映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ジェントルメン」(2020)英国ではもう「ジェントルメン」という言葉は死語?(笑)

監督は「アラジン」(2019)「キャシュトラック」(2021)のガイ・リッチー。私が観た作品はこれだけ!ということで、監督の原点である「犯罪劇」作品を観るのは初めてです!(WOWOW

監督・脚本ガイ・リッチー原案ガイ・リッチー アイバン・アトキンソン マーン・デイビス撮影:アラン・スチュワート、美術:ジェマ・ジャクソン、衣装:マイケル・ウィルキンソン編集:ジェームズ・ハーバート ポール・マクリス、音楽:クリストファー・ベンステッド。

出演者:マシュー・マコノヒーチャーリー・ハナムヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ドッカリー、ジェレミー・ストロング、エディ・マーサンコリン・ファレルヒュー・グラント、他。


www.youtube.com

あらすじ

イギリス・ロンドンの暗黒街に、一代で大麻王国を築き上げたマリファナ・キングのミッキー(マシュー・マコノヒー)が、総額4億ポンドにも相当するといわれる大麻ビジネスを売却して引退することにした。果たして、これが可能か?

冒頭パブに入ってきたミッキーは、バーテンダーにビールとピクルドエッグを注文し、ジュークボックスにコインを投入するとアメリカンロックのBGM。電話でデートの誘いをしていると、背後から男が銃を発射。ビールグラスに血が流れる。ミッキーは誰に電話し、誰を撃ったのか、血は誰のものか?

ミッキーはユダヤ人大富豪マシュー(ェレミー・ストロング)に売却を打診した大麻生産農場を見せ、農場と従業員、顧客リストまで全て込みで、総額4億ポンドで売却したいと提案。マシューは細部を検討して回答すると返事を保留した。

ミッキーには宿敵、ゴシップ紙の編集長ビッグ・デイヴ(エディ・マーサン)がいた。名士のパーティーでミッキーに恥をかかされた恨みだった。デイヴは私立探偵フレッチャー(ヒュー・グラント)を雇いミッキーを潰す情報を持ってくるよう指示した。報酬は15万フランだった。

物語はフレチャーが情報収集し、これで作ったという映画シナリオをミッキーの腹心レイ(チャーリー・ハナム)に2000万フランで買ってくれとやってきた。

〇映画シナリオには

大麻ビジネス売却をめぐるミッキーとマシューを初めてとするロンドンの悪役たちの思惑が描かれていた。レイはフレッチャーのシナリオを聞きながら自分の見聞きした状況を重ねて聞いていた。

マシューとの交渉後、ジョージ卿(トム・ウー)率いるチャイニーズ・マフィアの若頭ドライ・アイ(ヘンリー・ゴールディングがやってきた。高級車の修理工場を経営する妻のロザリント(ミシェル・ドッカリー)に10万ポンドの手土産を持ってきたので、ミッキーは交渉に応じたが提示した額が桁外れだったので断った。

ところがこの後、大麻農場が地元のストリート・ギャングに襲われ、盗まれ、その凱旋状況がSNSで公開されるという事件が起こった。怒ったミッキーは「犯人はマシューかドライ・アイだ」と見当をつけた。が、マシューが金のペーパーウエイト(小型拳銃)をプレゼントに持ってきたので、犯人はドライ・アイと見た。

そこに昵懇にしているジェントルマンのプレスフィールド卿(サミュエル・ウェスト)から、ヤク常習犯のロック歌手と失踪した娘・ローラ(エリオット・サムナー)の救出依頼が来た。これは優先事項と、レイがリーダーとなり彼らの隠れ家に踏み込み、ローラを救い出した。が、一緒にいたロシアマフィアの息子・アズラン(ダニー・グリフィス)が逃亡しようと二階から飛び降り死亡するという事件が起きた。運悪くこの現場を学生たちの悪ガキに撮影された。レイが追っかけてこれを回収した。

ここでフレッチャーが「自分が撮った!」とアズランの写真を示し、「ロシア・マフィアに言うぞ」とばかりに圧力をかけてきた。レイは写真の少年はアズランの遺体を撮影した少年であることを確認した。

ボクシングジムのトレーナー・コーチ(コリン・ファレルが「うちのガキが農園を襲った!ドライ・アイのところの若衆・ファ・アック(通称ファック(笑))から聞いた情報だ。二度と農園を荒らすことはさせない。なんでも協力する」とミッキーに謝罪に現れた。

ところがファックは逃走中に車事故でなくなり、ミッキーは「犯人はドライ・アイの親分・ジョージ卿だ」と判断して、彼に事務所に乗り込み、赤痢菌を飲ませて吐かせた。(笑) しかし彼は関与を否定するので、ミッキーは「農園に関わるな!」と釘を刺して放免した。この後、ジョージ卿がドライ・アイに問い詰めたとき、彼に射殺された。

フレチャーは「世間はあんたらふたりが殺したと見る」と「ジュージ卿の殺人犯人はミッキー」と言いがかりをつけてきた。

このあとドライ・アイはロシア・マフィアの親分に近づき、彼と共闘して、ロシア・マフィアがミッキーの事務所、ドライ・アイがロザリンドの事務所を襲った。

こうなったのは、サッカー場で密会しているマシューとドライ・アイの望遠映像を見せて、「お前はドライ・アイ、俺はマシューだ。彼らの喋りに合わせてこの原稿をよめ!」という。(笑)ドライ・アイは「俺が仕切る!」と言い、マシューが「雑魚が何を言うか!」という映像だった。マシューはドライ・アイを使ってミッキーの大麻事業の買い値を操作しようとしたが、ドライ・アイが力をつけて、マシューを裏切ったのが、この結果だという。

フレチャーはロシア・マフィアがミッキーの事務所に進入する写真を示し、あとはあんたが知っていると、大胆な推論を述べ、ドライ・アイを殺したのはミッキーだと結論づけてきた冒頭シーンはここに繋がり、フレッチャーの2000万フランの強請りシナリオは終わりです。

ミッキーの事務所に現れたロシア・マフィアはそこにいたレイが射殺した。グラスの中の血液はマフィアのもの。電話はロザリンドからのもので、ミッキーとレイは車でロザリンドの店に急いだ!途中で追突事故!ミッキーが車からはい出して急いだ!(笑)

ロザリンドはやってきたドライ・アイの子分ふたりをマシューから贈られたペーパーウエイト(小型拳銃)で射殺したが、弾切れで、ドライ・アイがロザリンドをレイプする寸前、そこにミッキーが飛びこんできて拳銃でドライ・アイの脳天をぶち抜いた。

〇レイはフレチャーのシナリオを聞き終わって

「実は俺がお前をつけていた!お前が喋るネタは俺が撒いたネタだ!」とシナリオの購入を断った。

フレチャーは「1日待つ、万一の場合の編集長・ディヴにシナリオが渡るよう担保してある」と釘を刺し、帰っていった。

レイはコーチを呼び「ディヴが2度とミッキーに関われない処置とフレチャーの隠し資料を確保しろ!」を命じた。コーチはストリート・ギャングを使ってうまくレイの要求を達成した。中でもディヴの処置はR15で語れないものだった。(笑)

なにも知らないマシューがミッキーの会社に現れ、値斬り交渉をしてきたフレチャーの資料ですべてを知っているミッキーは「お前の画策で大麻ビジネスに大損害が出た、それ以上に妻ロザリントが汚された」とマシューをベニスの商人に見立てて、1ポンドの肉片による支払いを命じた。(笑)

フレチャーがレイにシナリオを買うかどうかを聞きにやってきた。レイはコーチが集めたフレチャーの資料を示し、購入を拒否した。するとフレチャーは「ロアイア・マフィアとレイの双方にこの資料を売りつけた!もうすぐ、ロシア・マフィアが攻めてくるぞ」と逃げ帰り、編集長・ディヴにこの資料を渡した!(笑)

ロシア・マフィアがミッキーの車を襲ったが、ドラーズが重機関銃で撃退された。

フレチャーがディヴに資料を渡してタクシーに乗ると、運転手が「ミッキーだ!」と名乗りを上げた!

感想

ジョーン卿を赤痢菌で責める、ディヴを豚で責める、「こんなのあり!」と大笑いしていると、果敢に撃ってスカットする銃撃戦にカーアクション。「一体この結末はどうなるんだ」と思っていましたが、二転三転してミッキーが「ジェントルメン」を改めて目指すという、収まるところに収まりました!

とんでもないギミックな映像!下もネタ、他作品や人物の引用・批判、これ以上下劣な表現はないと思われるセリフの数々(笑)、大いに笑いました。しかしそんなことより、陰謀、襲撃、賄賂、恐喝の渦巻く裏社会を、私立探偵フレッチャーの映画シナリオで見せ、その結果を現場で確認させるという、手際よい演出手法で複雑に絡む対立関係を分かりやすく、面白く見せてくれるところが凄い!

ガイ・リッチー監督の「クライムサスペンス」とはこういうものかと楽しみました。

英国にはもう「ジェントルメン」という言葉は死語になったんですかね!これテーマ?(笑) 唯一「ジェントルメン」だと言えるのは、終始ミッキーを裏切ることなく役割を果たしたコーチでしょうか。コリン・ファレルのとぼけた演技が最高でした。彼のトレパン・ファッションがまたよかった。(笑)

ドラマの主人公はミッキーだが、映画の主人公はフレチャーとレイチャーリー・ハナムヒュー・グラントの掛け合い騙し合い演技が圧巻でした。

音楽と凝った舞台装置でドラマに引っ込まれます!最高に面白かった。

               ****