名作中の名作。主題曲の「愛のロマンス」は大好きで、よく耳にしますが作品を観たのは今回が初めて!
主人公5歳の少女ポーレットのあどけなさに圧倒され、ラストシーンで「ミシェル!ママ!」と叫び雑踏の中に走り出す姿に、「絶対に戦争はやってはダメだ!」と思わせてくれる作品でした。
監督:ルネ・クレマン、後に名作「太陽がいっぱい」(1960)があります。脚本:ジャン・オーランシュ ピエール・ボスト ルネ・クレマン、撮影:ロベール・ジュイヤール、編集:ロジャー・ドワイア、音楽:ナルシソ・イエペス。
出演者:ブリジット・フォッセー、ジョルジュ・プージュリー、リュシアン・ユベール、シュザンヌ・クールタル、ルイ・サンテーブ、ジャック・マラン、他。
あらすじ:
第2次世界大戦中のフランス。ドイツ軍によるパリ侵攻から逃れる途中、爆撃により両親と愛犬を亡くした5歳の少女ポーレット(ブリジット・フォッセー)は、ひとりさまよううちに11歳の農民の少年ミシェル(ジョルジュ・プージュリー)と出会う。
ミシェルから死んだものは土に埋め、お墓を作ることを教わったポーレットは、子犬を埋め、十字架を供える。これをきっかけに、お墓を作って十字架を供える遊びに夢中になった2人は、教会や霊柩車からも十字架を持ち出してしまう。
ミシェルは父親から十字架の行方を聞かれるが決して口を割らなかった。そこに警察官が訪ねてきて、ポートレットが戦災孤児として連れて行かれることを知ったミシェルは「ポートレットを行かせないで!」と十字架の在処を喋った。父親がポートレットを警察に渡す書類にサインするのを見たミシェルは怒り、水車小屋に行き飾り物を川に捨てた。
ミシェルは保護施設に送られるために雑踏する駅にいた。そのとき「ミシェル!」という声が聞こえ、雑踏の中に走り出した。
1952年度ベネチア国際映画祭での金獅子賞、アカデミー賞での外国語映画賞受賞作です、
感想:
「禁じられた遊び」とは、幼いポートレットとミシェルが犬の墓に供えるために教会や霊柩車の十字架を盗むこと。これに対して戦争はなぜ禁止されないのかというのがテーマでした。ふたりが犬とその仲間を埋める上空を爆撃機が飛び交う。まさに狂気の世界を上手く描いたと思います。
ポートレットは戦争のことは何も分からない、両親が亡くなったこともまだ実感できない。ただ亡くなった犬がひとりで土に埋まるのが可哀そうと、亡くなった他の動物たちも一緒に埋めて、動物たちを慰めてやる天使のような子だった。それだけにポートレットのラストシーンで「ミシェル!」と駆け出し、彼が見つからず「ママ!」と走り出す姿には泣かされます。
こんなシンプルな物語でこれほどにまで戦争禁止を訴えられるのかと感銘を受けました。
ご近所間の諍いや若い男女の恋愛模様などを絡ませ笑いを取る取りながら、戦争の不条理を説くという演出が冴えていました。そして冒頭から、ギター奏者ナルシソ・イエペスが奏でる主題曲「愛のロマンス」が、この世界感に引き込んでくれました。
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