人の痛みが分かる人間!記憶に残る作品になりました!
国民的アニメ「ドラえもん」ということで観賞。本作で2本目、一見さんです。本作は前作で描かれた「のび太の結婚前夜」の翌日である結婚式当日を舞台に、のび太としずかの結婚式を描くというもの。
ある日、優しかったおばあちゃんとの思い出のクマのぬいぐるみを見つけたのび太は、おばあちゃんに会いたいと思い立ち、タイムマシンでお婆ちゃんに会うと「あんたのお嫁さんをひと目見たくなっちゃった!」と言われ、未来の結婚式を見せようと決意する。タイムマシンで未来の結婚式場にやってくると、新郎のび太はしずかの前から逃げ出していた(笑)・・。
新郎のびたに何があったのか。家族や親友に会って、しずかと結婚する意義を確認する旅が描かれます。
のび太のいろいろなエピソードに、観る人の人生が重なって、あんなこともこんなこともあったとうるっとします。3Dアニメで“肌の温もりが伝わる”作品になっています! 子供たちは秘密の道具で飛び回るのび太の活躍を楽しみ、のび太の育ち方を疑似体験することになるでしょう。
物語の展開はのび太とドラえもんが現在・過去・未来を何度も行き来するため、時空の移動の仕方、今どの時空にいて何しているのかと時空の謎解が面白い。これが同時に起こっているから厄介だ!「アベンジャーズ」、「スパイダーマン:スパイダーバース」、「TENET」の時空への飛び方。年寄りにはちょっときつい!(笑) 観客は幼稚園以下の子供さんが大半と見ましたが、どの程度理解されたかと。
原作:藤子・F・不二雄、監督・編集:八木竜一、脚本・共同監督:山崎貴、音楽:佐藤直紀、主題歌:菅田将暉「虹」
『STAND BY ME ドラえもん 2』スペシャルPV ~菅田将暉「虹」ver.~
あらすじ(ねたばれ):
あすは結婚という夜、未来ののび太はジャイアン、スネ夫、しずかと一緒に飲んで、オートドライブ車で自宅に帰りながら、あのころの想い出に浸っていた。
小学校年生ののび太、学校から帰るとお母さんが0点の答案を出して小言。0点の答案はこれだけでない、他のものを隠そうとして古い熊のぬいぐるみを見つけた!やさしかったお婆ちゃんを思い出し、会いたいとドラえもんと一緒に時空のトンネルをタイムマシーンで3歳だった過去に飛んだ。
しずかちゃんを虐めるちいさな俺を俺が叱ると「なぜ叱るの!」と怒る母さん。(笑) 母さんは俺に気づかなかったが、おばあちゃんはいつものように暖かく迎えてくれて、「ランドセルを背負ったのび太を見たい」という。一度現在に戻ってランドセル姿で会うと、結婚式姿を見たいという。「ちょっと待って!見せてあげる」と、ドラえもんと一緒に未来の結婚式場に飛んだ。
未来都市。トイレにタイムマシーンを隠して、タケコプターでプリンスメロンホテルに。すばらしいホテルだった。玄関でジャイアンとスネ夫が「のび太がこない!」と待っている。タイムふろしきときせかえカメラで新郎ののび太に化けた。ドラえもんはスモールライトで小さくして耳に載せ式場に。祭殿で愛を誓って、披露宴に。スピーチに立ったが、話せない!「新郎のび太を探すしかない」と式場を抜け、“たずね人スエッキ”で新郎のび太を探そうとするが、ドラえもんが道具箱を家に置いてきたという。現代に戻って取ってこようと公園に戻るとタイムマシーンがない!どうやって現在に戻るの?
ドラえもんが“たましいマシーン”を使えという。こんな便利なものがあるんだ。たましいマシーンで「お婆ちゃんに会いにいく前の自分に乗り移れ!」という。この方法で道具箱を持ち出し戻ってきた。ところがこれでのび太がふたり出来ちゃった。分けわからない!(笑) ドラえもんが“ワスレンボー”で俺の頭を叩くと、元に戻った。(笑) 新郎のび太は何処にいるか」と“たずね人ステッキ”で探すと、なんと現代に家にいるではないか!
手に入れたタイムマシーンで現代の家に戻ると、新郎のび太(新のび)が「飲み会終わってひとりになって将来のこと考えたら怖くなった。俺、しずかさんを幸せにできない。俺、危なっかしい」と泣く。ドラえもんが“タイムテレビ”で1年後のしずかを覘くと、「いつか帰ってくる。信じている」というしずかさんが居た。
新郎のび太が「昔に戻ってやり直したい」というから、新郎のび太とのび太が“入れかえロープ”を繋いで入れ替わった。(笑) 入れ替わった新郎のび太を新のびという。のび太はタケコプターで新のびを上空から監視することにした。
ジャイアンとスネ夫たち野球仲間が何もできない新のびを加えて野球をやっている。新のびの満足そうな顔!
そこに“入れかえロープ”のセールスマン・ナカメグロがやってきて「あれは欠陥品で1時間で記憶が冷える!」という。慌てのび太とドラえもんが上空から新のびを探す。
新のびはワルがきに因縁を付けられ、スクーターで逃げた。昔知った狭い路地を駆け抜けて、・・・。しずかちゃんを見つけて、「年下中学性のくせに何している!」と手を出して、逆に殴り返される。(笑)
上空から喧嘩する新のびを発見したのび太とドラえもんが助っ人に入った。のび太がのび太を殴った。(笑) ジャイアンが相手をノックアウトして喧嘩は終わり。新のびが「俺、守れたかな!」としずかちゃんに聞くと、「う」}と。新のびがスクーターで転倒しでのびた!(笑)
「時間がない!新のびを元にもどさなければ」と“入れかえロープ”を繋ぐが、ロープが「嫌だ!」と作動しない。(笑) 新のびが「ジャイアンやスネ夫、しずかちゃんとの想い出が消える」と大泣きすると、「魂」が動き出して元に戻った。(笑)
しずかちゃんが「喧嘩なんかしなくていい、いまのままでいい」とのび太を抱いて泣いた。それを新郎のび太が見ていた。
新郎のび太が「何故のび太という名を付けたがしりたい!」というから、一緒にタイムマシーンでのび太出産時の月見台病院に飛んだ。お父さんが「健やかに大きくどこまでも伸びて欲しい」話すのを聞いて大満足して、未来都市プリンスメロンホテルの結婚式場へ飛んだ。ここでのび太はお婆ちゃんを迎えに行くと新郎に告げて、過去へ飛んでいいった。
結婚式。なんとかスピーチに間に合った。晴れ上がったガーデニングパーティ―ルーム。新郎のび太は「みなさんこんにちは。野比おび太です。実はこの名前が僕は嫌いでした・・・」と見事なスピーチで会場から大拍手だった。
覘き見していたお婆ちゃん涙を見せて「見せてもらいましたよ」とドアーの中に消えた!
新郎のび太は「僕は幸せになるために戻ってきた。それがきっとあなたを幸せにするって事だから。」としずかさんに話しかけた。「よくできました!」としずかさん。
感想:
明日は結婚という夜、未来ののび太は自宅でひとりになり、これからはしずかとふたりで頑張ろうと力んで、不安に襲われたんでしょうね!冒頭シーンが光る物語でした。
昔を思い出し、家族から貰った力や愛情、仲間の友情を確認し「ひとりではない、皆の力を借りてやってゆけばいいんだ」と確信。しずかさんを幸せにすると自信をもって披露宴のスピーチに望み、すばらしいスピーチでした。
作品のテーマは全てこのスピーチにあります。すばらしかった!なかでも「人の痛みが分かる人間に育てられた」という件、この言葉に泣きました! あまりにもこのことが今の世に欠けています!
もうひとつのテーマ、現在・過去・未来を何度も行き来する、あるいは同時に起こっているという時空の問題。披露宴でのび太がスピーチできず新郎のび太を探しに出て、トイレに置いたはずのタイムマシーンを探すシーン。ふたりの“のび太”がいて、未来にいるのび太と過去ののび太のニアミス。これ「TENET」(2019)の逆行ですね!(笑) 新郎のび太が現生の生活を体験するというシーンはふたりの“のび太”登場で混乱します!(笑) 時空で色彩を変えるどいうアイディアはよかった!
山崎さんのやりたかったことはこれですかね!大ヒットには程遠いですが、記憶には残る作品になりました!
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キャスト:
大人ののびた:妻夫木聡
しずか:かかずゆみ
おばあちゃん:宮本信子
入れかえロープ:羽島真一
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