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「ザ・クリエイター 創造者」(2023)人類はAIと共存できるかを問う!

 

「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」のギャレス・エドワーズが監督・脚本を手がけた近未来SFアクション。ということで観ることにしました。

原案:ギャレス・エドワーズ脚本、撮影:「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」でタッグを組んだクリス・ワイツ、グレイグ・フレイザー美術:「スターウオーズ」シリーズ、「アバター」のジェームズ・クレイン衣装:「プレートランナー2049」のジェレミー・ハンナ編集:ハンク・コーウィン ジョー・ウォーカー スコット・モリス、音楽:ハンス・ジマー

出演者「TENET テネット」のジョン・デビッド・ワシントン、「インセプション」の渡辺謙、「エターナルズ」のジェンマ・チャン、「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のアリソン・ジャネイ、本作で映画レビューのマデリン・ユナ・ヴォイルズ、他。

物語は

2075年、人間を守るために開発されたはずのAIが、ロサンゼルスで核爆発を引き起こした。

人類とAIの存亡をかけた戦争が激化する中、元特殊部隊のジョシュアは、人類を滅亡させる兵器を創り出した「クリエイター」の潜伏先を突き止め、暗殺に向かう。しかしそこにいたのは、超進化型AIの幼い少女アルフィーだった。ジョシュアはある理由から、暗殺対象であるはずのアルフィーを守り抜くことを決意するが……。(映画COM)


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

ロサンゼルスでの核爆発以来、アメリカをはじめとした西側諸国がAIを危険視完全禁止する一方で、アジア圏(ニューアジア)ではAIテクノロジーの開発を継続し、シミュラント”と呼ばれる人間のようなAIロボットの恩恵を享受しながた共存。このため西側諸国とニューアジア、人類とAIの熾烈な戦争が10年にわたり続いていた

西側とビューアジアが戦争状態という設想は、エドワーズ監督が旅行好きで各国を見てまわりアジアの神秘性に憧れこの設想にしたというが、ベトナム戦争はじめ多くのアメリカが仕掛けた戦争にみるように、地政学的に現状に近く、宗教的視点からも妥当だと気に入っている。日本がアメリカから離れているというのが面白い。そうあってほしい。(笑)

2065年、ジョシュア(ジョン・デビッド・ワシントン)はニューアジアのコ・ナン地区に潜入し、AIロボット調査の任務に就いていた

シミュラントである妻・マヤ(ジェンマ・チャン)は妊娠中で、ふたりは海辺のハウスで休日を過ごしていた。そこに宇宙要塞と言われるノーマッドに支援された米軍が上陸。

地区の司令官・AIロボットのハルン(渡辺謙)の部隊がこれに応戦。戦闘下でマヤは行方不明、ジョシュアは米軍に収容され、本国ロサンゼルスに帰還した。

ジョシュアはロサンゼルスのグランド・ゼロで、核爆発で埋没したロボットの回収・処理に当たっていた。コ・ナンで失った妻マヤのこと思い出す毎日だった。

そんなジョシュアの元にアンドリュース将軍とハウエル大佐(アリソン・ジャネイ)が訪ねてきて、「敵はアルファー・オーという人類を壊滅できる最終兵器の開発に成功した」と言い、アルファー・オーと創始者を壊滅する作戦への参加を打診された。ジョシュアは断ったが、マヤの映像を見せられ、マヤと合わせるという条件でこれを受け入れた。

米軍はノーマッドの支援下輸送機でコ・マンに侵入した。

 敵の反撃がなかった。ジョシュアが地下への入り口を探り当て、ここからAIロボット研究所に侵入した。ここで敵に気付かれ、警官ロボットの攻撃が始まった。侵入部隊主力でこれに対応、その間にジョシュアひとりが秘密の部屋に侵入し、そこでシミュラントのアルフィーに出会った。幼い可愛い女の子(6歳)だった。かなりでたらめな警備体制だった。(笑)研究員が部屋にやってきて「ニルマータ(創始者)のところに逃げなさい!」と指示し、アルフィーは地上に逃げた。

米軍と敵ロボット兵の戦闘が激化し、ハウエル大佐から撤退命令が出でた。大佐はヘリで脱出中に撃墜され、ジョシュアは敵ロボット兵に撃たれ意識を失った。

ジョシュアは舟の中で目覚めた、

アルフィーと負傷したロボット兵・シプリーと一緒だった。何があったか?(笑)ジョシュアたちは空家で休むことにした。アルフィーはTVを観始め、TVを切っても遠隔で点けられる。ゲームを勧めるがやらない。マヤの写真を見せると「知っている」という。「どこにいるか?」と聞くと「ディエンドン寺」という。戻ってきた家主がアルフィーを見て「生きていたのか!」と言いジョシュアを撃とう。ジョシュアが射殺した。敵ロボット兵が現れたのでディエンドンを目指して進むことにした?おいおいジョシュアに与えられた任務はどうなった?(笑)

ここからディエンドン寺に向かうまでのエピソードが描かれる。

 これがちょっと長い!というか、狙いが分からず、細かすぎるところもあり眠くなった。(笑)ここには大切なことが描かれているのだが気付かなかった

 アフフィーが遠隔操作でトラックを始動し調達した

 ロボット運転手の運転で走る。検問所ではアルフィーの遠隔操作で電源操作し上手く通過。この間、敵のロボット兵の追跡を受けシプリーが亡くなった。アルフィーシプリーの死を「オフ」と教えた。ここで車を乗り換えて前進。ハウエル大佐がシプリーの遺体から脳の記録を取り出して、「持物を渡せ!」とジョシュアを追う。ロボット時代にふさわしい戦法を使うことが面白い。しかし、大佐はロボット兵に追われヘリで脱出。

ジョシュアは車からバスに乗り変え市街地に入った。

この間、ジョシュアは「ディエンドンは天国という意味。天国には善人しか行けない、だから俺は無理」と話すが、アルフィーは“善人しか行けない”ところしか理解できない。(笑)しかし、ふたりは会話をするようになっていった。

人間とAIロボットの違いは死の感覚があるかないか。アルフィーにこれが理解できるのか?これを監督は描きたかったのではないかアルフィーは何度も死に出会い体験を積んでいく

市街地は日本らしい風景だった。監督の日本愛が出ているようだ。親友のAIトロボットのドリューに合った

ドリューはコ・ナンの研究所にいたロボット工場技師で、AIロボットの製造工場を案内した。そのあと恋人のAIロボット・カミを紹介した。ドリューはアルフィーの脳を調べ「アルフィーは成長している。まだまだ成長し地球上のどこからでも電子機器を遠隔操作できる」という。カミはアルフィーが食べるというのでアイスクリームを買ったが、アイスクリームに爆弾が仕込まれていて爆発、カミが亡くなった。アルフィーはカミの“死”を見た

ジョシュアはドリューを加え、3人は車でマヤの指輪の所在を追ってやってきたのはコ・ナンの海岸だった。ここにマヤは居なかった。ドリューは「すまん!俺は知っていた、ニルマータはマヤだ」と謝った。そこに米軍機が現れドリューを撃った。ドリューが亡くなった。ヘリでやってきたハルンのロボット兵士に捕獲された

ジョシュアが目を覚ますと檻にいた。そこにヘルン(渡辺謙)が現れた

ヘルンは「マヤの父はニルマータ、父が亡くなったあとニルマータを受け継いだ。ロサンゼルスの核爆発は、人間のミスによって起きた事故だ、西側はAIのせいにした。我々は人間を攻撃しない。」と話した。夜になってジョシュアはアルフィーにより檻から放たれた。アルフィーにジョシュアを自分にとって大切な人と分かるようになっていた。

ヘルンのこの言い分はまさに“イラク戦争”(2003)だとアメリカならやりかねないと思った。(笑)

村にノーマッドが現れ村を襲撃するという知らせに、ヘルンは急遽船で帰ることになった。ジョシュアはこの船の船底に隠れることにした。

村に戻ったヘルンは村の惨状を目のあたりにし「アルフィーが我々を守ってくれる。ノーマッドに乗り込めば、破壊できるかもしれない」と部下に示した。ジョシュアがいないと気付いたヘルンが英語で、英語ではまどろこしいと日本語で「探せ!探せ!」と喚く。字幕版で観たので、ここは生々しかった。(笑)この作品での渡辺さんは存在感があった。これからはもっと日本の女優さんを使ってもらいたい!

米軍が村に大戦力で攻め込む。やっと観るべき戦闘シーンだった。

 見せどころは巨大戦車と自爆ロボット

巨大戦車はWWⅡでドイツに試作車があるので驚くほどのものではなかった。ハウエル大佐が自爆ロボットで攻撃してくるアルフィーが遠隔操作で止めようとして撃たれた、ジョシュアが救援に飛び出す。

これを見たハルンはジョシュアに好意を示すようになった。ジョシュアはハルンにディエンドン寺に連れていってくれるよう要請した。

戦闘様相は「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」に近いものだった。巨大戦車が張り子の戦車に見え、低予算が売の本作だから仕方ないと思った。

ジョシュアたちはディエンドン寺に着いた。マヤは5年間、生命維持装置に繋がれていた。

AIの老僧が「マヤはアルフィーを出産後、この状態だ」という。アルフィーはマヤにすがりついていた。ジョシュアは老僧に「楽にしてほしい」とお願いするが「ニルマータであるマヤの命を奪えない」と断られた。そこに米軍兵士が攻め込み、ハウエル大佐がハルンと撃ち合った。ハウエル大佐は死亡、ハルンは逃亡。ジョシュアはマヤの電源を切り、記憶カードを抜いた。アルフィーは母の死で“死”というものを認識した。ジョシュアとアルフィーは米軍に投降。しかし、ロサンゼルスに「ニルマークを殺害した男」として凱旋した。

アンドリュース将軍はジョシュアにアルフィーの破壊を命じた。

 ジョシュアは、電磁銃で「スタンバイ」とアルフィーに伝え撃った。破棄物処理場に移動中にアルフィーが蘇生し、彼女の遠隔操作能力ですべてのゲートを通過し、シャトルで月への逃走を図ったが、将軍に発覚された。将軍の命令でオーマッドに着陸した。

将軍はオーマットにミサイルによる地上のロケット基地の破壊を命じた。

 米軍らしい攻撃だ。(笑)これを知ったジョシュアはオーマットのミサイルに時限爆弾を仕掛け爆破を準備、そしてマヤの記憶カードをアルフィーに持たせマヤに会いに行かせた。時間は5分!

マヤはコントロール室に侵入し母の居所を見つけ、電源を落としてミサイル発射を止めた。倉庫に急ぎ母マヤを見つけて記憶カードを頭に差し込むが作動しなかった。アルフィーは母の死を確認した。急いでジョシュアのいる脱出ポット室に戻った。そこにアンドリュース将軍が怪獣を放った。ここに怪獣が出てくるわけなどわからない。監督の趣味だと思った(笑)アルフィーは脱出ポッドに乗り、ドアーで怪獣の触手を切り落とした。時間が無くなった!

ジョシュアはアルフィーを脱出ポットに乗せたが、自分は脱出ポットに乗れなかった。ジョシュアは窓超しに「天国で待っている。愛してる」と合図したアルフィーは涙を流し泣いた。ジョシュアが発射ボタンを押した。アルフィーノーマッドを離れた。

ジョシュアは駆け出してくるマヤを抱いた!このシーン、ジョシュアの夢だと思った。ノーマッドは木っ端みじんに飛び散った。

この状況をハルンはTVで観ていた。アルフィーは地上に落下し、「父母に会えた!」と微笑みを持って空を見ていた。

まとめ:

西側諸国とニューアジアのAIを巡る戦争を描きながら、ジョシュアと“シミュラント”のアルフィーの親子の愛の物語だった。そこで人間とAIは共存できるかを問うた。とてもシンプル、突っ込みどころも多いが、ラストシーンのアルフィーの微笑み、ジョシュアとの別れの涙から、アルフィーはジョシュアに接し戦場や母の死から死の意味、父の愛情を知り、生きている意味を知ったのではないかと思った。アルフィーを演じたマデリン・ユナ・ヴォイルズ、すばらしかった。

 当初は面白くなかったが、ハルンが出現したあたりから俄然面白くなった

 そのわけはアルフィーが人間らしくなりジョシュアを父のように慕うからだった。人間とAIは共存できると思った。そう作った作品だから。(笑)まだ十分に理解できていないが、よくぞこのテーマに挑戦したと思っている。

ニューアジアが戦場でタイ、ベトナムカンボジア、ネパール、日本、インドネシアへと変化する風景、これは楽しめた。これをバックに繰り広げる人間とロボットの戦争、いたるところに新装備、新戦法が出てきて面白かった。が、さすがに低予算では勝てない。それだけにストーリーを練る必要があった。しかしよく出来ていた。

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