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「ウォール・ストリート」(2010)今、観る価値がある!

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前作ウォール街」(1987)から23年後、ゴードン・ゲッコーの復活リーマン・ショック前後のニューヨーク、ウォール街を描いた作品。監督は前作のオリバー・ストーンです。証券詐欺罪で8年の刑務所暮らし。刑を終えたゲッコーが何を喋るかが作品のポイントです。(笑)

今日29年ぶりのコロナ株高。サブプライムバブルから10年目、株価にとってはひとつの節目になります。ということで、ゲッコーが何を喋ったか?ということで観賞。オリバー・ストーン作品としては評価が低い作品ですが、今観る価値があると思います。

物語は、サブプライムバブルで湧くウォール街に帰ってきたゲッコーがどうマネーゲームを仕掛けるかを軸に、疎遠になっていた娘との関係修復に挑む姿が描かれます。

本作が不評なのはマネーゲームが前作の範疇で目新しいものがなく、ゲッコーが金に執着するか娘を取るかというドラマも、盛り上がりに欠けているせいだと推測します。オリバー・ストーンが家族の絆を描くなど、そもそも似合わない!しかし、“ゲッコー語録”には考えさせられるものがあり、主役はこれです

監督:オリバー・ストーン、脚本:スティーヴン・シフ、アラン・ローブ。撮影:ロドリゴ・プリエト、音楽:クレイグ・アームストロング
出演者;マイケル・ダグラスシャイア・ラブーフジョシュ・ブローリンキャリー・マリガン、オースティン・ペンドルトン、チャーリー・シーン


映画『ウォール・ストリート』予告編

あらすじ(ねたばれ):
2001年ゲッコーはアジア株高のなかで、誰の出迎えもなく連邦刑務所を出た。バブルは突然やってくると考えていたところ、2008年6月ダウ平均株価指数が高値を付けた。

ゲッコーの娘ウィニーキャリー・マリガン)はリベラル派寄りの情報を扱うウェブサイトを運営しており、クリーンエネルギー投資に意欲をもつ投資銀行セイベルのトレーダー・ジェイコブ(シャイア・ラブーフ)と婚約していた。

ウィニーが目覚めTVを見るとゲッコーがゲスト出演して「欲は善か」の著者として紹介されている。すぐにTVを消したが、ジェイコブは会ってみたいと思った。

セイベルの株価が急落しはじめた。「セイベル社の損失は業界最大で、暴落が続いている。サブプライムローンで巨額の借金に喘いでいる」と報道されている。ジェイコブは何とか株価の下げを止めよう客に呼びかけるが駄目だった。

証券世界に引っ張り込んでくれた恩師で社主のルウに糺すと「どうでもいいんだ。お前はゲッコーの娘と家庭を持て!子供を育てるうちに何が大切かが分かる」と結婚を後押しされた。

ルウは連邦準備制度理事会に救済を求めたが、C・S社(チャーチル・シュワツツ)の社主ブレトン・ジェームズ (ジョシュ・ブローリン)とジュリー・スタインハルト(イーライ・ウォラック)の策謀でセイベルは政府支援が得られず実質的に倒産、ルウは電車に飛び込み自殺した。

ジェイコブはゲッコーの講演に参加した。彼は金融相場の裏を語り「銀行も消費者もひたすら金を使いまわし“テコ入れ”(レバレッジ)と呼んで自らにステロイド注射を打っているステロイド金融だ”」とサブプライム投資をこき下ろし、「一山当てようという考えが悪を産む。レバレッジ債務とは首まで借金に浸かることだ。正常な取引に戻れ!」と結んだ。

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ジェイコブはこの講演に満足し、「娘さんと結婚します!」と近づいた。ゲッコーは「娘は株屋を好かんぞ!最近の写真がないからツーショットでないやつを1枚くれんか?」と言い、一緒に地下鉄に乗って「セイベルを潰したのはブレトンだ!2000年のインターネットバブルでC・Sが瀕死の状態にあったときにセイベルが助けなかった恨みだ!」と語った。

ジェイコブが推奨している海水利用の水素発電を開発中のUF(ユナイテッド・フュージョン)社株価が“ローカスト・ファンド”に空売りされ、社長のマスターズ博士(オースティン・ペンドルトン)から支援を求められた。
「仕返しだ!」とC・S社が手掛けているハイドラ・オフショア(ギニア沖の海底油田開発会社)の株価を下げるために、「国有化される!」という噂を流しまくって18%下げ、C・S社株が8%下落した。

ジェイコブはブレトンから呼び出され、「1臆2千万の損害だ。国有化の有無を確認したらそんな計画はない。しかし、なぜ君は儲けないのか?」と問われた。「ルウが殺されたから」と白状すると、「負債には50%のレバレッジがあったから噂が事実になった!甘く見るな!度胸があるからうちで働け!」と逆にC・S社に誘われた。

ジェイコブはゲッコーに求められていたウィニーの写真を持って会い、ブレトンに誘われたことを話すと「8年も刑務所に入れられたのはブレトンの恨みだった。お前も危ないぞ!」と脅かされた。(笑)「証拠がない」と答えると、「お前も俺と同じムジナだ!」と。
ジェイコブが「ブレトンを破滅させたい!」と意中を話すと、「俺がブレトンとローカスト・ファンドの関係を洗ってやるから、君は娘と俺の中を取り持ってくれ」という。

ゲッコーのためにとサンリー・キャバレーにウィニーを誘ったが、ゲッコーが客と株の話を始め、彼女は怒って帰った。客はオリバー・ストーンだった。(笑)

中国の投資家からC・S社に新エネルギーの投資話が来た。社はババコ・ソーラー社を推奨したが、中国側は長期的な投資視点からジェイコブが押すUF社に興味を持った。ブレトンがこれで決まりだというので、資金不足で瀕死に喘ぐマスターズ博士に伝えた。

ゲッコーからローカスト・ファンドはブレトンの個人ファンドだと連絡あり、チャリテイーデナーで会うことになった。

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チャリテイーデナーには多くの投資家が参加、この作品のなかで最も見どころのある豪華なデナーシーンです。バド・フォックスチャーリー・シーン)が美人をふたりも連れても参加していた。(笑) ブルースター航空機会社をプライベートジェットのレンタル会社にして売却したという。これは昔ゲッコーがやっていたこと、バドも悪徳投資家になったようだ。(笑)

ゲッコーがブレトンのテーブルにやってきて、「サブプライムは“くず”なのにスワップ(信用保険)を買い続けている」とブレトンの投資姿勢を批判し「俺に関する嘘は言うな!お前の本性は他言しない」と言って、この話を聞いて会場の外に出ていたウィニーのところやってきて、「昔いろいろあったが許して欲しい」と謝罪した。

TVニュースが「ウォール・ストリートに死の嵐。大手株が軒並み大暴落。米国の金融界の破綻が投資家を飲み込んでいる」と伝える。ブレトンは連邦準備制度理事会に救済を求めたが、ジュリーが余りにも規模が大きいと救済に反対し、保留になった。
バブル崩壊!とジェイコブはゲッコーの言う通りになったと思った。この時ウィニーから妊娠を告げられ、自分の責任を感じた。

ブレトンの誘いで別荘を訪ねると趣味の“オートレース”をやろうという。山岳路でのレース、この映画での唯一のアクションシーン。レースが終わって中国投資家の案件はババコ・ソーラーに決まったと明かされた。ジェイコブは倫理観欠如(モラルハザード)だと激昂して別荘を去った。

ジェイコブはゲッコーを尋ねC・S社を辞めたと告げた。ゲッコーは「ブレトンには勝てない。あいつはサブプライム空売りするような男、悪の帝王だ!次のバブルがはじけるまで混乱が続く。このバブルが怖い!手を引け!」と言い「スイスに娘名義の1臆がある。降ろして俺の口座に振り込め!洗浄のためだ、金はUF社に送金してやる」という。

ジェイコブな乗り気でないウィニーを説得してスイスに渡り、ゲッコーのいう手続きを終えたが、UF社には入金されておらず、ゲッコーの事務所を訪ねると蛻の殻だった。ジェイコブはウィニーから「あんたもパパと同じ!」と家から放りだされた。

ゲッコーはロンドンで下値の株を買い漁っていた。

ロンドンから事務所に戻るとジェイコブが待っていた。ジェイコブがウィニーの腹の中の子のレントゲン写真を見せて、「娘のために1臆をウィニーに返せ!」と迫ったが、ゲッコーの頭にはマネーゲームのことしかなく、これを断った。

ジェイコブは「ブレトン・ジェイムスと資本主義の没落」という論文を書き、ウィニーに「サイトで公開して欲しい、ビッグになれ!」と渡した。マスコミや市長の目に止まり、これが連邦準備制度理事会で取り上げられた。

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ゲッコーは1臆の投資で11臆稼ぎ、大手投資銀行家ジュリー・スタインハルトと組むことになった。さて、ゲッコーはこの稼いだ金でウィニーとの仲を取りもどせるか?

感想:
ゲッコーは娘ウィニーを尋ね「人間には許しが必要だ!孫が産まれお前がいる。色々あったが父親にできないか?お前は取らないと思うから、UF社に1臆振り込んでおいた!」と告げて去って行った。どうやらふたりは邂逅したようです。(笑)
ゲッコーの投資方針はバブルがはじけた最低価格で買うでした。こんなこと言われなくても分かっていること。しかし、難しいことですよね!(笑)

マイケル・ダグラスはまり役でしたね!楽しかったです!ゲッコーは本当に改心したんですかね。“欲は善”ですから!(笑) 念のためゲッコーのバブル論を書いておきます。

バルブの元祖はカンブリア紀爆発だ。前例のないことが一瞬に起こった。これを機に数えきれない新種の生き物が出現し、我々が生まれた。人類なのだ、つまりバルブは進化をもたらすものだ。進化のバルブは自然界を淘汰し決して死なず別の形で蘇る。それは弾け、新しい時代を創る。変化に終わりはない。次のバブルはエコ・エネルギーだ。さて、バイデン登場でどうなるでしょうか?
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