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「子供はわかってあげない」(2021)タイトルが?で心配したが、爆笑もので、乙女の“ひと夏”の青春物語、夏に観るべき作品だった!

「戦争?原爆?」と予備知識なしで、タイトルで観ることにしました。(笑) 監督が沖田さん、どんな物語なるのかと興味がありました。なんと爆笑もので、乙女の“ひと夏”の成長物語、夏に観るべき作品と感動しました!

監督:横道世之介」の沖田修一原作:田島列島脚本:ふじきみつ彦 沖田修一撮影:芦澤明子編集:佐藤、崇音、楽:牛尾憲輔

出演者上白石萌歌細田佳央太、千葉雄大古舘寛治斉藤由貴豊川悦司、湯川ひな、中島琴音、他。


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あらすじ(ねたばれ:注意):

冒頭、TVアニメ「魔法左官少女バッファローコテコ」を観て、泣いて、笑い踊る高校3年生の水泳部員・朔田美波(上白石萌歌)と父の清(古舘寛治)。どこかおかしい!(笑)TVが終ると弟と鬼ごっこ。「やめなさい!」と台所から顔を見せる母の由紀(斎藤由貴)。とても仲のいい家族、ここに秘密があった!

水泳部の練習風景。美波が泳ぐ。気持ちよさそうに泳いでいる。(笑)コーチの「試合には勝てないから健康管理に専念せよ!」と部長は「気を引き締めて!お疲れ様!」の言葉で終った練習。これもどこかおかしい(笑)。

立ち入り禁止になっている屋上に誰かいる?走って!走って!屋上に上がるとそこに書道部の門司昭平(細田佳央太)が大きなキャンパスに文字を書いていた。お互いが紹介し合う会話は「魔法左官少女バッファローコテコ」語さっぱり分からないが、笑った!美波が「ここが出入り禁止、なのに何故鍵もっているの」と聞くと「兄からもらった」という。兄って何者? (笑)

美波が門司の屋敷を訪ねると大豪邸!家に入ると門司が書道塾の講師をやっていた。部屋に通された美波は何気なく床の間に置かれた書箱を開けるとお札があった。自分の誕生日に送られえてきたお札と同じもの。門司に聞くと「祖父が頼まれて書いた信教宗教の札だ!」という。美波には産みの父がいた。美波が「その教祖を知りたい」と頼むと「兄が探偵だから頼みに行こう」ということになった。

美波は門司とその兄・明太(千葉雄大)に会いに行った。古本屋で働いていた。なんとトランスジェンダーだった。「探し者の名は藁谷」とお願いすると「犬猫を探す探偵だがやってみる」という(笑)。

水泳大会。門司と明太が応援に来ていた。美波は泳いだが予選漏落ち。美波は緊張すると笑いが出ると笑いながら泳いだ。(笑)これで美波の高校生活は終わり?コーチは「人生で頑張れ!」と言い、部長は「お疲れ様!」と。(笑)

明太が門司にパンフレットを渡して帰っていった。(笑)そこには「教祖は谷光海で前教祖が藁谷友充」とあった。なんで明太は自分で説明しないで帰った!

美波は友達のミヤジ(湯川ひな)に父親のことを話すと「解脱されるよ!それやばいよ!」という。(笑)美波も怖くなった!

美波は門司に相談に行った。門司は子供たちに「本当にうまい字は半紙を出る!」と教えていた。(笑)美波は字を練習した。アニメから「左官」という字を書いたが(笑)、門司が「会いに行くのはやばい!暗殺かも、逃げろよ!」というから「暗殺」の文字を書いた。「父がいるし(教祖を)お父さんと呼ぶのか?」と心配すると門司が「親子丼があるが親子には見えない。が、親子に見える」と元気づけた。(笑)

母には水泳の合宿にいくと嘘ついて、父は不要なんだけど父が入るというから、母と父の写真を撮って、教祖を訪ねた。(笑)

父を明太と訪ねると「私、藁谷友充(豊川悦司)です」と几帳面な挨拶。そこにじんこちゃん(中島琴音)という女の子いた。父が「孫だ!」という。じんこの母(兵藤公美)がやってきて「私に似ている」という。まさか・・。(笑)明太には帰ってもらった。

父とは自己紹介から始まって、家族のこと、好きな食べ物、趣味など話すうちに父と娘になっていった。「夏虫の愛」という菓子をバリバリと音を出しながら食ってから一気にふたりの距離が近づく!(笑)

父は「若いころは人の脳の中が見えたが次第に見えなくなり教祖を辞めさせられた」と言い、今では指圧師として働いていた。

当初、ふたりの会話はどこか変で、美波が殺されるんではないかとスリリングで、おかしみがあった。(笑)

父は「教えられたものは、教えられる!」と「じんこに水泳を教えてろ!」というので教え始めると、「自分にも教えろ!」と言い出す。3人で海に浸かった。

1泊が2泊3泊となり、水泳合宿中のミヤジが美波に電話するが通じない。心配して明太に電話すると、明太は「美波がいない!」と門司に伝えた。(笑)

門司は美波が習字で書いた「暗殺」の文字を見て、“やばい“と美波が訪ねた海に行った。美しい海だった。しかし、海に美波はいない。泣いて砂浜に「朔田美波」と書いた。するとぽっかり海から美波が浮かび上がった!(笑)

美波は門司を連れて父の家に戻ると、父は庭に展張したテントの中にいた。これ、父の気配りだった(笑)。美波がシャワーを使っている間に父が門司に酒を飲め!飲め!と勧め始めた。門司が「(美波に)似ている!」と言うから藁谷は門司を気にいって「もじ」と字を書いた。(笑)

父は「この男好きか?」と聞いて、「お前なら大丈夫だ。お母さんと向こうのお父さんがしっかり育ててくれているから感謝している。誰を好きになっても美波がそんな風になってよかった。カレー食べるか?」と聞いた。(笑)

次の日、美波と門司が帰っていくのを父が見送ったが、美波が振り向かなかった。(笑)

ソファーで寝そべっている美波に父・清が「取り貯めたトラコのビデオ観るか?」と聞くと「いい、お父さん、呼んでみただけ、後で観る」と答えた。父は大好きなプラモデルを楽しんでいた。お父さんも美波に気を使っていたわけだ!

美波が母に父に会いにいったことを話すと、「お父さん元気だった!」と聞いた。嘘ついたことを謝ると「お札が送られてきたとき何も聞かなかった。美波なりに家族を守ろうと思ったのではない」と言い「会い行っていい」ということになった。

美波が学校での水泳練習に参加していた。終わって、誰もいなくなったプールサイドを掃除していて、水で「もじくん」と文字を書いて屋上を見ると誰かいる。上がっていくと字を書く門司だった。美波が正座すると門司も正座した。美波から「好きだ!」と告白した。このシーンに笑い。

感想

タイトルの意味が観終わって分かるという作品冒頭、TVアニメ「魔法左官少女バッファローコテコ」を観ながら踊る父娘のシーンにはじまり、殺されると思っていた実父に会い、この父とこれ以上ないという美しい海で泳いで、夏の終わりにこれまで呼ばなかった父を“お父さん”と呼ぶまでの経緯、タイトルはそういう意味だったの!という作品でした。

この結末にくるまでの話が、出てくる人が皆な“どこか変”で、きっと作品の中で語られる“優れた字は半紙を出る”という言葉どおり普通の人とは一味違った人たちで、笑っている内に、実はとてつもない親子の愛の物語で、その愛に預かってすばらしい恋をするという物語でした。沖田監督の最高傑作ではないでしょうか!

上白石萌歌さんと細田佳央太さんの、真面目な高校生なのにどこかおかしい会話。これを自然な形で演じるお二人の演技がとてもよかった!豊川悦司さんと古舘寛治さんもどこかいつものおふたりではなかった!(笑)こういう人を見ていると世の中楽しくなりますね!蘊蓄に富んだ会話も忘れられない!面白かった!

千葉雄大さんのトランスジェンダー。この兄をこよなく愛する弟という設定、今の時代、こんな設定あたりまえというのがよかった。千葉さんも演技がまたよかった!

プール、海の映像が美しい。空撮で撮った浜辺の映像が、夏らしく、すばらしかった。

これまで夏の定番は「避暑地の出来事」(1959)にしていましたが、これからはこちらに変えます!(笑)

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「夏の日の恋」


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