映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「アルプススタンドのはしの方」(2020)アルプススタンドで声出して大人になるんだ!

f:id:matusima745:20200801150125p:plain

SNSで盛り上がっている作品ということで観賞。

高校野球夏の甲子園大会1回戦に「しょうがないよ!」と駆けつける高校生活に不満、苛立ち、不安を抱く4人の高校生。アルプススタンドのはしの方で応援しているうちに自分が救われ、仲間に「頑張れ!頑張れ!」と大声が出て、自分の青春に涙するという“清々しい作品”。懐かしい自分の姿を見たようで、高校生活での悩みなんてインフルエンザみたいなもんで、“その先に人生があるぞ”と応援したくなりました。

アルプススタンドにいる4人の高校生と応援のたったひとりの先生、応援するブラスバンド部員と演奏する応援歌、それにカーンというバット音と場内アナウンスのみで、野球選手も試合も全然出て来ない。今何回なのかも分からない、こんな野球物語で、高校生の不安や悩み、憬れ、初恋、挫折、嫉妬と高校時代の微妙な感情を描き、すべてこれらが救済され、「頑張れ!頑張れ!」と届くかどうか分からないが、大声を張り上げ選手を応援した高校最後の夏。これが人生の宝物だと思わせてくれる、「このシナリ」が凄かった。「カメラを止めるな!」(2018)クラスの衝撃でした!

原作は兵庫県東播磨高校演劇部教師の藪博昌さんの2017年の全国高等学校演劇大会で再優秀賞に輝いた戯曲。監督はピンク映画、Vシネマの名匠といわれる城定秀夫さん。脚本:奥村徹也さん、撮影:村橋佳伸さん

出演者は小野莉奈・⻄本まりん・中村守里・平井亜門・黒木ひかり・目次立樹さんら、とてもフレッシュな方々でした。これが作品によく合っていました。


映画『アルプススタンドのはしの方』予告編

あらすじ(ねたばれ):

アルプススタンドのすみっこに演劇部の安田あすは(小野莉奈)と同し演劇部の田宮ひかる(⻄本まりん)が応援していた。このふたりは野球のことはさっぱり分からないならしい。なんで応援に来なの?

そこに遅れて元野球部員だった藤野富士夫(平井亜門)が到着。スタンドの上段に暗い顔した宮下恵(中村守里)がひとりで入ってきた。

応援の厚木先生(英語)が「もっと前で応援しろ!皆で心をひとつにするんだ!」と気合をかけにやってくる。

f:id:matusima745:20200801151014p:plain

5回裏らしい!すぐにグランド整備が始まった(セリフ)。

安田は地方大会出品劇の脚本を書いたが、田宮がインフルエンザに罹り大会に参加できず、また演劇の全国大会は2年置きで、今年はない。もう私の演劇生活は「しょうがない!」と諦めて野球を見にやってきた。相手の田宮はこんな安田に申し訳ないと、進んでお茶を買いにゆくようなやさしい女。

藤野はピチャーとして野球部の選手だったが、園田がエースとなり自分に出場の場がないと辞めて進学を目指すが、なかなか成績が上がらない。外野手だが打てないために出番のない矢野に、なんであいつ野球を続けるんだ!野球に未練があるのか、高校最後の試合を見にやってきた! 

遅れてやってきて3人に加わらない宮下。勉強しかやらない孤独なできる女で学業TOP。ところがつい最近の模擬試験でその座を吹奏部部長の久住智香(黒木ひかり)に奪われた。これからどうなるんだろうかと不安のなかで、試合を見にきた。藤野に「園田君は野球以外で好きなものはないか?」と聞く。藤野は宮下のこの言葉に驚いた。そこに田宮が「園田と久住ができてる!」と明かす!

4人の「しょうがない」、「青春とは何だ!」と問いながら、試合が進み、まさかの矢野がピンチヒッターで登場、またエース園田が大ピンチに陥ることで、自分たちのしょうもない気持ちが、頑張れ!矢野!頑張れ園田へと変化していく。そして青春とは「これであったか」と気付くラストシーン、みごとでした。。

感想:

野球場がなくても、ブラスバンドの演奏と歓声、バットの音で野球の映画になること。

f:id:matusima745:20200801151050p:plain

高校野球には欠かせないバントとエースの話しでこんな感動的なドラマになるとは、驚きでした。

4人が、お茶を買いにいったときのスタンドで、トイレにいったときのコンコースで、気分が悪くなってコンコースに出てと、場所と話し相手が変わり、話題が変わり、アルプススタンドでの話が、うまい演出と脚本でこんな大きな青春物語となっていくところに感動しました。

弱い対場をいやというほどに味わっている田宮が、園田と久住ができていることでダブルショックの宮下をコンコースに誘い、「私も園田君が好き!」と明かし、宮下が「同じ人がいる!」と元気になり、ピンチに陥った園田の孤独を思い、自分を重ねるように大きな声で「園田君ガンバレ!」と今まで出したこともない声で叫ぶ。これが甲子園なんだ!

こんな宮下に「あんたは何にも知らない!私は普通だから頑張っているの!報われたいと思っている!真ん中は真ん中でしんどいの!」という久住の言葉が清い。この言葉に元気をもらい、宮下は久住の演奏にナイスを出した!

出番がない矢野がピンチヒッターで出てきた。バントで塁に選手を進めた。田宮は矢野が笑っているのを見て、舞台に立ちたいと、「“あすは”、わたしあなたと芝居をやりたい!」と言い出す。これに安田が「予防注射を射っておけ!」とやる気を出す。

園田がピンチに陥ったのをしった藤野。「なんのために野球をやるんだ!勝つためだろうが!」と己を励まし、最終回、打席に立った園田に4人が「打て!、打て!、打て!」と声援を送った。「厚木先生はよく俺たちのこと知っている、協力しよう」と。

数年後の4人の姿。ちゃんと立派な大人になっている。甲子園のお陰だ!

今年はコロナウイルス騒動でこの感激にを味わえない高校生!なんとかしてあげたいですね!皆さん、劇場に足を運んで応援してあげてください!

            ****