたエターナルズが姿を現し、未曽有の危機に立ち向かうという作品。

アベンジャーズの主要ヒーローが居なくなったその後、いかなるヒーローが出てくるのか、さらに如何なる世界感の物語になっていくのかと大いに気になるところです。

そこに「ノマドランド」でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ女性監督で描くという。監督は「ブラック・ウイドウ」(2020)を担当する予定であったが、本作に変更されたと聞けば、アベンジャーズの今後に相当大きな変革を期待しないわけにはいきません。ということで大いに期待して、初日初回満席だろうと駆けつけました。なんとなんとガラ空きでした。(笑)何で?と思ったんですが、かなり難解というか、これがマーベル作品?という感じ。(笑)

サノスの登場による世界的な危機に駆けつけなかったエターナルズとは何者か、何故駆けつけなかったかというアベンッジャーズにとっての衝撃的な作品。そこには「人間とは何者か」というメッセージ性のある作品でした。

原作:スタン・リーに並ぶアメコミ界の伝説的存在ジャック・カービーが1976年に発表した同名コミック。未読です。

監督・脚本:クロエ・ジャオ、脚本:パトリック・パーリー、撮影監督:ベン・デイヴィス、編集:クレイグ・ウッド、ディラン・ディチェナー、音楽:ラミン・ジャヴァディ。

出演者:10年ぶりのアクション作品への出演となるアンジェリーナ・ジョリー、「クレイジー・リッチ!」のジェンマ・チェン、「ゲーム・オブ・スローンズ」のリチャード・マッデンキット・ハリントン、ハリウッドデビューとなる「新感染ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソク、クメイル・ナンジニア、リア・マクヒュー、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ローレン・リドロフ、バリー・コーガン、ハーリシュ・パテル、マルサ・ハエック他。エターナル10人の顔と役が一致するかと恐怖でした!(笑)実はこれが監督の狙いでした!

エターナルズとは、宇宙の創造主セレスティアルズに命じられ、7000年前に遠い惑星から地球にやってきた不死の異星種族。彼らはディヴィアンツと呼ばれる凶悪な怪物から人類を守り、時には智慧を授け、人知れず導いていた。そして長い時間が流れ、仲間たちは世界中に散り散りになって暮らしていた。しかし、最凶最悪の敵サノスによって半分が消滅させられた全宇宙の生命は、アベンジャーズの戦いによって復活したが、その時の強大なエネルギーによって新たな脅威が誕生し、地球に迫っていた。地球滅亡まで残された時間は7日間。戦略的リーダーのイカリスとその元恋人セルシは、バラバラになっていた仲間をもう一度結集させようとする。だがやがてふたりは、チームを根底的に揺るがす数世紀にわたる驚愕的な秘密を知ることになる・・・(はしがき)。

はしがきに見るように、今の時代の人類創世記です。なんとなく聖書というところが面白い。エターナルズとは何ものか、人類をどう見たか、これがテーマです。このテーマに合わせるように作られたエターナルズのキャラクター、キャステングが見どころです。

人類を如何に救済するかという中で5000年に及ぶ主人公の愛を描くというジャオ監督らしい物語です。濃厚なベッドシーンがあるマーベル作品はこれまでないでしょう。(笑)当然と言えば当然ですが「ノマドランド」の作風を強く受けていて、美しい自然の風景のなかでエターナルズたちの繊細な心情を描いてくれます。宇宙の自立したノマドの物語です。

ヴィランはディヴィアンツ、怪獣です。怪獣とエターナルズの格闘は神話の戦闘を見ているようで、実はとんでもないコズミック・パワーを持つヒーローたちで、その戦闘描写に驚かされ、まるで彼らが星座になっていくように感じました。

ジャオ監督は日本のアニメに大変興味のある方だそうで、そんな視点で観ていると、セレスティアルズやディヴィアンツが日本製だなと感じました!😊広島の原爆に触れたエピソード、エターナルズがこの事実に下す人類評価がとても印象的なメッセージになっていて、すばらしいと思いました。

物語は数百年ぶりに出現した知性を持ち言葉を話すディヴィアンツの出現で、エターナルズが再結集を目指し、メンバーを訪ね歩く中で過去が語られ、それぞれのキャラクターの能力、どう人間と関りがあったかが見え、クライマックスは荒れ狂う地球の断末魔の中で、予期しなかった敵に遭遇した彼らの生き様が描かれます。取っつき難いですが、気にしないで辛抱強く(何しろ7000年を生きてきた物たちの話ですから)観ると、最後には大きな感動が得られます!

あらすじ:

BC7000年、エターナルズはセレスティアルズの主・エリシェムの命で、ディヴィアンツ制圧のため地球に使わされた。メンバーのリーダー・エイジャックサルマ・ハエック)、彼女はエターナルの中で唯一エリシェムと交信することが出来る能力があった。

f:id:matusima745:20211108193654p:plain

BC5000メソポタミア、BC575年バビロンでの戦闘のあと陰で人類を支えていたが、ある理由でエターナルズの意見が対立し、それぞれが分散して人類の中に溶け込んで生活している。エイジャックは、バビロンの戦闘後役割は終わったとエリシュムに帰還を申請したが断られ、“人類が進化し永遠に平和に生きること”を願っていた。発明パワーを持つファストス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)が人類に蒸気機関智慧を与えようとしたが、鋤を与えれば彼らは新しいものを生み出す創造力があると、これを止めた。

現在のロンドン。エターナルズのセルシジェンマ・チャン)は同僚のスプライト(リア・マクヒュー)と生活しながら、人類博物館の学芸員として勤務している。セシルはスプライトと一緒に同僚で恋人のデイン・ウイットマン(キッド・ハリソン)の誕生祝いをデイスコハウスでやっていた。プレゼントに中世の指輪を渡すと「一緒に住みたい!」というが、「恋人いる」と断った。そこにスプライトが迎えにきて、三人が外に出て川辺の道を歩いていた。スプライトがセルシに「同棲したら!」勧める。何故スプライトが結婚を勧めたかが、実は大きな布石なんです。

そこに突然河から怪獣が襲ってきた。スプライトが「ディヴィアンツだ!」と声を上げ、セシルが道を砂に変えて対処するが逃げられた。セルシはあらゆる物質を変化させるコズミックエナルギーを持つエターナルだった。そこにイカリスリチャード・マッデン)が駆けつけ、目からコズミック・パワーを照射して追い払った。パトカーが駆けつける。現場をスプライトがコスミック・パワーで偽装した。スプライトは13歳の少女の外見をしたエターナルズで本物そっくりの映像を作り出す能力を持っていた。

セルシの本性がデインに知られてしまった。「なんで宇宙に帰らない」と聞かれ、「命令がないから」と答えた。

イカリスは「1世紀ぶりだな」とセルシに挨拶。(笑)ふたりの成染めは、BC5000年のバビロンでのエターナルズの宴席で、エイジャックに「思いを告げなさい!」と促され、結ばれた。結婚したのはBC400年グプタ帝国でというからスケールが違います。(笑)

サウスダコダ、出会った3人はエターナルズの再結集が必要とサウスダコダに住むリーダーのエイジャックを訪ねたが、遅かった!エイジャックは殺されていた。遺体からエリシュムと交信する能力(光る玉)がセルシに移り、セルシがエイジャックの後継者ということになった。

何故エターナルズがバラバラに住むことになったか。

1521年、テノティトランの戦場。銃が登場し殺し合う戦場に激怒したドルイグバリー・コーガン)が操って止めようとした。ファストスは文明が進歩し過ぎた心配した。ドルイグはコズミックパワーで人間の心を操る能力を持っている。

これにセナアンジェリーナ・ジョリー)が錯乱しエターナルズに切り込んできた。ギルガメッシュ(マ・ドンソク)が拳で殴り倒して、セナの暴走を止めた。セナは戦場に居る時が一番安らげるという戦士。コズイック・エネルギーであらゆるものを武器に変えて戦う。一方のギルガメッシュはコズイック・エネルギーを使った拳で闘う戦士。

エイジャックは「セナは長い期間の記憶で混乱をきた」とセナの記憶をリセットすることにしたが、ドルイグがこれに激しく反対し、人類を連れて去っていった。

エイジャックはすでに任務は終了しており、エターナルズを分散してそれぞれが思うように生きることに決めた。ギルガメッシュはセナに寄り添って慰め、生活することにした。

インドムンバイ。セルシら3人は映画製作をしているキンゴ(クメイル・ナンジニア)を説得に向かった。ちょうどインド映画を撮影中で、彼は踊りの舞台の中にいた。(笑)撮りたい作品があるということだったが、マネージャー・カルーン(ハーリッシュ・パテル)の「家族が待っている」の言葉で、彼を伴って参加することにした。キンゴは陽気で手からコズミック・エネルギーを発射する能力を持っていた。

オーストラリア。セルシら4人はアターナルズがギルガメッシュとセナを訪ねた。セナに「オリンピアの戦士名の“アテナ”を思い出せ!」と声を掛けた。(笑)

f:id:matusima745:20211108193954p:plain

ここでセルシはエリジェムからの指示を受け取った

「法理で新セレスティアルズが誕生する。エネルギーが必要だ。ティエットが地球の宿主として選ばれ、間もなく地球を破壊して新セレスティアルズが誕生する。オリンピア星(エターナルズの故郷)は存在しない。地球はお前の島だ、お前がエターナルズを作り活動せよ。任務が終わったらお前の記憶はディヴィアンツに対応できるようリセットし、他の惑星の宿主に仕える」というものだった。

セシルはエリジェムの指示を他のエターナルズに知らせると皆驚いた。セルシは「地球を全滅させない方法はないか?」とキンゴに意見を求めると「地球は滅びる」と言い、イカリスも「全員そう思う!」と答えた。

アマゾンの奥。セルシらかドルイグを説得に訪れた。彼はここで住民とともに暮らしていた。「BC7000年の任務がおかしい」という彼の説得は難しかった。

そこにディヴィアンツが出現し、これとターナルが戦った。セナを助けようとしたギルガメッシュがその能力を吸収されて亡くなった。ギルガメッシュの能力を吸収したディヴィアンツは人型のクロとなった。イカリスの出現で逃げ出した。セナはギルガメッシュの死を惜しんだ。

f:id:matusima745:20211108193903p:plain

ドルイグの力では人間は救えないと説得に応じた。ファストスの力が必要とシカゴに向かった。

シカゴ。ファストスは男性の妻ベンと子供の家庭を持っていた。彼は1945年8月地球人が広島に原爆を投下したことに「ドレイグが言う通りだ」と人類に失望していた。これをベンが「子供の成長を見るためだ!」と説き落とした。

ここからねたばれ(要注意)

エターナルズのメンバーがバビロンにある活動拠点(隠ぺいされた宇宙船ドモ)に集まった。そこではマッカリ(ローレン・リドロフ)が情報を収集し、拠点を守っていた。マッカリは超音速で走る能力をもっていた。

f:id:matusima745:20211108194027p:plain

集まったエターナルたちは対ディヴィアンツ戦の戦略を練った。エターナルズ全員の力を集めドルイグに集中させ、セレスティアルズを眠らせると、ファストスは「“ユニ・マインド”」と名付けた腕輪を造り始めた。

誰をリーダーにするかで、スプライトが「一番力がある者」とイカリスを推薦したが、本人が拒否し、「あんただ!」とセルシを押した。セルシは「殺し合う地球人を変えたい!」と決意を明らかにした。イカリスが席を外し、出て行った。

 6日前のサウスダコタイカリスはエイジャックの家を訪れていた。エイジャックが「7日後、新しいセレスティアルズの誕生し、地球と人類が滅亡する。サノスによって消された全宇宙の半分の生命を再び戻し人類を救う」という。

セレスティアルズ殺害は無理!」とエイジャックをディヴィアンツがうじゃうじゃいる湖に突き落として殺害した。エイジャックの遺体をサウスダコタに持ち帰り放置していた。ディヴィアンツが襲ったように偽装していた。

 セルシがイカリスに居る岩場を訪ね協力を依頼した。が、「闘いたくない!」とイカリスに告げると「君を覚えている。愛している」と去って行った。

宇宙船に戻ったイカリスはファストスが作っている腕輪を目の前で破壊し、「新セレスティアルズの誕生を守る」と出て行った。これをスプライトが追った。キンゴはイカリスと戦うことを拒否して去って行った。

マッカリがセルシを支持すと伝えた。セナが「あなたがリーダー!」と励ました。

ファストスは、セルシの喉で光る球を使って力を増幅する腕輪を完成させた。残ったエターナルズに腕輪を嵌め込んだ。そして宇宙船(ドーモ)で新セレスティアルズ誕生の火山島に向かった。

f:id:matusima745:20211108194116p:plain

火山が噴火開始。エターナルズが力をドルイグに集めて鎮火させようとするが、イカリスが妨害。イカリスとの闘いが始まった。ファストスはイカリスを雁字搦めに縛れ挙げて、拘束した。

火山に向かうセシルの前にスプライトがエイジャックに化けて現れ、「人間が羨ましかった。人間として生きて、恋とは何か、成長とは何かを知りたかった」とナイフでセシルを刺した。そこにドルイグが駆けつけ、セシルを救出した。セルシは火山にエナーナルズ全員のエネルギーを集めて地面を凍らせるという戦法で立ち向かった。

こんな仲間割れの中で、クロが襲撃してきた。セナが洞窟の中でクロと対峙し、壮烈な戦闘のすえこれを倒した。

闘いが終わり、大津波が襲ってきて、全てを海に洗い去った。そこにセレスティアルズの身体の一部が現れた。セルシはコズミック・パワーでセレスティアルズの誕生を阻止した。

f:id:matusima745:20211116055016p:plain

イカリスがセルシの元にやってきて「すまなかった!」と謝り、太陽に向かって飛び込んで行った。

セルシは、大人になりたがっていたスプライトの願いに報い人間に変えた。

2週間後、テレビのニュースが「インド洋に巨大な物体が出現した」と報じていた。

ファストス、セルシ、スプライトが地球に残り、他は宇宙船で他の惑星に飛び立った。

セルシに出会ったデインが「俺の家系に問題があるんだ」と話しかけているとき、セシルはエリシュムによって宇宙に連れ去られた。エリシュムが「地球に起こったことはいずれ審判する!」と呟いていた。

感想:

長かった。遂に耐えられず・・・でした。冒頭で「エンデイングの後にお知らせがあります」と告示されていましたが、見損じました。(笑)後半は複雑で掌握しきれなかった。(笑)

テーマは「新たなヒーロー像」。そして彼らが愛した「地球人」。

新ヒーローたちは今までで見たことのないユニークなキャラクターでした。見た目は神話の戦士のようで、観たことのないアクションが楽しめました。

エターナルズは10名編成でしたが、キャラクター・キャステイングで多国籍、多カラーで、聾者であるローレン・リドロフやファストスのゲイなどLGTSQにまでに及ぶという「多様性」揉め事、喧嘩シーンが多かったが、この多様性の結び付きで結果を出すという結末。生存にはこれが一番大切というメッセージは頷けます。アンジーがリーダーでないということで一目瞭然!(笑)

ヒーローたちが人間に期待したのは「創造性」と「愛」。悪化する環境や戦争する人類に嫌悪しました!これから地球人がどう生きていくかが問われるメッセージでした。

5000年の愛を育んできたイカリスとセルシの愛の結末。イカリスは愛より使命を選びました。究極の状態で、生きる望が“愛”という人間の価値観のすばらしいが分かります。

ジェンマ・チャンのリーダーとしての演技、しっかり意見を聞き、すべてのメンバーに気配りし、精神的な支柱へと成長していく演技がみごとでした。アンジーの格闘演技、狂った剣士だけに使うという発想も凄いが、その存在感が凄かった。ドンソクの鉄拳もよかった。アンジーを思いやる役なんて最高でした。いち押しは凛として美しいローレン・リドロフ。😊みなさんの演技、とても楽しく見ました。

次作、エターナルズが活躍、引き続きクロエ・ジャオ監督にお願いしたいです!

           ****