映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ジョン・F・ドノヴァンの生と死」(2019)

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出演者にナタリー・ポートマンスーザン・サランドンキャシー・ベイツマイケル・ガンボンジェイコブ・トレンブレイの名がある。これが本作観賞の動機です。(笑) コロナ騒動のなかなかでやっと観ることができました!

監督はグザヴィエ・ドランカンヌ国際映画祭の常連監督で若き天才だそうで、難しい作品なんだろうと覚悟しての観賞でした。
なんでこんな豪華な俳優さんたちが出演?それには監督のハリウッド初作品ということにわけがありそうです。

人気俳優ジョン・F・ドノヴァンが29歳で死亡してから10年。若手俳優のルパート・ターナーはインタビューを受け、ジョンとの交流について語ります。ジョンの大ファンだったルパートは、11歳になるまでの5年間、ジョンと文通をしていた。ルパートは彼の死をどう評価し、自分の糧にしたか?

ジョンはLGBT問題を抱えていたと言えばテーマも見えてきます。ルパートがインタビューを受けるなかで語るジョンは、手紙から受けたルパートの創造物で、ジョンはルパートの心の中で生きています。

明るい未来の見えるラストシーンで、偏見ある社会や人間関係の中で自分を偽ることを強いられている人への「自分らしく生きよ!」とエールを送っています。

原作:グザヴィエ・ドラン、脚本:グザヴィエ・ドラン&ジェイコブ・ティアニー、撮影:アンドレ・ターピン、脚本:グザビエ・ドラン ジェイコブ・ティアニー、音楽:ガブリエル・ヤーレ

キャストはキット・ハリントンナタリー・ポートマンスーザン・サランドン
ジェイコブ・トレンブレイキャシー・ベイツタンディ・ニュートン、ベン・シュネッツァーらです。


映画『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』本予告

あらすじ(ねたばれ):
2006年、ニューヨーク。ジョンFドノヴァン(キット・ハリントン)が安宿で亡くなっていたのが発見され、その死因は謎のままだった。

2017年のプラハ。ジョンと交流のあった若手俳優ルパート(ベン・シュネッツァー)が「若き俳優への手紙」を出版したことで、ジャーナリストのオードリー(タンディ・ニュートン)のインタビューを受けることになったが、彼は乗り気ではなかった。

ルパートは当時11歳でジョンの死をTVで知った。彼は一度もジョンに会ったことはなかった。

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ジョンを知ったのは人気TV番組にジョンで出演していたから。アメリカから母サム(ナタリー・ポ-トマン)に連れられロンドンに移住してきたルパートは孤独でTVを見てジョンに嵌り手紙を書き、子役になったという。5年間で約100通の手紙をやりとりしていたが母親には返事が来たことは言わなかった。

ジョンは恋人で女優のエイミー(エミリー・ハンプシャー)と一緒にニューヨークにやってきて、大きな脚光を浴びていた。しかし、ここでゲイのウイル(クリス・ジルカ)に出会い運命が狂い始めた。

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ジョンはウイルを家族に会わせるが、家族は仕事の話で、スーパーヒーローの仕事を喜ぶが、ウイルには全くの無関心。その後、ウイルとの関係は深まっていったが、ふたりの関係が明るみになれば仕事を失うし家族の同意も得られないと、雨の夜、ウイルと別れることにした。

ジョンはこのことを誰にも話さず、幼いルパートに聞かせた。

「このジョンのやり方は今ならよく分かる」と言うルパートに、オードリーがこれでは纏まらないと噛みついた。災害や経済を論じるオードリーのような人には理解できないと、ルパートは自分の育った環境や母との関係を説明しながら、ジョンの行動を話していきます。

ルパートが自分の環境を通して語るジョンの生き方は、ルパートの生き方です。ジョンのように仕事も恋人も失って、居場所を無くしてしまうのか?

ルパートは自分を見下すクラスメメイトを見下すために、ジョンと文通していて将来共演するのが夢だと喋った。「嘘だ!」といじめっ子が手紙を奪ったことで、警察沙汰になった。
このことで、母サムと大喧嘩!ルパートはこれまでの母親の一方的に押し付けるやりかたを非難し、オーデイションを辞めなさいと言う母の考えを無視して、担任のクレイシ先生(アマラ・カラン)に手紙を渡して家出した。

クレイン先生からルパートの俳優との才能を聞いたサムはロンドンの街を彷徨うルパートを追った。ふたりはこのことで理解できるようになっていった。

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一方、ジョンはウイルの関係だけでなくルパートとの交際が変に勘繰られマスコミの餌食になる。ジョンはニュース番組で「何があったの?」の質問に「友達ではない、俺が演じてやっただけ」と応えた。

これを観たルパートはジョンのポスター、写真を全部破り捨てた!

ジョンは母親グレース(スーザン・サランドン)から「私が選んだ人生に間違いはない」と言われ、マネージャーを替えるよう促られたが、そうはせず、ウイルを訪ね関係復活を訴えた。しかし、「隠さなければいけない場所に俺の居場所はない」と断られた。ジョンはどこにも居場所がなくなった!

このあとションの姿は消えた。

この問題はジョンを切ったことではなく彼を知らなかったことだ。俳優は何を選んで、何を演じるかだとルパートは言い添えた。

ジョンは行付けのダイナーの老人(マイケル・ガンボン)に会って「若い者には希望がある」と励まされ、母親の元を訪ねた。母から「あんたは別の惑星の子よ」とゲイを認めてもらい、風呂に入ってGreen Dayの「Jesus of Suburbia」を大声で歌った。(笑)

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ルパートにはジョンから「自分を大切に。君はすばらしい友人だった」という最後の手紙を受け取ったと話し、「すばらしい人生を手に入れた!」と男性とオートバイで去って行った。(笑)

感想:
ルパートがインタビューを受けて、手紙から読み取ったジョンの行動、そして当時のルパートの置かれた状況が、時代を前後しながら語られる。ややこしい監督自身による編集です!(笑) 
どこまでがジョンの実像かは分かりませんが、ジョンを描くことでルパートが成長して、ジョンの生きたかった人生を進むという物語。我々が映画を観るのも同じ、「映画って人生」です!

この問題は今のハリウッドにまだ残っている!監督は初めてのハリウッド映画を手掛けるに当たって、この問題を取り上げたことには大きな意味がありそうです。

母親と子供の確執が、子供人生に如何に大きな影響を与えているかが、名優たちによって印象強く描かれ、これもテーマのひとつでした。

破天荒な編集に驚きましたが、ダイナーの老人をはじめそれぞれのキャラクターがすばらしいセリフを吐きます。これは驚きでした!

ナタリー・ポートマンジェイコブ・トレンブレイの親子喧嘩。スーザン・サランドンキット・ハリントンが和解するラストの風呂シーンなど名優たちのすばらしい演技が楽しめ、美しい映像に音楽、歌詞がシンクロし、物語に引っ張りこまれました。
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