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「アンブッシュ」(2021)装甲車を主体としたリアルで迫力のある戦闘シーンを楽しむ!

 

アンブッシュとは伏撃という意味。劇中では奇襲とも使っている

内戦下のイエメンを舞台に、敵ゲリラに囲まれた装甲車パトロール隊の救出に向かったUAE軍兵士たちの死闘を、実話を基に臨場感たっぷりに活写したミリタリーアクション作アラブ首長国連邦・フランス合作作品。

イエメン内戦とか、UAE軍とかよく分からないですが、内線で市民たちが苦しんでいる映像は時にTVで目にしている。WOWOWで放送された機会に、自衛隊が海外派兵で遭遇する戦闘はいかなるものかと観ることにしました。

装甲車とゲリラの戦闘が詳細でリアル、これほどまでに描かれたものはない

これに家族愛や戦友愛を絡ませたドラマになっていて、どこまでが史実なのかは分からないが、戦闘アクションドラマだけに留まらない余韻のある作品になっています。

監督:「96時間」「ライリー・ノース 復讐の女神」などアクション作品を得意とするフランス出身のピエール・モレル、脚本:カーティス・バーテル ブランドン・バーテル、撮影:ティエリー・アルボガスト編集:フレデリック・トラバル、音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

出演者:マルワン・アブドゥッラ・サーリフ、ムハンマド・アフマド、ハリーファ・アルジャースイム、マンスール・アルフィリ、サイード・アル・シェヒ、マヒラ・アブデル・アジズ、他。

物語は

2018年、イエメン南部に駐在するUAE軍の兵士アリ、ビラル、ヒンダシは、帰国が迫るなか通常任務にあたっていた。彼らは装甲車に乗って戦闘地帯の住民に支援物資を運びながら渓谷部をパトロールしていたが、待ち伏せしていた敵に奇襲される。ゲリラ戦を得意とする敵は、渓谷に身を隠しながらロケット弾や地雷で総攻撃を仕掛け、最新の武装を施したUAE軍の装甲車でさえも徐々に追い詰められていく。負傷して武器も残りわずかとなり、完全に孤立してしまった3人を救い出すため、装甲車、ドローン、ヘリコプター、戦闘機と総力を結集して敵陣へ突入するUAE軍だったが……。(映画COMより)


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あらすじ&感想:

冒頭、物語の背景が描かれる。

「2015年、数年に及ぶ内戦ののちフーシー派がイエメン政府を転覆させた。これにより反政府と政府支援派が激しく戦闘を繰り広げ、罪のない民間人が内戦の犠牲者になった。この混乱に乗じて多くのテロ組織が活動の基盤を固めた。アラブ首長国連邦軍(UAE)は暫定政府の要請により南イエメンに駐留することになった」と、極めて簡潔に事件の背景が示されている。軍組織には全く触れられておらず、翻訳に頼らざるを得ないが、正しく翻訳されているか?パンフレトが欲しいところですが残念ながら手に入らない!

作品を観る上で、出演者が多いうえに、アラブの人たちの顔認識が出来ない。このことが物語の理解を難しくしていると思った。

2018年2月18日のイエメン南部のモカ基地(モカコーヒーの産地)

駐留軍の1日が動き出す。兵士たちはフィジカルトレーニングや武器・車両整備など恒常業務をしながら、任務を終え帰還した際のこと、どこのサッカーチームが優勝するかなどが話題になっていた。アリは妻が病気がちなことを心配しながら、帰還した際に娘に手渡す“魔法の木馬”の製作に励んでいた。

アリたちは住民に支援物資を届ける“パトロール任務”についた

アリ(マルワン・アブドゥッラ・サーリフ)はヒンダシムハンマド・アフマド)、ビラル(ハリーファ・アルジャースイム)とともに物資が乗せられた1号車に乗り、2号車とともに出発した。

車両は4輪駆動の対地雷/伏撃防護装甲車で天蓋に20mm機関砲を備えている。各人の携行火器はM16A4自動小銃である。

荒れた土地で道路外の通行は難しい未舗装道路を走る

敵ゲリラ部隊との遭遇

途中で羊飼いの住民に支援物資を届けた。子供たちがアリと駆け寄る。しっかり絆ができているようだ。

その先で装甲車を整備中の政府軍パトロール隊に出会う。安全だと聞いて、両サイドが高く切立った隘路に進入していく。

突然前方に男が現れ、装甲車が停止すると、側方からRPG-7 射撃を受けた

路外に遮蔽物を捜すがタイヤが岩に食い込み動きが取れない。後続の2号車に応援を求めた。

1号車が絡んだ岩から脱出し前進すると地雷を踏み走行不能に陥った。応援に駆け付けた2号車も敵のRPG-7(対戦車擲弾発射機)で走行不能。四囲からゲリラ隊が自動小銃軽機関銃RPG-7 で攻撃をしかけてくる。

地雷による装甲車の破壊状況、装甲車にRPG-7 が被弾した状況が生々しく描かれる。乗員はどんな気分か?走行車内にカメラを入れ撮影した映像を見せてくれる。

狭所恐怖症のものには堪らない映像でした。自衛官志願者が減るかもしれない。(笑)状況はモカ基地の作戦本部に報告された。

作戦本部は緊急対応部隊出動を銘じた。

作戦本部長カトリ大佐(マンスール・アルフィリ)は緊急対応部隊の出動をマズルーイ大佐(アブドラ・ビン・ハイダー)に命じた。さらに無人機MQ-1による情報収集を命じた。無人機のオペレーターが女性というのが恰好いい。(笑)

マズルーイ大佐はサイード大尉(サイード・アル・シェヒ)指揮する“先遣隊”(装甲車4~6両)を派遣した。(編成が分からないので映像で確認)

トロール隊の戦闘

1、2号車ともに、敵ゲリラの自動小銃軽機関銃RPG-7 に、81mm迫撃砲の射撃に晒されていた。アルによる20mm機関砲射撃を主体に、ビンダンが銃眼から軽機関銃で応戦し、敵の攻撃に耐える。ビラルが車長らしい。敵情監視し射撃命令を発している。ピラルは「敵は我々を囮に救援隊を誘き寄せている。俺たちは頑張らねばならない」という。

敵の小銃弾は室内に入ってこないようだ(跳ねる音が聞こえる)。装甲車の装甲厚は何ミリか?4~6ミリとみましたがどうでしょう?

RPG-7 弾(モンロー効果利用弾)は車体防護柵に触れ起爆、派手な炎が上がるが、室内には届いていない。ピンダシが肩を迫撃砲の破片を受けて受傷、止血処置を行われる。このような細かい兵士の戦う姿を見せる

アリたちは装甲車の中で何時まで耐えられるか?救援隊の到着は早くて1時間だという。車外にはサソリが動いている。このような状況でアリの携帯が本国の妻と繋がった。妻が妊娠したことを知ったが、直ぐに電話は切れた。妻が不安がる。

先遣隊が現場に到着

先遣隊の行動は敵ゲリラの監視下にあって、彼らは地雷を埋設し、RPG-7 射撃を準備していた。先遣隊の1-1号、1-2号車が地雷に触れ、RPG-7の射撃を浴びた。

1-1号車は転覆。この映像はすばらしい。1-2号車も行動不能。1-1号車、1-2号車に負傷者が出た。サイードは他の動ける装甲車を後退させ、無人機の偵察を要請した。

カトリ大佐はマズルーイ大佐に「非常事態だ。四囲を囲まれている。通常の攻撃でない奇襲だ!侮るなよ!」と指示した。マズルーイ大佐は「絆という武器がある」と応えた。

敵ゲリラは迫撃砲の陣地を後続部隊に対処できるよう陣地を変換した

無人機が現地に到着し偵察が始まった。マズルーイ大佐は「120mm迫撃砲が現れた。この迫撃砲の破片には装甲車は耐えられない」と120mm迫撃砲の撲滅を本部に要求した。

アパッチ(AH-64D/EX30)が到着し敵120mm迫撃砲陣地の射撃を開始

アパッチのパイロットは女性(マヒラ・アブデル・アジズ)。アパッチのガットリング砲の威力を見せつけられる。

イード大尉は「今のうちだ!」と、横転した1-1号車に乗り込み負傷者の確認に走った。

トロール隊の1号車は敵に囲まれ降伏を勧告される

しかし、これを拒否した。すると敵は装甲車の下部をガソリンで炙り装甲車室内にガスが充満する。この戦法には驚かされた。アリたちは車外脱出機会を捜す。ビラルの援護射撃下でアリがピンダシを背負い脱出して岩場に隠れた。激しい敵の射撃で次の岩場に移動する際、敵スナイパーに狙われ、ビラルが撃たれた。ビラルは吐血したが、決して諦めなかった。

カトリ大佐は熾烈な対空射撃による損耗を恐れアパッチ攻撃を中止した

緊急対応部隊主力(人員輸送装甲車を含む)が現地付近に到着

作戦本部は無人機による敵の地雷敷設情報をマズルーイ大佐に送る。カトリ大佐は空軍に航空支援を要請した

マズルーイ大佐に1-2号から「敵に囲まれている」と救出要請が入る。大佐は作戦本部から無人機情報を送らせて検討し、「2台の装甲車を盾に強硬突破して球種に向かう」と決心した。カトリ大佐は懸念が示したが、「やるしかない、救えない!」と実施を認めてもらった。

マズルーイ大佐は先遣隊の状況を確認し、動けない装甲車には「下車して安全な場所で待て!」と命令した。

装甲車から煙弾を発射し煙幕を展張煙幕の中を戦闘歩兵が敵ゲリラ部隊を追い詰めていく。その隙に、救援を待つ兵士を人員輸送装甲車に回収していった。

トロール隊のアリ、ピンダシ、ビラルも救出され、人員輸送装甲車に収容されたが、アリの心臓が停止していた

収容を終えて後退する緊急対部隊を敵ゲリラが追う。これをF-16がナパーム爆弾で攻撃しゲリラの追尾を許さない。走行不能装甲車を焼き尽くす。

敵ゲリラの大部はテロリストの元から逃げ出す

モカ基地に帰還すると、直ちに装甲車から負傷兵が運び出され応急治療がなされる。アリは遺体収納袋で降ろされた。

アリの遺体は儀仗隊が迎える中、アラブ首長国連邦の空港に降り立った

そこには妻と子供が出迎えていた。アリのネームプレートが妻に、そして魔法の馬の彫り物が子供に手渡された。妻は涙を見せなかった。

まとめ

装甲車を主体とした戦闘はリアルで迫力があった装甲車の中の状況をこれほど詳しく描いた作品はないと思う。

救出作戦も無人機による情報収集、アパッチによる迫撃砲の撲滅、武装歩兵を投入して煙幕下に救出するという、うまいシナリオとリアルな映像で見せてくれました。そこには必ず助けるという兵士たちの友情も描かれていた。

兵士を演じる俳優さんたちの戦闘演技はとてもうまいとおもいましたが、役を演じていう人が誰かなのかが分からないという、難解な作品でした。(笑)

装備は古い、ひと昔のものでしたが、現代のゲリラ戦を知ることができたと思います。

ラストシーンを見ながら、この作品の意義は何かと考えさせられます

国家として戦死者を最高の礼で迎えてくれましたが、アリの奥さんは泣かなかったが、その死に虚しさを感じます。プロパガンダと思われる節もあるが、戦闘シーンだけでなくこのラストシーンがあって、よかったと思います。

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