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「461個のおべんとう」(2020)“食は人なり””人と人を結ぶ”

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弁当作りを3年間=461個、毎日欠かすことなく作り上げた人気ミュージシャンの父親と息子の心温まる物語。原作は音楽ユニット「TOKYO NO.1 SOUL SET」の渡辺俊美さんが息子さんとの実話を綴った「461個の弁当は、父親と息子の約束」。

NHKの朝の顔であった井ノ原快彦さん主演ということで、観ることにしました!タイトルからその結末は分かるような作品、料理と音楽が・・と思っていましたが、しっかりしたヒューマンドラマで、井ノ原さんでなければ描けないドラマ、「全部うまくいく気がする」がテーマです!(笑)

 “食は人なり”と言われますが、まさにこれをしっかりで描いた作品でした。シングルファーザーと高校生の息子が弁当を通して変化していく関係を、昔食べた弁当を思い出し、自分を重ねながら、楽しみました。美しい弁当に挑戦して作ってみたくなります!大したことはなんにも起きない日常が、それが人生だと、愛おしくなるような作品です。

監督は「キセキ -あの日のソビト-」の兼重淳さん。脚本:清水匡 兼重淳、撮影:向後光徳、音楽:渡辺俊美、主題歌:井ノ原快彦、道枝駿佑「Looking’4」。

主演は井ノ原快彦、道枝駿佑(なにわ男子/関西ジャニーズjr.)。共演は森七菜、若林時英、映美くらら工藤遥、坂井真紀、倍賞千恵子。多くの女性のお目当ては道枝駿佑さんでしたね!劇場を出る時にため息が聞こえます。(笑)


映画『461個のおべんとう』予告映像

あらすじ(ねたばれ):

冒頭でバンド「Ten4 The Suns」メンバーの鈴木一樹(井ノ原快彦)と専業主婦の周子(映美くらら)夫婦に長男・虹揮が産まれ、一樹がバンド活動、周子もアルバイトを始め、ふたりのすれ違いで遂に離婚。一樹と虹輝ふたりの生活が始まり、虹輝が高校受験に失敗したが、頑張って高校進学が決まったところから、「461個のおべんとう」の物語がはじまります。なぜ別れたの?虹輝はなんで父親を選んだの?と疑問が出ますが、本筋の物語のなかでちゃんと分かるので気にしないこと。むしろピンボケのスタートがこの物語「全部うまくいくように思える!」に合っているように思えます。(笑)

「Ten4 The Suns」メンバーがライブで唄う「Oh Baby!」で、一樹がいかに虹輝を愛し、離婚で罪悪感を抱いていたかが分かります。ライブもしっかり雰囲気があってよかったです!

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虹輝が高校生ということで、一樹はその生活に責任を持とうと、高校3年間休まず学校に行くことを条件に、毎日の弁当作りを約束した。

早速料理本と食材、弁当箱など必要品を揃え、弁当作りに入った。一樹の包丁の使い方も立派、揚げ物、煮物の作り方など手際よくやってしまう。どの弁当にも卵焼きを必ずつける。彼の食事を作る力は故郷福島で身につけたものだった。それでも461個作るのは大変だ!作った弁当を写真に撮って、インスタグラムに載せる。

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インスタグラムの乗せることで食べた虹輝を含む多くの人の評価を知ることができ、最大のメリットは弁当を作ることを止めることができず、自分で自分を励ましながら、料理の腕を上げることになっていった。空の弁当箱を見るとそれが励みとなり、さらに調理器具にも工夫を凝らしていく。

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最初に作った弁当がしょうが昆布。桜エビ・小松菜弁当は虹輝も喜んでナイスをつけた。ライブ開けに飲んで酔払って帰り急いで作った梅干しオムライス、虹輝は恥ずかしくって隠れて食べた。(笑)

1年遅れの高校生・虹にはプライドもあり、友達がなかなか作れなかったが、出汁のみで勝負の卵焼き弁当で、仁科ヒロミ(森七奈)と田辺章雄(若林時瑛)という友を得た。ヒロミはこの弁当を食べるために学校に来るみたいだった。(笑)

弁当を作るようになって一樹の曲作りにもいい影響が出て、レコーデイング担当・矢島真香(阿部純子)から良いアルバムが出来そうだと喜ばれる。

1年生の夏休み。北海道フェスに誘っても行かなと言い、「何でパパは離婚したの」と聞き、部屋に篭ってしまった。この年頃特有の精神感情が出てきたようだった。

虹輝は1年上で中学同級生の柏木礼奈(工藤遙)に会い、恋して、髪を染めダイエットが始まった。何度もヒロミに「やめとけ!」と促されたが止まらない。ダイエットのために弁当を残し、遂に父一樹に見つかった。一樹は「食べ物は大切にしろ!」と言う以外に叱らなかった。

一樹は虹輝のダイエットを心配し、食べて欲しいとダイエット弁当を考案。矢島真香を連れて飲んでいても、店主にメニューを相談してカウンターで作るという有様。一樹に好意を持つ真香もこの親子の関係に驚く。

弁当がカバンに入らないと持っていくことを渋る虹輝に、きちっとカバンを整理して弁当を入れ、「うまく行くと思えばうまく行く!嫌なことに後向きになるな!自分に自信を持て!」と励ました。が、虹輝が「父さんは上手くいっているのは周りに甘えているから、母さんにもそうだった!」と反発し、母親を尋ねて「俺には父親を選べる」と母・周子とその恋人と一緒に生活したいと漏らす。周子は当惑した。

虹輝の柏木への想いは柏木に彼氏がいることがはっきりして、ヒロミに救われ、柏木を諦めることができた。(笑)

一樹も虹輝の扱いに不安を抱き、純子さんに「息子に会ってくれないか!」とプロポーズするが、「私が一樹さんと一緒になったら、虹輝君がどうなるの!あなたは先を想像しないから怖い!」と一樹の申し出を断った。

一樹と虹輝の間に起こった分裂危機。一樹は初心に戻り、最初の弁当レシピから見直し、“父親の味”に賭けて弁当作り続けることにした。虹輝もいつものように弁当を持って登校した。

虹輝は3年生となり、大学進学を目指し予備校に通うが、学科の方も難しく、将来への不安から、追い込まれていった。ヒロミが息抜きに遊ぼうと言ったことに強く反発したことから、友達を失ってしまった。

こんな時に、一樹は福島のコンサートに出演するため、しっかり弁当を作って、メモを残して、家を出て、震災地を見ているところに、学校から虹輝が登校していないという知らせが入った。一樹は周子に虹輝と連絡を取るよう連絡してコンサートに出演し、久しぶりに実家に寄り母の菜津子(倍賞美津子)と姉の咲江(坂井美紀)に会っていた。

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母から「一樹はなんでも食べるから大きな男になる!」と言われ、食の大切さを再認識し、母の作る料理を手伝っていた。倍賞さんが喋る福島弁は心に沁みます!こんな母に育てられたら、一樹のような心の大きな男になれます。

虹輝はひとりになりたかった!ひとりになってみて友人の有難さを知り、ヒロミに謝罪した。

虹雄はヒロミ、章雄と一緒に遊びに出ての帰りに母周子のカッフェを訪ねると、一樹の弁当が話題になった。周子が「明日の弁当を作らせて欲しい」と一樹に電話してきた。

さて、一樹は母の作った弁当を持って学校に行ったか、父との約束が試されるときがきた。

感想:

虹輝は父の作る弁当で将来の友を手に入れ、不安な青春期をうまく乗り切り、大学生を目指す。一方、一樹も弁当を作りことで虹輝の心情を把握して強い父子の絆が結ばれ、バンド仲間との友情に恵まれ、一樹にとっても大きな成長でした。予想したとおりの展開ですが、臨場感のある音楽ライブシーン、鎌倉というロケーション、感情のこもった俳優さんたちの演技を楽しむことができました。

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全部うまくいく気がする」という人生観。福島の婆ちゃんが説く「何でも食べる子が大きく育つ!」という言葉。「食は人なり」です。一樹は大らかな人柄で、食体験から出た素晴らしい言葉を持って生きています。

卵焼きは弁当の基本。何度も見せてくれますので挑戦しなくてはなりません!

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