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「サウンド・オブ・フリーダム」(2023)買春目的に誘拐された姉弟を追う衝撃的なディテクティブストーリー

 

児童誘拐、人身売買、性的虐待など、国際的性犯罪の犠牲となった少年少女を救い出すミッションに挑んだアメリカの元政府職員ティム・バラードの奮闘を、実話をもとに描いたドラマ

日本ではあまり話題になっていないが、米国には急速に増大している犯罪とのこと。児童買春誘拐に興味を持つ意味で、この作品を撰んでみました。

実在事件をメインに、実話をモチーフに児童誘拐された姉弟を追うディテクティブストーリー。背景が中南米とあって魅惑的で、これにタイトルの“サウンド”が被さる。児童買春という暗い忌まわしい事件を上手いプロットで、日本には「闇の子供たち(2008年)という作品がありますが、これとは全く違って、エンタメ作品として観ることが出来ます。全米公開初日興収第1位を記録した衝撃作というのも頷けます。

監督:アレハンドロ・モンテベルデ、脚本:ロッド・バール アレハンドロ・モンテベルデ、撮影:ゴルカ・ゴメス・アンドルー、編集:ブライアン・スコフィールド、音楽:ハビエル・ナバレテ

出演者:ジム・カビーゼル、ミラ・ソルビノ、ビル・キャンプ、パブロエ:ドゥア、ルド・ベラステーギ、クリスタル・アパリチ、ハビエル・ゴディーノ、ホセ・ズニーガ、他。

物語は

性犯罪組織に誘拐された少年少女の追跡捜査を進めていたアメリ国土安全保障省の捜査官ティムは、上司から特別な捜査の許可をもらい、事件の温床となっている南米コロンビアに単身潜入する。そこで彼は、いわくつきの前科者や捜査の資金提供を申し出た資産家、地元の警察などと手を組み、大規模なおとり作戦を計画する。ティムの少年少女たちの命を救う捜査は、やがて自身の命をもかけたものになっていく。(映画ⅭOMより)


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あらすじ&感想

ホンジュラス。幼い姉弟の誘拐から物語は始まる

歌を練習している姉のロシオ。前もって歌を練習するよう課題を出していた元ミス・カルタエナのジゼル(芸名)が「オーディションよ」と迎えにきた。弟のミゲルが「僕も」とついていった。バスで首都のテグシガルパの宿泊所に異動し、約1か月の訓練を受ける。父親のアギラルが姉弟を迎えに逝くともぬけの殻だった。

子供の夢に取入って、美人モデルによる巧みな誘拐事件。最近のSNSを使った詐欺事件にも匹敵します。

〇カリフォルニア、カレクシコで性犯罪者を追う国家安全保障省捜査官のディム・バラード。

わくわくメールの発信家屋を突き止めて仲間の捜査員と突入。逮捕したのは小児性愛者(ベト)のオシンスキー。ペトという言葉、馴染みでないが覚えておく必要があります。室内には厖大な南米各国の誘拐児童資料ファイルがあり、ペットおもちゃが溢れていた。ディムは「逮捕してもペトのみ。子供たちが救えない、彼らはアメリカ国外に居る」と悔やむ。同僚が「辞めた」とこの任務を降りた。

ディムが独房のオシンスキーに「俺もペトだ」と近づき、「気分晴らそう!」とカフェに連れ出し、彼のファイルから明日会える児童を紹介してもらった。囮捜査でオシンスキーはその場で逮捕。(笑)少年の名はテディ・ペアだった

ディムはアメリカ・メキシコ国境のサンイシドロ検問所でテディを待ち受けた

テディはフィゴという男の車後部席に座っていた。テディの写真が幼過ぎてフィゴを逮捕。テディをバーガー店に連れ出し証言を取った。

テディは「本名はミケルと言い、姉を助けて欲しい」言い、捕まるまでの経緯を説明した。

テグシガルパの宿泊所から海岸に出て、コンテナーに入れられ貨物船でコロンビアのカルタエナ港で降ろされた。(悲惨な運搬状況が描かれている)

ここでフィゴに売られ、飛行機でメキシコの国境の町ティファナに移送。ここで待機。名がテディ・パペアに変わった。カルタエナ港での別れの再に姉ロシオが渡したメダルネックレスを「姉を助けて欲しい」とディムに託した。

誘拐児童の売買が国境を越えてなされることに注目です

〇ティムはコロンビアに渡り、ロシオを救出することにした。

ティムは上司のロベルト(ホセ・ズニーガ)に1週間のコロンビア行を要請すると「コロンビアに任せておけ」と許可しなかったが、「なんとしてもロシオを救出したい」というティムの強い熱意で、研修参加という名目で1万ドルがつく出張捜査になった。

ディムはコロンビア大使館を通して国家警察官のホルヘ(ハビエル・ゴディーノ)の支援を受けるため幼児誘拐犯捜査報告書を送った。

ティムは沢山の子供を持つ父親だった。だから幼児売春には耐えられなかった。妻のキャサリン(ミラ・ソルビノ)が彼の後押しをした。

〇ティムはホルヘと誘拐幼児救出作戦を検討

ティムはコロンビアのカルタエナに飛び、ホルヘに会った。ホルヘは気を利かしてティムの報告書を信頼できる闇の協力者に送っていた。協力者は「手がかりがある」と言ったという。

ふたりは闇の協力者バンビロ(ビル・キャンプ)に会った。元犯罪組織の資金洗浄屋で前科者だった

バンビロは「ラフは恰好でサンダル履き、サカッた気分でデカい黒色の車に乗れ!」そして「希望を感じろ!」と忠告した。(笑)

バンビロは「ジゼルを知っている。コロンビア警察の探している」と朗報をもたらした。ジゼルはミス・カルタエナで金持ちがペトの相手探しに浸かっている。本名はカティ彼女は古い密売人しか使わない。吊り上げにくい魚だ」という。

ティムは新聞で「アメリカ人重役、タイで児童風俗店を経営」という記事を読んだ。

月25万ドルの稼ぎとあった。ティムは「カティが送り込んだのではないか」とみた。

ティムは金持ち専用の会員制、高級で常時子供100人置いて、子供の供給元は人身売買業者というセックス・ホテル案を考えついた。

ティムはパソコンで検索し、40億ドルの不動産開発会社の経営者パブロ(ドゥアルド・ベラステーギ)と交渉した。パブロはホテルが建てられることと警察ごっこが出来ることで協力することになった。

このホテルに誰が幼児売買市場を持ち込めるかを検討した。カラカスにこの役を打診した。昔、麻薬王に女を手配していたカラカスに打診した。

「カルタエナ近くの会員制クラブを作り年会費10万ドル。会員には世界レベルのリゾートとキャストへのアクセス、食べ放題、若いキャストは50人から60人」という条件でカラカスと交渉した。「異常な数ではないが、一人ではむり」と引き受けた。

ティムはこの案をロベルトに報告した

ロベルトは「やめとけ!帰国せよ」と反対した。ティムは「クソ官僚主義!」と怒った。

バンビロは「マンションも買い、ドラッグも娼婦もやった。25歳という女が14歳の子で6歳から身を売っていると知って、ショックを受けた。俺が闇だと思った。銃を頭に当て神の存在を問うときがあるとすればこの時だと思った。それで今の仕事だ」と自分の過去をティムに聞かせた。ティムは捜査官を辞めることにした

〇コロンビアのボコタで大がかりな誘拐児童解放作戦を決行するこおにした。

美しいリゾート島。児童バイヤーを招いてのパーティー。ティム、バンビロ、パブロ、カラカスが応対した。

次々と児童バイヤーたちが集ってきた。カティ(ジゼル)もやってきた。数隻の船で子供たちが上陸してきた。

ティムは大使館に応援を取り付けていたコロンビア警備隊に「救援!」を要請した

「交渉はここまで」「子供たちは後方へ」とパーティーが始まった

パーティーが始まると子供たちはホールの後方に押しやられ、パーティーを見ていた。そこにカティの弁護士・オソリオが現れた。大男でやくざ者だった。

オソリオが「あの男の子がいい」と言い酒を飲まし始めた。ティムはこの子を引寄せオソリオの望みを阻止した。オソリオの連れがティムの頭に拳銃を突きつけた。オソリオが「1発で殺す」と怒鳴る。これを見たバンビロの「その子を放してやれ」という機転でこの場は収まった。

そこに隠密に接近していた警備隊が襲い掛かった。一網打尽にバイヤーたちを逮捕した。救出した子供たちは54人だった。しかし、ロシオはいなかった

この作戦は史実。ティムには解放された子供たちが喜びで手を打つ音が「サウンド・オブ・フリーダム」に聞こえた

〇ティムとバンビロはロシオを追ってコロンビアの秘境グアイタラ川の村に向かった

ホルヘがレオソリオを尋問した結果、ロシオ(クリスタル・アパリチ)は南の反乱政府勢力の地域、グアイタラ川の村にいることが分かった。しかし、軍も警察も近づかないという。

この村にコレラ伝染の恐れがあるとして医療品を渡せば近づけるとティムが医者に化けて侵入しロシオを救出することにした

医療品を搭載した車でグアイタラ川まで進出、ここでホルヘは車で待機。ティムとバンビロが薬品をボートに積み替え上流の村を目指した。ふたりは注射器に隠したGPS発信機を携行していた。

川を遡上中、村の民兵に捕まった。バンビロはこの地点で待機し、ティムと医薬品は民兵に連れ去られた。密林を潜り着いた村は大麻栽培で大勢の者が働いていた。

ティムは村を率いる男に会い、村人のコレラ検査を勧めた

ティムは「村民はコレラに感染している恐れがある、検査にきた。見つかったら搬送する」と告げると、「発見したら報告しろ!ここで焼く」と断わられた。ティムは注意深く村人を観察して回った。大麻葉を足踏みで裁断する作業員の中にロシオを見つけた。首に目印の入れ墨があった。「夜、救出する」と住んでいる家を聞いた。

夜になると男たちの宴会が始まった。

夜間、ティムはロシオの住む家に侵入し救出するところに男が現れた。ティムは酔った男と格闘し刺殺した。追ってくる民兵をかわして脱出、GPSでティムの居場所を掴んだバンビロによって、ボートに救われた。

まとめ

ラストシーンは救出されたロシオが病院のベッドで、弟ミケルと父親のアギラルと再会し抱合って喜び会うシーン。ロシオとミケルが美しかった。こんな子に売春を強いるとは!神に対する冒涜行為です。

 

ボコタのリゾート島での誘拐児童解放作戦。これは実在事件。その他は史実をうまくアレンジして姉弟の誘拐から衆出までが描かれるディテクティブストーリー。しかし、ハラハラドキドキでとてもリアリティがあり、姉弟が再会するという泣ける結末になっている。うまい脚本でした

ティムの証言により児童人身売買の国際強力を強化する法案が米国議会で可決したとのこと

人身売買は年間1500億ドルのビジネスと言われ、米国がその最大の送り先で児童買春者の最大消費国のひとつとのこと。現在奴隷として囚われている人の数は奴隷が法だった時代を含め史上最多で、そのうち数百万が子供たちだと言われている。

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