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宮﨑あおいさんを応援します

大人計画ウーマンリブvol.12「サッドソング・フォー・アグリードーター」(2011)

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大人計画が「ウーマンリブvol.12」として、宮﨑あおいさんをヒロインに迎え「人はどこまで分かりあえるのか」を描いたホームドラマ脚本演出は宮藤官九郎さん。2011年6月/東京本多劇場で収録されたものをWOWOWで観賞しました。

目の前で人気俳優さんの顔が見えて、声を聴いて、全身で動いてる!沢山の笑のなかでの芝居見物はたまらないでしょうね!しかし、笑い過ぎてテーマを見逃すのではと心配になりました。(笑)

田舎町で老舗の和菓子店を営む父親。5年前に家出した娘が恋人だと連れて帰ったのが娘とは30歳も歳が離れた男だった。父親は娘の連れてくる男を跡取りにと思っていたが、この男を婿として向かい入れることが出来るかというコメデイ風ヒューマンドラマです。

家族の絆を描いた、クドカンさんにしてはとても大まじめな作品でした!(笑)

出演は松尾スズキ宮崎あおい田辺誠一荒川良々宍戸美和公少路勇介矢本悠馬宮藤官九郎岩松了さん。

舞台は二階家のセット。それぞれに2室あり、話題の部屋にスポットを当てながら物語が進むというとてもテンポのよいドラマでした。

あらすじ(ねたばれ):

創業93年の和菓子店“・・屋”を営む鈴木タツオ(松尾スズキ)。娘のみどり(宮﨑あおい)は5年前に家出。後妻とその連れ子トシと暮らしている。店には健一(田辺誠一)という使用人がいる。

トシは中学生だが、不登校生で二階に引きこもっている。今日もピンクビデオを観て、ズボンを降ろしたところに、わけのわからない未来の兵士だと名乗るスエオ(荒川良々)がやってきて、「君は未来に生きる人間だ!」と励ます。トシは姉をよく慕っている。

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みどりは帰ってきても父親に話もしない。掃除をしながら「ビッグサイトでのB級グルメ最終戦に親父さんと出馬を・・・」と健一が進めるのを聞いて、「伝統、伝統って何よ!」と暴言を吐いて健一に殴られた。

そこに恋人チャーリーが「ビッグマック食べた!」と現れ、みどりといちゃつく。(笑)

チャーリーは「犬吠です」と自己紹介が始まった。人形焼きが出されても食べないで弄ぶ。みどりがチャーリーのためにビールを準備する。みどりが「歳は49歳、アーチストです」と親父さんに紹介。父親が「5年間なにやっていたのか」と聞く。

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みどりはトシのオーデション申し込みで受験し7回落ちて、アイドルグループで活躍しようと思ったが仲間がシはャブで捕まり、再起と風俗で働いていてチャーリーに出会ったという。犬吠が「よく働く子だった。これからは女優になるんです!」と話すと、タツオが「まだ躾が足らんかった!」とみどりに襲い掛かるが、卒倒して苦しみ始めた。

夜、

タツオと犬吠はひとつ部屋で寝ることになった。タツオが「自分の魅力は働かないというのはどういうことか」と聞く。「街頭で商売したのが2年間ぐらいだった」。

屋根でみどりと健一は昔を懐かしんでいた。「昔は商店街のアイドルだった。よく歌ったな!」とふたりで「正当防衛で無実だ」と歌った。宮﨑さんはなかなかの歌唱力でしたよ!

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健一が「あれがなかったら付き合っていた」という。「あれ」とは、母親が健一の代わりに配達に出て亡くなったこと。「お母さんが亡くなってよかった!」とみどりは去った。(笑)

この話を二階で聞いたタツオが、犬吠に「みどりは母親を亡くしたのは自分のせいだと責めている」と話すと「何もかも自分とは反対だ。休んだことがない」と犬吠。

タツオ「みんな俺を恐れて逃げる。こんな人間ではなかった!」と嘆くと「友達からやりませんか!」と犬吠が話しかけた。そして、ふたりは寝てしまった。

朝、

タツオはみなを集め気合の掛かった体操を始めた。これが終わると犬吠に人形焼きのやり方を教え始めた。みどりがやらないで良いというが、犬吠が始めた。

なんと犬吠の作った人形焼きの味が初めてとは思えない味。使った人形焼きのコテはみどりの顔だった!(笑) 健一が「20年やったのは何だったか!」と嘆く。犬吠は「これは天職だ!」と叫んだ。そのときタツオが倒れて入院する羽目に。

みどりが病院から帰って、トシに「お父ちゃんやばいよ!死ねばいいと思っていたが徹夜で看病した。今さら好きにはなれないよ」と話すと、トシ「姉さんには犬吠さんがいるから大丈夫だ!犬吠さんは長生きする」と励ます。

ここにトシの担任先生が訪ねて来た。犬吠が人形焼きを出すが、先生は手を付けない。犬吠も「作品ですから」と手をつけない。(笑)

そこにスエオが「特殊部隊に入る」と帰って来るが、タイムスリップして子供を抱えて出てきてうどんをつくるという。なんだ、この人?(笑)

母と健一が販売から帰ってきて「よく売れる」と喜ぶ。

そこに、父タツオがひょっこり病院から帰ってきた。犬吠の人形焼きを食べて「うまい!数か月で大したもんだ。この菓子限りなくウンコだ。(笑)このクソみたいなものを継ぐんだ」と喜んだ。

トシが二階から降りてきて先生に「二学期から学校に行きたい!」と申し出た。健一とスエオがこれを褒めた。しかし、先生は「出て来なくてよい。退学届を出して欲しい」という。オシは怒って二階へ。これに罵声を浴びせるタツオ。みどりはトシを追った。

夜、

犬吠は屋根で笛を吹いていた。みどりが「あなたにお父さんの代わりはできない」と言うと「それで蔑んだ目で見るのか。俺がお父さんとは違う、チェーホフでも何でも芸術を語れる」と返事した。

みどりはもう相手にしないで自分の部屋に戻ると犬号がやってきて「お義父さんにはできないこと、子供を作ろう!」と言い出す。みどりの昔のアルバムを見て「太っているのがいい」と言う。「今が良いと言えないの!戻れないから嫌いなの、お父さんも家も・・」。

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変な音がして、

トシが二階に上がってきて、スエオが隠していた拳銃を取り出し、犬吠とはげしく争う。しばらくして、みどりが二階から血まみれで降りてきて、テーブルにあったうどんを食べ、後ろにひっくり返った。

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二階から降りてきた犬吠は「ともだちの娘さんが死んでいます」と警察に電話した。これを聞いた健一が「ともだち?」 幕

感想:

前半は人形焼を巡る会話で、それぞれのキャラクターがユーモアたっぷりに描かれ、後段、父タツオが倒れてみどりの態度が一変しシリアスな展開となり作品のテーマを見せつけ、ラストは観客に任せるという、メリハリが良く利いた作品でした。

犬吠とみどりの行き違い。みどりは家に新風をと親父を懐柔できると思ったが、ただの男だった。こんな男をトシが撃とうとしたが、中にみどりが入って弾を受けた。なんにも言わずうにどんを食べたが、そのみどりに吐いた犬吠の言葉。男はつまらん!みどりにはそれでも愛があった

人形焼きのコテがみどりの顔だった。やっとみどりが知った親父の愛だった。最期の「お父さん、たばこ!」は泣かせます。

宮﨑さん。父が入院して表情が一変。ララスにかけての女の意地。表情が世寿出たすばらしい演技でした。

荒川良々さんはお道化の役でしたが、これが笑を誘いました。よかったですね!

余韻のある終わりでした。クドカンさんお映画より良かったですよ!

宮﨑さんは2008年に宮藤監督で「少年メリケンサック」を撮り、2008年の大河ドラマ篤姫」に出演。2009年「その夜明け、嘘。」で舞台経験を踏んでの、本作出演でした。

声・顔良しそして姿が美しい。篤姫ではとても観ることのできないとんでもない宮﨑さんの演技が観れました。女の意地でうどんを食べたラストシーン、見事でした。それにしてもこの人らしい、フィナーレでの頭の低さ!驚きでした。

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