映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(2009)

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「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」の公開を控え、この国民的ヱヴァンゲリヲン祭りに参加しようと、歳も顧みず(笑)、「序」に続いて、NHKBSプレミアムで観賞です。 

スタッフ、キャストは言わずもがなですが、
総監督:庵野秀明さん。監督:摩砂雪鶴巻和哉さん。
声優は緒方恵美林原めぐみ宮村優子坂本真綾三石琴乃山口由里子立木文彦清川元夢さんらです。

人造人間・エヴァンゲリオンエヴァ)製造計画の狂いから、ゼーレの目指す人類補完計画ネルフの計画に齟齬が出てくる。両者が対立するなかで、ネルフに新たなパイロットと新エヴァが加わり、次々に攻めてくる謎の生命体・使徒と対決するという物語。

前作に比してさらにエヴァのアクションシーンは壮大となり、ゼーレとネルフの人類計画に掛ける思惑に謎が深まりミスレリアスで、一方でパイロットたちが友情を深め、成長していくところは少年少女たちの感情がよく出て面白かった。戦いが遂にサードインパクトを引き起こすというラストシーンは圧巻でした!!

ラストの「翼をください」には、映像と音響で大いに盛り上がりましたが、戦場音を強調するために会話が聞こえない。これには悩まされました。(笑)レイとの会話はほとんど聞こえない。劇場ではどうだったんでしょうか!


これまでの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』

あらすじ:
冒頭、北極基地で覚醒した第3使徒に、試作の第5エヴァンゲリオンに”マリ”を搭乗させ戦わせその成果を見るシーンから物語が始まります。マリが陽気に挑みかかるが苦戦。なんとか敵を蒸発させたが、第5エヴァも激しく損傷した。監察官・加持リョウジは「子供を巻き込むのは辛い!」と第5エヴァンゲリオンの破棄処分を下した。

このころ碇シンジは父ゲンドウと3年ぶりに母ユイの墓参りをしていた。シンジは父の優しさに触れて感激していた。

〇ミサトとシンジが車両移動中に使徒第7号の襲撃。

シンジが作戦課長ミサトの車で帰宅中に、不意に使徒7号の襲撃を受け、ミサトは0号機に出動を命じたが、そこにドイツ訛りのパイロット・アスカがエヴァンゲリオン2機で現れ、あっけなくこれを葬り去った。アスカは「ひさしぶり、ミサト!」と挨拶し、「実用型に作られたエヴァだよ」という。シンジには「あんたがバカパイロット!」と何とも不躾な娘の登場でした。

ミサトの配慮で、パイロットには絆が大切と、アスカはシンジと同じようにミサトのアパートで生活することになった。自尊心高きアスカとの生活にシンジの日常がかき乱される。(笑)

ネルフに加持が監察官として派遣され、「5号機は事故だ」と言い、人類改造計画の修正案?“ネブカドレスの鍵”を司令官ゲンドウに差し出した。ゲンドウは加持に疑いの目を向けた。

加持はミサトに「2年ぶりだ!」と挨拶し、赤木リツコにも親しく挨拶した。一緒に仕事をした仲なんでしょうか?

ゲンドウは冬月コウゾウを伴い月基地のゼーレン本部に出頭した。すぐには上陸を許されず不平たらたら。開発中の”マーク06”を見た。パイロットの渚カオルから「お義父さん!」と挨拶された。
冬月は「建造計画は5号まで。何があったのか、ザーレもネルフの計画に気付いたのではないか?」と疑義を持った。ゲンドウは「何があってもかまわん!我々の道をいく!」とあらためて自分の計画を推し進める覚悟をした。

ゲンドウの計画がいかなるものかが明かされず、いらいらです。(笑)帰還中に見た地球に「これが母なる大地か!この惨状を願ったものがいる。世界には調和と秩序が必要だ」とゲンドウからゼーレンを批判する言葉が飛び出してくる。さっぱり分からない!不親切だ!ヒントが欲しいですね。

加持はパイロットや子供たちを連れて、セカンドインパクトで消えた海洋生物を見せるために海洋生体系研究所を訪ねていた。
シンジが第6使徒の戦闘で助けてくれた、もの言わぬ孤独な綾波レイに声を掛けた。レイが「ここの生物はここでしかいきれない。私も同じ」と言い、「肉が食べられない」とお昼の弁当を持ってない。シンジが「みそ汁を食べてみたら!」と渡すと「美味しい」という。ふたりはこれを契機に話をするようになっていきました。

シンジ、アスカ、レイは同じクラスですが、アスカとレイが会話することはなかった。

〇第8使徒の来襲。
作戦課長ミサトは来襲する第8使徒の強度、軌道が掴めない。ゲンドウとは連絡が取れず、独断で特別宣言17号を発令した。街が地下に潜り、市民が航空機による避難を開始した。
この処置にリツコが「ひとりで責任が持てるのか」と責め、ふたりが激しく言い合う。ミサトが見出した結論は、0号機、初号機、2番機による同時攻撃だった。しかし、自尊心旺盛なアスカがひとりで十分と反対した。

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第8使徒の出現で、3機が同時発進。シンジが発見してこれを追うが吹き飛ばされ、アスカが挑み、レイがこれを援護することで、第8使徒は消滅した。
ミサトはゲンドウに損害を出したことを報告すると、よくやったと褒められ、シンジにも励ましの言葉があった。そして、機体の修理は初号機を優先するように指示した。

アスカはひとりでは任務は果たせないとシンジに近づいてくる。学校ではシンジがレイの弁当を準備するようになり、レイも料理に興味を持つようになっていった。こんなレイにアスカが嫉妬する。(笑)
エレベーターで一緒になったアスカとレイ。アスカがシンジをどう思っているかを聞くと「よく分からないがポカポカする」と明かす。(笑)

レイはゲンドウとシンジを自分で作った食事会に誘った。

そんなとき、シンジの前に“マリ”がパラグライダーで降り立ち、他言無用という。

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米国で開発中の次世代型データー収集機エヴァ4号が爆発炎上3号機のテストを日本が行うことになった。バチカン条約エヴァを3機しか保有できないため2号機は廃止されることになった。アスカがむくれた!

3号機のパイロットを誰にするかでミサトは悩んでいたが、テスト日はレイの計画する食事会であったので、アスカを指名した。レイはアシカに感謝した。アスカはシンジとアスカのためにエヴァ3号機に乗ると決めた。

ゲンドウが3号機の整備にあたりゼーレと協議した。ゼーレは5号機、4号機と失ったが人類改造計画に修正はないという。ゲンドウも使徒全滅計画には変わりはないが0号機の補修をしたいとゼーレに申し出たが却下され、「我らが望むのは真のエヴァの誕生とリリスの復活だ」という。ゲンドウはマーク06がこれに該当すると睨んでいた。冬月に初号機の覚醒を急がねばならない」と明かした!

3号の実用テストに先立ちゲンドウは初号機に無人で操縦するためのダミーシステムを装備した。これにはミサトが激しく反対をしたが加持に諫められた。おそらく加持の進言によるものだろう。

エヴァ3号機の実用テスト。
3号機の試験に入ったが、暴走し始めた。直ちに初号機に出動を命じた。しかし、シンジは「アスカが搭乗している!」と3号機を攻撃しなかった。ゲンドウはシンジの反対を無視してダミーシステムを作動し、3号機を撃破した。ゴンドウは3号機を”汚された”機として“第9使徒として葬った。アスカは汚染されているかもしれないが一命をとりとめ入院治療となった。

これにシンジは激しく怒り、2度とエヴァには乗らないと父の元を離れた。これをミサトは悔やんだ。

〇第10使徒の来襲
東京市が打ち砕かれかねないほどの協力な使徒が接近。エヴァ2号機に出動、0号機に待機を命じた。2号機にはマリが搭乗していた。初号機はダミーシステムで待機していた。

マリは相手を軽くみていたようで跳ね飛ばされ、ウラモード“ザ・ビースト”で挑んでいく。ミサトもこれを知らないで驚く。(笑)しかし再び劣勢に陥った!そのときレイが「シンジ君がエヴァに乗らないでいいように!」とマリの援護にと0号機で飛び込んでいった。

リツコは「0号機が使徒に捕食される。これはありえない!これで0号と融合してリリスにたどり着く」と悲鳴を上げた。

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状況を聞かされたシンジは現場に急ぎ、ゲンドウにエヴァ初号機搭乗を訴え、アヤナミを返せ!」と使徒の核(コア)に眠るレイを取り戻しに走った。これでエヴァ初号機が覚醒した。サードインパクトの引き金を引いた。ゲンドウは「我々の計画に辿りつくまであと一息だ!」と喜び、リツコはこの世界の理を超えた新たな生命の誕生
代償として古の生命は滅びる…世界が終わるのよ」と悲鳴を上げた。加持は「数が合わないのにやった。ゼーレは黙っていない!」とつぶやいた。

そのとき月より渚カオルが搭乗するエヴァ・マーク06が降りてきて、サードインパクトを停めた。
                 *
感想:
シンジ、レイ、アスカが触れ合うことで、エヴァに乗る目的が「絆があるから」「好きだから」という理由が「人を助けるためだ!」と変わるほどの成長をみせるという青春物語、ラストシーンは感動しました。( ^)o(^ ) 

シンジと父ゲンドウの関係。やっとふたりが親子になれたと思ったとき、ゲンドウの「死んでもかまわない」と第8使徒に立ち向かわせ、親子関係はキレました。しかし、初号機が破損したときの修理優先度の付与や覚醒したときの喜びから、ゴンドウはネルフの目標達成のためにシンジに大きな期待を寄せているように思います。

ネルフの目標は「何か?」と同時に、ゴンドウとシンジの親子関係、レイとの関係に注目しています。特にゴンドウは志のある人物であって欲しいです。

新たにパイロットとして加わったマリ、そして監察官・加持の役割はなんなのでしょうか?敵か、味方か? 常に不確定要素を抱えながら進むストーリー展開に、うまい脚本だと思います。でも、わからんな~というのが本音。(笑)
             ****
碇シンジ緒方恵美
綾波レイ林原めぐみ
葛城ミサト三石琴乃
赤木リツコ山口由里子
式波・アスカ・ラングレー宮村優子
真希波・マリ・イラストリアス坂本真綾
渚カヲル石田彰
加持リョウジ山寺宏一
碇ゲンドウ立木文彦
冬月コウゾウ清川元夢
               *

「ウォール街」(1988)これが自由市場の社会だ。

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映画「21世紀の資本」(2019)では富の格差が描かれ、あなたは益々貧乏になると教えてくれましたが(笑)、その例として出てくるのがこの作品。

ニューヨーク・ウォール街を舞台に、一獲千金を狙う大投資家と証券マンの物語です。

投資家が金力にものを言わせ、本来の投資意義を忘れ、金儲けに企業買収を行うという過剰な資本主義の危機を訴えた作品。極々一部の富裕層の圧倒的な財力で挑みかかる社会・経済構造に警告を与え、企業倫理を訴えた作品だと思います。少し頑張りすぎるぐらいに証券マンの正義を描き、ストーンらしい作品です。(笑)

監督は「プラトーン」「JFK」のオリヴァー・ストーン、脚本はストーンとスタンリー・ワイザー、撮影はロバート・リチャードソン、音楽はスチュワート・コープランドが担当です。
出演はチャーリー・シーンマイケル・ダグラス、マーティー・シーン、ダリル・ハンナほか。マイケル・ダグラスアカデミー賞主演男優賞を受賞しています。


映画『ウォール・ストリート』予告編

あらすじ:
満員電車で出勤する若手証券マン・バッドフォックス(チャーリー・シーン)、J・スタイナー社のトレーダールームで投資家を探し“有望株”と売りつけ、市場の引けで処分し、投資家から「損失はお前が払っとけ!」と怒鳴られる毎日。

この損失を補填して貰おうと航空会社"ブルースター・エアライン"の整備士をしている父カールを訪ねた。父が「墜落事故の原因はドアデザインのミスらしい」と語るのを聞き、この企業秘密で、日ごろ恰好よく儲ける大物投資家ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)に、秘書の元カノを使って近づき(笑)、「組合がうるさい」といい渋るゴードンから、ブルースター・エアライン社株の売買を引き受けた。

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これで買った株価、翌日の新聞で「ブルースター・エアライン社は白!」と報じられ一気に上昇。これでゴードンに気に入られ次々と注文が入った。

そんななかでライバルの投資家ラリー・ワイルドマン(テレンス・スタンプ)の投資情報を盗めと指示される。これはインサイダーと一度は断ったが、ゴードンの華麗な生活を覘いたバドには断れなかった。
ワイルドマンをストーカーして、アナコッカ鋼業の買収を考えていることを突き止めた。
ゴードンから「50ドルまで買い上げ、証券新聞に情報を売れ!」と指示された。トレーダールームでバドが他の証券マンに買いを煽った!

これを見たベテランの上司ルー・マンハイムハル・ホルブルック)が「景気の良いときは一獲千金だが、地道なやつは不景気に生きるんだ。株が作る金は研究を進め、雇用を高めるためのものだ!」とバドに証券マンの心を説くが「儲かったらそうする!」と聞く耳を持たない。

ルーを通して、ストーンの考え方を描いています。

ワイルドマンに「息子のためにこの会社が必要なんだ。売ってれ1」と申し込まれたが、ゴードンが譲らない。ここでバッドが売値71・5ドルを示し両者を和解させた。

これで信用を得て、香港で儲けたという80万ドルの運用とゴードンの手付女で美術・骨とうトレーダーのダイアン・テイラー(ダリル・ハンナ)を譲り受けた。(笑)

これを契機に高級マンションを購入し、ダイアンと同棲。スタイナー社で秘書付きの個室を与えられる身分となった。

大学の同窓で弁護士のロジャー・バーンズ(ジェームズ・スペイダー)から内密情報を得て、デルター製紙会社の株を購入し、取引には外国銀行を使った。デルター社の株を買い漁り、株主総会にゴートンとバッドが参加した。

マイルドマンの「ゲッコーが乗っ取りを図っている。騙されないように!」という提案に、ゴートンが「アメリカは今や二流に落ちている。この赤字は悪夢だ!副社長に20万ドル支払われ、38人もいる。最近のアメリカ企業は適格者生存でなく不適格者生存です」と会社の姿勢を糺し「“欲”は善です。欲が物ごとを明るく導く進歩の力だ」と発言し、大拍手を得た。

バッドはこのゴートンの姿勢に心打たれ、経営が危なくなっている親父がいるブルースター・エアライン社株を買うことを提言し、「組合は自分が説得する」として「今度は組ませてくれ!」と社長になることを主張した。

しかし、ゴートンの狙いは「金が全て!」と従業員の生活などお構いなしに、この会社を売り飛ばすことだった。
バッドは父カールが「財布の大きさで人間を図るのか」と悔やんだことを思い出した。

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ダリアンは「あなたを愛していた!でも一度拾った金を失うことは最初からないより辛い!」とマンションを出て行った。

バッドはゴートンへの仕返しに、大損害を与えてやろうと、ワイルドマンにこの会社の株18ドルで買わせ、ゴートンには全力で24ドルまで買わせて、クロージング10分前に全力で売る作戦を仕掛けた。まんまとゴートンがこれに嵌った。しかし、バッドはインサイダー取引で検察局に逮捕された。

ルーが「君が好きだよ!底なしの淵が見えないとき、人は本当の自分を見る。それで淵に落ちないで済むんだ!ワイルドマンが仕事を見つける」と励ましてくれた。

バッドはゴートンが語る株取引のやり方を録音して検察局に提出すると「君は正しいことをした!」と言われ、後日裁判所に出廷することになった。
                
感想:
専門用語の入るあまり親しみのない世界、株価操作の物語でした。(笑)それだけにマーテインとチャーリーという本物の親子による親子演技で泣かせ、また華麗なグリム・ハンナの登場でラブロマンスを描くという、ドラマを楽しませる工夫がしっかりしてありました。(笑)

しかし、バッドの正義感に感動することを期待しての作品でしたが、観客の反応はマイケル・ダグラスの演じる投資家に集まり、ストーンが悔しがったと言います。

この物語の肝は、ゴートンが“ブルースター・エアライン社”を買って売り飛ばすことに反抗するバトに吐く言葉です。

「この国の富みの半分はつまり5兆ドルは1%の金持ちのものだ。1/3は働いて稼いだ金、2/3は“相続した金”だ。国民の9割が何の財産も持っていない。俺が何を創っている?所有するだけだ。これが社会を動かす。戦争、平和、飢餓、紙クリップの値段。大衆は手品をみるように口を開けてみているだけだ!君もこれが民主主義だとは思うまい。しかしこれが自由市場の社会だ。俺と一緒にやろう!」
この言葉の恐ろしさを知れ!という作品でした。小さな金で株やっても絶対に儲からないということです。(笑)
             ****

「独裁者」(1940)The Great Dictator

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WOWOWで観ました。最初から最後まで笑いっぱなしで、ラストの演説を聞いて、今の時代に繋がる演説で、これは凄いと思いました。

観てない方はぜひ観ることをお勧めします!

世界制覇を目指す独裁者がある国との合併祝賀式典で演説を行うところに、独裁者によく似た男が紛れ込み、独裁者に代わって、独裁者を痛烈に批判する演説をするというものがたり。

独裁者がヒトラーであることは明白で、ヒトラーを風刺した本作。当時のヒトラ全盛時代のなかで、この作品を作ることの難しさを思うと、チャップリンの喜劇を武器にヒトラーに挑むという、志の高さを知ることになりました。また、初めてのトーキー作で、自らの声で、世界に自由の大切さを説くという、なんとも恰好良すぎます。(笑) 

監督・脚本;チャールズ・チャップリン、 撮影:ローランド・トザロー カール・ストラスです。
出演はチャールズ・チャップリン 、ジャック・オーキー、 ポーレット・ゴダード、ビリー・ギルバート、ヘンリー・ダニエル、レジナルド・ガーディナーらです。


The Great Dictator 1940 Official Trailer (Nominated Oscar / Best Picture)

あらすじ:
第1次世界大戦の西部戦線。床屋のチャーリー(チャップリン)はトメニア国軍の重砲兵隊砲手として参加していました。ヒトラーは兵士としてこの作戦に参加していましたからこれに因んだもの。それゆえにここでのチャーリーの惚けた行動は痛烈なヒトラーに対する当て擦りです。

班長の“発射“の号令で、チャーリーが200mm榴弾砲の拉縄を引くと”ぽとり“と砲弾が落ちる。(笑) 皆が逃げて、のろまなチャーリーに信管抜きの役が回ってくる。(笑)

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“突撃”の声で行動を起こすが、手榴弾を自分の背中に落として大騒動。(笑) 壕を飛び出して走ると、煙弾で周りが見えず、フランス軍の中にいた。(笑)
墜落した飛行機のなかから「助けて!」の声。近付くと友軍に重要書類を届ける任務を持った友軍パイロット(シュルツ大尉)。機に同乗して発進。背面飛行で泥沼に墜落。顔を挙げると終戦だった。(笑) 記憶喪失で入院、20年後に病院を脱出して理髪店に戻ってきた。(笑) 

ここまでは無声。チャプリンのひょうきんな演技全開でした。もう大笑いです。

チャーリーは入院で分からなかったが、トメニアでは暴動が起き、自分ににそっくりなヒンケルチャプリン)が独裁者として君臨しており、何語か分からないが、自由の自由はくだらない、国民が犠牲を払え、国中のユダヤ人を迫害すると演説している。ヒンケルヒトラーそっくりでこの演説。ヒトラーーが見ていたら激怒したでしょう。(笑)

独裁者は何から何まで自分で決めねばならず、とても忙しい。自身の彫刻と肖像画のモデルを務められるのも、一度に数秒ずつというありさま。(笑)

内務大臣兼宣伝大臣ガービッチ(ヘンリー・ダニエル)がオーストリッチ国を侵略しようと提案する。ヒンケルは金がいるからユダヤ人の迫害はちょっと待てと指示した。

戦争大臣ヘリング元帥(ビリー・ギルバート)が新しい兵器だと小型落下傘やガス兵器開発に成功したと報告してくる。

ゲットーにある理髪店に戻ったチャーリー。窓にペンキで描かれたユダヤ人の星章を消そうとして、突撃隊と揉める。隣に住むハンナと一緒に抵抗したが掴まり吊るし首にあっているところに、20年前の飛行機パイロット、今では憲兵司令官となったシュルツ(レジナルド・ガーディナー)に出会った。

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これでチャーリーとハンナはこれで安全に暮らせると喜んで、チャーリーはハンナの顔を剃った。(笑) しかし、ユダヤ人から金が集まらないことを知ったヒンケルはシュルツにゲットーを襲うよう命じたが、シュルツが拒否したことで彼を追放された。

シュルツはゲットーに逃げ込み、これを追って突撃隊が襲ってきた。チャーリーはシュルツと屋根に逃げたが、ふたりは捕まり収容所に放り込まれた。一方、ハンナは安全なところにとオーストリッチに家族と避難した。

ガービッチに「オストリッチを征服すれば天下が取れる」と煽てられたヒンケルは、風船でできた地球儀を手に、「俺はカエサルになる」と喜ぶが、風船が破裂して不安になる。当時、この表現はヒトラーへの最大の侮辱でしょう。

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近隣国バクテリアの独裁者ベンツィーノ・ナパロニ(ジャック・オーキー)が国境に兵を配置しヒンケルを牽制する。ナパロニは交渉のためトメニアを訪れることになった。盛大な駅での出迎え(笑)、スタディアムでの兵器展示(笑)、歓迎会食で食べ物を投げ合うという(笑)激しい交渉の末、お互いに侵攻しないことで合意した。ナバロニ(ムッソリーニ)を使って、ヒンケルヒトラー)を小者男と虐め抜くのも面白い。

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しかし、こんなものは無視すればいいというガービッチの進言で、オーストリッチ侵攻が始まった。

チャーリーとシュルツは軍服を盗み、収容所から脱走し、オーストリッチに向かった。

ヒンケルもまた合併式典参加のためにオーストリッチに向かっていて、チャーリーと間違えられ突撃隊に逮捕された。(笑)

シュルツの案内でチャーリーは式典の席に着いた。皆はシュルツが復権したと思った。チャーリーはガービッチに続いて演壇に立ち、反ヒンケル演説を行った。


独裁者 床屋の演説(日本語)                 *
感想;
125分、どのシーンを切り取っても笑えないシーンがない。全編がギャグ、ラスト6分で静かに「人類愛と民主主義」を説くという演出。ギャグでヒトラーに徹底的に挑むというチャプリンの意地に心打たれます。

ヒトラーチャプリンは同年の生まれで、風貌がよく似ています。(笑) チャプリンがここまでヒトラーをコケにするにはなにか恨みがあったんですかね。(笑) ヒトラーでなくアメリカに、ハリウッドに不満があったのですかね。

このころアメリカは大戦には参加していなかった!!

この作品が、後にアメリカを追われるネタにされたと聞き、それだけにチャプリンの先を見る目の確かさと勇気を讃えたいと思います。
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「バーニング 劇場版」(2018)ミステリーだけでは終わらない、格差の闇に挑んだ作品!

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カンヌ国際映画祭コンペティション部門で国際批評家連盟賞を受賞した作品ということでWOWOWで観賞。この作品が是枝監督の「万引き家族」と競った作品とは知らなかった。
監督は名匠と讃えられるイ・チャンドン村上春樹さんの短編小説「納屋を焼く」(1983)をモチーフにした作品と聞き、これは難しいな!と覚悟して、監督作品に初挑戦です。

監督:イ・チャンドン 、脚本:オ・ジョンミ イ・チャンドン 、撮影:ホン・ギョンピョ。
出演はイ・ジョンス:ユ・アイン、ベン:スティーブン・ユァン、シン・ヘミ:チョン・ジョンソ。新人で抜擢、見事な演技でした。

アルバイトで生計を立てる小説家志望の青年と幼なじみのコンパニオン女性。彼女が旅行中に一緒になった金持ちで謎めいた男が「時々ビニールハウスを燃やしている」と青年に声を掛けた後、彼女が消えた。彼女を探す青年が行き着いた先は・・というはなし。

前段で格差社会の実態をえぐり出し、パントタイム、リトル・ハンガーとグレート・ハンガー、ビニールハウスを燃やす、井戸落ちという謎めいた言葉(メタファー)を繋いで、ミステリーだけでは終わらない、格差の闇に挑んだ作品ととらえ、とても面白く観ました。

前半と異なって後半に彼女が消えて、映像には不穏な空気が溢れ、ミステリアスに攻めてくる演出に興奮し、そしてどう解釈するかと問うてくる結末、彼は再生されると思いました!


映画『バーニング 劇場版』予告編            
あらすじ(ねたばれ):
商店街の売り込みキャンペーンをしているシン・ヘミ(チョン・ジョンソ)のところに失業中のイ・ジョンス(ユ・アイン)が現れ、彼女が「子供のころ知ってる!」と声を掛け、彼女の仕事が終わって酒屋で邂逅を喜びあった。ヘミはアフリカへ行く、そしてパントマイムを習っているという。みかんを美味しそうに食べて見せるパントマイム、「いつでもみかんが食べられるから。うまく演じるには“みかんが無いと忘れたらいい”のよ」。アフリカに行くのは「飢えた人にはリトル・ハンガー(腹が減った人)とグレート・ハンガー(人生に飢えた人)がいてグレート・ハンガーに会いに行く」という。

ヘミはパントマイムで世の中を渡ると思っています。(笑)

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ジョンスはヘミに誘われ彼女のアパートに泊まり、結ばれた。そしてアフリカに旅行すると、猫の面倒見を頼まれた。猫は餌を食べ糞の形跡はあるが観たことはなかった。

ジョンスは父親とは離れて暮らしていたが、暴行罪で拘留され、父親の牧場を世話するために町に戻って、ヘミに出会った。母親は16歳のとき父親の武力を嫌って出て行った。

牧場に来ると牛が1頭いるのみ。ビニールハウスが荒れ放題!作業室には包丁が何本も隠されている。弁護士に会って、父親のための嘆願書を書くことにした。

半月経って、ヘミから空港に来てと電話があり、農業用のハーフトラックで迎えに行くとベン(スティーブン・ユァン)という男と一緒に待っていた。ずいぶんと金持ちに見え、イケメンだった。

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焼肉屋で食事、ヘミは「アフリカの夕焼けに涙が出た」と言い、「死ぬのは怖い、最初からいなかったように消えたい!」と涙を流すと、ベンが「泣いたことがない、遊びと仕事は区分がつかない」という。ヘミがリトル・ハンガーの話をするとベンはあくびをして聞いていた。

ヘミに「どっちの車で帰るか」と聞くと、ベンの車というからそうかと別れた。ベンは仲間に電話してポルシェを持ってこさせていた。

ベンの豪華なマンションに招待された。ベンが「ヘミの心には何かがあり苦しめている。それで100%楽しめない」とジョンスの出方を伺っている。
ジョンスが洗面所を借りると、そこにメイク用具と指輪やネックレス、ペンダント、イヤリングなどがあるのを見た。ジョンスは「こいつはギャツピーだ。なぜお前が必要なんだ」とヘミに聞くと「田舎ものがいいと言った」という。

そしてある日、ジョンスのいる牧場にベンがポルシェでヘミを連れてやってきた。

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ベンが「あの音?」と聞く。「北朝鮮からの放送だ」と説明した。
ヘミが「ここに井戸があって、7歳のとき落ちて、ジョンスが助けてくれた」という。ジョンスには記憶がない!

夕日を眺めながら、酒を飲み、薬を喫った。ヘミが上半身裸でアフリカ人のリトル・ハンガーの踊りを舞って、泣いた。ジョンスがベットに運んで寝させた。

ジョンスが「父を憎んでいる。父の爆発で家を出た、衣類を全部燃やして!」と話すと、ベンが「時々ビニールハウスを燃やしている。そんな趣味があるんだ。犯罪だが捕まらない。警察は気にもしない!」「この近くで近々やる!」という。
ジョンスが「ヘミを愛している」と伝えると「チクショウ、そうか!」と叫んだ。

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この日を境にして、ヘミとの連絡が途絶えた。ジョンスは付近のビニールハウスを見て回った。どこにも焼かれた痕跡はなかった。ヘミのアパートを調べると、きれいに経理されていた。コンパニオンの仲間や劇団、教会も調べたが誰も見た者はいなかった。ベンも「あれから連絡はなく、消えた」という。

ジョンスはヘミが言った井戸の話を思い出し、ヘミのこの記憶が正しいのかと調べ始めた。
付近の人やヘミの家族は「無かった」という。16年ぶりに母親が金を無心に来た。井戸のことを聞くと「ジョンスがヘミを助けたかは分からないが、古い水のない井戸があった」という。

ジョンスがベンをストーカーしていて、彼に掴まり、「寄っていけ!」とマンションの部屋に通された。

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洗面所に、ヘミが持っていたと同じ腕時計があった。ベンには新しい女性が出来ていた。「ボイル」と呼ぶと猫が寄ってきた。

ベンが「まだヘミを探すのか」と聞くと「もういい」と返事した。

父親に懲役1年6か月の判定が下され、ジョンスは牛を売り払った。その金でヘミが住んでいたアパートを借り、小説を書き始めた。

ベンが新しい彼女にメイクをしてところに、ジョンスから連絡があり、約束したビニールハウスのある所で待っていた。ジョンスがやってきて「ヘミはどこ?」と聞くと「来ていない」とベン。ジョンスはベンを刺し、追いかけてさらに刺し、ガソリンをかけ、身に着けているものを脱いでベンと一緒に火を点け、その場を去った・・。
               
感想:

ジョンスは何故ベンを“焼き”殺したか?

ジョンスはヘミを愛していた。本当に愛されていたかの確証を探したが見つからなかった。しかし、井戸の話は薬を喫う前にヘミから言い出したこと、このころのヘミは踊りや言動から、グレート・ハンガーの夢に破れベンとの関係は崩れかかっていたから、ヘミも自分を愛していると思っている。

ベンがヘミを殺したという確証はないが、ジョンスはビニールハウスが女性を暗示していると分かり、贈った腕時計、猫などの物件が見つかり、ベンがヘミを殺した可能性は高いとみていた。ヘミの生き方はパントマイムだし、不信電話もあり、生きている可能性もある。

ジョンスはヘミの記憶の中で小説を書き始めている。ベンに復讐することを考えていた。
最初に刺したのはヘミのための復讐、追いかけて、2度目に刺し服を焼いたのはギャツピーなベンに翻弄される自分が嫌で、自分を消すためだった。

ベンのような男は好きになれません。スティーブン・ユァンさんではりません(笑)うまく演じてくれました!
                ****

「若おかみは小学生」(2018)さらに時間を経ながら、おっこは癒されていくでしょう。

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大人も見るべき「若おかみは小学生!」というフレーズに誘われ、Eテレで観ました。

交通事故で両親を亡くした小学6年生の女の子が、祖母の温泉旅館でユーレイや友人に助けられ、次々とやってくる客をもてなすなかで、土地に癒され、心が再生されていくという話。

父母は自分の中に生きている。しっかり生きるためには人との繋がりが大切。礼儀作法や躾、自分を作ってくれた父母や先祖の想いを大切にしながら、時に父母を思い出し、しっかり泣いて、“自分は女将だ”とお客様に尽くすことで、父母を失った悲しみを乗り越えていく姿に涙しました。が、大人にならなければ分からないシーンだと思いました!

作画が圧巻でした!!

原作は令丈ヒロ子さんの人気児童文学シリーズ「若おかみは小学生!」。未読です。
監督は「千と千尋の神隠し」や「ハウルの動く城」などの作画監督として知られる高坂希太郎さん。
脚本は「映画 聲の形」「リズと青い鳥」「きみと、波にのれたら」の吉田玲子さん。このコンビで、感動しない作品なんぞ考えられません!何故見落としたか?と反省しています。

声優は小林星蘭水樹奈々松田颯水薬丸裕英鈴木杏樹ホラン千秋・設楽統・山寺宏一遠藤璃菜小桜エツコさんらです。


【公式】『若おかみは小学生!』9.21(金)公開/本予告

あらすじ:
訪れる人を誰でも受け入れるという花の湯温泉の守り神に奉納する神楽を見ての帰り、突然隣車線から飛び込んできたトラック事故で父母を亡くした関織子(おっこ)。事故映像にびっくりだった!

訪れる人は誰でも受け入れ、喜んでもらうために何をすべきかを考え、”人として育つ”というのが本作のテーマです。

おっこはお婆ちゃん・峰子の経営する温泉旅館・春の屋で暮らすことになりました。
やってくると部屋に子供のころお婆ちゃんに憧れていたというユウレイのウリ坊に出会った。ウリ坊の勧めで「女将になりたい」と口にしたことで、お婆ちゃんが大喜び。おっこは小学生の女将さんになったというわけ。

早速女将に必要な挨拶の仕方、畳の歩き方など礼儀作法のお勉強です。「しっかり相手の目を見てお辞儀」など礼儀作法を学んだらいい。部屋やお風呂の清掃などもしっかりできるようになりました。

お婆ちゃんが出してくれたプリンの味で父母を思い出します。食べ物が人を繋ぐ。料理が大きな伏線になっています!

そこに春の屋の守り神・鈴鬼がユーレイとして現れ、おっこを助けることになりました。

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登校して、転校生として挨拶。ところが花の湯温泉で一番大きな旅館の娘・秋野真月に“小さな旅館の子”と嫌味を言われ、おっこは真月の派手なふりふり衣装にケチをつけて口喧嘩。(笑) しかしクラスの女の子たちに「凄い!」と人気者になった。(笑)転校生はこうでなければだめです!

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〇最初のお客さんは作家とその息子さんだった。

学校からの帰り道、気分が悪くなって苦しむ少年とその父親に出会った。自分では言い出せなかったが、ウリ坊に押され、ふたりを春の屋に連れてきた。
亡くなった母親の墓参りの帰りで息子さんが熱を出したという。少年が「こんな小さな旅館は嫌だ」と言い出す。おっこが「私は両親がいないで、おもてなししているのに!」と抗議、お婆ちゃんから「お客はお客!誰でも受け入れるのよ!」と厳重注意された。

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夕食後、少年がケイキを食べたいというので、おっこは街に買いに出たが、どの店も閉まっていた。おっこは“自分で作る”と決めた。
お母さんに作ってもらったプリンを思い出し、春の屋の露天風呂をヒントに“温泉プリン”を心を込めてつくった。喜んで食べてもらったことで奉仕することの喜びを知った!お母さんの台所でのお手伝いが大切。料理上手は大きな武器になります。

この父親は小説家の神田幸水だった、春の屋を褒めて雑誌に春の屋を紹介してくれ、お客が押し寄せるようになりました。こうして人の繋がりが広がっていきます。

川に鯉のぼりが泳ぐ季節がやってきました。ウリ坊とふたりで鯉のぼりに乗って空を飛んでいる空想をしていると、そこに真月の亡くなった姉・みよちゃんがユーレイとなって現れ、おっこを助けてくれることになりました。真月との仲違いを心配してのことでした。

〇水嶺さんとの出会い。

おっこが部屋に入るとびっくり!水嶺さんが占の最中でした。大きな水晶玉で占う姿は異様でおっこは驚きました。

学校で真月に占師にどんなメニューがいいかな?と問うと、あんたバカ女将だからと「医療道源知っている?」と謎を掛けられた。(笑)おっこはこの言葉の意味を聞いて、真月は凄い子だ、秋好旅館は彼女でもってると思った。

ウリ坊が「学校の成績だけが人生ではない」と教えてくれた。(笑)

帰ると、水嶺さんが露天風呂に入っていた。冷たいワインを持って行くと喜んで飲んでくれ、着物が着たいという。おっこは着付けを手伝った。この様子が水晶玉に映り出されます。被写体と真逆で動くから凄い!驚きの映像でした。

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水嶺さんが気晴らしにとおっこをショッピングモールに誘った。おっこはウリ坊らユーレイたちも連れて行くことにした。車で走っていると突然気分が悪くなり車を停めてもらい、車酔いしたのではなく父母を亡くした事故のことを思い出したからだと話ました。水嶺さんが「帰る?」と聞くと、ユーレイたちに後押しされて「買い物したい!」と叫んだ。

ふたりは沢山の素敵な衣装を試着し、その一着をおっこにプレゼントしてくれた。実は水嶺さんは占いで最高の人と出た男性に恋をしたが振られて温泉にきていたのでした。(笑) 

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癒しにこんな気晴らしが必要ということ。

こうしておっこの悲しみの気持ちは次第に癒され、母が踊りたかったという神楽に挑戦です。しかしうまく踊れない。相棒の真月が怒って辞めたらという。それでも辞めなかった!母への想いだから。母に守られていました。

〇あの事故を起こしたトラックの運転手一家のおもてなし。

おっこはこのことを知らず、笑顔で迎え最高のおもてなしをしようと務めていました。ところは父親(木瀬文太)が料理の味が薄いとクレームを付けた。

おっこは秋好旅館を訪ね、真月に頭を下げて料理の極秘を聞いた。よい関係ではないがおもてなしのためには、こんなことに拘ってはいられない。こうして最高の料理を食べてもらった。しかし、お婆ちゃんは気が気ではない!

父親が車の事故で家族を無くしたことを話し始め、その事故が父母の命を奪った事故であることが分かった!

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おっこはユーレイたちにもお願いして一緒に泣いて、泣いた!(笑)

お婆ちゃんの配慮で家族は秋好旅館に移ることになったが、おっこは「ここに居てください。私が女将ですから」と声を掛けて泊まっていただくようにしました。悲しみを乗り越え、本物の女将になりました!

神楽の舞も大成功でした。

感想:
こんな難しい物語をよくぞ90分にまとめましたね。神楽、両親の写真、料理、などの伏線も見事に繋がり、笑いあり、涙ありの物語。子供さんにも大人にも楽しめるという脚本がすばらしかったです。

事故を引き起こした運転手に出会い、このことを忘れたように振舞うことはとても難しいことです。
お婆ちゃんは事故処理に携わっていたでしょうから辛い立場にあったと思います。このお婆ちゃんの想いに、そして健気に女将を勤めるというおっこに泣きました!さらに時間を経ながら、おっこは癒されていくのだろうと思います。

このシーンの説明はむつかしいでしょう!

声優さんたちの声の演技もすばらしかったです。
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声優さんたち:
関織子(おっこ)小林星蘭
秋野真月:水樹奈々
立売誠(ウリ坊)松田颯水
関正次:薬丸裕英
関咲子:鈴木杏樹
グローリー・水領:ホラン千秋
神田幸水:設楽統
木瀬文太:山寺宏一
秋野美陽(みよちゃん):遠藤璃菜
鈴鬼:小桜エツコ
関峰子:一龍斎春

 

「ジョン・F・ドノヴァンの生と死」(2019)

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出演者にナタリー・ポートマンスーザン・サランドンキャシー・ベイツマイケル・ガンボンジェイコブ・トレンブレイの名がある。これが本作観賞の動機です。(笑) コロナ騒動のなかなかでやっと観ることができました!

監督はグザヴィエ・ドランカンヌ国際映画祭の常連監督で若き天才だそうで、難しい作品なんだろうと覚悟しての観賞でした。
なんでこんな豪華な俳優さんたちが出演?それには監督のハリウッド初作品ということにわけがありそうです。

人気俳優ジョン・F・ドノヴァンが29歳で死亡してから10年。若手俳優のルパート・ターナーはインタビューを受け、ジョンとの交流について語ります。ジョンの大ファンだったルパートは、11歳になるまでの5年間、ジョンと文通をしていた。ルパートは彼の死をどう評価し、自分の糧にしたか?

ジョンはLGBT問題を抱えていたと言えばテーマも見えてきます。ルパートがインタビューを受けるなかで語るジョンは、手紙から受けたルパートの創造物で、ジョンはルパートの心の中で生きています。

明るい未来の見えるラストシーンで、偏見ある社会や人間関係の中で自分を偽ることを強いられている人への「自分らしく生きよ!」とエールを送っています。

原作:グザヴィエ・ドラン、脚本:グザヴィエ・ドラン&ジェイコブ・ティアニー、撮影:アンドレ・ターピン、脚本:グザビエ・ドラン ジェイコブ・ティアニー、音楽:ガブリエル・ヤーレ

キャストはキット・ハリントンナタリー・ポートマンスーザン・サランドン
ジェイコブ・トレンブレイキャシー・ベイツタンディ・ニュートン、ベン・シュネッツァーらです。


映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』本予告

あらすじ(ねたばれ):
2006年、ニューヨーク。ジョンFドノヴァン(キット・ハリントン)が安宿で亡くなっていたのが発見され、その死因は謎のままだった。

2017年のプラハ。ジョンと交流のあった若手俳優ルパート(ベン・シュネッツァー)が「若き俳優への手紙」を出版したことで、ジャーナリストのオードリー(タンディ・ニュートン)のインタビューを受けることになったが、彼は乗り気ではなかった。

ルパートは当時11歳でジョンの死をTVで知った。彼は一度もジョンに会ったことはなかった。

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ジョンを知ったのは人気TV番組にジョンで出演していたから。アメリカから母サム(ナタリー・ポ-トマン)に連れられロンドンに移住してきたルパートは孤独でTVを見てジョンに嵌り手紙を書き、子役になったという。5年間で約100通の手紙をやりとりしていたが母親には返事が来たことは言わなかった。

ジョンは恋人で女優のエイミー(エミリー・ハンプシャー)と一緒にニューヨークにやってきて、大きな脚光を浴びていた。しかし、ここでゲイのウイル(クリス・ジルカ)に出会い運命が狂い始めた。

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ジョンはウイルを家族に会わせるが、家族は仕事の話で、スーパーヒーローの仕事を喜ぶが、ウイルには全くの無関心。その後、ウイルとの関係は深まっていったが、ふたりの関係が明るみになれば仕事を失うし家族の同意も得られないと、雨の夜、ウイルと別れることにした。

ジョンはこのことを誰にも話さず、幼いルパートに聞かせた。

「このジョンのやり方は今ならよく分かる」と言うルパートに、オードリーがこれでは纏まらないと噛みついた。災害や経済を論じるオードリーのような人には理解できないと、ルパートは自分の育った環境や母との関係を説明しながら、ジョンの行動を話していきます。

ルパートが自分の環境を通して語るジョンの生き方は、ルパートの生き方です。ジョンのように仕事も恋人も失って、居場所を無くしてしまうのか?

ルパートは自分を見下すクラスメメイトを見下すために、ジョンと文通していて将来共演するのが夢だと喋った。「嘘だ!」といじめっ子が手紙を奪ったことで、警察沙汰になった。
このことで、母サムと大喧嘩!ルパートはこれまでの母親の一方的に押し付けるやりかたを非難し、オーデイションを辞めなさいと言う母の考えを無視して、担任のクレイシ先生(アマラ・カラン)に手紙を渡して家出した。

クレイン先生からルパートの俳優との才能を聞いたサムはロンドンの街を彷徨うルパートを追った。ふたりはこのことで理解できるようになっていった。

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一方、ジョンはウイルの関係だけでなくルパートとの交際が変に勘繰られマスコミの餌食になる。ジョンはニュース番組で「何があったの?」の質問に「友達ではない、俺が演じてやっただけ」と応えた。

これを観たルパートはジョンのポスター、写真を全部破り捨てた!

ジョンは母親グレース(スーザン・サランドン)から「私が選んだ人生に間違いはない」と言われ、マネージャーを替えるよう促られたが、そうはせず、ウイルを訪ね関係復活を訴えた。しかし、「隠さなければいけない場所に俺の居場所はない」と断られた。ジョンはどこにも居場所がなくなった!

このあとションの姿は消えた。

この問題はジョンを切ったことではなく彼を知らなかったことだ。俳優は何を選んで、何を演じるかだとルパートは言い添えた。

ジョンは行付けのダイナーの老人(マイケル・ガンボン)に会って「若い者には希望がある」と励まされ、母親の元を訪ねた。母から「あんたは別の惑星の子よ」とゲイを認めてもらい、風呂に入ってGreen Dayの「Jesus of Suburbia」を大声で歌った。(笑)

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ルパートにはジョンから「自分を大切に。君はすばらしい友人だった」という最後の手紙を受け取ったと話し、「すばらしい人生を手に入れた!」と男性とオートバイで去って行った。(笑)

感想:
ルパートがインタビューを受けて、手紙から読み取ったジョンの行動、そして当時のルパートの置かれた状況が、時代を前後しながら語られる。ややこしい監督自身による編集です!(笑) 
どこまでがジョンの実像かは分かりませんが、ジョンを描くことでルパートが成長して、ジョンの生きたかった人生を進むという物語。我々が映画を観るのも同じ、「映画って人生」です!

この問題は今のハリウッドにまだ残っている!監督は初めてのハリウッド映画を手掛けるに当たって、この問題を取り上げたことには大きな意味がありそうです。

母親と子供の確執が、子供人生に如何に大きな影響を与えているかが、名優たちによって印象強く描かれ、これもテーマのひとつでした。

破天荒な編集に驚きましたが、ダイナーの老人をはじめそれぞれのキャラクターがすばらしいセリフを吐きます。これは驚きでした!

ナタリー・ポートマンジェイコブ・トレンブレイの親子喧嘩。スーザン・サランドンキット・ハリントンが和解するラストの風呂シーンなど名優たちのすばらしい演技が楽しめ、美しい映像に音楽、歌詞がシンクロし、物語に引っ張りこまれました。
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「D-デイ ノルマンディー1944」(2019)悪評ばかりではない!

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1944年6月6日は第2次世界大戦で連合軍がノルマンディー上陸作戦を開始した記念すべき日でした。ノルマンディー上陸作戦75周年記念作品と銘打った本作、いかなる作品かと観ることにしました。
作品案内に「B級戦争アクション」とありましたが、“なるほど!”と思える作品でした。(笑) 

ノルマンディー上陸作戦映画には「史上最大の作戦」(1962)、「プライベート・ライアン」(1998)という名作がありますから、これへの挑戦は敷居が高い。

この作品「プライベート・ライアン」を踏襲しているような作品でした。

監督は「オペレーション・ダンケルク」のN・ライオン。脚本:ジェフ・ミード、撮影:ダンテ・ヨア。
キャストはウェストン・ケイジ、チャック・リデル、ジェシー・コーヴ、ランディ・クートゥアらです。


その日、この男たちが、世界の運命を変えた/映画『D デイ ノルマンディー1944』DVD予告編

あらすじ:
もっとも苦戦したオック岬のドイツ軍コンクリート要塞を攻撃した米第2レンジャー大隊の物語です。

上陸24時間前に第1軍司令官ブラッドレー中将(チャック・リデル)から第2レンジャー大隊長ラダー中佐(ウェストン・ケイジ)は呼び出し、オック岬の30mの崖の台上に配備されたユタとオマハを射程とした要塞砲155mm砲6門のできるだけ速やかに破壊するよう命じた。

ラダー中佐は自艦に戻り作戦主任のライトル少佐(ランディ・クートゥア)に計画の見直しを命じるが、棄権であると反対。中佐は直ちにライトル少佐を更迭し、自らが特命隊長として任務にあたることにした。

航空機の爆撃・艦船からの艦砲射撃の支援下、1944年6月6日午前7時分、一斉に上陸開始した。

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大隊は敵の射撃を受けるなか、崖にとりつき、ロープ梯子を用いて30mの崖を登り始めるが困難を極めた。

オック岬台上に進出したが、すでに敵は後退、海岸堡に火砲はなかった。中佐は隊を2つに分け、残置兵を掃討しながら砲兵陣地を探し、敵中の内陸に突入してゆくが……。
               
ストーリーはとってもシンプル!戦闘アクションを見せるのが狙い?当時の戦闘の厳しさが感じられればいいという作品のようです。
戦闘は当時の記録フィルムを使い、小銃を主体とした戦闘を「戦争のはらわた」(1977)で用いた超スローモーション技法で描き、悲惨な戦場の雰囲気を伝えてくれます。

ラダー中佐は敵陣を破る度に、兵士に気勢を挙げさせ士気を鼓舞する。

この映画の見どころは、衛生兵が海岸付近の無残な戦闘を思い出しPTSDに苦しむシーンです。
ラダー中佐が「恐怖を断ち切れ!そうやって戦争を生き延びてきたんだ。任務に集中しろ!多くの兵士の命を預かっているんだ。沢山の兵が海岸で命を落とした。それは俺が背負う。俺はお前たちを導くことをやめない。命を奪い、命を救わなければならない。衛生兵は辛いが獅子の心を持て!お前ならやれる!」と激励し、涙を見せるシーンがあります。

この言葉は、おそらくこの作戦に参加した兵士たちにとって、戦闘をするための金言ではなかったのかと思います。

ラダー中佐がやたら気勢を挙げますが、彼もPTSDに悩まされていたのではないでしょうか。戦争の痛さがよく出ています。

ヘンリー・フォンダロバート・ライアンチャールズ・ブロンソン などが出演する大作「バルジ大作戦」(1966)よりも、戦争の痛さを感じるという点では、この作品の方が優れています。

部隊は155m砲を破壊し任務を達成して上陸作戦に大きく貢献しましたが、部隊の死傷者ほぼ50パーセントだったと言います。
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