予告編での大竹しのぶさんと小野真千子さんの殴り合いシーンが凄すぎて、これは観なければと。
資産を持つ高齢の独身男性の後妻に収まり、多額の金品を貢がせる「後妻業」を生業とする女の物語。
物語は金欲と色欲に絡む人間喜劇、はじめから終わりまで大笑いです。が、高齢化社会の世相、遺産問題・家族のありかた等が問題視され単なる笑いではすまされない問題。しかし、もう一歩突っ込んだ問題提起が欲しかった、あっさりし過ぎ。
出演者の芸達者な演技に圧倒される。主人公を演じる大竹しのぶさん、お年寄りを手玉にとり騙し殺す役を笑いながらやってしまうという、これが大竹さんの本当の姿かと思うばかりの演技、すばらしいです。
彼女と組んでひと儲けする結婚相談所所長役の豊川悦司さん、本物の悪の所長さんに見え、大竹さんとのコンビがとてもよかった。(笑)
脇のホステス役の水川あさみさん、色気があってこれまでにない吹っ切れた演技がすばらしい。そして涌井明日香さんの思い切った色気作戦、将来が楽しみです。
観客のほとんどが高齢者、女性です。恐ろしいことにならねばと懸念です。(笑)
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物語
冒頭、後妻業の竹内小夜子63歳(大竹しのぶ)が婚活パーテイで高齢者を魅了する姿が、海辺でのパラソルを持つ清楚で物憂い立姿、船上での「趣味は読書と夜空を見上げること」と話し掛ける姿、ホールでのダンスパーテイで快活にツイストを踊る姿が映し出される。これでは男たちはいちころです。
このようにして一緒になった8番目の夫中瀬耕造78歳(津川雅彦さん)。
2年後に小夜子の企みで血液に胃薬を入れられ脳梗塞で入院。小夜子は“やった”と病院を訪れ、そこにいる次女朋美(尾野眞千子)に、葬儀代200万円を請求する。
しかし、耕造は息を吹き吹き返す。小夜子は家に帰って金庫を開けようとするが鍵が見つからない、預金の暗証番号を知らないとはプロにしてお粗末。
そこで、所属の結婚紹介所所長の柏木亨(豊川)のところに、鍵師の紹介を受けに出向く。鍵師(泉谷)によって金庫を開け、預貯金4000万円と株券2500万を持ち出し、小夜子の色仕掛けで行員を騙し現金支払いを受ける。金の取り分は折半なのだが、柏木の“せこい“やり方で、柏木が2080万円で小夜子の取り分は1920万円となる。(笑)
次の客が見つかったから早くこのジジイ殺せということで、小夜子は真昼間「黄昏のビギン」を唄いながら空気を注射して死に至らしめる。これが平然とできるのがプロの後妻業者。後妻業の成功は「住民票を移すこと」「家具を持ち込むこと」「近所に顔を出すこと」の3つだそです。
姉妹はこれに激怒し、朋美の親友の弁護士守屋(松尾諭)に相談すると、得体の知れない探偵本多(永瀬正敏)を紹介される。本多はさっそく調査を始めると、過去5人の夫が亡くなっていることに疑問を持つ。物語は、ここからはすこし「ミナミの帝王」風に展開していく。
そこで、瀬川英子(余貴美子)を訪ねると彼女は柏木の結婚相談所会員で、柏木に頼まれて証人となったことを告白する。
本多と朋美が小夜子を訪ね、相続の確認を申し出ると「公正証書遺言状に勝てるもんなんかない、めんどくさい、記者会見でもやってみな!」と受け付けない。そこで、「あんたの後妻業には違法性がある。罰金2000万、土曜日まで返事を待ってる」と言い捨てて帰る。小夜子は柏木に「おかしな奴が5000万出せ言てる、録音した」と電話する。
本多は竹内宗治郎が徳島で3年前車両事故死していることに事件性を感じ調査を始める。
本多は柏木の女であるホステスの三浦繭美(水川あさみ)に会って、竹内宗治郎が亡くなった日に柏木は徳島に出張していたことを確認する。
本多は柏木に会い、これまでの調査結果を示し、調書の買い取りを交渉をするが、柏木の“せこい”取引交渉でまとまらず、竹内宗治郎の命日まで持ち越しになる。
この時期、小夜子は新しい客不動産王の舟山(鶴瓶)と交際中。女の扱いがうまくあっちの方はスカイツリー並の持ち主。すぐに公正証書遺言状を書くと言うが、「今はデベロッパーには最高の場、2億円の買い物をしたい。
銀行に3000万預けて1億円を借りたい、貸してくれ!」と言われ、これを断ると「金のないババアと寝る男はおらん」と出て行ってしまう。小夜子より一枚上の詐欺時がいました。釣瓶さんの怪演です。「いつもこうだ、欲しいものには必ず逃げられる」と小夜子は悔しがる。上には上がいる。(笑)
一方、柏木は本多を小夜子の息子博司(風間俊介)を使って殺そうとするが失敗し、金は持ち逃げされる。撃たれj本多は、警察沙汰にはできず、動物病院(獣医師・柄本明)で治療する。そして奪った金がわずか60万円だとわかり柏木と再交渉を考えている。
博司は、失敗で金が入らず、沖縄への逃走資金を小夜子にせびるが彼女が拒否するのでその首を絞めて逃走。ここにやってきた柏木が小夜子をキャリーケースに入れ運びだしているところをお巡さんに見つかるが、小夜子が息を吹き返す。(笑)
朋美・尚子姉妹が父の命日に線香をあげようとすると、線香が無くなっていて引き出しを開けるとそこに父の遺書状がある。守屋弁護士(朋美の親友)に電話相談すると「日付が公正証書より新しい、開封しないで裁判所や!」と伝えてくる。
「お父さんに悲しい思いさせんかったらこんなことなかったかもしれん。よくよく考えたらお父さんのものや、誰に残そうがお父さんのものや」と尚子がしみじみと語る。
ことが終わって、
柏木と小夜子は曳行される泥舟の上で相変わらず婚活パーテイを開いて、「さあ、つぎいこか」と柏木の声が聞こえる。悪い奴ほど長生きする。(笑)
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記事1 20170125
大竹しのぶ、さんまに「感謝」主演女優賞で女性初の3冠達成