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「ロケットマン」(2019)

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世界的ミュージシャン、エルトン・ジョンの自伝的映画。主題歌が2019年度アカデミー賞の主題歌賞に輝いた作品です。
しかし、ダイアナ妃に捧げた「キャンドル・イン・ザ・ウインドウ」ぐらいしか知らない音楽音痴の観賞記(WOWOW)です!

主としてレビューから、1990年リハビリ施設に入院し完治するまでを、随所に彼の代表曲を散りばめながら、波乱万丈な人生を振り返るという設定で進行していく、エルトンの人生の転機となる出来事を印象的に描いています。

麻薬・酒・セックスなどなどの依存性がセラピーにより強い意思を持てば治るというメッセージがあり、人生における愛の大切を説き、LGBT問題に触れており、テーマの捉え方が「ボヘミアン・ラプソディ」(2018)とは異なって大きな社会性のある作品となっています。それでいて、ミュージカル仕立てでエルトンの歌をたっぷりと聞けるという優れものです! 

監督は「ボヘミアン・ラプソディ」のデクスター・フレッチャー。製作は「キングスマン」シリーズのマシュー・ボーンにエルトンが加わっています。脚本:リー・ホール、撮影:ジョージ・リッチモンド、音楽:マシュー・マージソン

出演者はタロン・エジャトンジェイミー・ベルリチャード・マッデン -、
スティーヴン・グレアム、チャーリー・ロウ らです。
特にエルトン役のタロン・エガートンと彼の音楽的パートナー;バーニー・トーピン役のジェイミー・ベルの演技が見どころです。

エルトンの曲は、ミュージカルとして、ストーリーに合わせその時々の彼の心情、喜びや孤独、苦悩、葛藤が上手く伝わってきます。


『ロケットマン』本予告|PREPARE Bumper               
あらすじ:
オープニングでエルトンが大きな羽根つき衣装でリハビリ施設の廊下歩き、セラピー室に入り大柄な態度で座り、「アルコール依存、コカイン中毒、セックス依存、過食症、癇癪持ちだ。暇つぶしにやってきた!よくなりたい!」と自己紹介。皆が驚きます。こいつ何者だ! このうつろな目のエルトンが過去を語り始め、その姿が一変するところに驚きです。しっかり歌を唄うタロン・エジャトンの演技に圧倒されます。実は歌より悩み自失呆然で泣く演技の方が凄かったです!

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物語は、要所要所でこのリハビリシーンに戻り、エルトンのコメントでまとめながら展開されます。分かりやすい、しかし、酩酊状態での思い出だから厳密には辻褄があっていない!美味い設定です。脚本の勝です。(笑)

子供の頃の話し
表情が明るくなり喋り出します。「我は5歳で神に認められた」とミュージカル仕立てで明るい子供のころを回想します。曲名は?

しかし、父はたまに家に帰り部屋に篭ってレコードを聞き相手にしてくれなくなる。昔は“ジャズ”を語りハグしてくれたと、父に愛されなかった日々を回想します。
音楽の才に恵まれたエルトンは王立音楽学校に奨学生として、当日は家族の中で唯一可愛がってくれる祖母に付き添われ、入学。先生に何が弾けますかと問われ、先生が弾いた曲を「全部覚えた!」と弾いて見せます。天才であったわけです!

母親が家族を顧みない父親に愛想を尽かし、夫婦喧嘩して父親が家を出て、新しい男が父親として登場。このことがエルトンに決定的な影響を与えたと言います。
エルトンは「愛が欲しい!」「孤独だ!」と、出会ったのがロックンロールだった。エルビス・プレスリーに嵌った。学校でもロック漬けだった。

卒業時バンド「ブルーソロジー」に参加し、キーボーディストになっていた。
アメリカからやってきた「アメリカン・ソウル・ツアー」のバックバンドを勤めていたとろで、ロドニー・ジョーンズに「名前を消せ!過去を消すと大物になる」と言われ、「エルトン・ジョン」にした。「ジョン」はビートルズから貰った。(笑) このときメバンドーの一人にキスされた。このキスが運命を変えていく!

ディック・ジェームズ(スティーヴン・グレアム)の音楽事務所の広告を見て応募。面接官はレイ・ウィリアムズ( チャーリー・ロウ )、採用不合格としたが(笑)、「この詞に曲をつけて観ろ!」と渡されたのがバーニー・トーピンジェイミー・ベル )の大量の詞だった。

エルトンは詞に「ダニエル」の曲と名付つけたテープをバーニーに送ると、大変な喜びで、ふたりはカフェで落合い、盛り上がり、バーニーが「歌詞ならなんぼでも書く」ということになった。

出来た歌曲を持ってジェームズを尋ねた。ジェームスは「曲の99%は“くそ”で1%が勝負だ。沢山作るために同居しろ!」と同居を勧められた。(笑)
ふたりはエルトンの家に同居して歌を作った。バーニーが詞を書き上げると30分で曲「僕の歌は君の歌(原題:Your So)」が出来上がった。これは嘘らしい(笑)

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エルトンは「バーニーと付き合って20年間一度の喧嘩したことはない」とセラピーで語っている。

出来た歌曲をジェームスの許可を得てレコーデイング。「これでアメリカを制覇できる。先ずはトルバドールの出演だ!」ということになった。

ハリウッド、トルバドールにやってきたエルトンはステージを見てびくついた。レイに「この玉無し野郎!」と発破をかけられステージに上がったエルトン、「クロコダイル・ロック」で空を飛ぶパフォーマンスで大成功裏に終わった。

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その祝いがトルバドールのオーナー・テイト・ドノヴァンの豪邸で開かれた。「まるで楽園だ!」と成功を喜んでいると、バーニーが女と消えていった。はにかみ屋のエルトンは「これでバーニーに振られた!」と落ち込む。実はふたりはゲイの関係にあった。

そこに現れたのがジョン・リード(リチャード・マッデン)。「俺はマネージャーだ!君は何者にでもなれる!」と煽て上げ、その夜を過ごした。

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「エルトン、LAに激震!」というニュースで、アメリカでのツアーは大成功。ロンドンに帰ったエルトンは、これまでとは一変し、派手な衣装やメガネでピアノの曲弾きやクライマックスではピアノの上によじ登って歌い、スーパースターの地位を獲得していった。
25歳で億万長者となり、ロック界の富豪になった。そこにジョンがロンドンにやってきた。

「黄昏のレンガ道」が出来上がったところで、ジョンの提案でジェームスとの縁を切った。そして「今が勝負だ!しかし、ふたりの関係がバレたら全てが終りになる。両親にことがもれないよう説得しろ!」と命じられた。
父親には会っても話せず、泣いた!そして母親には真実を伝えたが「知っていた!しかし黙っていて欲しい!」と突っぱねられた。エルトンは「俺は誰にも愛されることがない!」とジョンに挑みかかった。

セラピーでエルトンは「本物の愛は得られないと思って、ここから暴走が始まった」と告白。

楽屋でジョンに殴られた傷に化粧して、薬・酒を飲んで、奇妙な衣装とメガネスタイルで舞台に立つ。「次のツアーで収入がロック界最高だ。世界のレコード売り上げの5%は俺が担っている」と稼ぐことだけが目標になった。
バーニーが見かねて「そんな衣装で歌いたいか?戻っても良いんだぞ!」と声を掛けたが、エルトンは「詞だけ書け!」と無視した。

LAに豪邸を手に入れた。エルトンは酒と薬に入り浸り。目が覚めればジョンが「仕事だ!」と急かす。ついにジョンと衝突するようになった。母たちもやって来た。集まった人たちを見ながら酒と大量の薬を飲んで「俺の自殺ショーだ!」とプールに飛び込んだ。プールの底で、俺は楽しく歌っている夢を見ていた。

引き揚げられて病院に運ばれ、回復するやドジャースタジアムでのコンサートに参加し「俺はロケットマンだ!」と歌った。

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ナーニーが「自分を見直したい。一緒に逃げ出さないか!」と持ち出してきたが拒否した。バーニーは去って行った。そしてジョンとも金のことで衝突するようになった。

エルトンはレコーディング時に出会ったレナーテと結婚したが、すぐ分かれた。「あの子には悪いことをした」とセラピーで語った。

母親が「あんたのスキャンダルで国外に逃げ出すから金を出して!」と言ってくる。エルトンが血を吐くようになっても、ジョンが「感染症で心配ない。あと5公演追加だ」と言ってきた。
マジソン・スクエア・ガーデンの公演? エルトンは薬・酒を飲んで、このリハビリ施設に逃げ込んだという。
                
感想:
人生で何が大切か、孤独と愛に飢えた人生が生々しく描き出され、何よりもセラピーで治るということを訴えていす。そして、ラストの映像で、エイズ基金設立とふたりの子供を育てる楽しさを伝えるシーンがあり、これがエルトンからのメッセージだと思います。世界のトップミュージシャンとして立派な役割を果たしたなと、感動しました。

エルトン役のタロン・エガートンがすべて自分で歌っていると聞き、タロンの才能と努力に驚きました。

リハビリ施設を見舞いに訪れたバーニーから渡された詞にエルトンが「アイム・スティル・スタンディング」と曲をつけることができて、リハビリによって薬と酒を断つことに成功したと実感する感動的なシーンで幕を閉じます。
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