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「マッドマックス フュリオサ」(2024)暴力を肥えにした復讐劇!その怒りを爆音、爆炎で体感!

 

前作「怒りのデス・ロード」(2015)でマックスと共闘した女戦士フュリオサの若き日の物語を描くというもの。

原爆で荒廃した世紀末、希望の地を求めて繰り広げたマッドなカーチェイス、カーアクションが忘れられず、楽しみしていた作品。

今作はマックスが登場しない(前作冒頭シーンのみ)、イモータンも端役のマッドな世界。スピンオフ作品だ。ただただ母を殺され、緑の地を追われ、狂った暴力的な男に育てられたフュリオサの話。

彼女の心を鍛えたものは?ラストの男の一物に種を植え育てる復讐心と彼女が信頼する爆音と爆炎だ。圧巻のカーアクションを見せるが前作とは違う。カーアクションを支える人間ドラマが面白い今の世界へのメッセージがある。

荒廃した苛酷で理不尽な運命を緑の地だけを捜し続けるフュリオサ生き様に心が震えた

監督、スタッフ、キャストが狂ったが故にできた物語だ!(笑)

監督:ジョージ・ミラー脚本:ジョージ・ミラー ニック・ラザウリス、撮影ジョン・シール美術:コリン・ギブソン衣装:ジェニー・ビーバン、音楽:トム・ホルケンボルフ。

出演者:アニヤ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース、チャーリー・フレイザー、トム・バーク、ラッキー・ヒューム、ジョン・ハワードリー・ペリー、イサン・ジョーンズ、ジョシュ・ヘルマン、アンガス・サンプソン、他。

物語は

世界の崩壊から45年。暴君ディメンタス将軍の率いるバイカー軍団の手に落ち、故郷や家族、すべてを奪われたフュリオサは、ディメンタス将軍と鉄壁の要塞を牛耳るイモータン・ジョーが土地の覇権を争う、狂気に満ちた世界と対峙することになる。狂ったものだけが生き残れる過酷な世界で、フュリオサは復讐のため、そして故郷に帰るため、人生を懸けて修羅の道を歩む。(映画COMより)


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

世紀末。核戦争で地球は荒廃、身体は蝕まれ寿命は半分になり、人類は暴力に支配され、崩壊した世界。

緑の地に住む10歳のフュリオサ。果実の実る森の中でならず者に遭遇し拉致された

フュリオサ(アリーラ・ブラウン)はならず者のバイクの燃料パイプを切って逃亡防止を図っているところを逆に拉致された。気付いた母親シャパサ(チャーリー・フレイザー)が当初馬で追う。カービン銃で射撃しバイクを奪って、砂塵を巻き上げて逃走する2台のバイクを追跡。砂漠の広大さとスピードがよくマッチング!爽快だ!

フュリオサはディメンタス(クリス・ヘムズワース)が率いる大勢のバイカーたちが屯するキャンプに連れてこられ「緑の地はどこにある」と詰問される。フュリオサは返事しなかった。監視をつけてテントで休むことになった。

夜、嵐だった。シャパサがテントを襲いフュリオサを奪回しバイクで逃走。しかし、バイカーに追われ背中を負傷した。シャパサは「必ず家に戻ること。そしてこの種を植えること」と種をフュリオサに渡してバイクで逃がし、自らが囮となりバイカーと戦闘するが捕まった。フュリオサも母を見捨てられず探しているところを捕まった。目の前で母シャパサが木に縛られ殺された。なにわぶしが利いた日本映画のようだった。

フュリオサは檻に匿われディメンタスの旅に加わる

ディメンタスはフュリオサを娘としてリトルDの名付け、熊のぬいぐるみを与え、古代の馬に曳かせる戦車に模した3台のバイクに曳かせる戦車(チャリオット)で資源を求めて旅をする。この発想が楽しい!

フュリオサは仲間同志を戦わせ敗者をバイクで曳かせるバカげたディメンタスの暴力的な独裁者を目にした。輪になってぐるぐる回るバイクと爆音!これ胸に響く!

フュリオサの心はこれで強くなっていく。左腕に緑の土地の星図を刻んだ。そんな中で白塗の男を捕獲して尋問。彼の言動から水、食料、ガスのある砦(シタデル)があることを知った。

ディメンタスは早速大量のバイカーを従え砦に乗り込む

砦の主はイモータン(ラッキー・ヒューム)。ウォー・ボーイズに攻撃命令が下り、彼等の砦からロープを使った空中からの攻撃、火炎攻撃で、ディメンタスの軍はあっけなく退散。前作のイモータン側のキャラクターが次々と顔を出し楽しめる。

ディメンタスはイモータンにガス・タンク車を奪い、ガスタウンに侵入して爆薬を仕掛けた。ディメンタスはフュリオサを連れてシタデルに乗り込み、イモータンに爆破中止+フュリオサとガスタウンの交換を提案した。イモータンは「フュリオサはよい子産み女になる」と「この男が父親か?」と質問し「違う、母を殺した」の返事を聞き、オーガニック・メカニック(アンガス・サンプソン)をも加えてこの提案を受け入れた。

フュリオサはイモータンの砦で戦士として育つ

フュリオサが通されたのは子産み女の部屋だった。母乳を搾乳される女たち、男子の双子を生む葬られる女性を目にした。子産み女の悲しみを知った。オーガニック・メカニックが臍の尾を振り廻すのに笑った!

彼女は自分の部屋に戻り、髪を切り、作業服着て男性になりすますことにした

切った髪で種を包み岩場で芽を出させる。緑の土地への想いを忘れない。

車の再生工場で働く

廃車を砦の工場までクレーンで搬入する作業員となった。この危険な作業を的確にこなすことで“ドッグマン”と呼ばれ、イモータンの三男スクロータスに認められ、新型ウォー・タンクの建造に携わり、この車の運転手でかつ警備隊長のジャック(トム・バーク)の知己を得る。

フュリオサ(アニヤ・テイラー=ジョイ)はウォー・ボーイの一員として新型ウォー・タンクに乗車

ジャックが運転手で赤い大平原を走ってガスタウンを目指す。突然サイドカーが現れ、暴走モトクロス集団の襲撃が始まった

このシーンが薬15分間にわたる長いシーンだ。フュリオサの戦士としての力量が試され、ジャックの信頼を得る大切なシーンだ。

集団はバイクによる前面、側面、背後からの攻撃にパラグライダーによる空中からの攻撃、バイクによる車底からの攻撃で攻めてくる。フュリオサは車底を担当。上部配置のウォー・ボーイがやられ上部が手薄になり、手榴弾が運転席、ボンネットに投げつけられる事態になった。フュリオサはボンネットに這い出し直接ジャックの防護に当たった。

突然ウォー・タンクが急停車してフュリオサは振り落とされた。ぼんやりしているところにジャックが駆けつけた。「逃げる場所などない。お前は目がいい。一緒に組もう。狂った戦争の戦い方を教える。約束の地に辿りつける」と話しかけた。

フュリオサは額に黒メイク。ウォー・タンクの操縦手として弾薬畑(バレットファーム)の輸送を担当した。ジャックが「お前がこの車の長だ、どこにでも行け!」と言い出すまでになっていた。

ガスタウンでディメンタスの統治が怪しくなってきた

ウォー・タンクにガスを満タン中、「もっと食料・水を寄こせ!期限は3日以内だ」と言い渡される。兵士らの不満がまん延、一発触発の状況。フュリオサが肩を負傷した。これをジャックが庇う。

砦に帰還してイモータンに状況報告。「武器を揃えろ!」と指令が出た。

ジャックはこの騒動を利用してフュリオサを緑の地に戻すことにした

ウォー・ボーイの護衛をつけずバリアント車の護衛のみで、ウォー・タンクで弾薬畑に武器調達に発つ。フュリオサは「一緒に来て!」と誘ったが「力になれないが行け!」と断った。フュリオサは種を渡すが「持って行け!」と受け取らなかった。

途中で運転手のフュリオサを降ろしバリアントに乗せ、「行け!」と指示した。母シャパサと同じ行動だった。

 弾薬畑は誰もいない。ウォー・タンクが門を潜ったところで扉が閉まった。バックしようとするが出来ない。そこを監視塔からディメンタスがRPG-7で狙い撃ちしてくる。これを見たフュリオサが脱出を援護する。フュリオサのこの異常な目の輝きがいい。

ふたりはバリアントで緑の地を目指して逃亡

ディメンタスが6輪の特殊車両シックス・フットで追跡を開始。荒地を走破してバリアントを捕らえた。

赤い砂漠でのバリアントとシックス・フットのカーチェイスが見所。しかし、ジャックが銃弾で負傷、バリアントが横転してふたりは捕まった。ジャックはバイクで曳廻されて死亡。フュリオサはレッカーに繋がれさらしものになった。しかし、夜、腕を切って?、バリアント搭載のバイクで逃げた。自分の腕を切る?という狂気!本当に狂っている。左腕に刻んだ緑の地の星図を失った!

このとき、マックが丘の上にV8インターセプターを停め赤い砂漠を眺めていた(前作の冒頭シーン)。

フュリオサは砦に戻り老婆からうじ蟲を取ってもらい治療受け、失った腕以上のパワーを持つ義手を付けた。

直ぐにガスタウンを攻撃する案があったが、イモータンの一部でガスタウンを攻撃してディメンタス軍を引きつけ、側面から攻撃することになった。時程的に突っ込みどころだがまあいいか。

赤と黒の発煙筒が撃たれ闘いが始まった。残念ながらこのシーンは省略!(笑)前作と同じようになるからこれでいい。

イモータン軍が快勝。フュリオサはスクロータスのクランキー・ブラックで砂漠の戦場にディメンタスを求めて走り出す。途中からバイクで追う。

仲間に去られたディメンタスを発見

テントから出て来たディメンタスを捕まえて殴った。ディメンタスは「お前を待っていた。同じ者を捜していた。俺はお前だ!俺たちは刺激を求め、もう死んでいる」と言い、「頭を背後から撃ってくれ!」とかっての暴君がいう。

フュリオサは「この大馬鹿が」と撃つ気が亡くなった。「俺にふさわしい死に方にしてくれ!」というディメンタス。遺体を砦に持ち帰り種の養分にして再生への第1歩とすることにした。

イモータンよりガスタウンへの輸送命令が下った。5人の子産み女をウォー・タンクに乗せた。

まとめ:

前作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015)でマックスと共闘したフュリオサ(前作ではシャーリーズ・セロンが演じた)の過去に、果たして何があったのか?これが本作のテーマだ

フュリオサの怒は母シャパサをなぶり殺したディメンタスへの復讐だった

世紀末という極限の中で拉致された娘を取り戻すためになした母親シャオサの献身的な行動と遺言はフュリオサには決して忘れられない記憶となった。混乱期に強い母親が必要というのが良い。

赤い広大な砂漠を背景に馬、バイクを乗り継ぎ、刀、銃のアクションで見せたチャーリー・フレイザーの柔らかい演技は目に焼き付いた。

ディメンタスを罰するラストシーンはとても印象的だった。決して自分の手を使わずなぶり殺し、その死体を砦に持ち帰り植物を育てる下肥にしたことディメンタスの罪を糧にして生きる生き様。これがすばらしい!赦し、これこそが現在の混迷した世界へのメッセージだ!

暴力的な独裁者ディメンタス。クリス・ヘムズワースの狂ったバカ丸出しの演技、狂った世界でカリスマとして生きるにはこうなるのかなと見させてもらった。(笑)

もうひとつは警備隊長ジャックという仲間を得たこと

ジャックは両親が戦士でフュリオサと同じような運命を背負っていたが、フュリオサがジャックの命を献身的に助けたことで心が開かれた。フュリオサを緑の地に帰すためウォー・タンクの操縦、荒れた土地での闘い方を手に手を取って教えた。

ウォー・タンクでガスタウンに向い途中で暴走モトクロス集団に襲われた戦闘体験。さらにガレットファームでディメンタスと戦いでジャックを失った体験。自分の腕を切り落としてでも生きて、ジャックのためにもディメンタスに復讐するという強い意思が生まれた。ジャックの優しさが分かるトム・バークの寡黙で丁寧な演技が光っていた。このとき瞬間、前作の冒頭シーン、マックスのトム・ハーディが姿を見せるので、比較ができる。よく似たキャラだった!

フュリオサの強い精神力と努力女性としての強さがすばらしい

10歳にしてディメンタスに囲われても決して緑の土地を口にしなかった。身元がイモータンに移ってからは男として、口を利かないで誰にも従わずならず者として生きる。信じるのは機械だけと車の整備・操縦に明け暮れる。バレット・ファームで左腕を失い、自ら部品を集めて最強の義手を作ったことなど。忍耐強い!アニヤ・テイラー=ジョイが鋭い眼光と柔らかい身のこなしで見事に演じた。アニヤの若さ!敏捷さ!シャーリーズ・セロンに負けていない!

ド派手な改造車が多数登場する。バリアント、クランキー・ブラック、チャリオット、シックス・フット、ウォー・タンク。各種の創意武器。赤い砂漠を背景に爆音と爆炎で始まる戦闘シーンはリアリティで、観る側を引き込む。圧巻だった。前作と比べ大人しい。これは戦う相手が違うから仕方がないが、バイクシーンがよく工夫され、面白かった。夏、この映画の影響が出るのではと心配だ。(笑)

この作品はまだまだ終わらない!世界感が丁寧に描いてあり、楽しめます!

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