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「ノック 終末の訪問者」(2023)密室殺人劇の恐怖!なんだか変だと思ったら!

 

シックス・センス」「オールド」のM・ナイト・シャマラン監督作品ということでWOWOWで鑑賞。とても評判が悪い作品! (笑)

前作の「オールド」がとても面白かった。奇抜な設定の中での殺人劇。ここで見せる恐怖、そしてラストで明かされるトリックと人生への希望のようなもの。これを目当てに見ることにした。

原作:ポール・トレンブレイの小説「終末の訪問者」、監督:M・ナイト・シャマラン脚本:M・ナイト・シャマランティーブ・デスモンド マイケル・シャーマン、撮影:ローウェル・A・マイヤー ジェアリン・ブラシュケ、編集:ノエミ・プライスベルク、音楽:ヘルディス・ステファンスドッティル。

出演者:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのデイブ・バウティスタ、「ハリー・ポッター」シリーズのルパート・グリント、「オールド」のニキ・アムカ=バード、「秘密への招待状」のアビー・クイン。ドラマ「Fleabag フリーバッグ」のベン・オルドリッジ、「マトリックス レザレクションズ」のジョナサン・グロフ、他。

物語は

世界の終末と家族の命を天秤にかけた非情な決断を迫られる一家の危機を描いたスリラー

ゲイのカップルであるエリックとアンドリュー、そして養女のウェンの家族が山小屋で穏やかな休日を過ごしていると、突如として武装した見知らぬ謎の男女4人が訪れ、家族は訳も分からぬまま囚われの身となってしまう。そして謎の男女たちは家族に、「いつの世も選ばれた家族が決断を迫られた」「家族のうちの誰か1人が犠牲になることで世界の終末を止めることができる」「拒絶することは何十万もの命を奪うことになる」と告げ、エリックとアンドリューらに想像を絶する選択を迫ってくる。テレビでは世界各国で起こり始めた甚大な災害が報じられるが、訪問者の言うことをにわかに信じることができない家族は、なんとか山小屋からの脱出を試みるが……。


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あらすじ&感想

ゲイ夫婦のエリックとアンドリューと8歳の養女ウェンがレクレーションで湖畔の小屋に滞在していた。ウェンが森でバッタを捜していると怖そうな男・レオード(デイブ・バウティスタ)が現れ家族のことを聞く。「こちらは4人だが小屋に招いてくれるようパパに伝えて欲しい」という。

ウェンは急いで小屋に戻り両親に伝える。窓から見ると彼らがすぐそこに来ている。警察に連絡したいがスマホは域外で電話は通じない。斧や槍を持っている。家具でバリケードをつくる。そこにドアのノック音。怖い!

彼等が小屋のドアを壊して侵入。エリックは気絶。アンドリューが戦うが捕らわれ、ふたりはロープで縛られ、ウェンはそのままの状態。おかしなことにレナードが汚れた部屋を掃除する。そしてレナードが話しかけてくる。

偏見できているわけではない選択のために来た」という。なんだ!こいつらはという感じ、そして自己紹介が始まる。ここでもう恐怖心がなくなっていく。

黒人女性のサブリナ(ニキ・アムカ=バード)はカリフォルニアの看護師。レナードはシカゴの小学校教師、バーテンもやっている。赤いシャツの男・レドモンド(ルパート・グリントマサチューセッツのガス会社社員、独身で犯罪歴がある。白人女性のエイドリアン(アビー・クイン)はコックでワシントンDCのメキシコ料理店に勤めていた。

「さあ時間だ」と要求を突き付けてくる。「世界の終末を防ぐためにやってきた。ここにいる皆で止められる。が、君たちの助けがいる。3人の中から犠牲者になる者を選べ。もし選べなかったり、犠牲が行われなければ世界が終る。誰を犠牲にすべきか、我々は選択できない」という。

エリックが「選ばない、お前らバカか!聖書で夢見たか?」と抵抗する。しかし、彼らは怒らない。冷静に説得を続ける。おかしな殺人劇だなと思うわけ

業を煮やしたレドモンドが「よく見ろ!」とビニール袋を被り仲間に殺させる。これは怖い!!

これを見たウェンが泣き出す。

この声でエリックはアンドリューと生まれたばかりのウェンを病院にもらい受けに行ったことを思い出す。この恐怖劇に時折エリックとアンドリューそしてウェンの関係が描き出される。実はこれがとても大切なシーンだとあとで分かる。

レナードが「レドモンドが死んで災いが起こる」と言いTVをつける。そこに移し出されたのはアイルランド震源とした大地震の映像。キャノンビーチの大津波。これ映像はよく出来ていた。殺人劇よりこちらの方が怖かった。これがテーマかと思った。

この映像を信じないエリックとアンドリューに、レナードは「明日までに決めろ!」と縄を掛けたまま放置した。

サブリナは頭に傷を負ったエリックを手当しながら説得する。アンドリューは

「あの映像は4時間前のものでレドモンドとは関係ない、信じるな!」とエリックに注意する。

アンドリューがバーで殴られたことを思い出す。「殴ったのはオバノン、体重を増やし髭を生やしているが、レドモンドだ」と言い出す。エイドリアンが「ここの散歩で初めて会った、本当なの?」と聞く。アンドリューはこいつらが同志だということに疑問を持った。エリックは「掲示板で出会って妄想を共有したやつらだ。エコーチャンバー現象だ!」と言い、彼等の要求を受け付けない。

エイドリアンが自分にも子供が居ると言い、ウェンにケーキを作って食べさせた。そして息子だけは助けたいとビニール袋を被り首を斬った

TVで新型ウィルスのよる大量死亡事故が報じられた。アンドリューはエリックに「信じるな!」と声を掛けた。

アンドリューは縄を解き、車の中にある拳銃を取に走った。これをサブリナが追った。ふたりはもみ合い、アンドリューは脚を負傷したが拳銃を手にして小屋に戻った。その前に立ち塞がったサブリナを撃った。

「あなたが家族から選ばれた」というレナードを見て、アンドリューはバーで殴られたときの記憶が蘇った。ウェンの躾のことでエリックと諍いになり大声を上げたとき「うるさい!」と因縁をつけた男と大喧嘩になり、その時ビール瓶で殴られ入院した。エリックが献身的に介護した。バーテンがいつか仇を取にくると体を鍛え拳銃を手に入れたことを思い出した。

アンドリューはベランダで身分証明書を拾いレナードがオバノンだと確信した。アンドリューは「仇を取にきたか!」とレナードをバスルームに押し込め、3人で逃げ出すことにした。バスルームを調べるとレナードがいない。確認にカーテンを射撃するが反応がない。突然、ナードが現れ拳銃を奪われた。レナードが「TVをつけろ」と言う。TVは「航空機によるテロ、700機が墜落」と報じていた。ウェンが「嘘だ!」と声を上げた。レナードが「もう一度話し合うからベランダに来い」と出て行った。

アンドリューがベランダ待つレナードに会った。レナードは「選択して世界を救ってくれ!」と言い残し首を斬った。

雷鳴が激しく鳴り響く。アンドリューが部屋の戻るとエリックが「彼らは私たちと共に過ごし、人のいろいろな姿を見せるため来た。レイモンドが恨み、エイドリアンは養い、サブリナは癒し、レナードは導き。“黙示録の4騎士”だ」と言い、「今、家族の幸せを身体中に感じているから、皆のために大切なものを差し出す」「殺して欲しい!」という。アンドリューは「やつらはそんなやつでない」と懸命に説得したがエリックは拳銃自殺した。

アンドリューとウェンは彼らが乗ってきた車で落雷で燃える小屋から脱出した。ダイナーに立ち寄りTVを見た。墜落機から脱出したニュース、さらに森林火災のニュースを観た。車に戻り、彼らの持物を調べると、彼らは自己紹介どおりの人物で、レナードは教員、サブリナは正看護師、エイドリアンには息子がいた。レドモンドはメトロ・ガス会社社員で“ローリー・オバノン”だった。

まとめ:

作品を観ながら、「何故殺さない!一家の誰かを殺せば終わりだろう!」、「一家の殺しゲームよりTVで映し出される災害の方が迫力があり怖い!」、「優柔不断な殺し屋たちだな!」と思っていたら、ゲイ家族の母親エリックが侵入者は“黙示録の4騎士”だと言い出す。

「黙示録の騎士」をモチーフにした密室殺人劇だと知って、そういうことだったかと驚いた。殺人劇の背景が奇抜で、聖書に馴染みがなく、エリックの決心「自分の欲ばかりではなくみんなのために大切なものを差し出す」は受入れ難かった

私にとってはシャマラン監督に期待したホラーではなかった

ホラーとして見るべきものはないかというとそんなことはない。とても映像はしっかりしている。

4人が小屋に侵入してくるシーン、最初に頭を叩き斬られ亡くなるレイモンドのシーン、エイドリアンが袋を被り首を斬るシーン、サブリナと車内のアンドリューが争うシーン、カーテン越にアンドリューとレナードが対峙するシーンなど見るべきところはあった

なんといってもデイブ・バウティスタの巨体による怖さだ!(笑)

ゲイ家族の絆の描き方。ゲイであるため親に反対されたが、養子を迎え、この子の貯めに諍いを起こし、このことで一層深く結ばれていったという簡潔な描写はよかった。

ゲイ夫婦のベン・オルドリッジ、ジョナサン・グロフの演技が自然でとてもよかった。そして養女のクリステン・ツイ、中国系で両親と全く容姿が違うが、しっかり両親に馴染んでいる演技、よかった。

次作を期待したい!

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