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「ゴースト・イン・ザ・シェル」(2017)

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攻殻機動隊」の原作は、1989年に士郎正宗さんが発表した漫画で、設定やストーリーを変えながら繰り返しアニメ化され、なかでも、95年に公開された押井監督による劇場版アニメ「GHOST IN THE SHELL攻殻機動隊」は世界的な評価を受けているとのこと。この程度の知識で、実写化された「攻殻機動隊」を「英語版」で鑑賞しました。鑑賞所見は、とてもおもしろいSFミステリーでした!!

物語は、2069年、脳以外は全身義体のミラ・キリアン(通称”少佐”)は、悲惨な事故から命を助けられ、世界を脅かすサイバーテロリストに挑む戦士に生まれ変わる。少佐率いる捜査メンバー(公安9課に所属)は、サイバーテロ組織と対峙するが捜査を進めるうちに、少佐は自分の記憶が操作されていることに気づき、本当の自分は誰なのかと犯人を突き止めていく。
物語は「ネットのなか(電脳)の世界」と「現実の世界」が並列しあるいは交叉しながら描かれ、ミスレリアスで、やや複雑です。しかし、慣れてくると作品の世界感にたっぷり浸り、快感です!
近未来の無機質で孤独な世界のなかで、自分を造った博士や母親に出会うことで記憶を取り戻していく設定に温かいものを感じます。

光学迷彩に身を包んだ少佐の格闘、未来の重火器や多脚戦車・ヘリとの交戦、カーアクション、義体治療など医学的シーンなどが楽しめます。
少佐役のスカーレット・ヨハンソンは透明感があり、無表情・無感情でスレンダー、とても軽快に動きを見せ少佐のイメージにぴったりです。特に、裸体スーツで演じるアクションがすばらしいです。
9課課長の荒巻役を演じるビートたけしさん、唯一日本語ですがこの時代設定なら言葉は障害でないと思われ(英語版でみて全く違和感がなし)、うまく芝居に溶け込んでいます。言葉の端々にやさしさが出ていてとてもよかったと思います。また、第9課の仲間バトーを演じるビル・アスペック、常に少佐とともに行動し愛情深く見つめる姿に、この時代設定だからこそ必要とされる、理想的な同志・戦友を見る思いがします。
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物語、
義体のミラ・キリアン(通称少佐)の誕生
人と機械の境界が消えていく未来。進歩したテクノロジーで人はサイバー・パーツを使い身体を拡張することになっていた。2069年ハンカロボテイックス社では、人間の長所を生かした人の義体化プロゼクト2571を進行させていた。
冒頭で、少佐が義体人間として再生される様が描かれます。脳が金属に接続され、金属
で出来た骨格に筋肉に相当するパーツが重なり、皮膚に相当する
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部分がつけられて、養生されて、皮膚が付けられ、少佐の身体が“誕生”する場面は圧巻です。事故により瀕死の状態だった彼女をサイボーグ化したのは、ハンカ社のオウレイ博士(ジュリエット・ビノシュ)で「身体は義体でもあなたは生きている。奇蹟よ、あなたは心をもつ。ゴーストよ」と目覚めたミラに優しく言葉をかけます。
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〇謎のメッセージ「ハンカ社と組んだら破滅だ」
少佐が再生されて1年後。サイバー犯罪が行われている可能性がある高層ホテルの屋上でホテルの一室を監視中。この部屋で、人間の義体化を推進するハンカ・ロボティックス社のオズモンド博士とある国の大統領との会合が行われている。会合は、オズモンド博士が大統領に人間の義体化推進に協力を求めるも、義体の完成度の問題で話し合いは難航している模様。芸者ロボが接待中で歩き回っている。
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突然、ホテル内に黒服集団が侵入し、護衛のロボットとの銃撃戦になる。少佐はすぐさま侵入者に気づき、屋上からダイブ。 光学迷彩を身にまとい徐々に周囲の風景に溶け込んでいく姿がすばらしい。

一方、会合は黒服集団により制圧され、「ハック開始しろ」の合図でオズモンド博士は芸者ロボットにより脳からデータを吸い上げられる。すると突イメージ 4
然、窓の外からの銃弾で黒服集団や芸者ロボットが次々と倒れ、光学迷彩により姿を消していた少佐が窓を突き破り侵入。このシーンは圧巻です!華麗な銃さばきと激しいアクションで敵をなぎ倒していく。そして、芸者ロボットを撃ち抜くが、「助けて、お願い」と命乞し「ハンカ社と組んだら破滅だ」と謎めいたことを言う。

芸者ロボットを演じるのは福島リラさんです。ロボットの動きが絡繰り人形のようで歌舞伎的な動きをします。そして、バックする姿が色っぽくて面白い。少佐は腕に傷を負います。

〇少佐、クゼの罠に掛かり負傷
少佐が9課に出向くと、課長荒巻から「ハンカ社の3人の科学者が電脳ハックされ、犯人の黒幕はクゼだ」と聞かされ、「芸者ロボのデーターを洗え」と指示される。
少佐はバトーとともにハンカ社に出向く。途中バトーの飼い犬ガブリエルに会うが、少佐が関心を示さない。バトーが何故かと問うと「記憶に霧がかかっている」と言う。
ハンカ社でオウレイ博士の診断を受ける。少佐が「友達に会っていない、過去がない」と問うと「問題はない、何をするかでその人が決まるのだから」と言う。
博士が芸者ロボを解体中で、その記憶を脳に入れてもらう。少佐が記憶の海の中で無数の人影に襲われショックで全身けいれんを起こすが、バトーの「接続を切れ」で現実世界に戻る。
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そこで見た顔を求めて、少佐はバトーとともに中華風の猥雑な街に出かけるサイバーパーツの闇取引店で記憶にある男を見つけ追跡して地下の怪しげなバーに入る。少佐は、手錠を掛けられポールダンスを強要され、自分が改造されていることを知らされる。
一方、バトーは便所で仲間から秘密裏に武器を受け取る。少佐が男と格闘しているところに、バトーが駆けつけ壮絶な銃撃戦が始まる。少佐が男を追って奥に進むとそこにクゼの影が見える。そのとき大爆発が起き、少佐とバトーが負傷する。
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爆破によりバトーは両目を失い、超高機能搭載型の義眼レンズになる。少佐は心臓を治療中。ふたりの治療風景が描かれる。バトーが「無許可でダイブは、無敵でないから、無茶するな!」と声を掛けると「私の心がわかるの。人は将来イメージ 6
あなたと同じようになるよ」と少佐。
少佐は、化粧して街に出て、「人間なの?」と坊主頭の女に近づきマスクを取り「どんな感じ」と目に触り、「あなたは義体」と戯れて、クゼとハンカ社の関係を探っている。

〇オウレイ博士、襲撃される
カッター長官がオウレイ博士に「少佐は兵器でなければすばらしいロボットだ。芸者ロボにダイブした、それでは困る。ハンカ社はわが国にとって大切だ」と少佐の行動を批判すると、博士は「わたしはハンカではなく少佐に従う」と応じる。

ハンカの技術者が“2571プロゼクト”の人事ファイルを見ていと、何者かに襲われ目を奪われる。少佐とバトーが「ハンカの技術者が殺された」という情報で現場に急ぐ。そこにはIDが残され、名簿が盗まれおり「博士が危ない」と直ちに連絡を入れる。
その頃、電脳ハックされた清掃車が、待ち伏せして、オウレイ博士のクルマに体当たりし「2571のことを全部話せ」とMGを突きつけ脅している。ここに少佐とバトー達が到着して激しい銃撃戦になる。1人が街を走り水路に逃げる。少佐は光学迷彩を身に纏いこれを追い、男と格闘して逮捕する。このシーンは秀逸です。

〇少佐、電脳化の真相を知る
捕まえた男を尋問すると「娘も妻も居ないひとり暮らし」だと白状する。ハックされて彼の記憶を消され別の者の記憶と判明し、「この(記憶)中にクゼがいる。どこかにいるか」と思っていると、男が「私は義体でね、君のような美しい者には何度も生れたい。名前は一杯ある。娘に合いたい」と座り込む。男が再びハックされており、逆探知
に成功する。
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9課メンバーが装甲車で逆探知した場所に行くと、怪しげな坊主頭の集団が脳になにか注入中。更に進むとそこにクゼが現れ「君が破壊しようとしているクゼだ」と言い「脳をセル化したのは君が最初。私は脳とセルを合体するとき失敗したと聞いたのだ」と言い、「復讐を企てている」と告白する。
少佐が「殺す気?」と問うと「プログラム通りにやれ!」と言う。少佐が発砲するが外れる。と、そこにバトーとトグサが少佐救出に現れるがクゼは逃げ去る。

少佐は真相を確かめるべくオウレイ博士を訪ねる。「私の前に何人やった?」と博士を問い詰めると「その前に失敗があった。98人失敗した。クゼは犠牲者よ」と答える。「私の母は本当に死んだの?」と聞くと「偽の記録をつけた。カッター長官の指示だった」と言う。クゼが依然として行方不明で、バトーと荒巻が探している。

海に逃げる少佐。浮かび上がるとそこにバトーが待っている。バトーが「なぜ逃げた?」と聞くと少佐は「私を信じないの?」、「俺は信じてる」バトー。舟から降りたところで、ハンカの部下に拘束される。
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少佐はハンカ社に移送され、拘束されている。カッター長官が「テロリストに洗脳されている、殺せ!」とオウレイ博士に命令するが、博士はこれに反抗し少佐に「少佐の記憶」を渡す。少佐は記憶を注入しホンダで逃走する。異変を感じた荒巻がカッター長官に「少佐が殺されれば俺も終わる。少佐の記録を見せて欲しい」と迫っている。

〇少佐、母に記憶の確認
少佐は“記憶の確認”に円筒階段のあるマンションの一室を訪ねるとハイリ(桃井かおり)が現れる。「娘さんは?」と聞くと「娘トモコが居たんだけど、役人が灰だけ持ってきた。ワタシは信じてない」と言い「あんたにどこか似ている」という。少佐はこれを聞いて部屋を飛び出す。桃井かおりさんはこの役にピッタリで孤独を抱えながら娘を想うやさしさが滲みでていました。よかったですよ。
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〇カッターとの戦い
「親のことも含めて偽情報を与えられた少佐が危ない。カッターに責任を取らせる」と荒巻は9課のメンバーに警告する。荒巻が黒服集団に襲われるが「羊を殺すにうさぎをよこすな」とカッコよく全員射殺。() 車で移動中にバトー、トグサも襲われる。
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少佐の記憶が次第に戻ってきて、思い出の廃墟に行きここでクゼに出会う。クゼは「自分はヒデオ」という名で「お前は素子だ」と言い、「一緒に仲間やろう。俺のネットワークに来い」と誘う。このとき大爆発とともに、カッター長官が操る多脚戦車が現れ、少佐がこれに応戦する。クゼが多脚戦車に捕まったとき、光学迷彩に身を包んだ少佐が、義体がバリバリと破壊するのも厭わず、ハッチをこじ開け多脚戦車撃破するシーンが凄い。上空にヘリが接近中。少佐が「ここで生きる」と言えば、クゼは「君のなかで生きる」と言い、ふたりは現場に留まる(昔の恋人同志になっている)。直後、ヘリからクゼが射撃される。このヘリをサイトーが狙撃する。バトーがやって来て、少佐を抱き上げ「名前は?」と問うと「素子」と答える。「今は少佐だろう」とバトーが訝る。()

荒巻がカッター長官を訪れ「総理に会って謝罪しても無駄な抵抗」と一発で射殺。少佐の同意を得たとカッターをプールに沈める。
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〇少佐、任務に復帰
少佐は「草薙素子」の墓を訪れ、ハイリに「もうここには来なくていいよ」と声を掛け抱きかかえる。少佐は「わたしは義体だけど仲間が増えた。人には記憶がある。何をするかは人が決める」と告げる。
サイバー事件が発生。ビルの屋上にいる少佐のもとにバトーらがヘリで駆けつける。課長の「少佐、事件だ。お前に任せる」で、少佐がダイブする。
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記事 『ゴースト・イン・ザ・シェル』なぜ賛否両論に? 押井守版『攻殻機動隊』と比較考察(20170414
http://realsound.jp/movie/2017/04/post-4722.html