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「アイネクライネナハトムジーク」(2019) 結婚は出会いより、「会えてよかった」と愛する努力!

 

三浦春馬さんが亡くなって3年(2020年7月18日)、爽やかな笑顔を思い出してこの作品を選びました

監督が恋愛ベタな若者を描いて評判の今泉力哉さんで(笑)、三浦さんの主演作品。今思えばもっとしっかり恋をさせてあげたかったと三浦さんご本人の性格が出たような作品です。

アイネクライネナハトムジーク」ってどんな意味があるのかもわからず観ましたが次から次へとネタが繋がり、意味深いセリフのある滅茶面白い悪品でした。

原作:アヒルと鴨のコインロッカー」などの映画作品で知られる伊坂幸太郎の同名連作短編集。監督:「愛がなんだ」の今泉力哉脚本:伊坂原作を多く手掛けてきた鈴木謙一、撮影:月永雄太、編集:相良直一郎、音楽:斉藤和義、主題歌:斉藤和義

出演者:三浦春馬多部未華子矢本悠馬森絵梨佳恒松祐里、荻原利久、貫地谷しほり原田泰造、他。

物語は

仙台駅前で街頭アンケートを集めていた会社員の佐藤(三浦春馬)は、ふとしたきっかけでアンケートに応えてくれた女性・紗季(多部未華子)と出会い、付き合うようになる。そして10年後、佐藤は意を決して紗季にプロポーズするが……

佐藤と紗季を中心に、美人の同級生・由美(森絵梨佳)と結婚し幸せな家庭を築いている佐藤の親友・一真矢本悠馬)や、妻子に逃げられて途方にくれる佐藤の上司・藤間(原田泰造)、由美の友人で声しか知らない男に恋する美容師の美奈子(貫地谷しほり)など周囲の人々を交えながら、不器用でも愛すべき人々のめぐり合いの連鎖を10年の歳月にわたって描き出す。(映画COM)


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あらすじ&感想

佐藤は、無断で欠勤した上司の藤間の責任を取らされて、仙台駅前の大型ビジョンを望むペデストリアンデッキで街頭アンケートを行っていた。大型ビジョンにはヘビー級ボクシングの世界チャンピオンが映し出されていた。ウィンストン小野(成田瑛基)が相手の黒人選手に挑んでいた。

佐藤は、近くでストリートミュージシャンの弾き語りに耳を傾けていた紗季が近付いてきたので、アンケートをお願いすると「立っているのは大変ですね。仕事欄は無職でもいいですか?」と声を掛けて応じてくれた。その手の甲に“シャンプー”と書いてあった。分けを聞くと「忘れるから!」と笑った。その笑顔に佐藤の胸が騒いだ! 

藤間の欠勤した理由は些細なことが溜り積もって夫婦喧嘩し、妻と子供が家から出て行ったことだった。藤間は「出会いは妻が落としたサイフを拾ったことだ」という。

佐藤は大学時代からの親友の織田一真の宅に立ち寄った。「こんなことがあった」と紗季との出会いを話すと「お前、彼女ができたのか?出会いはどうでもいい。あとでこの人に会ってよかったと思えることだ」という。

一真には美人の妻・由美とふたりの娘がいた。いつ訪ねてもポルノ本をほっぽり出し、子供と遊んでいる、一見その系の人に見える料理人。(笑) 一真は大学時代、偶然由美と出会い積極的に逢瀬を重ね、由美が妊娠した。すると一真は躊躇することなく大学を辞めて居酒屋で働き家族を養うと決心した熱い男だった。

美容師の美奈子。常連客の板橋香澄(MEGUMI)から「良い男がいるから付き合ってみないか」と言われ、その気はないと答えたが、後日電話で「姉の板橋から聞きました」と男から電話があった。美奈子はこの電話の声にときめきを感じ合うとヘビー級ボクシング世界チャンピオンの小野だった。小野は美奈子にプロポーズした。

美奈子は小野を伴って友人の由美を尋ねた。「世界チャンピオンだ!」と驚く織田と佐藤に小野が“サインの色紙”を送った。佐藤はこれをボクシング好きの藤間にプレゼントした。

佐藤と織田が同級生の結婚式に参加する日、小野のタイトル防衛戦の日だった。会場には、藤間が娘と一緒に観戦していた。

披露宴が終わり、夜帰宅途中に渋滞に巻き込まれ、いらいらしているところで、警備員として誘導灯を振る紗季に出会った。佐藤は結婚式での引き出物“シャンプー”を渡し、これが縁でお付き合いが始まった。一方、ウィンストン小野は試合に敗れ、チャンピオンベルトを失った。

こんな調子で次から、次へと人の環がつながり、それぞれの出会いと結婚が明かされるが、出会いが結婚に繋がらなかったのは佐藤と紗季だけだった。

 

それから10年後。

ファミレスで食事する久留米家の会話から物語が始まる夫・邦彦(柳憂怜)、妻マリ子(濱田マリ)、息子・和人(荻原利久)。

邦彦はウエイトレスが持ってきた料理が、注文したものと間違っていても、文句を言わず食べる人。これに「ペコペコする親父が嫌だ!」と怒る和人。「お父さんは、昔はお前と同じだった。偉そうにするな!」と母親が叱る。どんな出会いでこのふたりは夫婦になったのか。(笑)

和人は織田の長女・美緒(恒松祐里)と同級生

美緒はだらしない父親・一真が大嫌いが、美しい母親が父親を信頼するのを見て、父親の良さがわかってきた。美緒は通学時に起きた自転車トラブルの解決に父親似のあっち系で強そうな和人の助けを求めた。一方、和人も弱弱しい父親だと批判するが、父親のやり方を真似て、美緒がファミレスのアルバイトで客に絡まれているところを救う。(笑) 美緒と和人は両親を見て夫婦になってよかったと認めていた。ふたりは

佐藤は小野が再度世界チャンピオンに挑戦する決意をTVインタビューで「この機会を持つことが出来たのが妻のお陰だ」と語るのを見た。また電話で藤間が「サイフは妻がわざと落としたんだ」と伝えてきた。

佐藤は紗季に結婚指輪を渡し結婚を申し出たが、紗季は「今更何を言っているの」と帰っていった

小野がチャンピオン戦に再挑戦する日ストリートミュージシャンの歌が流れるなかで、佐藤がバスに乗る紗季を見た。バスを追っかけて、追っかけて仙台の街を走る。井坂作品ですから走る!(笑)

バスが走り去ったので、佐藤が戻ろうとすると、知覚障害をもつ子供が倒れており、介抱しているところに紗季が現れた。佐藤は「紗季に会えてよかったと伝えたかった」と話し、紗季をバスに案内し笑顔で見送った。

小野のタイトルマッチ戦は判定で敗れはしたが、いい試合だった。織田も藤間もこの試合に元気をもらった。紗季が笑顔で佐藤のアパートに戻ってきた。

 和人が、仙台駅前の大型ビジョンを望むペデストリアンデッキで、ストリートミュージシャンの弾き語りに耳を傾けているところに美緒が近付いてくるというラストシーン、出会いが未来に繋がっていく愛の物語、みごとでした!

まとめ

佐藤は紗季と出会って10年経って結婚を申し出たが、紗季は「今更何を言っているの」と家を出て行った。「紗季に会えてよかった」という言葉が出なかった。

 「出会いなんかどうでもいい」をテーマに結婚生活の秘訣を説き、井坂作品の疾走感や伏線の張り方の面白さ、印象的なセリフがあり、とても楽しめる作品でした

伏線のひとつが仙台駅前の大型ビジョンを望む“ペデストリアンデッキ”、もう一つがここでの弾き語り、“ストリートミュージシャン”です。仙台という街の空気感、斎藤和義さんの音楽、現地オールロケが、人と人の繋がりを爽やかで暖かく描かれました。

三浦春馬さんが、ちょっと掴みどころのない男を演じましたが、ラストシーンの笑顔は天下一品。この笑顔が忘れられない!

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