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「82年生まれ、キム・ジヨン」(2019)男性優位社会のなかでの女性の生き方・生きづらさ!

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とても評判のよい韓国映画WOWOWで鑑賞しました。原作は日本でも話題を集めたチョ・ナムジュの同名ベストセラー小説。男性優位社会のなかでの女性の生き方・生きづらさが描かれ読者の心を捉えました。未読です!映画化にあたってかなり脚色されているようです。

1982年ソウル生まれの31歳の女性・ジヨン。現在、夫・デヒョンと1歳の娘アヨンと3人暮らし。出産後から日々のストレスからおかしな言動が見られるようになった。それには韓国社会が抱える男性優位の社会制度が深くかかわっていたが、精神科医・ソヨンのカウンセリングで受けて、自分の生き方を見出していく社会派ドラマです。

男性優位の考え方は、韓国だけの問題ではなく元オリンピック組織委員会会長・森喜朗氏の女性蔑視発言に見られるように我が国においても根深い問題です。それだけにこのテーマは日本女性の心を捉えたようです。😊

監督は本作が長編デビュー作となるキム・ドヨン。撮影:イ・スンジェ、編集:シン・ミンギョン、音楽:キム・テソン。

出演者:「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチョン・ユミとコン・ユの共演、キム・ミギョン、コン・ミンジョン、キム・ソンチョル、イ・オル、イ・ボンリョン、等。

チョン・ユミとコン・ユの名演技で、リアルな作品になっていて、小説では伝わらない感情が伝わるのではないでしょうか。まるでその場に立ち会っているようで、ヒリヒリしながら、ふたりの会話を聞いていました。ジョンが社会や人のせいにすることなく自分で解決しようとする姿にほっとしました。

あらすじ:

妻ジョン(チョン・ユミ)は1歳のアヨン(リュ・アヨン)をあやしながら、テキパキと家事をこなしますが、夕暮れになるとアパートのベランダで深いため息をついていた。

こんなジョンに何が起こったかと夫・デヒョン(コン・ユ)は「妻に何が起こっているのか先に知りたい」と精神科医・ソヨン(キム・ジョンヨン)を訪ねたが、「本人を連れて来なさい」と言われ、戸惑うばかりでした。デジョンのこの唐突な行動には驚きましたが・・。

ションは乳母車にアヨンを乗せて散歩していて、「いいご気分だ、羨ましい。俺も夫の稼ぎでのんびり過ごしたい!」と揶揄する言葉が耳に入って来て、苛立つのでした。

正月、ジョンが嫌がったが、家族で釜山のデヒョンの実家に帰省。ジョンはデヒョンの家族のために沢山の料理を作って尽くすのですが、家族の楽し気な様子に耐えられなかった。実の母ミスクの口調で「娘を実家に帰してください」と義母(キム・ミギョン)に訴えた。義母は激怒。韓国は血縁での結び付が強い国だからか、夫の実家での嫁の地位というのは日本では考えられない厳しいものだと思いました。

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このシーンは、韓国における男性優位の実態を明らかにし、ジョンの症状、夫婦関係が見てとれるという、作品全般にかかる問題を提起しており、うまいシーンだと思いました。

急遽、デヒョンはジョンをジョンの実家に連れて行きました。実家は父・ヨンス(イ・オル)、母・ミスク(キム・ミギョン)、弟・ジソク(キム・ソンチョル)、祖母の4人家族。正月ということで教師をしている独身の姉・ウニョン(コン・ミンジョン)が帰省していました。

ジョンはぐっすり休むことができました。母や祖母の優しさに触れ、弟の持っている万年筆が欲しかったことを想いだし“自分は小説家に憧れていた”ことを思い出して、アパートに戻っていきました。

アパートに帰って来ると夫デヒョンから「突然憑依するから、精神科医に見て貰ったら」と勧められ、自分は精神病者なのかと悩み始めました。ここではデヒョンの詳しい説明が必要だったと思いますね。

ションはアヨンを連れて散歩しながら、かっての職場テハン企画社にいたころ企画チームに能力があるにも関わらず、男性優先や女性の結婚や子育てで長期勤務が難しいという理由で選抜されなかったこと。尊敬していた上司キム・ウンシル課長(パク・ソンヨン)に「結婚後も頑張ります」と告白したことを想い出していました。課長は結婚し、母親の援助を受けて子育てをしながら、男性のパワハラ・セクハラをうまくかわして、情熱的に仕事をする人でした。

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散歩中にベーカーリーの店舗に貼られたパート募集のポスターを見ていて、店員に誘われパートの仕事でもしてみようかなと思っているところに、かっての同僚・ヘス(イ・ボンリョン)から「ウンシル課長が辞めて新しい会社を立ち上げる」と聞かされた。この会社でバイトなら出来るかと思ったが、ヘスから子育も立派な仕事と積極的な勧めはなかった。

ジョンは就職サイトでパート職を探したが自分に合うものが見つからない。「憑依」が気にかかり、精神科医のブログで相談者の悩みを調べてみた。「祈祷でもやったら!」というものがあった。(笑)夫デヒョンも職場で同じブログを見ていました。

その夜、ジョンは「ベーカリーでアルバイトしたい」とデヒョンに話すと「止めとけ、それが望む仕事か、子育てが大切だ」と返事した。これにジョンは失望しました。これはひどい

ジョンはビールを飲んで、ソファーで休んでいるデヒョンに、実母ミスクの口調で「ジョンが可哀そう、身体が楽になっても焦る時期よ。ご苦労様に言ってあげて!」と声を掛けた。さらに「私はもうあなたに告白したスンヨンじゃない」と喋って泣いた。

翌日、ジョンはお酒が入っていたからと断って、デヒョンが勧める精神科クリニックに出掛けたが、35万ウォンと聞いて、もったいないと止めた。(笑)

その帰り、ヘスに電話すると「チーム長に繋ごうか」と言われ、断わった。彼女にはトラウマがあった。社にいたころのトイレでのセクハラ事件や高校生のときのストーカー事件を思い出していました。

夫デヒョンが研修で出張することになった。ジョンはこの機会に母の誕生祝いを兼ねて実家に戻ることにした。電車の中でアヨンがウンチを漏らし、隣の夫人に嫌味を言われ、トイレに入るとセクハラ事件を思い出し大変だった。これはもう男性には分からない苦労ですね!

母の誕生日に母の姉妹たちが集まり、母が先生になることを諦め家族のために工員になって働き家族を支えたことが話題になった。

姉ウニョンから「あなたはお母さんが苦労して育てた娘、小説家か記者の夢を諦めたの?人生折り合いをつけたら!」と促された。テヘン企画の採用通知が、男性優先で、なかなか届かなかって、父ヨンスが「嫁に行け!」と言うのを母が「こんな時期だからこそ存分に出歩きなさい」と言ってくれたことを思い出していました。

一方のデヒョンは仲間の中で育児休暇が話題となっていた。「妻に取れと急かされている」という者がいれば「取ったらバイバイ、肩身が狭いぞ!」と脅す者もいた。

実家からの帰りヘスに電話すると「チーム長が辞めて、会社を作る」と教えてくれた。アパートに戻ったジョンは「就職祝だ!」とケーキを買って夫の帰りを待っていました。

デジョンが「育児はどうする」と問うので「ベビーシッターを雇う」と答えると「アヨンが心配だ!それで君が幸せならならいいが」という。アヨンは義母が子供を欲しがり、デジョンが「ひとりでいいから、人生が変わる!」と望んで出来た子だった。😊

ジョンはベビーシッターを探したが見つからなかった。デジョンが「育児休暇をとる」と言い出し、ジョンは喜びました。

ところがこのことが義母に伝わり、「息子の将来に邪魔するのか」と激しい剣幕でジョンを、実母のミスクに「身体の悪い者がとんでもないことをする」と抗議してきた。ミスクはジョンが病気であることを知らなかった。慌ててジョンのところにやってきた。

ジョンは塞ぎ込んでいた。これを見たミスクはジョン」を抱きしめて「私の近くに戻って働けばいい」と帰ろうとすると、ジョンが実の祖母の口調で「あなたが工場で怪我して戻ったときは身を切られる思いで、あのとき抱きしめてやれず、感謝の言葉しかなかった。ごめんね!」と喋った。今のジョンに頼れるものは母の優しさしかなかった。母もこれを聞いていたデジョンも泣いた!

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夜、ジョンは「今は働けない、チーム長に伝える」と話すとデジョンが「今回は見送ろう。育児休暇を取ることも」と同意した。しかしジョンは「あなたは再就職も育児休暇も望んでないように疑ってしまう。全てがひと様のように考えていて、私ひとりが戦っている」と苦しさを吐き出した。デジョンが「君は病気だ、病院に行こう」と勧めるが「私の何処が病気?」と食って掛かる始末。が、話したあとに夫婦になって楽しかった思い出が頭をかすめ、「心配を掛けたわね」と笑った。

デジョンが「僕は君を失いそうだ。僕がここまで追い詰めた!」と泣いた。妻を失うと思ったときに“人生で何が大切か”が分かった。

ジョンの家族が懸命にジョンを支えた。弟のイソクが見舞いにションのあの万年質を贈った。そこにはキム・ジョンとサインが入っていた。「作家を目指せ!」だった。

ジョンが精神科医・ソヨン先生を訪ねカウンセリングを受けた。先生に「問題を指摘されて驚いたでしょう。しかし、治療で一番大切なのは患者に来院させること。それで中半成功です」と言われ、「気が楽になりました」と感謝しました。

チーム長の起業の日。お祝の花をもって訪ね、「再就職は無理です。回復したら連絡します」と伝えた。

カウンセリングで、「こんな生き方も悪くないです。妻として母として時に幸せを感じます。しかし、とじ込まれた壁にぶち当たり越えられないことに腹が立ちます。自分が悪いんです、超える人もいるのに私は越えられなかった。結局、私は脱落したんです」と話すと、先生に「あなたは悪くない!腹が立ったらどうします!」と聞かれた。これでジョンは何をなすべきかが決まった!

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ジョンは小説を書き始め、デジョンがアヨンの育児を見ていた。街に出て「ママ虫」と言われても全く気にならなかった。そして書き上げたのが「「82年生まれ、キム・ジヨン」だった。

感想:

韓国の男性優位社会、韓国特有の家族制度のなかで、女性の社会進出の難しさが描かれました。問題が一杯あって当事者たちだけでは解決できない問題が圧倒的に多い。それだけに社会改革、啓蒙が叫ばれます。前出の元総理森氏の発言はとんでもないもので「思い違いをした」などでは許されないでしょう。

しかし、ここで止まってはらない!これを突き破ったのは苦労を重ねた母親の愛情、そして夫婦がお互いを失うかもしれないと思ったときに見出した“愛”、そしてカウンセリングでしたカミングアウトは力になります。

ジョンとデヒョンが交わす会話に、自分ならこうするぞ!と考えさせられる作りになっていましたが、現実と回想の繋ぎが悪く、分かり辛いところがあり、これが気になりました。

俳優さんたちが力のある演技で見せてくれ、感動的なドラマになっていましたね。特にチョン・ユミは感情に変化のある役で、高い演技力が求められ、これによく応じていました。

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「インセプション」(2010)

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クリストファー・ノーラン監督作を観ようと「メメント」「プレステージ」に次いでこの作品を選び、WOWOWで鑑賞しました。監督らしい夢というマジックで度肝を抜かれるストーリーでした。(笑)

人が眠っている間にその潜在意識に侵入して他人のアィデアを盗みだすという犯罪スペシャリストが、その才能ゆえに最愛の妻殺しとなり、国際指名手配犯となった。そんな彼に、大企業主から、相手の夢に入り込んで潜在意識に種つけ(インセプション)し、競合会社を潰す作戦を依頼された。彼は子供たちに会うために、この難度の高いミッションを実行することになったが・・・。

本作は第83回アカデミー賞で8部門ノミネートされ、撮影、視覚効果、音響編集、録音の4部門受賞作です。

監督・脚本クリストファー・ノーラン撮影ウォーリー・フィスター編集リー・スミス音楽ハンス・ジマー

出演:レオナルド・ディカプリオ渡辺謙ジョセフ・ゴードン=レヴィットマリオン・コティヤールエレン・ペイジトム・ハーディキリアン・マーフィー、トム・ベレンジャーマイケル・ケイン、他。

メメント」での時間、「プレステージ」での奇術に継ぎ、夢の世界と現実が交差するサスペンス物語。アクションありラブストーリーありで、ラストシーン夢なのか現実なのかと問われる秀逸なシーンになっています。

前2作に比してより壮大で“難易度の高い物語”ですが、人物描写がしっかりしていて、アクションや驚くような映像が出てきて楽しめます。

冒頭、いきなり夢の中にはいり潜在意識からアイディアを盗む“というエクストラクト”劇から始まりますが、まったく分けわからない。(笑)しかし、このストーリーが終わって、次の“インセプション”劇に入ると、丁寧に、インセプションについて解説してくれ、物語は1回では掴み切れない深みがあり、何度観ても楽しめるものになっています。

あらすじ(ねたばれ):

ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)はコボル社の依頼を受けて、仲間アーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)とナッシュと組んで、大会社社長・サイトー(渡辺謙)を新幹線車内に誘い出し、夢共有装置にコブ、アーサー、ナッシュ、サイトーを繋ぎ、ナッシュ設計による夢に見て、サイトーから重要な情報を抜き取ろうとする(エクストラクト)。 ここではコブが何故失敗したか、クストラクトのやりかたの基本的なことが描かれています。

夢の中で夢を見ることで夢が深くなる。何層の夢にするか、万一の場合の逃げ道(迷路)は、夢からの脱出起爆(キック)、夢の中で“死ぬ”と夢は終わる、夢見る時間、これらを設計する設計士、夢か現実かの判断アイテム(トーテム)、各階層の夢は誰のものか(ドリーマー)など物語のキーワードになります。

夢は現実に比べて時間経過が速い、夢5分は現実の1時間に相当します。これも物語を面白くする大きなファクターとなります。

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コブが失敗した原因はサイトーがしっかり対抗策を持っていて、ナッシュの夢設計が単純でサイトーに見破られたこと、さらにコブの潜在意識にある妻・モル(マリオン・コティヤール)が夢に出てきてサイトーに協力したことでした。モルは何故コブの潜在意識に現れるのかも大きなテーマです。

インセプション」の依頼受け

彼らは京都で下車して逃亡。後日サイトーから、敵対する燃料会社の会長モーリス・フィッシャーの息子ロバート(キリアン・マーフィー)の潜在意識に“会社を潰すという意識を植え付ける”というインセプション作業を依頼される。代償は子供たちに合わせるというもので、困難な作業だが、コブはあえてこれを受けることにした。

夢設計士捜し

コブは妻の父親で大学教授マイルス博士(マイケル・ケイン)に夢の設計士の紹介を要請。アリアドネエレン・ペイジ)を紹介された。アリアドネギリシャ神話に登場する女神のこと。英雄テーセウスがクレタ島の迷路から脱出するのを手助けしたことに因んだ名前でその役割を追うことになります。

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アーサーを呼び寄せて夢工房を開設。アリアドネの教育を開始。夢共有器にアリアドネとコブが繋がれ実習が始まる。アリアドネの描く夢、街が折り重なる、道路が防壁となりこれを歩く、突然橋を出現させこれを渡る、鏡を2枚向かい合わせて長く続く一本道を作るなどの夢を設計。コブが絶賛。この映像が楽しめます。アベンジャーズドクター・ストレンジ(2017)に匹敵する映像、こちらが真似たんですかね。😊ところが近寄って刺そうとする女性が現れ、コブが止めた。アリアドネはコブの潜在意識になにか大きな問題があると感じた。記憶を再現すると現実が夢になるからたってはならないと教わった。

偽造師捜し

コブは偽造師が必要だとケニアのモーサッパ市にイームス(トム・ハーディ)を訪ねた。偽造師というのは夢の中である人物に化ける役割。「父親の築いた大企業を息子に潰させる」と「インセプション」の目的を話せば「基本から責めるべきで、親子関係だ!」という具合に、相手の心理を読むのが優れていた。真面目に攻めるアーサーと違って、鷹揚でヒョウキン、このふたりの相反するキャラクターが物語を面白くしています。

調合師捜し

夢は深くなると揺らぎが生じるためこれを安定するために鎮静剤を使用できる調合師が必要と、ユスフ(ディリープ・ラオ)という男に会いに行く。モーサッパ市がコボル社の本拠のある地で、サイトーの凋落失敗で、コボル社に狙われ、監視が厳しかった。モーパッサ市の迷路の中を監視員を巻きながらユスフの店に急いだ。ここでの“追走劇”が見所です!途中でサイトーの車に拾われてユスフの店に着いた!

アリアドネはアーサーから3階層の夢をつくるには迷路が必要と、“ペンローズの無限階段”を使うこと各層には身を隠せる複雑な構造にすることを教わった(実行段階で出てきます)。

コブはユスフに3階層の夢のための調合が必要だと同行を求め同意を得た。するとサイトーも「相手を知っている」と同行を言い出した。

試しにユスフの調合した鎮静剤を使ってみると深い夢の中でモルと列車の中にいた。12人ぐらいと共有睡眠なら40時間は大丈夫だという。

コブが調合の試験台に立った。深い夢の中でのモルの記憶に浸った

夢の設計

調略の相手・ロバートの人物像を分析すると、ロバートは病床にある父親と確執がり、父親の側近であるブラウニング(トム・ベレンジャー)との関係は彼の言いなりらしいというもの。

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コブ、サイトー、アーサー、イームス、ユスフが協議し、夢の設計指針を次のように決定した。決定の主役はイームスだった。

第1階層 父親の跡を継ぐ(父の遺言は“会社分割”)

第2階層 自分で何かを作りだす(父の遺言を確認したい)

第3階層 「自分の道を勧め」(遺言の確認) 

実質の10時間はそれぞれの階層1週間、6カ月、10年に相当。キックは音楽による内耳刺激とした。

実行はロバートが使うシドニー発ロス行き(10時間)の747機のファーストクラスとして借り上げるというもの。

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アリアドネは夢の設計だけだったが、いつも見ているコブの夢が気になり、夢共有装置を繋ぐと、エレベーターで繋がる3つ部屋にそれぞれの夢があるというものだった。地下1階はモルと子供たちが海辺で遊んでいる。地下2階はモルの部屋、地下3階は荒れた部屋でオルと結婚記念日を過ごした部屋、モルがソファーに座って「列車を待っている」という。アリアドネは「これは現実でないの?」と反すると抗議すると「俺には償うべき過去がある」と無視。コブのこの潜在意識が夢の設計に影響かあるかもしれないと同行することにした。

インセプション」の決行

アーサーの知らせ「フィッシャーが亡くなった!葬儀はロス、木曜日!」で、夢の設計が動きだした。

予定機に搭乗し、ロバートにうまく睡眠剤を飲ませ、全員が夢共有装置に繋がった。

第1階層、ドリーマーはユスフ。

雨だった。ロス空港を出てタクシーを奪いユスフが運転、同乗者はコブ、アリアドネ、サイトー。迎えのロバートの車にブラウニングに化けてイームスとアーサーが同乗。いきなり機関車が発砲しなはら走ってくる。(笑)いたるとことからロバートの警護員が機関銃を発砲、道路は大混乱。サイトーが重傷を負った。迫力のあるカーアクションを見せてくれます!

車庫に逃げ込みサイトーの傷の手当をしながら

「なんで機関車が出てくる」「なんで待伏せだ」とアーサーがコブを責めた。「サイトーが死んだら目覚めるのか」とイームスが聞く。ユスフが「鎮静剤が強いから潜在意識以外ななにもない世界“虚無の世界”に落ちる」という。コブはここに落ちたことがある。第4階層ではない、自殺すれば戻れる。「これが予定どおりなのか」とメンバーで揉め始めた。(笑)

ブラウニングに化けたイームスがロバートに「金庫の遺言は社を分割してフィッシャー帝国を終わりにせよとある」と告げると「俺が会社を潰すのか」「ベッドに臥していた親父が俺に“失望した”と言った」という。これで第1階層でやるべきことは終わりで、警護員に襲われ危険だと第2階層に潜ることにした。

アリアドネはコブに機関車を走らせたのは貴方と責めた。コブは「妻と深い夢を求めるようになり虚無の席に50年いた。現実に戻っても信じられず虚無の世界に戻るために、俺が虚無の夢の中で話した“列車に乗れば希望の場所に行ける”を信じて、結婚記念日を祝うホテルの部屋から飛び降り自殺した。そのとき「夫に殺される」と遺書を残していた。

警護員が追ってくる。ロバートからホテルの部屋番号を聞き出し、白いワゴン車に全員乗って移動開始した。ユスフの「飛ぶぞ!」の合図でユスフを残して全員が夢共有器で繋がり眠って第2階層へと飛んだ。

第2階層 ドリーマーはアーサー

ホテルロビーで待ち合わせしているロバート。金髪女性に化けたイームスがロバートの財布を抜き取って去る。頃合いを見て警備責任者・グリーンに化けたコブが近付き「俺がやつを追ってやる」と信頼を得て、トイレに連れ込み、ロバートが今夢の中にいると信じ込ませた。部屋番号528を聞き出して他のメンバーに知らせ、この部屋に集合した。

第1階層ではユスフはフィッシャー社の警備車に追われていた。他のメンバーは座席で夢共有器に繋がり2階層の夢の中。雨の中での激しいカーチェイス。揺れる、この揺れが身体を通して2階層に伝わる。(笑)キックは橋梁のフェンスに衝突したとき方と決めていた。(途中で入水時に変更)

528号室。そこにブラウニングが入って来て「父の遺言は“失望”ではなく挑戦状だ!“自分の力で何とか成し遂げろ”と言っているんだ。父に会って確認しよう!」とロバートを説得した(ロバートの夢)。これで第2階層は終わり第3階層へ移行する。アーサーが夢共有器の管理のためこの部屋に残り、コブ、イームス、サイトー、アリアドネ、ロバートがベットに横たわり、夢共有器を繋いで3階層の夢に中に。

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第1階層のユスフが警備員に追い詰められ、フェンスを突き破って河に飛び込むが宙づりになりながらゆっくりと河に落ちていく。これが下の階層に衝撃、無重量状態となって伝わる。

ここからは第3階層を主体に、第1階層、第2階層の3つの階層が連携しながら相互に描かれます。

第3階層 ドリーマーはイームス

モーリスが入院している病院は雪で閉ざされた山峡にあった。風景が一変するのでびっくりです。

父に会いに行くロバートにサイトーが付き添う。警備隊の攻撃を予想しイームスがロバートらの行動を直接サポート。コブとアリアドネが後方から重機関銃で援護。作戦開始!警備隊が雪上車、スノーモービルで攻撃してくる。イームスがこれを奪いロバートとサイトーを支援。雪中での銃撃やカーアクションをしっかり見せてくれます。めずらしい映像です。

1階層でユスフ車がフェンスを破った衝撃で雪崩が発生!これを回避するロバートとサイトー。やりすぎです!(笑)

2階層ではフェンスの影響で528室が混乱、その後の車の宙づりで売重力状態となり、アーサーは宇宙飛行士のように泳いで、襲い掛かる警備員と戦いながら、部屋まるごと落とすようキックに備えて起爆薬を張り付ける。とても面白い映像になっています。

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ロバートとサイトーは迷路エアダクトを通って病院に入り、父親の居る部屋の前に立った。そこにモルが現れロバートを撃った。援護射撃で銃を構えていたコブがモルを撃った。コブが病院に入り、ロバートとモルを調べるとふたりとも死亡、“虚無の世界”に落ちていた。

アリアドネの提案でコブとアリアドネは虚無の世界にロバートを連れ戻しに行くことにした。音楽に合わせてADM(自動蘇生機)で蘇生し、音楽が終わる瞬間に病院の爆発衝撃で全員上に戻ることにした。イーサムが起爆薬を設置し、これを妨害にくる警備隊をサイトーが阻止するため手榴弾を持たせた。ロバートの胸にADMを着けさせた。コブとアリアドネが夢共有器を繋いだ。

虚無の世界 ドリーマーはコブ

50年かけてコブとモルが“虚無の世界”で作った街を見て、モルの部屋に入った。モルはコブをここに誘うためにロバートを殺してここに拘置していた。モルが「この世界なら一緒にやれる」とコブを誘った。音楽が鳴り始めた。アリアドネはロバートの拘束を解き、3階層から伝わるADMの衝撃を待った。コブがモルの語り思い出に浸りここに居たがる。アリアドネは「アドリブよ」とモルを撃った!コブはこれで妻と別れることができた。

イーサムがADMを作動し、ロバートが蘇生して父親に会い遺言の内容を確認した。父は「失望したではなくわしを真似るな!」と言った。ロバートは納得した。

イーサムが病院を爆破!虚無階層ではコブがアリアドネに「戻れ!俺は落ちてくるサイトーを待っている」と指示した。

第2階層のアーサーは、キックが入水時に変更になり、眠っているメンバーをエレベーターに乗せ、部屋を爆破した!

第1階層、車が水没(キック)したが、迷路が準備されていた。全員酸素マスクを着けて岸辺に泳ぎついた。コブは水中の中でまだ虚無の中にいた。

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サイトーはエアダクトから攻撃してくる警備隊を手榴弾で阻止した後、“虚無階層”に落ちた。コブはここで年老いたサイトーに会った(冒頭シーン)。「孤独で死を待っている」というサイトーを「戻ろ!」と誘った。サイトーは自殺した。

747機の中で何事もなかったように全員目覚めた。サイトーの入国手続きで無事コブは子供たちのところに戻った。コマを廻すと次第に回転速度が落ちてくる・・。

感想:

よく分からないというところが魅力😊何度観ても新しい発見が楽しめます。映像がしっかりしていて飽きない!

インセプション」の話は謎解きのようで楽しめますが、夢の中での断片的なモルの記憶は次第に繋がって、夫婦の悲しい愛の物語になっていく。コブとモルの切ない夫婦愛、虚無階層での最後の別れに泣かされます。これまでの作品にないノーラン監督の女性描写だと思います。マリオン・コティヤールの演技がすばらしい!

演技上手なキャストの中で、渡辺謙さんの頑張りは見事でした。

ロバートに潜在意識「我が道を行く」を植え付けたが、はたしてロバートがサイトーのもくろみ通り相続した会社を分割するかどうか?ロバートが「我が道を行く」という生き方を見出したことがいい。😊また、コブはこの「インセプション」で妻への贖罪から解き放たれ、新しい人生を模索することになるでしょう。コブにとっての人生の“インセプションになりましたね!😊

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「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」(2021)ガン監督がやりたいほうだい!だから面白い!すべてが大義に繋がってるから許せる!

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ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのジェームズ・ガン監督作品。監督の身上にいろいろなことがあってWBで撮った作品。「何かが起こるぞ、今週はこれ!」と期待していました。😊この猛暑、コロナ禍の憂さを吹っ飛ばすほどに笑った!

DCコミックスの人気ヴィランたちで結成されたアンチヒーロー・チーム“スーサイド・スクワッド”の活躍を描くアクション・アドベンチャー大作。

ハーレイ・クインやブラッドスポート、キング・シャークをはじめとする15人の極悪受刑者たちが、失敗したら殺すぞと首に爆弾を注入し、10年の減刑と引き換えに、世界最大の危機「南洋島國の秘密施設を破壊せよ」というミッションを、ユーモアとハードなバイオレンスで描くというもの。

監督・脚本ジェームズ・ガン撮影:ヘンリー・ブラハム、編集:フレッド・ラスキン、クリスチャン・ワグナ、音楽:ジョン・マーフィーと、とても豪華。

出演者マーゴット・ロビーイドリス・エルバヴィオラ・デイヴィスジョン・シナ、デヴィッド・ダストマルチャン、ダニエラ・メルキオール、シルヴェスター・スタローンタイカ・ワイティティらと、これも豪華!

上陸作戦から、ゲリラとの接触、決戦に至る真っ当な戦争シナリオ。しかし、実行部隊が酷悪犯人で、その行動は予測不能。最終戦はとんでもない戦だった!そして彼らはどう戦って世界の平和に貢献したかという“分かりやすい”結末が良い。

シルヴェスター・スタローンが何役を演じているか?“スターロ”という最終戦い出てくる怪獣です。“この名前”、もう笑うしかないという度外れの笑いが一杯、首や胴体が吹っ飛んでグロイ、下ネタ一杯、仕掛け一杯の驚き展開。「こいつらバカか!」というシーンが一杯ですが、そうはならない。今の世界で失ってはならない正義に繋がっているからです。監督の最高傑作ではないでしょうか!

あらすじ(ねたばれ):

ベル・レーヴ刑務所。所長のジュン・エコノモスによって独房で退屈している極悪犯サバント(マイケル・ルーカー)が引き出され、シャベリン(フルーラ・ボルク)、T・D・K(ネイサン・フィリオン)、ブラックガード(ピートイ・デイヴィッドソン)、モルガンら10名が引き出され、首に爆弾を埋められて、ある特殊任務のためにオスプレー機で中米の島國コルト・マルテーゼに送られた。このなかに注目のハーレイ・クイン、(マーゴット・ロビー)「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のアライグマ・ロケット似のヴィーゼル(ショーン・ガン)が居た。

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作戦本部長はアマンダ・ウォラー(ヴィオラ・デイヴィス)。島近くで海上降下を命じた。この降下でヴィーゼルが溺死?重要なキャラクターがもう死?

上陸した面子は敵の照明弾に挑発されて突撃敢行。T・D・Kは自分の腕を切り離して敵と対戦、シャベリンは槍を振り回し、それぞれが突進した。サパントの頭が丸く切り取られて吹っ飛ぶという、アッという間に全滅?なんとも奇妙な戦いだった。(笑)

作戦本部では「成功!」と賭けの決済を行っていた。(笑)しかし、映画では常に上手くいくのだが実戦はこうとリアルに拘った作品のようです。(笑)

3日前に遡って本編が始まる。そうきたかという感じ。(笑)

ブラッドスポート(イドリス・エルバ)が隊長に選定され、任務は南米コルト・マルテーデ島のヨトゥンヘイム秘密研究所の破壊。ピースメーカー(ジョン・シナ)、ポルカドットマン(デヴィッド・ダストマルチャン)、ラットキャッチャー2(ダニエラ・メルシオール)、キング・シャーク(ピーター・カパルディ)の5人を指揮して海上から“チンポバナナ”に上陸。(笑)、

敵の照明弾には惑わされず順調に島内部に進攻。メンバーのシャークは名のとおり鮫似で人を見ると食べたがる。(笑)ラットキャッチャー2はネズミと仲良し。夜も落ち落ち寝ていられない。(笑)

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先発のメンバーのなかでリック・フラック大佐(ジョエル・キナマン)の所在がわかり、救出に走る。襲ってくるゲリラ兵を片っ端からシャークが喰った!重機関銃弾、矢が飛び、ネズミを操りゲリラを圧倒して隠れ屋に着いた。(笑)なんとフラッグはゲリラ隊長のソル・ソリアと一緒に酒を飲んでいた。(笑)ソルは大のアメリカ嫌い。

ソルは「家族をルナ大統領に殺され、徹底的に戦う。ヨトゥンヘイムに行ってシンカー(博士)を捕えて欲しい」という。

シンカーは“スターフィッシュ計画”を30年もやっている。触手生物の研究家らしい。部下を殺され、政府とはうまくいっていない。ルナ大統領はクーデターで政権を握り、ソルの部族を弾圧しヨトゥンヘイムの要塞に閉じ込めていた。大のハーレイのフアンだった。(笑)。

ハーレイは捕虜となり獄中で生きていた。よかった!(笑)突然ルナ大統領から呼び出しを受け、大統領宮殿へ。マーゴット・ロビーのこの出で立ちを見ているだけで笑えます。(笑)

大統領に「アメリカ嫌いのヒーローだ!」と気に入られ、なんと史上最低のベッドインになるとは!大統領を殺してしまった。(笑)憲兵に追われ、ハーレイは捕らえられて監獄、「裏に誰かがいる」と激しい拷問を受ける。政権は側近のマテオ・スアレス将軍が引き継いだ。過去にアメリカがやった中南米政策に酷似しているとことがみそ!😊

ブラッドスポートらはヨトゥンヘイムへ向かい前進。途中で政府軍に襲われるソルの仲間・ミルトンを救ったことで彼から物資補給を受け、ライトバンで急ぐ。

そこへ作戦本部長ヴィラからシンカーを使えと指令が入った。

バーでシンカーと落ち合うことにした。2時間後だというからフラッグが飲み始め、皆飲んで踊っていた。ここでの音楽がいい!シンカーがやってきたが、政府軍も一緒に。ラットキャッチャーにシンカーを連れて逃げろ!と指示し、大暴れして捕まり警護車に。ここでもネズミが大活躍!(笑) 警護車の中で、頃合いを見て脱出。カーアクションも見どころ!

奪った護送車でヨトゥンヘイムへ行こうと思ったが、その前にハーレイの救出と決まった。

憲兵に捕まっていたハーレイ。「何人で入ってきた?」に「69人よ!」(笑)。激しい尋問に耐え(振りをして)、スァレスが去ったのを確認して監視兵の首を股締めで落し(笑)、鍵奪って手錠を開け、押し寄せえる警備兵を蹴散らかして脱出。マーゴットのアクションがいい。(笑)

街でフラッグがハーレイに出会った。「何やってるの?」とハーレイ。「あんたの救出だよ」とフラッグ大佐。(笑)

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 護送車でうまくヨトゥンヘイムの検問を通過。豪雨の中、警備員に気付かれず要塞塔に入った。

フラッグとピース、ラットキャッチャーはシンカーの案内で研究施設を視察、そこは人体実験所だった。アメリカが宇宙で捕まえたヒトデを、この国と同盟を結び、研究依頼していたものだった。巨大ヒトデは成長して大量の小さなヒトデを放出する、それは兵器になるか。シンカーはヒトデを密かに飼育し、噛まれたときのワクチンを研究していた。

フラッグ大佐は「公開すべきである」と実験データーディスクを取り上げたが、ピースは「命令に違反する」と反対し、自分の信念を曲げないで、大義の違いでふたりが激しく戦う!この格闘をラットキャッチャーが見ていた。塔の揺れでピースのヘルメットが取れ、このヘルメットに写る映像でこの格闘が描かれます!フラッグ大佐の鉄拳がピースの心臓に達した映像が出てくる。(笑)もう、ガン監督が遊びまくっています。😊

建物が揺れ、巨大ヒトデノの触覚でシンカーが連れ去られた。決闘はピースの勝利、フラッグは身動きしない。フラッグが手放したディスクをラットキャッチャーが掴んで逃げ出す。ピースがこれを追う・・・。

8分前に戻る。(笑)

ブラッドスポーツとハーレイは政府軍に追われ塔の屋上にいた。シャークは水槽で飼育されている小さなヒトデを見ていた。“ご挨拶に”とヒトデが集まってシャークの体型を作る。(笑)

突然仕掛けられた爆薬の発破で、大きな振動が起こった。ブラッドスポーツは下の階に落下、これを繰り返してピースとラットキャッチャーのいる階に落ちてきた。ピースとブラッドスポーツの拳銃対決。ブラッドスポーツの口径が小さくてピースの弾丸を突き抜けて当たった。(笑)そしてディスクを受け取った!チームとしてナイスな解決法でした。これが書きたかった!😊

水槽が割れ、シャークが大量の水に押し流され、小さなクラゲに取りつかれてもがいた。

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塔が崩壊し中心に大きな目を持つ巨大ヒトデ・スターロ(シルベスタ・スタローン)が現れた。ここからが怪獣映画です。(笑)

 政府軍が射撃するとスターロの傷口から大量のヒトデが飛び出て兵士の顔にくっ付く。市民にもくっ付く。スァレス将軍が倒れ、ソルは「今から市民の国、国軍は降伏せよ」と叫んだ。が、おかしい。市民はゾンビ化するが、兵士には影響が出ていない。

作戦本部に報告するとヴィラーから「もう同盟国でない」と返事はきた。ブラッドスポーツは「そういうことか」と現場を離れようとすると「離れるな!」と命令してきた。ヴィラーの従妹のクロ・クロウリーが「市民が死んでいる」とゴルフクラブでヴィラーの腰を叩いたからだった。(笑)

スクワッドの面子が、それぞれの技で暴れまくりスターロに果敢に挑み倒した!決め手は街を埋め尽くすほどのネズミたちの活躍だった。(笑)戦いの映像が凄い!

彼らは市民のために自由を取り戻し、世界をスターロの脅威から救った。任務以上の戦い振りだった。😊これが大切、任務の裏を読め!

ネズミを育てたラットキャッチャーは喜んでくれている父(タイカ・ワイティティを思い出していた。贅沢なキャステイングです。(笑) 

エンデイングのあと、あのヴィーゼルが海から上げってくる。生きていたんですね。(笑)

感想:

予告編がよくできていて映画の雰囲気がよく出ています。壮大で映像が美しい作品になっています。

ヒーロー15人を見るのがきつい!と思ったら、あという間にいなくなる。(笑)ヴィーゼルはずっといなくて最後にちょっと顔を出した。 (笑)

どのキャラクラーもよく立っていて、見せ場がありました。お気に入りはラットキャッチャー役のダニエラ・メルシオール。ポルトガル出身で長編作品への初出演、でも見事な演技でした。

最後に次作への布石がありました。楽しみにしたいと思います。

          ****

「喜劇 愛妻物語」(2020)濱田岳、水川あさみさんのリアル夫婦熱演物語

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WOWOWの“W座からの招待状”作品。このタイトルでまさか招待状になる作品か?と観ましたが、大変な作品でした。(笑)

「百円の恋」(’14)の脚本家・足立紳さんが、自身の夫婦生活を綴った同名小説を自ら映画化した作品。原作未読!

売れない脚本家・豪太は、妻チカや娘アキと3人で暮らしている。倦怠期でセックスレスに悩む豪太はチカの機嫌を取ろうとするが、チカはろくな稼ぎのない夫に冷たい。(笑)

そんなある日、豪太のもとに「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生」の物語を脚本にするという話が舞い込む。豪太はこの企画を実現させるため、そしてあわよくば夫婦仲を取り戻すため、チカを説得して家族で香川県へ取材旅行に行くことに・・。

2019年・第32回東京国際映画祭コンペティション部門で最優秀脚本賞を受賞した作品です!

原作・監督・脚本足立紳撮影猪本雅三編集大関泰幸音楽:海田庄吾

出演者濱田岳水川あさみ、新津ちせ、大久保佳代子、他。

“離婚だろう”と思っていたら、水川あさみさん演じる妻がいつも赤いパンツを着けて、ふたりの間に娘アキを置いて寝る。(笑)この寝姿に笑っていましたが、このパンツに秘密があるいう濱田岳さんと水川あさみさんのリアル夫婦熱演物語です。

あらすじ:

真ん中に娘・アキ(新津ちせ)をおいて川の字に眠る結婚10年歴の夫婦。夫・豪太(濱田岳)は妻チカ(水川あさみ)の赤いパンツが気になる。2か月になるのに妻がやらせてくれないと不平の豪太。迫る豪太に「うるさい!」と寄せ付けないチカ。

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豪太は娘を連れて公園で遠くから若い女性をカメラで狙い拡大して妄想するという変態!これ本当に足立紳さんの姿ですかね(笑)すると昔関係のあった吾妻さん(大久保佳代子)が近付いて挑発する。(笑)

そんな暇のある豪太にプロデューサー佐々木(坂田聡)から呼び出しがきた。書き溜めていた脚本「八日村の祟り」の映画化の話をちらつかせて、「“めずらしいうどん娘”の映画化の話があるので書いてみないか」と誘うが旅費は後払い。豪太は車の運転が出来る妻チカに小豆島に住む大学時代の同級生の由美(夏帆)に会えると誘い、やっとこれを受け入れてもらった。水川あさみさんの憎たらしい物言いを受け入れる豪太が可哀そう!(笑)

電車を乗り継いでの四国高松行き。瀬戸大橋からの瀬戸内海が美しい。高松についてうどん屋に入るか注文は豪太とアキのふたり分。ホテルも豪太とアキのふたり部屋でチカは夜中に忍び込むという倹約旅。あろうことか豪太は風呂に入って寝てしまって、チカが部屋に入ってくる時間に寝ていた。これではやらせてもらえない!(笑)

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翌日、チカの危なっかしい運転でうどん屋に。うどん娘(河合優実)の実演を見て、親御さん(光石研ふせえり)の招待を受けた。「もう脚本家は決まっている」と聞いたチカは「主人の方が力があるから書かせて欲しい」と申し出るが、豪太は決まったことだからと乗り気でない。これでチカの怒りが爆発、屋島やワイナリー見学の旅も台無しだった。しかし、この夜の宿は民宿でワインを飲んで雰囲気がよく、今夜はやらせてもらえると思ったが、うどん娘の件でダメだった。(笑)

豪太はあきらめてひとり高松の街に出て吾妻さんにメールをした。そこで酔っぱらって椅子に寝ている女性に出会った。豪太はその股間を覗こうとして(笑)(笑)、警官に捕まり、寝ていたチカが呼び出された。(笑)

あまりの夫のバカバカしさに、「アキを海に連れて行って!」と言い捨てて、小豆島の由美を訪ねて行ってしまった。

豪太はアキと小豆島に渡り、ふたりで海水浴。アキを砂遊ばせて、豪太は吾妻さんにつまらない話をする。(笑)そんなことでアキを見失ってお廻りさんから注意される有様。(笑)

このころチカは由美の経営する宿でのんびりと学生時代の映画サークルの話を懐かしみ、豪太の話が出て呼ぶことになった。やってきた豪太は「疲れた!」とベッドで寝せてもらっていると、由美がチカに若い男とのノロケ話をしているのが聞こえた。(笑)

豪太一家は小豆島から民宿に戻った。チカは由美に大きな刺激を受けていて今夜は間違いないと迫った。2か月ぶりにチカが受け容れた。終わったあとのふたりの清々しい顔。(笑)夫婦ってやはりこれが一番のようです!(笑)

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翌日、豪太一家は金刀比羅宮四国八十八ヶ所霊場に参り、遊園地で遊ぶなどして四国の夏を満喫。そして親子で寿司を食べる、チカはお酒を飲みながら脚本「八日村の祟り」は採用になると気勢を上げているところに、佐々木から「原作者がダメ出しした」と知らせてきた。

チカの怒りは頂点に達し「あんたは私に甘えてる。あんたがいると私もアキもダメになる。もう離婚する」とアキを連れて高松ふ頭に向かい、泣き叫ぶ。豪太も訳もわからず一緒になって泣いた!(笑)

家に戻った豪太とサチ。豪太が脚本書き、赤いパンツを着けたチカがパソコンでぶつぶつ言いながら校正していた。赤いパンツは豪太の脚本が採用されたときに、「福が来ますように!」とまとめ買いしたものだった。(笑)

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感想:

笑い一杯の作品だった!これが脚本賞

結婚して10年、やりたいが妻にダメだしされて、なんとかしたいと画策する夫。離婚になりかねないバカ夫の話。(笑)しかし、10年経つと夫婦とはこんなものだと思え、夫婦の機微をここまで明け透けに描いた作品はあったか?と、脚本賞に選んだ東京映画祭の選者がすばらしいと思いました。(笑)

結婚記念品なら指輪にネックレス。この夫婦にとっては妻・チカの赤いパンツだった。このパンツの思い出にふたりの夢が隠されていて、また夢が追いかけようとする話、うまく行きますように。(笑)「やっとやれた!」と喜ぶふたりの安堵感?人生、こんなことの繰り返しではないでしょうか(笑)

結婚10年、妻にやらせてもらえない豪太を濱田岳さんがひょうきんに、リアルに演じます。(笑)夫に毒づいて寄せ付けない妻・水上あさみさんがまた敵役。もうこのふたりの“やるまでの話”が面白過ぎました。(笑)

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「キネマの神様」(2021)映画館で“映画を観て欲しい”という山田洋次監督の願いがこもった作品!

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松竹映画100周年記念作品としての山田洋次監督、89歳にして89作目の作品。もう何が描かれているかが分かるような作品です。

原作原田ハマさんの同名小説、と言っても大改編らしく「キネマの神様(ディレクラーズ・カット)」(原田ハマ著)としてノベライスが発刊されています(笑)。未読です。脚本:男はつらいよ お帰り寅さん」の朝原雄三さん、撮影:山田監督作に多く関わってきた近森眞史さん、主題歌:RADWIWPS feat.菅田将暉「うたかた歌」。

出演者:沢田研二菅田将暉宮本信子小林稔侍、寺島しのぶ永野芽郁野田洋次郎北川景子、他。

あらすじ:

かつて映画監督を志すも夢破れ、今やギャンブルに明け暮れる借金まみれのダメ親父ゴウ(沢田研二)。妻の淑子(宮本信子)や娘の歩(寺島しのぶ)にもすっかり見放されたゴウだったが、行きつけの映画館“テアトル銀幕”の館主テラシン(小林稔侍)だけは、いつでも温かく迎えてくれた。2人は青年時代、同じ撮影所で汗水流した盟友だった。助監督として働いていたゴウは、名だたる名監督やスター女優の桂園子(北川景子)、近所の食堂の看板娘・淑子(永野芽郁)らに囲まれながら夢を追い求め、青春を駆け抜けていた。ゴウとテラシンン(野田洋次郎)は淑子にそれぞれ思いを寄せていた。

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そしてついに初監督作品「キネマの神様」の撮影初日を迎えたゴウだったが転落事故で大怪我をして田舎に帰ってしまったが、淑子は周囲の反対を押し切ってゴウを追いかけていった。

あれから50年後の今、ゴウの脚本が映画好きの孫・勇太(前田旺志郎)が発見し、ゴウと勇太はキネマ雑誌の脚本賞に挑戦。はたしてどんな形で「キネマの神」が降りてくれるかという、山田監督らしいファンタスティックな作品です。

映画最盛期と映画離れの現代が交差しながら展開する物語。最盛期では映画監督を志した主人公ゴウが山田監督の青春時代が被さるように描かれ、現代では監督がこれまで描いてきた人生に落ちこぼれた男の再生物語となり、キネマの神は必ず映画館に降臨する、「映画館で映画を観て欲しい」とい願いが込められた作品になっています😊

特に映画最盛期の話を理解するにはパンフレットがあった方がいい。当時の映画製作環境が分かればとても楽しめる作品になっています。

山田監督の若かりし頃、小津安二郎監督に反抗的であったというエピソードが見てとれますが、本作では東京物語」(’53)をモチーフにした作品で、原節子さんや田中絹代さんを彷彿とさせる北川景子さんの美しさに圧倒されました。

感想:

日本で行われた「ラグビー・ワールドカップ」の翌年。非常事態宣言が出され、オリンピックも甲子園の高校選抜野球大会が中止になるなど考えもしなかったコロナ禍。映画も映画館で観ることが難しくなった今

かって映画監督を志し挫折したゴウは今では博打で大きな借金を産み、家族を苦しめる存在になってしまった。娘の歩と妻の淑子に「博打を取るか淑子を取るか」と迫られ、年金通帳と金融カードを取り上げられ、映画を観るだけが許されることになった。

ゴウはかっての友人テラシン(寺林新太郎)の経営する小さな映画館「テアトル銀幕」を訪れ、夜半誰もいない劇場で、ふたりで、自分が助監督を務めた出水博監督(リリー・フランキー)の映画「花筏」を観ることにした。この出水監督は松竹黄金時代の清水宏監督のようです。

主演は桂園子。園子を演じる北川さんはまさに原節子さんでした!園子の顔がアップされるとゴウが「園子の瞳に俺が写っているんだ」と言い出す。大きく瞳がアップされて、その瞳にかって助監督だったゴウが出水監督と映画を撮っている当時の撮影現場へと移って行きます。

この“現在から過去への移行”がすばらしい!ここから松竹映画隆盛時の映画つくりの世界が描かれます。

出水監督は「演技よりも感情!」と園子の演技をコケにし、また「夕日を撮れ!」と命じられたゴウが太陽の沈みを止めようと海めがけて走る。(笑)清水監督の逸話を生かした撮影風景や撮影所前にある料理屋“ふな喜”に集まって、監督、ゴウが脚本を練るという、当時の絆の強い映画屋一家が描かれます。

撮ったフルムを映写技師のテラシンに渡して、映像を点検する。そこに仕出し弁当を持ってきたのが“ふな喜”の娘・淑子だった。ゴウが「淑子ちゃんだ」と紹介するとテラシンは一目惚れした!

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ゴウはテラシンと淑子のために園子が運転する車で伊豆半島のドライブを計画した。当時、女優さんが車を持っていたらしい!淑子が将来何になるかと聞くので、ゴウは映画監督、テラシンは映画評論家か小さな映画館を持ちたいと答えた。淑子は映画監督に関心があるようだった。

 ふな喜”に集まったゴウやテラシン、園子ら。園子が小田安三郎監督(山崎貴)に「紅茶を飲むときスプーンを2回半廻して飲みなさい」と指示され、「2回だった」と注意され悔しくって泣いたという話を披露する。そして「ゴウちゃんはどんな監督になりたいの?」と聞いた。

ゴウは「映画大好きな奥さんがヘソクリで貯めたお金で憧れのスターの映画を見に来る。するとスターはスクリーンから出て、奥さんを江の島のドライブに誘って抱擁する。こんな夢の中に入るようなファンタジーな作品を目指す!」と「キネマの神様」の構想を披露した。園子は出演したいと大感激。ゴウは「出水さんとか、娘が嫁に行くって父親が悲しむ日本映画はダメだ!(笑)思い切ったファンタジーな作品を目指す」と付け加えた。ゴウが語る内容はアニメを使ってファンタジーに描かれます。

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テラシンが熱病で寝込んで、ゴウが見舞った。どうやら淑子への恋患いらしい。「ラブレターを書けと!」と元気付けて戻った。ところが園子から「淑子に会いに行け」と言われ“ふな喜”に行くと、淑子が「テラシンさんから手紙を貰って悩んでいる」という。「初恋の人だろうが」と言うと「バカ!」とキスされ、テラシンへの返信を託された。永野芽郁さんの昭和女性らしい演技がいい。

ゴウはテラシンに呼び出され「淑子ちゃんから返事がない」と打ち明けられ戸惑った。淑子の返信を渡すと、テラシンは激怒した。

この結末は今から9年前、淑子が求人ポスターを見て小さな映画館「テアトル銀幕」を訪ねたことで描かれます。「こんな歳で雇ってもらえますか」と支配人に尋ねると「歳はいいが、どんな映画が好きですか?」と問われ、「フランック・キャプラの“すばらしき人生”」と答えると{淑子ちゃんか!ゴウはどうしている?}と大きな声を上げた。以来、淑子はここで清掃の仕事をすることになった。テラシンには「ゴウとは撮影所で一緒に飯喰った仲」とその友情は消えてなかった。テラシンは独身で、伊豆に旅行したときの淑子の写真を大切にしていて、“忍ぶ恋”だった。

テラシンとゴウ、そして淑子の“三人の友情”は、観る人に委ねられ多くは描かれないが、とても暖かくて、テラシンを演じる小林稔さんの情感溢れる演技に泣かされます。

ゴウは監督として初作品「キネマの神様」を撮るとこになったが、連日下痢に悩まされる。脚本を読んだ園子が「書き込みが細かすぎる。撮影は生もの!」と心配した。初日から撮り方でベテランカメラマンと衝突し便所に走る。(笑)「“もう夫婦でない”とことを“俯瞰で撮りたい”」と二階に上がったが、カメラマンの猛反対を受けて、二階から落ちて骨折。ゴウは辞表を書いて、岡山の田舎に帰って行った。

淑子は、「不幸になるから」と皆は止めたが、「わたしがコウちゃんを幸せにする」とゴウを追った。

物語は現在に戻る。ゴウは「花筏」を観終わって、淑子が帰ろうというのを断り“テアトル銀幕”で過ごし、家に戻った。孫の勇太の部屋に寄ると「お爺ちゃん見直した!」とテラシンから借りた「キネマの神様」の脚本を見せ、「これを現代風に直そう!賞金は100万円だ」という。「いい脚本だろう!女優が階段から落ちてボツになった映画の脚本だ」と言い訳して、ふたりで校正し、イネマ雑誌の木戸賞に応募した。

なんとこの脚本が受賞した。喜んだテラシンは“テアトル銀幕”でお祝いのパーティーを開いた。ゴウはここで「東村山音頭」を唄い踊った!家に戻ると淑子がテラシンから預かったと封書を渡す。開けると伊豆旅行したときにテラシンが撮った淑子の写真だった。😢淑子の差し出す水を一杯飲んだところで、ゴウは倒れて入院した。

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受賞式には淑子と歩が参加。受賞挨拶は歩がゴウのメモを読んだ。「家族のお陰だ」と家族への感謝だった。

退院の日、ゴウは小田監督の「東京の物語」を見たいとテラシンの劇場に家族と一緒にやってきた。テラシンが「コロナで劇場も危ない」という。ゴウは「これではどうにもならんかもしれないが」と70万円を渡した。テラシンはありがたく受け取った。

「東京の物語」、ラスト近くで、尾道から列車で東京に戻る主人公の桂園子が、突然スクリーンから降りてゴウの隣にやってきて「撮影所に行こう!」と誘ってくれた。現代のゴウの魂が若きゴウとなり園子と一緒に撮影所へと消えていた。

救急車のけたたましいサイレンが響く。

ゴウのみならず映画の好きな人にとっては最高の「人生の終わり方」でしょう。

「映画には神が宿っている、劇場で観て欲しい」という山田監督からのメッセージでした。コロナ禍真っただ中の公開ですから、一層このメッセージが心に響きます。

スクリーンからスターが飛び出すというやり方はバスターキートンが最初に使った手法(1924)だそうで、監督はゴウを喜劇王志村けんさんに演じて欲しかったんだと思います。亡くなられてとても残念だったでしょう。また、この役を沢田研二さんが演じ、どこか志村さんがいるようで、ふたりの友情に感動しています。志村さんのご冥福をお祈りします。

          ****

「プレステージ」(2006)

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クリストファー・ノーラン監督の比較的初期の作品。WOWOWで観賞しました。

マジックは3つのパートから成り立っています。1番目は「確認(プレッジ)」、タネも仕掛けもないとことを観客に確認させる。2番目は「展開(ターン)」、確認したものを消す。3番目は「偉業(プレステージ)、消した物を戻す。

この作品では3番目(プレステージ)を作るマジシャンの生き様を描き、マジシャンに求められるものは何かを問うています。

舞台は19世紀末ロンドンのマジシャン世界。同じ師の下で修業中のアンジャーとボーデン。両脚・両手を縛られて水槽に入り脱出する“水槽脱出”マジックで、アンジャーの妻ジュリアが脱出できず亡くなるという事故が発生。アンジャーはボーデンの両手結びが死因だと疑念を持ち不仲となりふたりは別れた。以降、ふたりは相手のマッジクにいちゃもんをつけ激しく戦い、遂に“人間瞬間移動”マジックで決定的な対決を迎える。その戦いは・・・。

原作:クリストファー・プリーストの小説「奇術師」、未読です。監督:クリストファー・ノーラン脚本;クリストファー・ノーランジョナサン・ノーラン。撮影:ウォーリー・フィスター、音楽:デビッド・ジュリアン、美術:ネイサン・クロウリー

出演者:ヒュー・ジャックマンクリスチャン・ベールスカーレット・ヨハンソンマイケル・ケインパイパー・ペラーボレベッカ・ホールアンディ・サーキスデビッド・ボウイ、他。

難解な作品だと言われています。監督特有の“時間”マジックで、時間軸の異なる話が交わりながら展開する物語は分かり難い!しかし、「メメント」ほどの複雑さはなく、作品そのものが“マジック”になっていて、そのことが難しくしているので、結末を知ってもう一度確認しようとなり、面白さが分かるのは2度目以降ではないでしょうか。😊この作品で監督は“マジックとは何か”を問うています。

第79回アカデミー賞の撮影賞と美術賞部門にノミネートされただけに、美しい映像です。そして、キャストの皆さんの演技がすばらしい!

あらすじ:

冒頭、マジック作家のカッター(マイケル・ケイン)がマジックの3つのパート説明を、アンジャー(ヒュー・ジャックマン)が演じる“人間瞬間移動”マジックを使って説明する。アンジャーが客に手を振って存在を証明し、実在の電気発明家ニコラ・テスラデビッド・ボウイ)制作の放電仕掛け装置に入り消えてプレステージでアンジャーが水槽の中で溺れ、それをボーデン(クリスチャン・ベール)が覘いている。これがプレステージなぜこうなったのか?

いきなりこの映像が出てきて、何の物語だか分かりませんが、おいおい分かってきます。(笑)

ボーデンは殺人犯として捕らわれ、カッターが法廷で「なぜこの水槽がここにあったかはマジックの種明かしになるので喋れない」と証言を拒否します。かっての師としてカッターはなぜボーデンを擁護しないのか?

死刑囚として刑務所に収容されたボーデンのところにゴールドロウ卿の弁護士・オーウエインがボーデンの娘ジェスを伴って訪ねてきて、「答えないと娘は孤児院行き!」と脅し、ボーデンの“人間瞬間移動”マジックの種明かしを求めたが、ボーデンは「墓を掘り起こして本人に聞け!ゴールドロウ卿を寄こせ!」と拒否した。オーウエインはアンジャーが残した日記を渡して帰っていった。

この日記に基づきアンジャーがテスラから装置を手に入れた経緯と結末が、ボーデンと出会った1897年4月3日からの出来事と並列するように描かれます。

アンジャーは貴族出で、マジックのパフォーマンスが上手いことで人気があった。一方のボーデンは貧しい家の出でマッジク作家としての力があるがパフォーマンスではアンジャーに劣っていた。

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アンジャーとボーデンは名優ミルトン(リッキー・シュイ)に師事してマジックを学ぶがホーデンは「危険が感じられない」とミツトンに批判的だった。そんなときに起こった事件が“水槽脱出”マジックの失敗だった。このマジックは手足を縛られたジュリアが水槽に投げ込まれ、数分間の後、縄を解いたジュリアが現れるというものだった。

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手足を縛るのはミルトンが指名した観客、いつもアンジャーとホーデンが選ばれ、アンジャーが脚をボーデンが手足を縛ることになっていた。(笑この日、ボーデンはいつもの一重結びを二重に変えた!これでジュリアは手を解けず溺れて亡くなった。何故ボーデンは結び方を変えたか?「船員によってしっかり縛られる」というミルトンの紹介を聞いて変えたと思われ、“いつものボーデン”ではなかったのではないか?この謎を解くのがこの映画の面白さで、幾重にも伏線が貼られています。

ジュリアの葬儀でアンジャーが「なぜ結び方を変えたか?」と聞いてもボーデンは「自問しているが分からない」としか答えなかった。これにアンジャーは激怒した。

だれでも分かる単純なマジック劇をいかに面白く見せるか?これがこの作品のテーマ。このために使った種が・・・・です。(ラストで明かされます)

ボーデンがサラ(レベッカ・ホール)と結婚したことも、妻を失ったアンジャーの怒りになっていった。この結婚も奇妙だった!ボーデンにサラへの愛情があったのか?

ボーデンが演じる“弾丸の手掴み”マッジク銃口から弾を込めたふりをして抜き取り、観客に拳銃を渡して自分を撃たせて弾を見せるというマジック。アンジャーは変装して会場に入り、種を見抜き、拳銃を受け取って密かにボタンを入れてボーデンを撃った。ボーデンは指を負傷し、マジックができなくなった。

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アンジャーはカッターと組んで「鳩を出し」マジックを行うことにした。観客の目くらましに美しい女優のオリビアスカーレット・ヨハンソン)を助手にした。しかし、初演当日、変装したボーデンによって、舞台上での“確認”のとき、種を晒され、公演は中止となった。こうしてふたりの種つぶしが激化していく。

カッターの発案でボードンの演じる新しい科学者ものを見て次作を決めることにした。アンジャーはテスラの助手に接触し、ボーデンが持つ装置が欲しいと伝えた。そしてロンドンで開かれたテクノロジー展でテスラの放電現象展示を見た。

そこに見学に来ていたボーデンがサラに優しく話し掛けるのを見て、ボーデンの日記(盗んだもの)にはない光景に「彼の心はふたつ?ホーデンは何者だ!」と不思議を感じていた。

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アンジャーはアメリカのコロラドスプリングにテスラを訪ねマシン製作を依頼した。テスラは「これを作ったらただのマジックだと紹介するのか?君は何かに憑りつかれているぞ」と言い「可能だが金がかかる」と引き受けた。

新聞にボーデンの新マジック“人間の瞬間移動”記事が載った。アンジャーはこれを観た。カッターは「替え玉を使っている」というが、アンジャーはあまりにもそっくりで替え玉とは信じられなかった。ふたりはアンジャーの演技力を期待して替え玉で対抗することにした。替え玉はオリビアが演劇仲間の中から選んだ男で、演技力があるが酒飲みで自尊心の強い男・ルートだった。

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ボーデンがサラにマンションの鍵を渡すが、サラは「先週は機嫌が悪かった」とこの優しさが信じられなかった。

アンジャーの“人間の瞬間移動”マジックはとても好評だったが、彼が“隠れ役”でルートがプレステージ喝采を受ける役だから不満だった。(笑)

アンジャーはボーデンの情報を掴むためにオリビアをスパイとして送った。オビリアがアンジャーの情報を与えたことで、ボーデンの日記を盗み出したが、暗号が使われていて理解できない。オリビアを守るためアンジャーはボーデンの作業場に忍び込み自分が日記を盗んだように見せかけた。しかし、オリビアはこんな役回りにアンジャーの愛を疑い、ボーデンへと接近していった。

ボーデンはルートを飲み屋に誘い飲ませてアンジャーを裏切ることを勧めた。これでアンジャーのマジック種が舞台で明かされ、消すために落ちた穴にマットがなくてアンジゃーは骨折、さらに観客をボーデンの劇場に連れて行かれるというひどい仕打ちを受けた。

一方、ボーデンのマジックにはテスラの放電装置やオリヴィアを助手にした目くらましで大盛況だった。舞台が引けたあとボーデンをアンジャーが追った。すると男・アフロンが「ボーデンが危ない!」とアンジャーをつけてきた。これはアンジャーの罠!アフロンを掴まえて脅し、ボーデンを呼び出し、暗号を手にいれた。暗号は「テスラ」だった。

アンジャーはコロラドスプリングに飛び、テラスから注文していたマシンを受け取った。テスラは「危険だから海に捨てろ!」と勧めたが、アンジャーは危険かどうかを自らテストしてみた。放電を浴びると物も自分自身もコピーされることを確認した。アンジャーはコピーを拳銃で消した。

この頃、ボーデンのマジックは大盛況であったが、サラはボーデンの気質が日々変わるしオリヴィアを恋人にしたことに苦しみ自殺した。またオリヴィアもボーデンの愛が信じられる別れることにした。

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アンジャーはコロラドスプリングスから装置を持ち帰り100個の水槽を作り、カッターには種を教えず、「これが最後だ、本物の人間移動を見せる」と一流劇場での100回の公演を準備させた。アンジャーは「純粋な科学マジックだ!」と観客の確認を取り、装置の中に消え、別の場所から姿を現す。大喝采だった。アンジャー(コピー)は水槽の中に落ちて水死してた。ボーデンがなかなか現れない。彼は何回も自殺を繰り返してボーデンが来るのを待っていた。フレディがボーデンに「完璧なマシックだからもう秘密をしらなくてよい」と勧めたが、彼がやってきた。ボーデンは舞台でアンジャーを確認し、地下に降りた。そこにあった水槽にアンジャーが落ちてきて水死した。(冒頭でアンジャーが水死するシーン)。

話は獄中のボーデンに戻ります。

コールドロウ卿がジェスを伴ってボーデンを訪ねた。ボーデンはコールドロウ卿がアンジャーであることに驚いた。ジェスを救うために書き留めていた種を差し出したが、「俺が勝った!」と破り捨てて帰っていった。

接見にきたフレディに「お前にはすまなかった。サラを苦しめたことも!俺たち二人分をしっかり生きてくれ!」と言い残した。

ボーデンの絞首刑執行日。コールドロウ卿は裁判所に押収されていた装置をカッターの手を借りて小屋に運んだ。カッターはコールドロウ卿に「君は何をした!」と去って行ったが、代わりにフレディが現れた。その顔はボーデン(双子)だった。

フレディがアンジャーを拳銃で撃って「俺たちは人生の半分でよかった。女たちとも別れた。完璧なトリックには犠牲が必要だった」とボーデンと同じ手にするため自分の指を切り落としたことを語った。アンジャーは「落ちる方なのか現れる方なのかとその苦しさが分かるか?」と反論し「観客を一瞬でも驚かせたときのすばらしさ!」と呟いて息を引き取った。

感想:

“人間瞬間移動”マジックの種が“双子”と電磁波を使った“人間コピー(クーロン)であったとは。双子に驚きはないですが、人間コピーというSF種には驚きました。この種を知って、作品を見直すと、種の伏線がしっかり巡らされ、よく繋がって、双子種ではアンジャーとふたりの女性の関係が、人間コピー種ではアンジャーの殺人鬼化やカッターの謎行動などが見えてきて、すばらしいサスペンス作品に仕上がっています。

マジックとは何か?アンジャーとボーデンが出会った頃中国人の「金魚鉢」マジック(彼は常に金魚鉢を股に挟んでいて、ショーで金魚鉢をプレステージする)から「日常を犠牲にして成し遂げられる技」と学んだはずだが、アンジャーは復讐心でこれを忘れ去ったようです。

「観客を一瞬でも驚かせたときのすばらしさ!」のために科学そのものの力を提示しただけでマジックと呼べるのか?アイデンティティが問われます。

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「ジャングル・クルーズ」(2020)JUNGLE CRUISE

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ディズニーランドを代表する人気アトラクションの映画化ということで、この暑さをぶっ飛ばそうと、観てまいりました。

アマゾンの奥地に咲く永遠の命を手に出来ると言われる花“月の涙”を探す女性博士と彼女のジャングルガイドする船長の壮大な冒険旅を描くスペクタクルアドベンチャー

監督は「フライト・ゲーム」「ロスト・バケーション」のジャウマ・コレット=セラ脚本:マイケル・グリーン グレン・フィカーラ ジョン・レクア、撮影:フラビオ・ラビアーノ、編集:ジョエル・ネグロン、音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード

出演者は主演に「ワイルド・スピードスーパーコンボ」のドウェイン・ジョンソン、共演にエミリー・ブラントエドガー・ラミレスポール・ジアマッティ、等ととても豪華です。

物語はディズニーランドのアトラクションシーンから始まり、実は全く観ていない(笑)、次第に秘花を求める探検物語に入り、大自然や現地住民との遭遇、同じように秘花を求める者たちとの闘いを通して不思議世界の体験やアクションを楽しむことになります。

船旅と水に関わる物語ですから水を浴びる感じで夏の今にはもってこいです。が、アマゾンの奥地ということで虫やワニと思っていたところが、呪われたジャングルということでやたら蛇の出番が多い。蛇の嫌いな人は避けた方がいいかも!(笑)

インディージョーンズ」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」っぽい作品で既視感がありますが、そこはドウェイン・ジョンソンエミリー・ブラントのアクションと笑いたっぷりのラブコメディーにもなっていて、テンポよく展開するので楽しめます。遠景のスペクタクル映像が特に楽しめました。難しいことは考えずに船に乗った気分で観たらいいでしょう!

物語の背景に女性への敬愛、LGBTQへの配慮というテーマが隠されているのもディズニーらしいと思いましたが、少しひつこ過ぎました。(笑) 永遠の命を授かる花を手にしてどうするかなと思っていましたが、身を挺して人を救う人を救うという結末に納得。そして不老不死の苦しみを見ることになりました。(笑)

テーマ性や会話の機微、キャラクターから、小さな子供さんには向いてないと思います。

感想(あらすじを追いながら):

1916年、第一次世界戦争の最中。植物博士のリリー・ホートン(エミリー・ブラント)とその弟マクレガー(ジャック・ホワイトホール)が冒険教会博物館?を訪ねるが、女性であるリリーは中に入れてもらえない。マクラガーが集まった冒険教会員に,自分の腕に書き込んだ姉の原稿を見ながら(笑)、アマゾンの伝説「月の涙」という不老不死に役立つ花の存在を話して、伝説ではなく実際に探検した形跡があると館の保管資料閲覧を申し出るが拒否される。さらに彼は説得を試みる。

これを見ていたリリーは資料室の鍵を解き、彼女は鍵師でもある、中に入って探検衣装に変装して「フォールス冒険の旅」の資料箱から“矢尻”を盗み出した。ところがそこに変装したドイツ皇帝の王子・ヨアヒム(ジェシー・プレモンス)が「軍隊には役立つ」と現れた。リリーはそこにあった槍を持って彼と戦い、窓から外に飛び逃げた。

才色兼備で運動神経抜群の女性学者・リリーと姉のために働くゼンダー、マクレガーの登場です。このオ-プニングシーンがラストでどう描かれるか?これがテーマです。

リリーとマクレガーは冒険のための船捜しをすると、ブラジルに行くことにしました。

ラ・キーチ号の船長

オンボロのラ・キーチ号。船長はフランク(ドウェイン・ジョンソン)という男で駄洒落好き!(笑) 「右に見えるのが花崗岩、といっても加工されてない」という程度の駄洒落。笑えない!でも隣の男性がゲラゲラ笑うんです。(笑)このあたりはアトラクションなんでしょうか。

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ワイルド・スピード」のドウェイン・ジョンソンの饒舌な駄洒落に驚きです!

列車で港についたリリーとマクレガー。さっそくアマゾン冒険につき合ってくれる船捜しを始めました。ニーロ(ポール・ジャマッティ)の店を訪ねると、なんとフランクと出会います。彼はニーロへの借金が払えず、ニーロが居ないことをいいことにして、小箱を目当てに忍び込んでいた。

バーでの値段交渉。なかなか折合わないが突然トラが飛び込んできてこれと戦うフランクの武勇に期待して契約した。実はトラはフランクが飼いならしたもので、トラとの格闘は芝居だった。(笑)

アマゾン奥地秘境への出発。

マクレガーがゼンダーらしく沢山の荷物を運び込む。が、フランクは酒を残して捨てる。フランクはニーロが現れたことで慌てて出航。リリーはヨアヒムの部下に追われていた。塔に逃げて、ここから出航したラ・キーチ号にロープを掛けて乗り移るというアクション。(笑)

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ヨアヒムが潜水艦で追ってきて、浮上してガットリング銃で、水中から魚雷で撃って来る。潜水艦とラ・キーチ号のシップアクション。(笑) ラ・キーチ号が急旋回でこれらを回避し、潜水艦が桟橋に乗り上げて行動不能に!(笑)

のんびりしたラ・キーチ号の船旅にアマゾンイルカが併進する。アマゾンにイルカがいたか?雄大アマゾン川沿いの風景が楽しい。

大滝に遭遇

川が左右に分岐。リリーの強い意見で右に舵を切った。船を停めてピラニア料理を喰った。リリーが「どれほどの人が救えるか?」と花の絵を描く。フランクはその絵を見て「大切な人がひとりいればいい。そこに君の世界がある」と言い添えた。何故この言葉がフランクから出る!

ヨアヒムたちは伝説の探検家アギーレの眠る洞窟を訪ね、水を与えて呼び起こし、“月の涙“を手にするための共闘を約束した。

なんと船が絶壁の滝に出た。あわや滝壺に落下と思ったが、フランクの巧みな舵取りで助かり、左の河川を遡上する。フランクはリリーの矢尻が欲しかった。トラに盗ませようとしたがトラが船酔いでダメだった。(笑)

船を停めて陸に上がり休むことにした。マクレガーは。すっかりフランクに懐き自分がゼンダーで姉が理解してくれるのでこの旅についてきたと打ち明けた。

一方、リリーがフランクの船室を調べるといろいろな雑誌や写真が出てきた。フランクに糺すと「あんたと同じ“月の涙”を探している」と白状した。そのとき、原住民が弓矢で襲ってきた!

原住民との出会い

酋長の尋問を受ける。皆がお面を着けていた。フランクが現地語で対応している。訳してもらうと「俺を捕えてふたりを開放してくれるよう頼んでいる」という。

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酋長が「矢尻を返してくれれば歓迎する」というので「矢尻は返すつもりだが、“月の花”を探させて欲しい」と頼むと「もうやめた!」と面を外す。全員女性たちだった。フランクと酋長は知った仲だとしって、リリーとマクレガーがフランクに一発食らわせた!(笑)

酋長から“月の涙“のある場所を聞いてリリーは、フランクは当てにならないとここからは自分ひとりで行くことにした。が、村がアギーレに襲われた。

アギーレの出現

髑髏から蛇が出現。次から次へと蛇が襲ってくる。そこに蛇と植物をまとった男が「400年待った!」と現れた。400年前に探検にやってきたアギーレ(エドガー・ラミレス)だった。アギーレたちが襲ってくる。フランクとリリーはアギーレたちと戦ったが、フランクは槍で刺され谷に捨てられ、リリーとマクレガーは原住民に助けられカヌーで川に逃げ、そこでフランクに出会って、刺さった槍を抜いた。

ヨアヒムが潜水艦でリリーたちを追っていた。

フランクは自分の過去を語った。「フランクはアギーレと一緒にアギーレの娘を生かすために“月の涙”を求めてここにきて病に倒れた際、原住民たちに“月の涙”で救われた。アギーレは“月の涙“を持ち帰ろうと「矢尻を渡せ!」と世話になった原住民を殺しかけたため、巨木の聖に呪いを掛けられてここに留められた。フランクはアギーレのやり方が嫌で、彼を刺して谷に投げて逃げた。「村を救って、ここを去ろう」と月の涙を探すためにジャングルクルーを作った」と言い、「”月の涙“を見つけたら自分の呪いを解き自ら死ぬ」と話すが、リリーは「ロンドンに行こう」と反対した。

“月の涙”の争奪戦

リリーとフランクがその場所に到着したが滝壺だった。酋長が教えてくれた「水を石に変える」の意味を探るため、フランクが潜ると水を抜くレバーを見つけたが、身体が大きすぎて近づけない。リリーなら手が届くと泳げないリリーを潜らせ、口移しに空気を送って、レバーを引かせると石作りの古都が現れた。

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ヨアヒムが潜水艦で駆け、「ドイツ勝利のために矢尻を渡せ!」と迫るが、フランクとリリーは船で洞窟に入り、矢尻に隠された宝石を壁に置くと巨木に咲く赤い花ビラが現れた。天空からの月の光が陰りだし、花ビラは散って枯れ、最後の“一枚の花びら”をリリーが手にした。ヨアヒムが「寄こせ!」と迫るが、フランクがこれを受け取り、守ってくれた。

そこにアギーレたちが襲い掛かってきた。フランクが花ビラをリリーに渡し「これが最後のクルーズだ!」とマクレガーとトラを船から降ろしてアギーレたちを目がけて突っ込んでいった。ヨアヒムが「殺してやる」とリリーに寄ってきたが、巨石が落ちでヨアヒムが下敷きとなり亡くなった。

フランクは船を壁に衝突させて大量の蔦を目覚めさせ、蔦がアギーレそしてフランクを包み込み、ふたりは化石となってしまった。

リリーは“一枚の花ビラ”をフランクの唇に含ませて去ろうとしていると、フランクの顔に光が戻ってきた。フランクは「ふたりこそ僕の世界だ!」とリリーにキスし抱き合った。身を投げ出してリリーを、村人を救ったフランクに命が与えられました。これこそがディズニーの「アナ雪」以来のテーマです。

冒険を終えて、

ロンドンに戻ってきたマクレガンが博物館で「生と死の境界が消えた400年前の探検者にも会い、冒険をしてきた。皆さんのためにならないと姉は丁重にお誘いを拒否しています。こんな冒険教会はクソだ!」と話した。

さて、りりーとフランクは新車でロンドンの街に楽しそうに出かけていった。生きるということは長く生きるのではなく「たったひとりの人に会うため」で良いのかもしれませんね!

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