映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「メリちん」(2006)人間のおかしみや悲哀、いやらしさを描く𠮷田監督の原点を観る作品

 

「ミッシング」(2024)公開に先立ち、WOWOWが本作監督の吉田恵輔作品を紹介する中で、TOPを切って紹介した作品。自主製作時代に手掛けた監督第2作目の作品です。

演技は下手くそですが登場人物に感情移入し“情けない”自分の厭らしさを見るような気持ちにして、その結末に泣ける。今では“人間描写の鬼”と呼ばれる吉田監督らしい初期の作品を味わうことが出来た。

ユーモアも欠かせない!“メリちん”のタイトルには深い意味がある。(笑)

多くの人は観ていないと思い紹介します

監督:吉田恵輔、脚本:仁志原了、吉田恵輔撮影:志田貫之、音楽:川原真一。

出演者:後藤飛鳥、仁志原了、平井詢子、他。

物語は

幼馴染のメリー、マチ、タラちゃん。ある日、東京で俳優をしているというタラちゃんが10年ぶりに田舎に戻ってきた。メリーとマチはつき合っているが、メリーは人に言えない悩みを抱え、マチにも今ひとつメリーを受け入れることができない。タラはふたりが付き合っていることを知らず、昔のままに自分の都合でふたりを引き回す。ついに3人は・・・という切ない友情物語。

あらすじ&感想

冒頭、カガシの立つ田舎道を走るベンツ。自転車で前を走る女性のお尻が突然目に入る。(笑)タラ(仁志原了)がマチ(平井詢子)に出会うシーン。これでタラがここに帰ってきた目的が分かる。(笑)

タラは俳優というがまともな俳優には見えない!マチは当初タラとは分からなかった。(笑)タラはマチを車に乗せ彼氏はいないこと、そしてメリー(後藤飛鳥)に彼女がいないことを確認して、メリーの家を訪れた。

タラはメリーのアパートで自分好みの料理を作らせる。これに従うメリーとマチ。幼い頃3人は一緒に遊ぶ仲でタラが大将だったから。

小便する女の子を見る男の子。男の子が小便するのを見る男の子の絵図。

この絵図にキャステイングが描かれる。こういう絵は滅多に見られない。(笑)3人の幼い頃の記憶で、今だにこの関係が糸を引いている。これがテーマだ。

食事は焼肉だった。タラが俳優でることが話題になるがタラはこれを話題にすることを好まない。タラはトイレを使って水の出が悪いとメリーにケチをつける。マチが帰ると言い出すと、タラも泊まるところがあると出て行った。が、相手に断られて行くところなく車中伯することに。

マチは戻ってきてメリーと一緒に寝る。が、セックスの方はマチが断る。メリーはいつもこれが不満らしい。(笑)

タラは夜明け前にメリーのアパートのドアのところで寝ていた。(笑)

タラはマチがアパートを出たのを確認し、メリーのアパートに入った。

メリーは絵日記を書いていた。タラが水槽の亀を見て「お前みたいだ!」と言う。

タラは昔を思い出して「川へ遊びに行こう」と誘い、マチに連絡して、車の中で彼女が来るのを待つ。タラはウンコがしたくなったとアパートに入り、室内を物色。女ものがないかを点検する。(笑)

3人で川遊び

タラは東京にはない遊びだと言い、明日は幽霊屋敷だと言い出す。メリーとマチはうんざりという感じ。だが、タラには通じない。アイスを食べているところに男が近づき「フアンだから写真撮りたい」という。これにメリーとマチがびっくり。

アパートに戻ってタラの出演作「いじわるマジンガー2」を観る。しかし、一向にタラが出てこない。タラはまだ芸名のないときに撮ったという。(笑)

夜半、タラが帰ると言って出て行った

タラは車でしばらく待機して、メリーのアパートにやってきてメリーとマチが一緒にいることを確認した。そして「月曜日の7時、乱交で大勢だから立たなくても大丈夫だ」とメリーに電話を入れた。

3人は電車で廃校に行くことにしてホームで出会った

しかし電車が止まっていたため、歩いて廃校に。じゃんけんで順番を決め暗い廃校の廊下を歩くことにした。じゃんけんにタラが勝ったため最初に歩いた。タラの思い通りにならない。タラがかくれんぼしようと言い出すが、ふたりが受けなかった。(笑)

アパートに戻った3人

タラがトランプ遊びだと言い出す。マチがトイレに。メリーがトランプを捜している間に、タラはメリーの日記を読んだ。そこには「ずうずうしく嫌になる。早く帰ってくれ!タラちゃんが帰ってきたことでまたおしっこしたくなった。出来たらあいつには死んで欲しい」と書いてあった。

タラは「トランプはもういい、花火だ」と言い出す。

メリーがトイレに立つとタラがついてきて一緒に。タラが「お前はなんでそんなに便器の前に立ち、隠す。おれを見ろ!」と注意する。

花火が終って、後始末をしているマチにタラがホテルに誘ったが、マチが断った。タラはこの夜も車中伯だった。

朝、タラはメリーが酒配達の仕事に出掛けたあと、アパートに入り、マチを氷川神社に誘い出す。マチは密かにメリーにメールで知らせた。

神社でタラはマチに襲い掛かった。が、マチが強固に抵抗これでタラは諦めた。駆けつけたメリーは泣きながら戻っているマチを見た。メリーは神社に行き、タラと対峙。当初、メリーはタラのなすままに殴られていたが、反撃に出た。ふたりの戦いに勝負はつかなかった。タラは去って行った。メリーは泣いていた。

タラもメリーの激しい怒りを知り、自分のしたことがいかにばかげたことかを知る、泣いていた。タラは会社からの電話に「俺は立たない!」と怒って断っていた。(笑)

メリは「原因は俺にある。幼い頃川で遊んだとき、タラが自分の下半身を見てめり込みチンチン“メリちん”だとバカにした」と告白した。マチは「もう二度とメリちんと言わない」と誓った。(笑)

メリーが「タラは大丈夫かな」と言う。マチが「タラちゃんは大丈夫」と応え、「逃げていて御免」と謝った。

まとめ

メリーの悩み、それにつけ込んだタラ。これが幼いころのオチンチンの話。こういう話を大人になって出てくる。人としての未熟というか愚かさを見せ、それで幼馴染の関係が崩れるか。そうはならない、どこかに思いやりが残っている。こういう感情がうまく描かれていた。

メリーの悩みは分るが、それで悩むマチの気持ち。何故タラが10年ぶりに戻ってきたか。トイレでの会話や水槽の亀、アニメで暗示しながら、これを最後まで気づかないように見せるところが心憎い!おもしろい作品だった

 人間のおかしみや悲哀、欲望、羨望、いやらしさを描く𠮷田監督の原点を観る作品でした

                ****