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「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」(2022)動く恐竜の面白さ!新たなる支配者は?

1993年に公開された「ジュラシックパーク」が「ジュラシックワールド」へと展開した“ジュラシックシリーズ”が本作で完結するという、それも「新たなる支配者」というテーマで完結。とても楽しみにしていました!

公開当日、第1回目の吹替版で観ましたが、このコロナ禍の中で、ほぼ満席。それも子供たちでした。「ストーリーがどうとか?」と大人が心配しますが、彼らがリアルな恐竜を見ることで大成功だと思いました。1993年にこのシリーズが始まって、恐竜への関心が高まり、平均週に一種、新種の恐竜発見が続いていると言われています。

この作品でも新たな恐竜が登場し、それには新たな知見が加えられています。子供たちは驚いているでしょう。「俺も怪獣博士になるぞ!」と。作品の根底には遺伝子工学の未来が語られているわけで、しっかりこちらにも興味を持ってもらいたいです。今回のコロナ禍で日本の研究力不足をいやという程に感じましたので、子供たちにはぜひこの作品を観て欲しい。科学の力を感じて欲しいと思います。「新たなる支配者」とはあなたたちなんです!

作品は、これまでに出現したものにさらに新種を加え、その動きも最高の映像技術で出来上がっています。ストーリーは簡潔で、これまでの作品で引き継ぐべきところを引き継ぎ、最終章にふさわしい論理構成がしてあり、「ジュラシックパーク」に登場した人たちと「ワールド」で活躍した人たちが手を取り合って、上手く幕を引いてくれます。

監督:コリン・トレボロ製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー製作総指揮:スティーブン・スピルバーグ、アレクサンドラ・ダービシャー、コリン・トレボロウ、脚本:エミリー・カーマイケル、コリン・トレボロウ、撮影:ジョン・シュワルツマン。

出演者:クリス・プラットオーウェン・グレイディ役)、ブライス・ダラス・ハワード(クレア・ディアリング役)、ローラ・ダーン(エリー・サトラー役)、ジェフ・ゴールドブラム(イアン・マルコム役)、サム・ニール(アラン・グラント役)、ディワンダ・ワイズ(ケイラ役)、マムドゥ・アチー(ラムジー役)、B・D・ウォン(ヘンリー・ウー役)、オマール・シー(バリー役)、イザベラ・サーモン(メイジー・ロックウッド役)、キャンベル・スコット(ルイス・ドジスン役)、他。


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あらすじと感想(ねたばれ:注意):

前作「「炎の王国」ではメイジーの「私と同じクローン。みんな生きて!」と恐竜たちが街に放たれ、数学者でカオス理論の専門学者マルコムが「人間が恐竜と共存する時代が来た。新時代の幕開けです!」と議会証言するシーンで終っています。

冒頭で恐竜と人間の関係の現状が描かれる。ベーリング海で漁する船をモモササウルスが大口を開けてその獲物を奪う。一方でブラキオサウルスは製材所で働いていた。

森に逃げ込んだ恐竜が恐ろしいとバイオシン社(CEO:ドジスン)に特権を与えてイタリアのドロミーティ山脈にファンクチャリーを作らせ保護している。が、恐竜の売買も行われている。人類が恐竜を蘇らせて30年になるが、「恐竜は安全か?」に人類は今だ答えを見出していない。

このような生態系環境の中で、オーウェンは野に放たれた恐竜を追い、クレアは悪質な恐竜繁殖施設を監視するなど、ふたりは恐竜保護に励んでいた。この夫婦にとって14歳になったメイジーが「自分は何者か?」と自分探しのため街に出たがるが、捕まって利用されることが不安だった。特にクレアは母親といて受け入れられているのかと悩んでいた。これはドラマとして面白い!

そんな中で、ブルーがその子ベーターが連れて現れオーウェンと再会を果たすが、密猟者によってメイジーとベーターが攫われた。オーウェンはブルーに「必ず取り戻す!」と約束して、CIAの情報から犯人はマルタ島の恐竜売買市場に現れると、クレアとともにマルタ島に飛んだ。これまでの作品と違って、恐竜が街に放たれたという恐怖をたっぷりと味わうことができます。

そのころ、テキサスでイナゴの大発生による農作物被害を調査していたエリー・サトラー博士は、バイオテクノロジー分野の巨大企業バイオシン社が関係していると疑念を抱き、かつてのパートナー、アラン・グラント博士を誘い、バイオシン社の拠点ドロミーティ恐竜ファンクチャリーを訪ね、ここで働いているマルコムに会うことにした。

マルタ島に着いたオーウェンとクレア。クレアが恐竜売買市場に入り探す。そこで恐竜運搬を生業にしている元空軍パイロットのケイラに出会い「ここは危険だ」と忠告されたが、「メイジーを探している」と写真を見せ協力を求めた。一方、オーウェンはかっての仲間バリーと恐竜売買市場近くのビルから犯人を監視していた。ふたりの行動を探知した密売人がバイオシン社のCEOドジスンに報告すると「始末しろ!」の指示が出た。密売人はアトロキラプトルを放ちオーウェンを追い、自らはクレアの宿舎を襲ったが、クレアは脱出してケイラの車に拾われた。(笑)

“ことがうまく進み過ぎる”のがこの作品の笑いどころです!

 こんなことに捉われず、街中をバイクで走るオーウェンとラプトルのチエイスラプトルの能力を楽しむことです!オーウェンはケイラの機が待機している空港に急き、やっとのことで間に合うというスリリングなシーンでした。機上でケイラから「メイジーとベーターはドロミーティ恐竜ファンクチャリーにいる。ドジスンを裏切る!」と告げられた。

サトラーとグランド博士はイタリアでバイオシン社の機に乗り換え、CEOの副官・ラムジーの案内で恐竜ファンクチャリーに向かった。機上で見た恐竜たちの姿に驚いた。すべての恐竜に電子チップが埋められ、信号で集められると説明を受けた。ドジスンCEOからとても慇懃な歓迎を受けた。マルコム博士の研究者への講演を聞いた。「遺伝子操作で食物を失う。この危機が現実的でないと思っている人間は意識を変える必要がある」という内容だった。

マルコムに協力を求めると「興味ない」と断り、「イナゴがいる、探せ!」と飼育室の暗号が渡された!

このころメイジーはウー博士に会っていた。ウー博士から「君とベーターの遺伝子組み換え情報が欲しいんだ、協力してくれ!」と頼まれた。ウー博士がメイジーの産みの母・シャーロットは優秀な科学者で自分のコピーを作り、自分の病気体質が移らないよう遺伝子操作をしたと話した。メイジーは母がいたことに驚いた!

サトラーとグランド博士はラムジーから施設の案内を受けていたが、30分間の休憩時間を利用してイナゴ飼育室に侵入した。すると警報が鳴りだし、眠っていたイナゴが目を覚まし大混乱となり、ふたりは室外に飛び出した。するとそこにラムジーが現れ「私は味方だ!」と言い、「秘密の社内移動手段・ハイパーループを使って逃げろ!」と勧めた。そこにウー博士から逃げ出したメイジーと出会い、3人が一緒になって施設からの脱出を図った。何度も言いますが、展開が調子よすぎるんです。(笑)ハイパーループの中で、サトラー博士がメイジーに母親シャーロットの思い出話をする。こうやって「パーク」と「ワールド」の話が繋がっていくとことが面白い!

サトラーたちが逃げ出したことを知ったドジスンがマルコムを疑い、疑われたマルコムは「お前らは地球を滅ぼすぞ!」と毒づいて、施設から逃げ出した!(笑)

ハイパーループが突然止った。琥珀石を掘り出した坑道内だった。そこに背中にフリルがついた恐竜ディメトロドンが現れた!グラントが出口を探す!出口にマルコムがいた。笑った!!マルコムによってドアーは開けられ、3人が脱出に成功して、4人グループになった。

マルタ島から脱出したオーウェン、クレア、ケイラがドロミーティ恐竜ファンクチャリー上空で着陸許可を求めるが交信中で許可が取れない。そこに有翼恐竜ケツァルコアトルスが機を襲い、航行不能に陥った。機にパラシュートはひとり分しかなかった。オーウェン「メイジーの母親は君しかいない!」とクレアにパラシュート降下を勧め、オーウェンとケイラは胴体着陸することにした。

地上に立ったクレアはギガンザウルスに追われ川の中に身を隠した。オーウェンとケイラは胴体着陸し、機体から出て氷上を逃げていた。そこに赤褐色の羽毛恐竜ピロラプトルに追われ、氷の下に潜ったが、追ってくる!これを逃れたふたりは餌を巡りTレックスと陸上最大級の肉食恐竜ギガノトサウルスが戦う姿を目にした。これは生体系を考える上での大切な情報だった!

川から上がったクレアが施設の電源室に逃げ込んだところでヒロラプトラに遭遇した。こういうシーンが、昔、あったぞ!(笑)そこにオーウェンとケイラが駆けつけた。(笑)

ドジスンCEOはイナゴ室の混乱を確認して火を放った。イナゴが空に飛び出していった。これを見たサトラーは「証拠を消したな!」と呟いた。

このあとオーウェンら3人グループとサトラー博士ら4人グループが合体した。そこTレックスが現れイナゴを食べる。ギガノトサウルスが現れたので、全員が施設の2階に梯子を伝って逃げることになった。このときマルコムが炎をかざしてギガノトサウルスを誘い口に炎を投げ入れて、皆が逃げるのを援助した。これは「パーク」でマルコムが取った行動と同じシーンでした。このように過去作の想い出シーンを取り入れてあるのも楽しみです。

 ドジスンCEOが社員に施設からの退避を指示して、自らは遺伝子資料を持ってハイパーループで施設を脱出するが、途中でディロフォサウルスに襲われ、亡くなった。これは「パーク」でネドリーが恐竜の血液を持ち出して亡くなったと全く同じシーンになっています。ルイス・ドジスンは産業スパイでパークのエンジニア・ネドリーに、恐竜の胚をシェービング・クリーム缶に入れてジュラシック・パークから持ち出すよう指示した男でした。と言うことで、ジュラシックシリーズ完結にふさわしいシーンだと思います。(笑)

ラムジーがドジスンから再建時一緒にやろうと誘われたが「哀れな人だ!」と断った。

ベーターを麻酔銃で眠らせオーウェンが背負って、Tレックスとギガノトサウルスが戦う姿を見ながら「俺達には用ない!」と、ケイラの操縦するヘリでサンクチュアリを後にした。ウー博士が「シャーロットの遺伝子組み換えの謎が解けた」と明かした。「地球に生きるあらゆる命を生かす!共存しかない!」と決まった。

まとめ

当初人類と恐竜の共存に疑問を抱いた「パーク」の3人の博士たちと、「パーク」お引き継ぎ「ワールド」の世界で恐竜たちの保護者となった者たちが、恐竜サンクチュアリに集まり彼らの生態現状を見て、生態系は安定しており、遺伝子工学の未来に期待して下した「すべての生命を生かす」という結論。大きなテーマー性を持ってシリーズを終えることができてよかったと思います。

オーウェン夫妻とメイジーを巡る愛の物語も繋がる命の大切さを訴え本作のテーマでした。クレアを演じたブライス・ダラス・ハワードの演技に母親の本性を見ることができました。

何よりも将来を託せるメイジー、ケイラ、ラムジーたちの出現があってこその結論でした。これもひとへにマルコム博士の敵を恐れないカオス理論のなせるところでしょうか。(笑)

とにかく恐竜たちの映像がよかった。もう既視感があってという意見もありますが、なんど見ても美しい!恐ろしい!今回は世界に出た恐竜ということで、いろいろな現地ロケで見せてくれたのがよかった。マルタ島でのオーウェンとラプトルのチエイスはまるで観光巡りでした。そしてサンクチャリでマルコムが行った講演場所がオックスフォード大の校舎だったとか。これなら講演効果があったということでしょうか。(笑)シリーズがこれで終りとなると、寂しいですね!

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