映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」(2016)

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キャプテン・アメリカのヒーローとしての覚悟、責任の取り方に泣きました。それに比して、アイアンマンの子供っぽさ。ナターシャが“なじった”「あなたにあるのは、エゴだけ!」のとおりです。
しかし、ここで奪ったキャプテンの楯を「エンド・ゲーム」で彼に戻すシーンに、アイアンマンの気使いが分かるという、うまい作品になっています。( ^)o(^ )
戦争の勝利者ばかりを描くのではなく戦で負けた者たちあるいは犠牲になったものたちへの想い、さらに国際連合だけで世界の平和、安全が得られるのか。これに対するひとつの答えがあり、すばらしい作品だと思います。

本作は「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011)と、2014年の「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」(2014)の続編となるシリーズ第3作目。「MCU」シリーズとしては第13作品目。 

matusima745.hatenablog.com

この作品を理解するには、多くに関連作品を観ておくとより楽しめ、これまでの「MCU」作品の総括のような作品だと思います。

監督はアンソニー・ルッソジョー・ルッソ。細部スタッフ、キャスト:
https://ja.wikipedia.org/wiki/シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
あらすじ:
マーベルヒーローが集結した「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」の闘いから1年後、キャプテン・アメリカとアイアンマンという「アベンジャーズ」を代表する2人のヒーローの対立を描く。

人類の平和を守るアベンジャーズの戦いは全世界へと広がるが、その人的・物的被害大きさから、アベンジャーズは国際的な政府組織の管理下「ソコヴィア協定」に置かれ、無許可での活動を禁じられる。

一般市民を危機にさらしてしまったことへの自責の念から、アイアンマンはその指示に従うが、「自らの行動は自らの責任で持つべき」という持論のキャプテン・アメリカは反発。2人の意見はすれ違い、一触即発の緊張感が高まっていく。

あるひとつの暗殺事件をきっかけに、アイアンマン支持派とキャプテン・アメリカ支持派が直接衝突する事態となり、その事件の裏に隠されたトニー・スタークとステーブ・ロジャーズの想いがぶつかり、ついにふたりは・・。
              
ソコヴィア協定に関するトニーとスティーブの考え方の違い、ナターシャのどちらにつくかと揺れる心を理解するには、ステーィブとの関係を押さえておく必要があります。
協定発議の直接原因がスティーブの起こした事案であるだけに意地でも参加できなかったことが分かります。

双方に別れての闘い。どちらの派で戦うか、ヒーローそれぞれの心情がよく描かれ、戦ってみて、相手の心情を知るという切ない気持ちが伝わってきます。
騒動を起こした張本人・ヘルムート・ジモが吐く「組織を他人に潰されたのなら元に戻せるが、内部から潰れたのは戻らない」という言葉が痛いほど身に染みるヒーローたちの行動でした。

相戦うシーンはそれぞれの個性ある闘い方が見どころ。特に新しくメンバーに入ってきたアントマンスパイダーマンの闘いが面白い。どのヒーローの闘いもすばらしいが、スカーレット・ヨハンソンが演じるナターシャの闘いがよかったです!!

トニー・スタークの決して許すことの出来ないバッキーと彼を庇うスティーブへのわだかまりをどう解決するか?相手の不義理を攻めているばかりでは、自分の人生が無駄になります。
これに比してトニー・スタークに送ったスティーブの手紙、さすがにヒーロー中のヒーロー、トニーへの愛に溢れていました。もしこれがわからないトニーならば大馬鹿者です!!

自分の父を殺されたティ・チャラ。相手を生かして罪に向き合わせ自分の生きる力にし、さらに、追われるスティーブとバッキーを引き取るという度量の大きさに感動です。

***(ねたばれ)
冒頭の1991年、シベリアのヒドラ研究基地で脳に暗号を埋め込まれバッキーがウインターソルジャーとして生き返り、「制裁して奪え!」という命令に従い、オートで追いかけ乗用車を襲い4袋の血液を奪うというシーン。
これが伏線となり、アベンジャーズが分裂し、トニーとスティーブの絆が切れるという物語。スタートがすばらしい!!

ヒドラの残党で元S.H.I.E.L.D.の特殊部隊隊長・ラムロウが武器売買で暗躍中。感染病病原菌を奪いに来たラムロウ一味を逮捕するため、スティーブはナターシャ、サム、ワンダを率いて、ナイジェリアの都市ラゴスに出撃する。この戦闘で奪われた病原菌を取り戻したが、その際スティーブが窮地に陥り、これを救うために放ったワンダのテレキネシス威力が大き過ぎてビルを崩壊、市民に大きな損害を与えた。
この件で国際社会から批判を浴び、強大な特殊能力を持つヒーローやスパイたちによって構成されたアベンジャーズを、国際連合の管理下に置くことを規定とする「ソコヴィア協定」が定められることになった。

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かし、スティーブには個人的に受け入れられない理由があった。責任感の強いスティーブには、これに縛られことなく人を救いたいという気持ち、さらにこの事件にかっての戦友バッキーが絡んでいた。自分で始末したいという気持ちがあったと思う。トニーがいくら協定参加を誘っても聞き入れなかった。

ウィーンにてソコヴィア協定の署名式が執り行われる式典会場で爆破テロが発生し演説中だった超文明国ワカンダ王国の国王のティ・チャカが死亡するという事件が起こった。バッキーが犯人と断定されたが、スティーブは直接会って確認しようとサムとともにブカレストに潜伏中のバッキーに接触するが、そこを警察特殊部隊に急襲され、逮捕された。スティーブには前作でのバッキーとの闘いで“ヒドラの暗示は解けている”という確信があったのではないでしょうか。

ベルリンの対テロ共同対策本部で、精神鑑定医として潜入していたヘルムート・ジモがバッキーを尋問。彼の放つ暗号でバッキーはウィンター・ソルジャー化しヘリコプターを奪って逃走を図るが、スティーブがそれを阻止。2人はヘリコプターごと川に落下し、そのまま逃走し行方不明となる。サムも姿を消した。

ティーブはバッキーから「自分以外にウィンター・ソルジャーが作られた」と聞き、元に戻ったバッキーとサムを伴い、彼の恋人ペギー・カーターの姪・シャロン・カーターの計らいで、クインジェットでシベリアのヒドラ研究基地へ向うためライプツィヒ空港に到着したところに、アイアンマン派がやって来た。

トニーは対テロ共同対策本部副指揮官・エヴェレット・ロスからスティーブら3名の確保を命じられ、ヴィジョン、スパイダーマンを仲間に引き入れ、ライプツィヒ空港にやってきたのだった。   
    アイアンマン派

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両者がもう後に引けない。スティーブはサムの進言でアントマンに協力を求めた。また、スティーブを慕ってるワンダ、クルントンが駆けつけた。
    キャプテン・アメリカ

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戦闘が互角であったが、かってバッキーと戦ったことのあるナターシアがスティーブの企図を察し、ふたりがクイーンゼットで脱出するのを支援する。脱出を阻止しようとヴィジョンが放ったエネルギービームがウオーマシンに命中し友軍相撃となり、悲劇を生むことになった。辛い闘いであった!

ナターシャが「スティーブは助けを求めている」とトニーを説いたが、聞く耳を持たなかった。しかし、事件の背後に元ソコヴィアの特殊暗殺部隊“エコー・スコーピオン”隊長・ヘルムート・ジモの策略であることを知り、サムらが捕らわれている大西洋に浮かぶラフト刑務所を訪ね、サムからスティーブの居場所を聞き出し、シベリアのヒドラ研究基地を訪れる。

トニーはスティーブに自分が間違っていたことを謝罪し、ともにジモと対峙することを約束した。
しかし、対峙したジモから「父・ハワードと母・マリアはバッキーに殺された」とフィルム映像を見せられる。

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ティーブが「バッキーはウィンター・ソルジャー化されていたんだ!」と言うが、トニーが激怒して襲い掛かり、バッキーの左肩を切り落とした。止めに入ったスティーブは楯を彼の胸に突き立てた。「父の作ったその楯を置いて行け」と叫ぶトニーの言いづけとおり、楯を置いて去っていった。

ティーブはラフト刑務所に囚われていたサム、ナターシャ、スコット、クリントを救出し、バッキーを伴って、ティ・チャラの好意でワカンダ国に亡命した。
そして、トニーに宛て、手紙を書き連絡用の携帯を送った。
「僕は18歳の時から独りだった。陸軍でもなじめなかった。信じているのは個人、個人だ。だから裏切れないんだ。君を傷つけたこと、両親のことを黙っていたのは君のためだった。自分自身を守っていたのかもしれない。すまなかった。いつか分かって欲しい。君は信じる道を選んだ。俺もそうだった。君に賛成しようと思ったができなかった。君らが僕を必要とする時、必ず駆けつける」というものだった。
                              *
ティーブの一点の迷いもない生き方に涙です。
                                                 ****


「キャプテン・アメリカ:シビル ウォー」予告編 日本語字幕付

“いだてん”第34回「226」「オリンピックは東京にかぎる」

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1936年2月。陸軍の青年将校らによるクーデター、2・26事件が発生。閣僚らが暗殺され、田畑政治(阿部サダオ)の勤める新聞社も襲撃を受ける。戒厳令下の東京でオリンピック招致活動を続けることに田畑は葛藤。嘉納治五郎役所広司)とも対立するが、IOC会長の候補地視察の案内役を任せられる。熊本では金栗四三中村勘九郎)がスヤ(綾瀬はるか)と幾江(大竹しのぶ)を前に、招致するため上京したいと訴えるが・・・。
感想:
2・26事件、銃剣を突きつけられ“あの政治”でさえ弱音を吐く映像はよくできています。(笑) このような恐怖のなかで、「オリンピックこそ平和の明かしである」と信じて疑わない嘉納治五郎の胆力がすごい。

ムッソリーニ説得を指示したのは自分である」と謝り、東京オリンピック開催の全責任を取ろうとする潔よさがいい。こう人は、今の日本で見つけるのが難しい。(笑)

日本を視察したIOC会長・ラトゥール(ヤッペ・クラース)の感想は「オリンピックは東京にかぎる」で、“おもてなし”の成果でした!子供の遊び、日の丸弁当まで褒められるとは思わなかった。(笑)
ラトゥールに嘉納を尊敬する気持ちがあれば、日本はこのように見えてくるということ。
嘉納の柔道で結ばれた人との絆がいかに強いものであったかを教えてくれます。

一方、走る以外に取り得のない四三の家出は、2・26事件勃発で不在を気ついてもらえない。まったくの存在感なしです。
義母・幾江の許しを得て上京できることになり、つい漏らした「俺なんかおらんでも寂しくなかでしょう」と嬉しそうに声をあげ、幾江を激怒させ、池部家の大騒動。大笑いしましたが、老いていく幾江への心使いにかけ、四三の無神経に腹が立ちました。(笑)こういう人は多いということでしょうか!

本格的な小松のマラソン選手育成が始まっていましたね。小松と“りく”がどうやって知り合ったかも気になりますね!

***
田畑の家では菊枝(麻生久美子)がベルギー国旗の手旗をつくり、熊本では四三が置手紙を残し家出、孝蔵一家(森山未来)が雪の中引っ越し中。昭和11年2月26日のこのとき、「2・26事件」が勃発した。
陸軍の青年将校らが「昭和維新」「尊皇暫間奸」をスローガンに決起した。午前5時、彼らは赤坂の高橋是清邸(荻原健一)を襲撃し、高橋は中橋中尉(渋谷謙人)の凶弾に倒れた。
警視庁も占領され大混乱となる中、朝日新聞政治部の記者は、号外を刷る準備に取り掛かっていた。
午前6時、内務省から一切の記事を差し止めるようにと連絡が入った。

このころ、家出した四三は小松(仲野太賀)とともに「カフェ・ニューミカワ」にいた。早朝、家出を決行したものの、東京は暴動が起きて大混乱だと知らされ、家出を中止したがすぐに家に帰るつもりはなかった。スヤ(綾瀬はるか)がすっかり手厳しくなり困らせてやろうと思ったから。(笑)

午前9時、将校たちは数10人の着剣した兵を率いて「偉い人を出せ!」と朝日新聞社になだれ込んできた。

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緒方(リリー・フランキー)が対応に出ると、返り血を浴びた中澤中尉が「高橋是清天誅を下してきた」と告げ、「国賊新聞を叩き潰す」と叫ぶ。緒方が「中に社員はもちろん女子供がいるからそれを出す」と皆を避難させようとすると、政治が「あんなやつらに屈するんですか。これでは言論の自由は終わり」と反対した。緒方が「あいつらは高橋是清を殺して来ているんだぞ!」と政治を制した。
兵士たちが室内を荒らしはじめ、壁のロサンゼルスオリンピックの記念写真を床に叩きつけた。政治は思わず兵士につかみかかり、殴られて血を流しながら立ち向かった。緒方から「外に出ろ!」と命じられた。
語りの志ん生(ビート・たけし)はこの時代は笑いにならないと喋るのをここで止めた。

このころ孝蔵は高座で演題「目黒のサンマ」を喋る予定だったが、午後5時ごろに中止になった。(この噺はIOC会長ラトゥール接待シーンにリンクする)

午後8時半のニュースで事件の概要がつたえられた。
夜に帰ってくると、スヤも幾江(大竹しのぶ)もラジオの緊急ニュースを聞き入っていた。ふたりは、四三の家でにも気づいていなかった。(笑) 

翌27日には戒厳令が敷かれ、反乱軍が投降する29日までの3日間、東京は厳戒態勢が続いた。

政治は菊枝に起こされ「2~3日会社に止まる。ろくな記事も書けないのに」と喋っているところに、山本(田中美映)がやってきて「ラトゥールがサンフランシスコを出航し、2週間後、横浜に着く」と知らせた。治五郎は「こんな時だからこそオリンピックだ」と言ったという。
山本が去ったあと、政治は菊枝に「俺は怖い。是清さんも、犬養さんも、俺が関わった政治家が次々に殺された。次は緒方か河野(桐谷健太)か俺か?政治記者でなるんじゃなかった。なまじっか政治に足突っ込んだから、政治記者でなかったら能天気にオリンピックに邁進できた」と嘆いた。
菊枝は「だったらやめたらどうですか。あなたの忙しさは半分になり夫婦の時間が増える。新婚旅行に行ける、タバコの数も減ります。いいことばかりです」と返事した。これに政治は「冗談じゃない、あの感動!オリンピックは今しかない。今やらなければ日本の言論の自由は武力に屈してしまう」と奮起し、オリンピック招致委員会が開かれる東京市庁舎へ向かった。

市庁舎には治五郎、牛塚(きたろう)、副島(宮本信也)、山本がすでにそろっていた。治五郎がタトゥールが東京へ視察に来ることを聞き、興奮していた。

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政治が「いつ反乱軍と鎮圧軍の戦いが始まるか、民間人が巻き込まれるかも分からない。この日本で今、オリンピックやれると思っているの?でもやりたい!あなたが本気ならついていく」と治五郎に大声で話す。「やれるとか、やりたいとかじゃないんだよ、やるんだよ!そのためなら、いかなる努力も惜しまん!」と治五郎。これで政治の腹が決まり、ラトゥールを迎えるための作戦会議が始まった。

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3月19日、ラトゥールがやって来た。東京市庁舎では人々が万歳で、子供たちが「走れ大地」と歌って出迎えた。市長室で、治五郎が牛塚(きたろう)、副島(塚本晋也)、杉村(加藤雅也)を紹介すると、ラトゥールが嫌な顔を見せた。

いよいよラトゥール全力接待作戦が始まった。
治五郎の発案で、ラトゥールの移動には清さん(峯田和伸)の人力車が選ばれ、政治が写真集を持って同行した。
ラトゥールを乗せた車はまず、桜の咲く隅田川沿いを新橋方向に向かい、歌舞伎を鑑賞と料亭での会食ののち、オリンピックのメイン会場神宮競技場へと向かった。

ここで、治五郎が「関東大震災のとき、競技場が避難所として市民に開放され運動会をやった。戦争の痛手を受けたアントワープであなたのやったオりンピックに感銘を受けた。東京も13年かけてようやく立ち直った。ここでオリンピックをやりた」と大変な熱意で語った。そのとき朝鮮からやってきていた孫と南が練習していた。ラトゥールが金栗かと聞いた。
治五郎が「10万人が見物できるよう拡張する」と話すと「大きさではない、オリンピックは市民のものだ」と話す。その後、アトゥールの希望で岸の墓参りをした。
ラトゥールはYMCAプールで水泳選手を激励し、寄席で孝蔵(森山未来)の落語「目黒のサンマ」のおち「どこで仕入れた?日本橋魚橋。それはいかん、サンマは目黒に限る」を聞いた。
この“おち”、開催地はどこか?ヘルシンキです。オリンピックなら東京に限る。(笑)


その後、政治はラトゥールを清さんの車で、近道をして諏訪神社を通ると、ラトゥールが車をとめて、子供たちがゴム跳びや竹馬で遊んでいるのに興味を持った。女の子が花輪を編み、勝った小どもの頭に乗せるのを見て、驚きの声をあげた。
サンマの匂いがしてきて、ラトゥールに清さんは自分の弁当箱を差し出した。おかずは小梅が漬けた梅干しだけの日の丸弁当だった。

ラトゥールの視察が新聞に載ると、池部家では四三が「話があります!」と切り出し、治五郎からの「東京オリンピックにはひとつ力になって欲しい」という手紙を幾江とスヤに見せていた。

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幾江が「女房を置いて行きたいか。行きたいなら行ったらいい。そのかわり、立派に、きっちりなして来い」という。
これに四三が「よかった。4年後の大会を見届けたら帰ってきます。俺なんかおらんでも寂しくなかでしょう」と嬉しそうに声をあげた。(笑)
すると幾江が「さびしくないわけがなかろうが!他人行儀に冷たいことを言うな。情が移る、私は倅を亡くしお前は親を亡くしており、同じ墓に入る以外にない。走ってばかりの息子でも、4年間いなかったら寂しい、それが母親だ。このバカ者が!」と泣いた。(笑)四三はもう身の置き場がなかった。「俺もさびしか」と幾江に抱きついて、子供もスヤも一緒になって泣いて、詫びた。大笑いでした。

治五郎はラトゥールを講道館につれていき、柔道の稽古をつけた。そして、杉村に通訳させ、「東京招致のためにムッソリーニを説得せよと命じたのは自分である。悪いことをした。あなたの顔に泥を塗った」と謝り、「東京はヨーロッパから遠いというだけで認めてもらえなかった。若い者にタスキを渡そうと禁じ手を使った。副島も杉村もよくやってくれた。東京はもし東京でオリンピックをやってくれたら、あなたの株は絶対に下げないよう、最高のアジア初の歴史に残る平和の祭典にして見せる!」と申し添えた。潔い治五郎の謝罪には感動でした!
杉村がIOC委員を辞退することを申し出た。政治が「杉村さんの功績です。お疲れ様でした」と声を掛けた。

9日間の滞在を終えたあと、ラトゥールは記者会見でこう語った。
「この国では子供でもオリンピックを知っている。戒厳令の街で、子供たちがスポーツに熱中している。日本の隅々まで、弁当箱の中までオリンピック精神が満ち満ちている」。政治は「1940年のオリンピックは東京に間違いないですね」と念押しをした。「オリンピックは東京にかぎる」とラトゥール(五りん)

人力車で走っていてラトゥールが、街を走る四三と小松の姿を目にし、“金栗“と声をあげた。

                             ***

「舟を編む」(2013)仕事を持つことの喜び。辞書を読む楽しみ!

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2013年数々の賞を得た作品で、主演松田龍平さんが言うように「みれば見るほどに味が出る映画」です。辞書とはこんなに面白いものなのか!地味な仕事ですが、仕事をもつことの喜びを教えてくれます。ユーモア一杯の作品です。

原作が“三浦しをん”さんの同名小説。監督は石井裕也さん。第37回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞ほか6冠という作品。主演は松田龍平さん、共演に宮崎あおいオダギリジョー黒木華渡辺美佐子・桶脇千鶴・八千草薫小林薫加藤剛さんらとても豪華です。

あらすじ:
玄武書房の営業部に勤める馬締光也(松田龍平)は、独特の視点で言葉を捉える能力を買われ、新しい辞書「大渡海(だいとかい)」を編纂する辞書編集部に迎えられる。個性的な編集部の面々に囲まれ、辞書づくりに没頭する馬締は、ある日、林香具矢(宮﨑あおい)という女性に出会い、心ひかれる。言葉を扱う仕事をしながらも、香具矢に気持ちを伝える言葉が見つからない馬締だったが……。

****(ねたばれ含む)
辞書の作成では、まず言葉集め。100万語にも及ぶ言葉を集め、その25万語ほどで辞書を作ると言い、20~30年にも及ぶという。大変な根気のいる仕事です。馬締は「左とは東に向かったときの北」と答えたことで言葉に対する感性が認められ、辞書部にスカウトされた。
今を生きる辞書、人とつながる辞書、誰かと繋がりたくて広大な言葉の海を渡る人たちに役立つ辞書「大渡海」の作製意図と聞き、馬締は“まじめ”だが人付き合いが苦手で不安になる。

大家であるタケおばあさん(渡辺美佐子)の夕食に誘われ、「人の気持ちが分らない」というと相談すると、
「あたりまえだよ、だから言葉があるんだよ、あんた真面目だから、若いうちに、一生の仕事を見つけて、それだけで、幸せなんだから、あとはずっと行くだけだよ」とタケさんがいう。

まさにこの会話どうりのストーリー展開でした。

ここで描かれている辞書編纂作業、
数十万にもおよぶ生活のなかで使っている言葉を採集し、これに説明を加える作業。こんな仕事があることを知りました

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そこには、編纂者の個性が出てとても人間臭い作業で、言葉にまつわる人生ドラマがあるのだと、“辞書を読む”楽しみを発見しました。

香具矢に恋した馬締めの恋の語釈は「ある人を好きになってしまい、寝ても覚めてもその人が頭から離れず、他のことが手につかなくなり、身悶えしたくなるような心の状態。成就すれば、天にものぼる気持ちになる」という具合。

十数年にわたる辞書つくりの人生、
向上心を持って続けることで、辞書作りに引き込まれて、仕事が面白くなっていく人生。
迷ったり、病気したり、妻を失った人も仕事に救われると言う、仕事を持つことの喜びを感じます。

生涯でその成果を見ることが出来ない場合もあるが、夢を次の人につなぐという壮大な仕事。

香具矢役の宮﨑あおいさん、
和食料理人で辞書編纂に係わりがないため出番は多くはないですが、馬締との出会いから結婚までのエピソードが描かれます。

お互いに惹かれあっても、戦国武将が書くような文体の馬締のラブレターの意味が分からず、香具矢の「言葉で聞きたい」に馬締の「好きです」という言葉で結ばれる。

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辞書完成直前のミス発見で、膨大な見直し作業のために没頭する馬締を助け、人間関係の下手な馬締のために、料理人という自分の仕事をこなしながら、恩師の病気見舞いや編纂部の方へのおもてなしなどで懸命に馬締を支えます。辞書つくりというのは本人だけでない、家族をも巻き込む大仕事です。

ここでの、無口でさりげない影のような宮﨑あおいさんの演技が光っています。

辞書を作り上げて、馬締が妻に贈る“これからもよろしくお願いします”の言葉には、妻への大きな感謝、愛が感じられとともに、作り上げた辞書の改善、次の辞書つくりへの意欲が伺えます。辞書つくりは終わることのない仕事です!
夫婦の成長という視点から見てもおもしろい作品でした。
             ****


映画『舟を編む』予告編

「ソラニン」(2010)

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公開から10年を経て、Mステで取り上げられ、歌う俳優ランキング第1位に取り上げられるという、記念すべき作品です。

勤続2年で自由を求めて会社を辞めたヒロインの芽衣子(宮﨑あおい)と、一緒に暮らすバンドマンでフリーターの種田(高良健吾)、バンド仲間のビリー(桐谷健太)、加藤(近藤洋一)が夢と現実の間で葛藤しながらも前に進もうとする青春恋愛物語。

原作は浅野いにおさんの同名コミック作品。監督は三木孝浩さん、本作が初監督作品です。この作品以降、次々に青春映画のヒット作を連発し、今では押しも押されぬこの道の大家。監督にとっても印象に残る作品です。

ソラニン」は、芽衣子の勧めで音楽への思いをつないだ種田が作る曲名で、宮崎あおいさんが作中で歌に初挑戦します。篤姫で絶頂期にあった宮﨑さん、この時期はソラニン状態で、これまで演じてこなかった歌を唄うことで、ここから抜け出すために選んだ作品です。
このために、短時間で歌とギターの練習をしたという宮﨑さんの女優魂をみることが出来ます
恋人の突然の死、彼の残した歌を唄い彼の死を乗り越えようして歌うラトシーンが秀逸です。

****(ねたばれ)
芽衣子は、「会社やめちゃおう」と赤い風船がふわふわと空に飛ぶように、その日辞表を提出します。種田は「それ現実逃避だよ、やばいよ」と言うが「種田がどうかするといったじゃん」と丸投げです。種田は音楽の夢をあきらめきれず、フリーターをしながら音楽活動を続けていましたが、「趣味が音楽なんて一銭にもならない、これからの生活どうするか」と不安を漏らします。

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「今の仕事はつらいの、好きならやったら、バンドやってよ。才能ないからといつも逃げている。評価されて価値が出る。本当にだめだとわかったらその時は考えたら」という芽衣子のすすめで、「失敗したら、一緒に死んでくれるか」と種田はアルバイトを辞め、「ソラニン」という楽曲を書き上げ、レコード会社に持ち込みます。

会社は楽曲には触れず、アイドル歌手のバックバンドにならないかと誘いますが、芽衣子の一存でこれを断ります。種田は、社会は才能を求めているのでなく、需要と供給の関係で動いているという現実を思い知らされます。
種田は「もうバンドはやめる」と言い「君は何もしないで、おれに押し付けているだけだ」と芽衣子を責めます。芽衣子は「おれがどうにかするといったじゃん」と反発、これからの生活に不安を募らせていき、二人の仲はぎぐしゃくしていきます。

種田は「おれ出かける」と出て行き帰って来ず、芽衣子は音楽活動をすすめたことを後悔します。5日過ぎて、種田から電話で「前の会社に戻って働くことを決めた、自分は音楽が好きなだけだったんだ、これからは険しいみちではあるが頑張る」と伝へて、芽衣子の「もう別れるということは言わないで」に「それから、最後のひとこと(きみが好きだ)」で電池切れ。夢を諦め無念の涙でオートバイを走らせる種田は信号無視で事故!!! 

ここまでの宮崎さんは、とても可愛くて、ふわふわした感じ、種田とラブラブ感、時に見せる不安感をうまく見せてくれます。特に、楽曲が出来上がって、大きな希望が見えて、仲間と一緒に花火で祝うシーンは夢のなかにいるようで、美しいです。後半の芽衣子の苦しさが強調されるうまい演出です。

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芽衣子は、一人暗い部屋のなかで、もしすんなり別れていたら、もし私が何も言わなければ、会社を辞めなければ、付き合っていなければと苦悩します。宮崎さんの暗い表情が印象的です。それでも種田の音楽友達、ビリーと加藤に励まされながら、お花屋さんでバイトを始めます。

種田の父が彼の遺品整理に訪れ、「彼は田舎に帰るつもりでいたらしいが、東京で大切なものが見つかったから・・」の思い出に芽衣子は涙します。そして、「彼を忘れないでやって欲しい。彼が居た事を証明し続けるのが、あなたの役割なのかもしれない」と言い、芽衣子の希望で種田のギターを形見分けしてもらいます。

そして種田の音楽仲間ビリーと加藤に「音楽をやりたい、死ぬほど練習する」と告げます。練習での宮﨑さんの指の動かし方が半端ではありません。しっかり練習を積みましたね。

加藤が「ライブやるが、あの歌えるやつもういないんだ」に、芽衣子が「ソラニン」を歌いたいと言う。初めてのライブだけに、度胸付にとギターを背負って路上ライブに向かうシーン、絵になります。

悲しみは消えているように見えて、時に見せる悲しみ、練習の最終日迎えにきたビリーの自転車でスタジオに向かう際、ビリーの「もう平気か? 悲しむだけではだめ。悲しくないが、あんな死にかたして、考えると涙が出て・・」の言葉に、うつむく芽衣子。このシーンには泣かされます。

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いよいよライブ、芽衣子は「ソラニンは君との別れの歌」だと思っていたが、「いまは過去との別れの歌に思える」と言う。
熱のこもったライブシーンには、この物語に込められた「大切な人間を失った悲しみを乗り越えるために歌う」といメッセージが込められていて、あおいさんの歌声、ギター演奏が最大の見せ場です。汗ぐっしょりでありったけの魂をこめたその歌声は迫力があります。プロでもこうはいきませんね!!
種田の遺した「ソラニン」を自ら歌い上げることで、新しい人生がスタートします。
                
三木孝浩監督は、このシーンについて、
「宮崎さんは、最初のリハーサルの時には“恥ずかしいからギターだけ”と言っていたのですが、気持ちがのってきてオフマイクで歌った時、その歌声が聞こえた瞬間に鳥肌が立ちました。宮崎さんの歌がすごく良かったので、実際にライブのシーンで使えることになり、とてもうれしいです」と語っています。

この後、あの有名な”earth music&ecology”のテレビCM、ロックバンドTHE BLUE HEARTSの「1000のバイオリン」をアカペラで歌うことにつながります。
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Rotti - Solanin (ソラニン) Full Song Legendado

2020年11月24日 19:10 983

上映企画「三木孝浩 filmo day ~音楽と映画~ 2020」(20201124)

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本イベントは、「アオハライド」「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「フォルトゥナの瞳」などで知られる三木孝浩の映画監督デビュー10周年を記念したもの。長編映画第1作「ソラニン」の上映後には主演の宮崎あおいがサプライズゲストとして祝福に駆け付けた。

三木は「映画は不慣れで、今思い返すと背筋が凍るくらい宮崎さんにご迷惑をおかけしたんじゃないかと思っていて」と当時を振り返る。宮崎は「監督もキャストも含めて一緒に青春をしているみたいな、そんな印象がすごくあります」と懐かしみ、「いまだに自分の中ですごく好きな作品で。会う人に『ソラニン』好きですと言ってもらえることが多くて、自分が好きな作品は10年経っても(好きだと)言ってもらえるというのはいいなとしみじみ思う作品です。演奏シーンが好きで自分でも観たりします」と笑顔を見せた。そして三木の「またご一緒していただけますか?」とのオファーに宮崎は「ぜひぜひ」と快諾し、「クリアしなきゃいけない課題、大きな壁があればあるほど燃えるので、そういうのがあるほうが好きですね」と語った。

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(2017)ピーター・クイルと父の葛藤にガーデイアンズの仲間が巻き込まれ、どんでもない“モンスター”と戦う物語。

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テーマは“家族とはなにか”で、ピーター・クイルと父との葛藤にガーデイアンズの仲間が巻き込まれ、どんでもない“モンスター”と戦うという物語。
育ての親こそ真の親です!そして、グリードの後継ベビー・グルードが万引きするさまが可愛くって、「万引き家族」を凌いでいます。(笑) 

もうひとつ、70年代のロックナンバーが要所で鳴り響き、作品に乗れます!

ここで描かれる宇宙は、奇想天外で、さすがと思わせてくれるものでとてもユニーク、マーベル作品のなかでTOPクラスの面白さではないでしょうか?

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の続編でシリーズ第2作。「MCU」シリーズとしては第15作品目。

matusima745.hatenablog.com

 監督・脚本は前作と同じジェームズ・ガン。キャストはクリス・プラットゾーイ・サルダナら前作からのキャスト陣に加え、ピーターの父エゴを演じるカート・ラッセルのほか、シルベスター・スタローンも参加。細部:
https://movies.yahoo.co.jp/movie/359505/credit/

物語は、
お尋ね者たちが成り行きで、銀河系の危機を救おうと編成したチーム「ガーディアンズ」。スター・ロードを自称するいい加減なリーダー、ピーター・クイルを筆頭に、美しき暗殺者のガモーラ、毒舌なアライグマのロケット、樹木型ヒューマノイドで25センチまで再生したベビー・グルート、マッチョな破壊王ドラックスの面々が、黄金の惑星・ソヴリンで小遣い稼ぎの仕事をしていたが、あることで高慢な指導者アイーシャを怒らせて追われ、惑星ベアハートに不時着する。そこにピーターの父親だという謎の男エゴが現れ、新たな危機に直面し、再び強大な敵と立ち向かうことになる。


www.youtube.com

あらすじ&感想
冒頭、1980年、母メレディス・クイルが身籠ったことを喜ぶ父・エゴのシーン。ピータークイルと父エゴの親子関係がテーマであることを暗示して物語が始まる。

それから34年後。ガーデアンズたちはソヴリン星で小銭稼ぎにアニュラクス・バッテリー関連施設の警備に従事していた。子供の怪獣と遊び踊るベビー・グルートが可愛い。そこに巨大な怪獣を出現、これをガモーラが斬り割く。その報酬を受け取りに王宮に。

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そこで、電池を盗もうとして捉えられていたネピュラに会う。ちょっとした隙にロケットが電池を盗んでいた。(笑)

ネピュラを捕えたことで、彼女をサンダー星に連れ戻し稼ごうとミラノ号で出発。ベビー・グレートが“最強ミックスVOL.2”で踊り、らくちんな旅と思っていたが、ロケットがアニュラクス・バッテリー電源を盗んだことがバレて、ソヴリンの艦隊に追われる。

 

遠隔操縦のソヴリン軍との空中戦、量子小惑星帯の通過が傑作だ!

惑星ベアハートに不時着すと、ここに謎の宇宙船が現れて、クイルの父親エゴと名乗る男が「息子・クイルを自分の衛星・エゴに招待したい」という。まさかと思いつつもガモーラがハセルホフかも知れないというので、招待を受けることにした。

ネピュラの監視とサンダー号を修理するため、ロケットとベビー・グルートが残り、クイルはガモーラとドラックスを伴ってエゴの招待を受けることにした。

 

ここから、残ったロケットとベビー・クルート、招待されたクイルらのふたつの物語が始まる。

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ガーディアンズに敗れたアイーシャは、コントラクシア星で遊んでいた海賊王ヨンドゥ・ウドンタ率いるラヴェジャーズを雇い、彼らがロケットとグルート、ネピュラを追う。グルート、ネピュラは捕まったが、追ってくるラベンジャーたちに地雷やステッカーディスクを仕掛けて闘うロケットの奮戦に大笑い!

 

ロケットとグルート、ネピュラを捕獲するがクイルを取り逃がしたことで、テイザー・フェイス一派が反旗を起こし、ヨンドゥに麻酔をかけ、ヤカの矢の操縦装置を取り上げて牢に閉じ込めた。ネピュラは自分の身体をテイザーに預け宇宙船を借り、ガモーラを追ってエゴの惑星に。

牢のなかのヨンドゥは、ベビー・グルートを使ってテイザーの側にあるヤカの矢の操縦装置を盗みだそうとする。が、ベビー・グルートとの意思疎通ができず
何度も何度も盗みを直す様に、大笑いです。

カヤの矢を取り戻したヨンドゥとテイザー一派との闘いは、新体操のリボン演技のように何でもかんでも絡めてやっつける。(笑)

勝利したヨンドゥがロケットとベビー・グルートを連れて、エゴ衛星に乗り込む。

 

エゴの惑星のクイル。エゴはセレスティアル“天人”と称し、数百万年かけて周囲の分子を操ることを覚えそこから徐々にそうを重ねこの星を作ったという。エゴの語る衛星の作り方に驚く。エゴに光を集めて形を創る技を教えられ、自分もそれができることでエゴが父であることを大いに喜ぶ。

ドラックスはエゴの付き人マンティスを、醜い君に惚れるなら本当の愛だと次第にふたりの距離がなくなっていく。(笑)

エゴ星にガモーラを追ってきたネピュラ。洞口に逃げ込むガモーラを宇宙船で追い詰めるネピュラの執念。(笑) 墜落したネピュラを救出するが、ネピュラはガモーラを攻撃し追い詰め「勝った!これで本当の姉になって欲しい」と懇願する。ふぃたりは本当の姉妹の関係に戻った。

サノスはネピュラを鍛えるためガモーラに勝つまで戦わせたが、ガモーラが決して勝を譲らず、ネピュラは目をくり抜かれ、脳みそを掻き出され、腕をひきちぎられていたのだった。

サノスは宇宙をきれいにするという大義のため強い娘になれと鍛えたが、結果は裏目にでたという、親の育て方を教えられます。

ドラックスがマンティスから、エゴが色々な惑星人に子供を産ませ連れ戻して殺したことを聞く。また、ガモーラとネピュラがこの遺骸を目の当たりにエゴを疑う。

エゴは宇宙を創り直すためにクイルが必要だと誘うが、母を見殺しにしてまでこの夢を追っていたことを知り、エゴを撃った。エゴがクイルのプレーヤーをぶっ壊し、エゴ惑星の心臓部に戻った。この世界感がおもしろい。

駆けつけたヨンドゥ、ロケット、ベビー・グルート、さらにドラッグス、マンティスが加わり、「エゴが宇宙を破壊する!」と闘いを挑む。そこにアーシャ指揮するソヴリン軍がアベンジャーズを追って来て襲いかかる。

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ロケットが盗んだアニュラクス・バッテリーで時限爆弾を作り、ベビー・グルードに「左のスイッチを押してセットして来い」と言い聞かせ送り出す。健気にベビー・クルードがエゴ惑星の心臓部に近づきセットする。(笑)

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クイルとエゴが対峙。強烈なエネルギーで襲い掛かるエゴの攻撃に必死に耐え、ベビー・グルートの仕掛けた爆薬の爆破でエゴが消え、クイルは宇宙に漂っていたが、ヨンドゥが現れ「お前の親父はあいつではない。いい息子を持てた」と自分のジェット・ロケットをクイルに着け、命を絶った。
かってクイルが地球からヨンドゥに連れ出されたが、エゴに渡さず育ててくれたことを思い、真の父親はヨンドゥだと感謝し、ヨンドゥがクイルのためにと地球で買い求めたZuneで「ファーザー・アンド・サン」を聞いて泣いた!!
ヨンドゥの死で、ガーデイアンズのメンバーのこころがひとつに、家族になった!

戦が終わり、ヨンドゥの宇宙葬が執り行われた。ここに全宇宙の海賊たちが駆けつけ盛大なものとなった。ここでの宇宙花火が凄い!スタカー・オゴルドがラヴェジャーズの再結成を決める。

葬儀後、アベンジャーズは新たな星を目指して宇宙の旅に。ネピュラはサノスを亡き者にすると去って行った。

まとめ:                 
クイルがヨンドゥを父と認め、亡くなった彼を偲びZuneを聞く姿には、涙です。すばらしい父と息子の物語でした。
そして、クイルはガモーラと踊る仲になり、ガモーラとネピュラが和解するという、後味のよい結末でした。が、・・・
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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019)

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レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットの初共演、“シャロン・テート殺人事件”を背景とした物語だということで、駆けつけました。とても著名なクエンティン・タランティーノ監督なんですが、あまり作品は観ていない。

感想は、とてもうまい画つくりと音楽で、当時の映画つくりに、特に昔のウエスタン映画を観ているようで、アクションあり、バイオレンスあり、大笑いして、ラスト13分のシャロン・テート殺人事件の“おち”に唸りました。なぜこの“おち”なのか?
これをつき詰めていくと、監督が映画界に変革の芽が出てきた1960年代を如何に愛し、後世に伝えたいという想いに辿りつきます。
街の風景、映画館、レストラン、スタディオ、広告、車、映画、音楽等すべてが1969年の世界で、それらすべてに映画に関わった人々の想いが詰まっていて、ここで触れら語られることはないですが、後に大輪の花となっていくエピソードに繋がっているという、すばらしい作品です。

人生に平坦な人生なんてない。最悪のなかでのふたりの生き方に、名は残らないがだれかの記憶のなかに生きていくことのすばらしさを教わります。

ヒロインのシャロン・テート役にマーゴット・ロビー、その他ダコタ・ファニングダミアン・ルイス、デイモン・ヘリマン、ラファル・ザビエルチャ、アル・パチーノらが参画しています。

テレビ俳優として人気のピークを過ぎ、映画スターへの転身を目指すリック・ダルトン(ディカプリオ)と、リックを支える付き人でスタントマンのクリス・ブース(ブラッド・ピット)。目まぐるしく変化するエンタテインメント業界で生き抜くことに神経をすり減らすリックと、対照的にいつも自分らしさを失わないクリフだったが、2人は固い友情で結ばれていた。

そんなある日、リックの暮らす家の隣に、時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と、その妻で新進女優のシャロン・テートマーゴット・ロビー)が引っ越してくる。今まさに光り輝いているポランスキー夫妻を目の当たりにしたリックは、自分も俳優として再び輝くため、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演することを決意する。やがて1969年8月9日、彼らの人生を巻き込み映画史を塗り替える事件が発生する。(映画COM)
                *
物語は、1969年2月8~9日のリック、クリス、シャロンの行動を交差させながら描き、リックとクリスがイタリアで仕事を終え帰国した6か月後、8月9日の事件に跳び結末ということになります。

物語の大部は、TV西部劇で活躍したリックに陰りが見え始め、マカロニ・ウエスタンで活躍してみてはというエーゼントの誘いに苦悩するリックとそれを支えるクリス、隣に住み始めたシャロンの行動描かれますが、この中に当時のハリウッドの話題がぎっしりと詰まっていて、退屈することはありません。
目につくもの、耳に入るものがすべて映画の監督や俳優の交友や活動で、楽しませてくれます。なかでも、リックの西部劇の撮影シーン、クリスがヒッピーの本拠地スパーン牧場を訪れるシーンはまさにタランティーノが作る西部劇。楽しめます。

あらすじ(ねたばれ):
冒頭にTV「賞金稼ぎの掟」で活躍するリックとクリフへのNBCインタビュー。「スタントマンとは何か」という質問があり、「俳優ができないことをする」と答えていますが、クリフはリックの役を代行するだけでなく仕事の相談に乗り精神的に支える一心同体とも言える関係。架空の人物ですが、同じような境遇にのちに大成するクリント・イーストウッドがいたということが物語を面白くしています。

リックはレストラン「ムッソー&フランク・グリル」で西部劇のエーゼント:マーヴィン・シュワーズ(アル・パチーノ)に会い、自分の演技力を売り込むために出演作を説明するなかに、ヒトラーの兵士を火炎放射器でぶっ殺すシーンがあります。このシーンが物語の最後で生かされ、実は監督作「イングロリアス・バスターズ」からの引用です。監督にはシャロン・テートを殺害したマンソン・ファミリーへの強い憎しみがあったのではないでしょうか!

シュワーズは「2年もたてば殴られ役しかない」と言い「マカロニウ・エスタンに出演してみないか」と持ち掛ける。リックはクリフに「やりたくない!」と泣きつく。この作品では、ディカプリオはよく泣く役で、これが面白い!(笑)

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この日、シャロンがイタリアから帰国するポランスキーを空港で出迎える。ポランスキーが「ヒッピーは大丈夫だったか?」と聞くから、彼は狙われていたのかな?

クリフの安全運転で、シュロ・ドライブに急ぐ。途中で「今日は太陽を浴びて・・」とShadee of Deep Perpleを歌いながらゴミを漁るヒッピー女性たちに遭う。この歌、マンソン・ファミリーのもの。そのひとりプッシー・キャット(マーガレット。クアリー)がウィンクを送ってくる。

ポランスキーのポスターを見て車を止め、リックがこのポスターに収まり写真を撮り、「ローズマリーの監督だよ。隣だから、俺、呼ばれるかもしれない」とつぶやく。このつぶやきがこの物語のエンドシーン。消えていった名もない俳優をポランスキーにつないでハリウッドを語るという、うまい演出だと思った。

このあと、クリフは自分の車でドライビング・シアターの跡地にあるトレーラーハウスに戻る。「セメントの女」(1968)とポスターが目に入る。帰りの激しいハンドル捌が見もの。クリフの気性の激しさが見られる。クリフ、まずビールを飲んで帰りを待っていた愛犬ブランディに餌をやる。これが本人のものより上等。(笑) このブランディがクリフと同じような気性で、ラスト13分で大活躍。(笑) 伏線を張りまくって物語が進むので目が離せない。

リックは、台本を抱えて、プールに浮かびセリフの暗証。スペイン語のセリフ?この地位を保ちたいということが分かる贅沢な生活と懸命な努力です。

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隣のシャロン・テートポランスキーとMG-TDをぶっ飛ばしてプレイボーイ・マンションに出向く。有名なワインセラー付きルーム、プレイメイトとセレブのパーティが映しだされます。「シャロンには元婚約者がいた。いまにポランスキーとくっつく」とスタイリストのジェイ・シブリン(エミール・ハーシュ)がこの噂を耳にする。シブリンはステーブ・マックイーンのスタイリストで、ブルース・リー(マイク・モー)とも知己の仲。プレイボーイ誌を向こうで買って、羽田に戻って機内に捨てるという記憶が戻てきます。(笑)

クリフがオーデイションでブルース・リーに会い、ブルースの大口が頭にきて、ぶっ飛ばし、そこに駐車していたシブリンの車を破損させ、大目玉を喰らう。(笑)  
ここでのふたりのアクションは見ものですが、人と人の繋がり、ハリウッドはひとつだと思わせるこれらのシーン。これが、監督の伝えたいことだと思います。暗い「シャロン・テート事件」で、余りにも大きなハリウッドの夢が消されたと、怒ったのがこの作品のテーマではないでしょうか。

次の日、新作撮影現場に着いたリック。「今日は出番がない」とクリフに「TVアンテナを修理してくれ!」と追い返す。
しかし、リックは監督にクリフを使ってくれるよう懇願するが「あれは女房を殺した男、雇えない」と断られる。

クリフは屋根に上り、ブラッド自慢の裸を見せてアンテナ修理。(笑) 隣の屋敷で音楽を聞くシャロンを目にする。ポランスキーが戻ってきたところに男・チャールズ・マンソン(デイモン・ヘリマン)が訪ねてきて、「どうも!」と挨拶して帰っていった。マンソンは何しにやってきたのか?

リックは西部劇「対決ランサー牧場の決闘」の撮影中。昼休みにセットの街を歩いていて子役トルーディ(ジュリア・パターズ)に会う。ジュリアが可愛いし、しっかりした演技をします。きっと大女優に育っていくでしょう。
ジュリアに「なぜ昼飯をたべない?」と聞くと「役の感情が鈍る。役名で呼んで!」と言われ、リックはジュリアに役者魂を教えられ、泣くんです!(笑)

リックがシェームス・ステイシー(ティモシイ・アリファント)、ウエイン・モウンダー(クール・ペリー)と共演、劇中で8杯も酒を飲みセリフを忘れ大恥をかき、もう酒は飲まんと悔やむシーン。笑えます。

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このころシャロンは、白いミニに白いブーツで映画鑑賞に出かける。演じるマーゴット・ロビーシャロンにそっくりというところが面白い。
本屋でポランスキーのためにとトーマスハーディの「ダーバヴィル家のテス」を買い求める。のちにこの本でポランスキーが映画を作ったことを知ると、「この女優をなぜ殺害した」という監督の怒りが分かります。

彼女は「この映画に出演してる女優よ」の無料パスで入場。「哀愁の花びら」を見る。この映画、彼女にはブルース・リーから教わったカンフーで立ち向かうシーンがあり、観客と一緒にこのシーンを大笑いする。

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クリフは、リックの迎えにハリウッド通を走り、途中でヒッピーのキャットに出会い、車に乗せ、彼女が求めるセックスを断って、スパーン牧場に送る。牧場持主でかっての仲間ジョージ・スパン(ブルース・ダン)に会うためだった。
ここはマンソン・ファミリーの屯する場所。荒野の決闘に立ったガンマンといった感じ。とにかく不気味で何が起きるかとヒヤヒヤです。ジョージの女スクィーキー・フロム(ダコタ・ファニング)の許しを得て、ジョージに会う。盲目で姿を見てもらえなかったが会えてよかったと帰ろうとすると車がパンク状態。怒ったクリフの暴力。ここが見どころ。(笑)

ここからは、前段のディカプリオに代わって、ブラッド・ビットが主役に躍り出て、監督の怒りの全部が込めた、激しいアクションをたっぷりと見せてくれます。(笑)

この日、リックとクリフは帰宅し「FBI」のビデオを見ているところに、偶然この映画をバーで見ていたマイケル監督から誘いがありイタリアに渡り、ふたりで4本のマカロニ・ウエスタンを撮って、6か月後、帰国。

そして8月8日夜。シャロンポランスキーは「エル・コヨーテ」で。リックとクリフは「カサ・ヴェガ」でそれぞれメキシコ料理を食べた。リックの家に戻ったクリフは酔っぱらったうえに、薬を吸ってラリっていたところに男と3人の女(マンソン・ファミリー)が侵入してきた。
わけの分からないクリフと愛犬のブランディの大暴れ、さらに火炎放射器で立ち向かったリックで、賊を完膚なきまでに叩き潰すという壮絶なアクション。(笑)

この働きで、リックはシャロンから自宅への招待を受けた。
                
名の無い俳優たちを通して、当時のハリウッドのすばらしさを唄いあげ、その未来を潰そうとしたマンソンへの怒りが描かれ、とても面白い、深い作品でした。
                                                    ****


映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』予告 8月30日(金)公開

“いだてん“第33回「仁義なき戦い」日本の裏切り!

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1940年のオリンピック招致をめぐり互いに激しく争う東京とローマ。治五郎(役所広司)は田畑(阿部サダオ)らをイタリアの独裁者ムッソリーニとの直談判に派遣する。しかし、ムッソリーニとの会見直前、IOC委員・副島道直(塚本晋也)が急病で倒れてしまう。招致の命運がかかっていたIOCオスロ総会は、他国の政府首脳に働きかけようとした日本の動きを巡って大紛糾。絶対絶命の状況下で、治五郎は逆転の秘策を思いついく。
感想:
「誰が仁義を破ったか?」オリンピック精神に関わる大切な回でした!
第12回オリンピック開催地として最有望なローマをムッソリーニに直談判して譲ってもらうという試み。嘉納治五郎が持病で赴けず、代わって副島(加藤雅也)が自らの病躯を押してムソリーニと面会。ムッソリーニは副島のなんとしての東京開催という覚悟に感動し、東京に譲ると確約をした。このころの日本人のスケールの大きさ、物おじしない態度に感心します。日本人としての気品がある副島:塚本さんの演技に痺れました。

開催地を決定するIOCオスロ総会。当然イタリアは辞退すると杉村ひとりが参加。ところが、イタリア代表・ボナコッサは「政府はスポーツに干渉できない」とこれを拒否。杉村はかっての国際連盟事務局長だったコネで再度ムッソリーニを動かそうとしたが拒否された。が、イタリア代表3票が東京に投じられることになった。しかし、会長ラトウールがこれに応ぜず、開催地決定は翌年に延期された。杉村:加藤さんの、今の日本人にはめずらしい、ちょっと強引なところもありますが自信に溢れた元外交官という演技がいい!

ラトウールは「なぜ嘉納は来ない!」と悔やんだという。ラトウールの1票は日本に決めていた。嘉納治五郎のオリンピック思想が国際的に受け入れられていた。嘉納が参加するだけで、オリンピックが政治利用されることを防げたということ。
オリンピックはなんのためにやるのか?すこし遠回りしたようですが、政治を持ち込んではならないと気づかされました。

嘉納はラトウールを東京に招いて“おもてなし”で決着しようとしているがはたして・・。

四三とスヤの関係が逆転してしまって、四三には熊本にいることは地獄のようです。(笑)。嘉納の誘いを受け家出、四三には小松(仲野太賀)でオリンピックのマラソンを制したい夢がある。ベルリンに間に合うのか? 五りん(神木隆之介)がすでに明かしているように小松は満州に出征しているから、悲しい運命が待っているかも?

2・26事件の勃発。この状況下も治五郎らは東京開催を主張できるのか?

***
1940年のオリンピック開催地を東京にするため、IOCオスロ総会が始まる前にムッソリーニを説得しローマに降りてもらうという奇策に出た。
ところが治五郎は持病の腰痛が再発して歩くこともできず、担架で病院に運ばれた。そのためムッソリーニに会いに行く役目は副島に託された。イタリア大使の杉村はムッソリーニとの面談を取り付けた。政治は写真集「日本」をムッソリーニに贈呈するという大役を治五郎から任されて副島に同行した。

昭和10(1935)年1月14日、副島と政治は、ローマで杉村と合流した。杉村によると「ムッソリーニは気分屋で『陽気な独裁者』と呼ばれ、4年ぐらいは待ってくれる」という。

副島、杉村、政治はそろってイタリア首相官邸を訪れた。ムッソリーニが現れたとたんに副島が倒れてしまった。
副島は病院に運ばれ、政治が付き添った。「余命1か月」と診断された。(田畑の聞き違い?)(笑)
首相官邸に残った杉村はムッソリーニに「副島は長旅の疲れで朝から発熱していたが耐え切れず病院に」と事情を説明したが、ムッソリーニが「サマライ!」と激怒して席を立った。

入院中の治五郎は電報でこの状況を知り、自分が行くと言い張ったが、担当意の東龍太郎から「脊椎損傷」と診断され止められた。東龍太郎はスポーツ医学の権威で、のちに東京都知事として1964年東京オリンピックに関わりオリンピック知事”と呼ばれる

副島はその後、ローマの病院で生死の境をさまよった。2週間経ってようやく医師から外出許可をとり、杉村、政治とともにムッソリーニを訪ねた。

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副島と杉村はムッソリーニを前に、オリンピック東京招致の意義を力説した。副島が「オリンピックは世界の祭典。しかしヨーロッパばかりだ。アジア初のオリンピックを東京に招致するまで祖国の地を踏まない覚悟だ。1944年にローマで開くよう協力する」と申し出ると、ムッソリーニは「その通りだ。あなたが病を押して会いに来てくれたことが心を動かした。予定どおり会っていたら拒否した」と15分で会談は終了した。

この知らせに日本中が大騒ぎになった。新聞は「第12回大会、イタリア首相の譲歩」の見出しが躍り、治五郎はIOCオスロ総会での勝利を確信した。
資五郎は「東京でオリンピックを行うならば、四三が適任」と四三を東京に呼び寄せることを考えていた。

熊本。四三は、小松とともに熊本の山道を走っていて「カフェ・ニューミカワ」なる店の看板を見つけた。行ってみると、店主は美川(勝地了)だった。美川は関東大地震後、全国を渡り歩いた末、この店を開いたという。

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四三が小松を弟子だと紹介すると、「金栗先生の前でおこがましいが、オリンピック?」と聞く。小松は「日本人がまだマラソンで獲得してないメダルを東京オリンピックで取りたい」と返事した。「あなたの夢は?」と聞くと美川が「大陸かな・・」と返事する。

2月、1940年のオリンピック開催地を決めるIOCオスロ総会が開かれた。副島は完治せず、杉村がひとりで十分と出掛けた。しかし、オスロにやってきた杉村、ムッソリーニの約束があるとはいえ、東洋人はひとりで心細くなった。
総会の会場にはイタリア代表のボナコッサ伯爵の姿があった。ボナコッサは10年来、私財を投じてオリンピック招致に励む「イタリアの嘉納治五郎」ともいうべき人物だ。

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開会するとIOC会長のラトウールが1940年の開催候補地がローマ、東京、ヘルシンキだと告げ、ローマが入っている。ボナコッサが「設備は整っておりローマは自信を持っている」と発言。これに杉村は驚き、言う積りはなかったが、「すでにムッソリーニ首相から日本に事態の申し出があった」とスピーチした。しかし、ボナコッサは「聞いている。しかし、イタリヤでは政府といえどもスポーツに干渉できない」と主張した。投票まであと3日。

東京でこれを知った副島は政治にオスロに行けと指示した。政治はまずイタリアに行きムッソリーニに会いに行ったが会えなかった。改めてオスロに行くことにした。

杉村は国際連合時代に部下だったイタリアのロドロ公使を通じて再度ムッソリーニに事態を嘆願しようとしたが、ロドロは「首相でもその権利はない」と断った。


ところが決戦の日。ボナコッサは「イタリアのIOC委員が持つ3票を不本意ながら東京に投じる」と宣言した。
しかし、タトウールが「IOCは政治的圧迫で議決があってはならない。杉村、副島はこれに抵触した」とこれを止めた。開催地の決定は翌年に延長するとラトウールは決定し、杉村が「政治的取引はない」と反論したが「ここは国際連合でないIOCだ!」と耳を貸さない。杉村が「東京は関東大震災で全部失ったが、その復興を見せたい」と食い下がると、ラトウールは「なぜ嘉納は来なかった。彼が来ていればこうはならなかった」と言う。杉村は絶句した。

やっとオスロに着いた政治に、杉村は「思い知った。日本への一票はすなわち嘉納治五郎への一票だった。誰もがいうムシュカノーは偉大なサムライだ」という。「嘉納は英語が下手だかあの人には人望がある。俺は嘉納治五郎にはなれない」。
政治が「なれないし、ならんでいいでしょう」というと「嘉納はお前を買っている。お前はなるよ!」と。この言葉が1960年東京オリンピック誘致に政治を駆り立てたのではないでしょうか。オリンピックは政治のかけ引きの場でなくでなく人と人の繋がりというのがすばらしい。

熊本の四三。スヤ(綾瀬はるか)に美川に会ったことを話すと「ゴキブリ、あれは貧乏神!」と会うことをよく思わない。
四三は美川に「あんな女になった」と話せば(これもひどい旦那だ(笑))、「昔は可愛かった」と美川。四三は「旦那さん旦那さんと言われるが招きネコと一緒。家に縛られて面白くない。小松一緒に家でしよう」とぼやく。スヤがすっかり独裁者になりましたね!(笑)

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帰国した政治、副島、杉村は東京市庁舎で牛塚(きたろう)、山本(田中美映)と対策を話し「治五郎にラトウールに謝罪に行ってもらうしかない」と話が出たところに、治五郎が現れた。治五郎は「東京に呼んで、謝りついでに東京を視察してもらう。至り尽くせりのおもてなしで、接待するんだよ」という。治五郎はすでに、ラトウールに誘いの手紙「いかに東京がオリンピックにふさわしいか、オリンピックを待ち望んでいるかを見て欲しい」を出していた。

秋になりラトウールは訪日の意向を示し、ローマは正式に辞退を表明した。

政治はバー「ローズ」で河野(桐谷健太)に会いと、「ヒトラーがラトウールに圧力をかけ、東京指示を要求し、日本に恩を売ったんじゃないか。ラトウールの行動には裏がある」という。
政治はオリンピックを外交の道具のように捉える考え方に違和感を覚え「オリンピックは2週間かけての運動会。いつからそんな大仰な、国の威信を賭けた一大行事になったんだ」と叫んだ。
するとマリー(薬師丸ひろ子)が「田畑さんがメダルを沢山取ったからよ。あれで日本人もやれる、東京にオリンピック持って来られるって、思っちゃったのよ」という。政治は「違う」と否定すると河野が「東京に決まれば、あと4年は戦争にならん」と。

第12回オリンピック招致委員会が発足。政府から金が出されることになった。
会合で政治は「国のためにやるのではない。若いもののためにやるんです」とオリンピック開催の趣旨を述べた。

池部家では四三が、治五郎からの上京を促す手紙を受け取った。四三は家族に書き置きを残し家出を決行した。

孝蔵は暮らし向きがよくなり、7年暮らした業平の長屋を出ることにした。雪の朝、孝蔵(森山未来)とおりん(夏帆)は引っ越しの荷物を運び出す。その日は昭和11(1936)年2月26日だった。

オリンピック開催のカギになる“おもてなし”とは、日の丸弁当
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