映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「インターステラー」(2014)5次元は空間、時間、重力、愛情の世界だった!

f:id:matusima745:20200925063757p:plain

[テネット]、映像の謎解きのような難解な作品でした。そこで、監督の映像世界を知りたくて、この作品に挑戦、DVD鑑賞です。

世界的な飢饉や地球環境の変化によって人類の滅亡が迫る近未来。最愛の娘を残し未知の宇宙へと旅立った元宇宙飛行士が、宇宙と地球の時間差という大きな壁を乗り越えた愛の力で、世界を救うという物語。

しっかりした科学的な根拠を持たせたSFとして、“驚くべき宇宙”を見せてくれます。 “宇宙で試される人間性、そして“重力に負けない愛の力”が描かれています。「テネット」より人間ドラマになっていて楽しめます。

相対性理論なんか知らないでも、十分楽しめる作品でした。これが良い!

監督:クリストファー・ノーラン、脚本:クリストファー・ノーランジョナサン・ノーラン、製作総指揮:ジェイク・マイヤーズ、ジョーダン・ゴールドバーグ、“キップ・ソーン”,撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ、編集:リー・スミス、音楽:ハンス・ジマー。“キップ・ソーン”はノーベル賞学者です。

出演:マシュー・マコノヒーアン・ハサウェイジェシカ・チャステイン、ビル・アーウィンマッケンジー・フォイエレン・バースティンマット・デイモンマイケル・ケイン


映画『インターステラー』特別予告 2020年9月4日(金)IMAX®にて緊急公開【2週間限定】

あらすじ(ねたばれあり)

地球環境の変化で食糧危機。いまではNASAも空軍も亡くなった元宇宙飛行士・クーパー(マシュー・マコノヒー)は、飛行士時代の技術を生かして、トウモロコシ農業を営んでいるが、例年猛烈な砂嵐に見舞われ、人類が滅びるのでなないかと不安を持っていた。彼にはトム(ティモシー・シャラメ)という長男、マーフィ―(マッケンジー・フォイ)という娘がいた。マーフィーは父親が宇宙飛行士ということに誇りを持ち、天才的な能力、ポルターガイスト現象を読み解く力があった。クーパーの書斎で時に起こる本の位置のずれに規則性を見出し“ユウレイ”がいるという。

f:id:matusima745:20200925063858p:plain

親子がインド軍のドローンを、トウモロコシ畑を踏み倒して追い駆けるシーンは爽快でした。

野球見物中に発生した大砂塵の波紋に規則性があることに、マーフィーの予言が当たっていると気付き、ある地点が関係していることを突き止めた。そこは潰れたはずのNASAだった。

ブラウン博士(マイケル・ケイン)から請われてラザロ計画」のために移住可能な星を探すパイロットとしての参加を要請された。ラザロ計画にはA計画:地球人を他の惑星に移住するという案と、B計画:受精卵を保管し、移住先の惑星で人口培養する案から成り立ち、A案で実行、すでに別の銀河の3つの星に人を送っているという。博士は重力方程式を示し、「君が帰るまでには必ず解く」と約束した。クーパーは「家族に会えれば」とパイロットになることを引き受けた。

しかし、マーフィーを納得させることは難しく、「親は子供の記憶の中に生きる」と後ろ髪惹かれる思いで宇宙に旅立った。

クルーはクーパー、ブラウン博士の娘アメリア(アン・ハサウェイ)、ロミリー博士(デヴィッド・ジャーシー)、ドイル(ウェス・ベントリー)にロボットのTARS、CASE。レンジャー号で地球を発ち、宇宙船エンゲュランスに乗り変え、14か月の冬眠カプセルで土星近くのワームホームに。手動でこれを通過。ワームホームは初めて見るのでとても興味がありました。

ワームホームを抜けたところで、先人の3つの星は“ミラー星”、“マン星”、“エドマンズ”のいずれを検証するかを論議した。

マン星は先発12名を率いたマン博士(マット・デイモン)が発見した星で、毎年報告がある。ミラー星も毎年報告がありここからの距離が最も近いが、ガルカンチェア(ブラックホール)の軌道上にある。エドマンズ星は3年前で報告が途絶えているが、彼はアメリアの恋人だった。

ドイルが「ミラー星は重力が強く時間の流れは遅い。1時間が地上の7年に相当する」とミレー星を押した。クーパーは「確実性、短距離、任務の容易性」ということでミラー星調査を主張すると、アメリアがこれに賛成し、ミレー星に決定。

クーパー、アメリア、ドイル、CASEがレンジャー号でミレー星に向かった。ロミリーはエンゲュランスに残り、ブラックホールのデーター収集に当たった。

一面海だった。膝までの水深。アメリアとドイルが船を降りてミレーの足跡を探す。機体の破片が見つかった!ブラックボックスを収容している時、大きな山のような波が襲ってくる。重い重力によるもの。急いでCASEがアメリアを収容したが、ドイルを置き去りにして宇宙エンゲュランスに戻った。アメリアは「命よりデーターが大切だ」と言い張った。

使った時間は23年4か月。地上から送られてきたビデオレターを見た。トム(ケイシー・アフレック)は農業を継ぎ結婚し子供が出来てクーパーはお爺ちゃんになった。マーフィー(ジェシカ・チャステイン)は「父とあのころと同じ歳になった」と言い帰って来ると言ったのにと悲しそうな表情をした。マーフィーはブラウン博士と一緒に重力の方程式を研究していた。

次に調査する星は決まっているようなもの。だか、アメリアがエドマンズだと言い張る。クーパー7が恋人だからかと聞くと「そうだ!」と言い「愛は時間も空間も超える。愛の未知の世界で信じていい」という。クーパーが「間違いだ!」と反対。アメリアは受精卵が安全であることを確認し「エドマンズの星でコロニーを作れば人類を救える。あなたは子供に会うことを考えているが、それが人類の未来を選ぶことにふさわしいのか」と反論。TARSが決を採ってマン博士の星に決まった。

マーフィーは病院で療養中のブラウン博士に呼ばれ「嘘ついていた。方程式は解けず、クーパーが地球に戻っても救えない!」と告白した。マーフィーは激怒した。父も嘘を言ったのか?

f:id:matusima745:20200925064020p:plain

レンジャー号でクーパー、アメリア、ロミリーが氷のマン星に降り、マン博士のキャンプに入った。博士は日付も決めず冬眠カプセルに入っていた。起こすと感激で泣いた。「マン星は氷の下は地表があり水と大気も大丈夫、人類は生存できる」という。

そのときアメリアにマーフィーからの「博士は嘘ついていた」のメッセージが伝えられた。クーパーはブラウン教授の目的は人類の移住ではないことに疑念を持ちアメリア、ロミリーに説明を求めた。ここはしっかり両博士が相対性理論ブラックホールを説明してくれるがよく分からなかった。(笑) ブラックホールの中が解明されていないらしい。マン博士が「その代案がB計画だ!」という。クーパーは「地球人を皆殺しにするのか?」と反発すると「地球は終わりだ。希望はない」と言い切った。

クーパーは地球に帰ることに決めた。ロミリーから「ガルカンチェアは重力が強力だか潮汐力を利用して地平線を猛スピードで突っ走れば生きれる。地平線の向こうは全くの謎だから量子データーを送信できたら方程式は解ける。送信機をTARSに持たせればいい。光通信装置はマンのものを使えばいい」と教えられた。

ロミリー、アメリアがここで活動できるよう研究棟、生活棟を作る資材をCASEの操縦するランダー号で運び込むことにして、その場所選定にマンの案内で出掛けた。

マンは「ここは人類の星だと思ったが嘘だ。死を覚悟していたが誰かが迎えにくるよう信号を送り永眠カプセルに入っていた。生きると決まったら(他の星の探索だ)、お前を帰すわけにはいかん!宇宙船エンゲュランスが必要だ!」とクーパーを襲い、谷に突き落とした。クーパーは目覚めアメリアに連絡してランダー号に収容された。

命を捨てて宇宙探索に執念を燃やす狂気の男がいる。監督はうまく描いたと思います。

マンは資材を焼き払い、ロミリーを殺害してレンジャー号を奪い、エンゲュランスに向かい、これにドッキングを試みる。クーパーとアメリアはランダー号でマンを追った。マンは主動でのドッキングに失敗し宇宙に消えた。

f:id:matusima745:20200925064048p:plain

エンゲュランスはガルカンチェアに向かっていた。クーパーは「エドマンズ星に行こう」とアメリアを誘った。彼女が微笑んだ!「ガルカンチェアの水平線まで行き重力ターンでエドマンズに行く」と伝え、通信機を備えたランダー号にTARSを乗せてエドマンズから切り離し、次いでターンのためとレンジャー2号にアメリアを乗せて切り離したアメリアは「別れるの!」と驚いた!

クーパーはロミリーに教わったように宇宙船をブラックホールに突っ込んだ。そこは第5次元の世界だった。過去や未来が同時に存在して、空間を移動するように自由に行き来することができる。クーパーは本棚の裏側でマーフィーに会って(姿は見えない)、コトコトとブラックホールのデーターを残した腕時計で届けた。

マーフィーはこれを解析し重力方程式を完全に解くことに成功した。

クーパーは土星軌道上の宇宙ステーションで目覚めた。「クーパーステーション」と名付けられていた。年老いたマーフィー(エレン・バースティン)に会った。「私には沢山の孫がいる。だからアメリアの元に!」と送り出され、再び宇宙に向かった。

アメリアはエドマンズ星にコロニーをつくり、たったひとりで眠りにつくところだった。彼女の「愛」で感じた予想は当たったようです!

感想:

マーフィーが幼いころ本棚の本がコトコトと音を立てて動いたことをオバケがいると話した伏線に、ブラックホールからクーパーが送るデーターの音が繋がるという、うまい筋書きでした。

愛がふたりを結び付けた!5次元。5次元は空間、時間、重力、愛情だと思いました。アメリアもそうでした!未来の宇宙物語で“愛の物語”が描かれるなんて、おもしろかった。

未知に挑む人たちの夢と愛、生きる欲望との葛藤。なかでも氷の星で繰り広げられてたクーパーとマン博士の戦いは面白かった。

相対性理論などわけ分からない科学用語が出てきますが、監督は嘘をつかないと信じて(笑)、楽しめる作品でした。物理学がしっかり分かればもっと楽しめるのかもしれません。

レンジャー号でリフトアップと飛び出し宇宙船との連接。ここから他の銀河系へ向かい、ワームホームの通過。海のミラー星、氷のマレー星の観測を終えて、第5次元のブラックホールへの突入、みたこともない映像でこれだけで十分に観た価値があります。

             ****

「映像研には手を出すな!」(2020)

f:id:matusima745:20200926161206p:plain

大童澄瞳さんの人気コミック。TVによるアニメ版、実写版がある。湯浅政明さんのアニメを作る覚悟と思いと狂気に満ちたアニメ版を観ていて、映画化は“手を出すな!”の暴挙だと思っていましたが、「思い、思われ、ふり、ふられ」(2020)の浜辺美波さんと福本莉子さんが出演。なかでも「思い、ふられ」の福本さんを観ないわけにはいかない!(笑)

湖に面した芝浜高校。人見知りだが監督としてすぐれた素質をもつ浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ、金もうけが好きなプロデューサー気質の金森さやかは、「映像研究同好会(映像研)」を結成し、自分たちが思い描く“最強の世界”を描くためアニメーション制作を開始する。が、そこに大問題が起こった。高校には部や同好会がなんと470もあって、生徒会は自主的にこれらを統合、廃部するという。はたして映像研は生き残れるか!というSFっぽい、コミカル青春物語です。

ぶっとんだ世界感で学園生活が描かれ、そんななかでどうやって「映像研」として生きていくんだと、アニメとはまったく違った視点で彼女たちの覚悟を見ることができました!

アニメでは感じられないキャラクターの性格やリアルな感情が、「アイドル侮ることなかれ!」と伝わってきて(失礼)、彼女たちの脳内イメージが爆音で“最強の世界”に昇華していくプロセスは感動ものでした。この作品、音質がとても良いんです!

監督は「ハンサム・スーツ」(2008)「前田建設ファンタジー営業部」(2020)の英勉さん。脚本:英勉 高野水登、撮影:川島周 古長真也、音楽:佐藤望、主題歌:乃木坂46「ファンタスチック3色パン」。

主演は齋藤飛鳥山下美月梅澤美波さんの乃木坂46人気メンバー。共演に小西桜子、福本莉子桜田ひより浜辺美波さんら人気若手女優の参加です。


映画『映像研には手を出すな!』本予告【公式】

あらすじ(ねたばれ):

学園の門前。生徒会の警備部が出入りを監視。ほかに校(公)安部もある(笑)。やってきた3人が検問で逃げる!これを見た三助と相棒。「う~ん、わからん!わからん!」。「映像研か?」「あんな部活はわからん」と名作「羅生門」(1950)の最初のシーンを持ってきて、以下映像研設立の経緯・活動が描かれます。このぶっ飛んだ出だしが気に入りました! (笑) 話があっちこっちと飛んで、映像研の三人が意気投合し、脳内イメージから空飛ぶポットカイトを作って、街のなかを飛ぶ映像など「TENET」を遙かに超えていて“わかんね~”です。(笑)

浅草みどり(齋藤飛鳥は想像力豊かだが極度の人見知り、水崎ツバメ(山下美月はカリスマ読者モデル、アニメーター志望だがアニメに関わることを両親に禁止されている。森さやか梅澤美波は金儲けに執着し対外的な交渉や資金集めに力を発揮し、プロデューサーを担っている。

f:id:matusima745:20200926161313p:plain

いよいよ大・生徒会であらゆる部活の統廃合しようと討論が始まった。ここか、らが本作の本番です。

大・生徒会委員の面子を見ただけで笑えます。会長が道頓堀透(小西桜子)そのサイドに並ぶのが切り込み隊長阿島(福本莉子、「この役はなんじゃあ!」という感じでびっくり。もうひとり書紀:さかき・ソワンデ(グレイス・エマ)、この人の存在感が凄い。これからが楽しみだ!この種映画にはこんな楽しみがあります。

f:id:matusima745:20200926161335p:plain

書紀のさかきから「アニメ部」との統合を打診されたが、金森は浅草が鉄巨人のイメージを持っていることを知っていて、ロボット研究部(ロボ研)と手を組むことを顧問・藤本先生(高嶋政宏)に許可を得て提携を打診する。

ロボ研(小野:板垣端生ら)は提携の申し出を「俺らは第3位の部、タロース・ロボットがある」と提携を渋る。が、帯同したアニメ部の伝令に「タロースでアニメを作る」と宣言。ロボ研に有無も言わせぬ速攻でした!

金森はロボ研提携を生徒会に報告。文化祭には参加しないで、ロボ研の反対を押し切って、コメット社に映像提供し、自立して活動する道を選ぶ。顧問の藤本先生にこの案を持って行くと断れた。

タロース・ロボットを使って怪獣を倒すアニメを作りたいと、映像研の三人が下水道のロケハンに出掛け、浅草がカニを見て、「これ!」と決まった。“巨大怪獣テッポウカニ”。このイメージを持ち帰りロボ部と話し合う。

f:id:matusima745:20200926161413p:plain

肝心のタロースのイメージ作りで、爪は?チェンソーは!とアイデアが固まっていくが、ロボ部は自分たちの存続とテクノロジーの可能性追及ばかりで、何の面白さも夢もない。両者の間で熱い論議が交わされ、「分かった、見つけた!」と浅草と水崎のアイデア絵図で、巨大ロボ・タロースが作られ、その操縦席に案内されたロボ部員はその精巧さに驚いた。ロボ部が金森の言うとおりに動くことになった。

f:id:matusima745:20200926161434p:plain

しかし、金がない。金森がふたりに生徒会でアルバイトを斡旋してもらうよう勧めた。ふたりは廃品部のバイトで音響部室の廃品回収に訪れると、廃部になると泣く百目鬼桜田ひよりに会った。桜田さんの持つ雰囲気がアニメを超えていました。物語はここから、アニメ創作者の感性を見ることになります。

浅草は華厳の滝の音源が75通りもあるという“ゴミ”音響部を合併することにして、研究室地下に置くことした。

金森が藤本先生にコメットとの取引を再度許可してもらうよう訪ねるとバカ、「学校の指導要領でダメだ!」という。金森は「指導要領には先生はバカしかなれないと書いてある」と皮肉って部室に戻ってきた。(笑) この作品のセリフはとてもユニークで面白い。笑えます!

金森はコメット出品を諦め、文化祭でDVDを得ることにした。時間がない!どこまで作品が出来上がっているかを水崎に聞くと「パソコンがないからまだ描けていない!」と応えた。金森が「高校生のアニメ制作にパソコンなんかいらない!」と言ったもんだから、浅草が「水崎に謝れ!」と怒った。この日から金森の姿が消えた。

金森はパソコンを手に入れるために駆け回っていた。音曲浴場でラーメンを食べていた浅草と水崎のところに「パソコン頼んだ!当日の上映は第1行動だ!」と金森が駆け込み、ラーメンを食った。(笑) 水崎は父母に隠れ自宅でも描きまくった。

この機に及んで浅草が「万人が希望するロボットが描けない!」と落ち込む。金森が「人の目を気にするな、バカ!」と蹴とばした。浅草にとって、人目に作品が触れることでこれほどの精神的圧力が懸かることに、ちょっと泣ける演出になっています。

浅草はこの日から姿が見えない。3日後、部室の地下から爆音がする。部屋に入ると、浅草がいた。3人で“ロボの足音”、“カニの足音”と大音響を聞きながらタロースとカニの対決を妄想して「巨大ロボ・タロースと巨大怪獣・テッポウガニの決闘」イメージが出来上がった。徹夜して完成した。

当日、こないはずの水崎の両親がくることになって、上映を躊躇したが、水崎がやると決心。人見知りする浅草が舞台挨拶に立ったが、すぐに水崎に代わった。アニメ上映は大成功で、水崎の両親が娘の才能に驚いた!

感想:

ぶっとんだ作品で、アニメとは別作品のようで、笑って、笑って、最後に感動するという作品。監督のこの作品に挑んだ勇気を褒めたいと思います。

テーマは「自分らしさを失うな!」でしょう」。

乃木坂の三人、しっかり演技ができていました!これが作品の「売り」でしょう。特に浅草役の斎藤さんはおどおどしているかと思えば話が止まらないほど広島弁で喋る子、イメージぴったりでした。

福本さんと、グレイス・エマさん、出番はわずかですが、存在感がありました。そして、桜田ひよりさんの演技は物語の後半、“アニメとは”想像力”を引き出すような雰囲気のある演技でした。浜辺美波さん、どこに出ていたんですかね。(笑) 

                           ***

 

劇場版 「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」(2020)極限状態で知った愛の物語! 

f:id:matusima745:20200922142301p:plain

Sincerelyで始まる物語。ヴァイオレットとギルベルトの戦場シーンが京アニの事故が重なり、ふたりの愛の物語は、極限状態で得た人の優しさに溢れていて、涙が止まらなかった。このような作品はもう出てこないのでは!

原作もTV版も見ておらず、「外伝」を見たのみの所見となります!京アニは絵が美しいですが、それを凌駕する愛に溢れる物語だと思っていましたが、本作はさらに磨きがかかった愛の物語になっていました。

孤児で言葉も親も知らなかった少女。ブーゲンビリア家に拾われ、次男ギルベルト(少佐)によってヴァイオレットという名を付けられ、戦場に女子少年兵として参加。少佐の配下となり活躍、激戦のなかで両腕を失い「愛している」という少佐の言葉で病院に送られた。復員後、エヴァーガーデン家の養女となり、今では郵便社で代筆業をしながら、少佐の「愛している」という言葉の真意を探しながら、少佐との再会を待っていた。ふたりは会うことができるかという愛の詰まったドラマ。

「人は人のための生きる」「本当の気持ちは言葉だけでなく、隠れたところにもある」「気持ちを伝える手段としての手紙の価値は?」など、愛の本質と伝え方に触れる物語です。

代筆業をしながらいろいろな愛の形・伝え方を知って行くヴァイオレット。彼女が少佐の「愛している」をどう理解したかが試されます。彼女の勤めるC.H郵便社の面々や少佐の兄ディートフリートとの交流、代筆で知合った命僅かな少年との交流を交えながら、愛とはなにかを問い、戦場で傷つき未だ癒えぬ少佐との対峙がみどころです。泣けます!

原作:暁佳奈、監督:石立太一、脚本:吉田玲子、キャラクターデザイン:高瀬亜貴子、総作画監督:高瀬亜貴子、撮影監督:船本孝平、音響監督:鶴岡陽太

音楽:エバン・コール、主題歌:みちしるべ(茅原実里)。

声優:

ヴァイオレット・エヴァーガーデン石川由依、ギルベルト・ブーゲンビリア浪川大輔


『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』本予告 2020年9月18日(金)公開

あらすじ(ねたばれ):

テイジーは母親にうまく想いが伝えられない。ヴァイオレットの代筆で交された祖母と曾祖母の絆を思い、彼女の足跡を訪ねる旅で出るシーンから物語が始まります。

ヴァイオレットがC.H郵便社のドールになって5年。沢山の代筆をこなし海も感謝祭の文章で賞をいただき、市長から称賛されるほど今では社の人気ドールになり、エリカやアイリスの憧れの的だった。しかし、戦場で別れたギルベルト少佐の言葉「愛している」を思い出し、思慕が募り手紙を書く日々で、表情は暗かった。こんなヴァイオレットを社長のホッジンズや先輩ドールのカトレアが心配しながら暖かく見守っていた。

f:id:matusima745:20200922142536p:plain

ベルベットの母親の月命日。墓参でギルベルトの兄ディートフリートに出会った。「戦争が終わって何年にもなる。もうギルベルトのことは忘れなさい!」と言われ、「生きている限り無理です」と返した。こうやって月命日に墓参りをするというのは、戦場で“命の重さ”を知った者でなければできない。この重さがギルベルトへの想いに繋がっている。この時落としたリボンをディートフリートが拾ったことが縁で、彼の招待でギルベルトの思い出が詰まったヨットを訪れることになる。

ヨットを訪れるとギルベルト少佐の想い出の品が一杯だった。ディートフリートが、今だから話せるとギルベルトへの想いを語った。

f:id:matusima745:20200922142741p:plain

「家を継ぐこと、軍人になるのが嫌いで父親と喧嘩し、それを見たギルベルトが家を継ぎ、軍人になった。俺のためにあいつは生き方を変えた。そしてこの様だ!失くしたものは大きい!会ったら話したい!」と悔いた。

墓参りのあと、男の子から電話で代筆の依頼が入った。訪ねるとユリスという男の子だった。3度も手術して長くは生きられない。そこで父母、弟に手紙を書いて預かって欲しいという依頼だった。ヴァイオレットが「気持ちには表と裏があります。本当の気持ちを書きたい」とユリスの希望を聞いた。「父母には感謝の気持ちを、弟には自分が父母に甘えられなかったからしっかり甘え、自分の分まで生きて欲しい」と書くことで同意した。

ユリスは「あなた変わっている。何も聞かない、同情は嫌だ!」と言った。心の傷に触れるときは言葉でなく沈黙の愛情しかない。腕を失っているヴァイオレットは、そのことを知っていた。

帰りかけると、もう1通書いて欲しいという。見舞いを断った親友ユカに。「それは自分で伝えたほうが良い。私に愛を教えてくれた人にそれを言えなかったから、手紙にしますが・・・」と言って帰った。3通目を書き上げることなくギルベルトを探す旅に出た。

ある日、ギルベルトは生存しているのではないかと思われるあて先不明の手紙が見つかった。ディートフリートにも知らせた。彼の生存を確かめるため、切手から判断して、ホッジンズとともにエカルテ島を訪ねた。ヴァイオレットは「何を伝えたらいいのか?」と悩んだ。「手紙を書きなさい」とカトレアがアドバイスした。

f:id:matusima745:20200922142857p:plain

島は戦争の傷が残る寂しい島だった。孤児院を尋ねホッジンズが「確かめてくる」とヴァイオレットを待たせて、院に入って行った。

ヴァイオレットは院化から出てきた子供たちから、ギルベルトが生きていて子供たちに好かれる先生。片目、片足、片手になっていることを知った。しかし、院から出てきたホッジンズは「武器のように使ったことを謝り切れない。ヴァイオレットを不幸にした!」と会うことを拒否したという。ヴァイオレットには受け入れられなかった

雨の降る中、ヴァイオレットは少佐の小屋を尋ね、扉越に話した。少佐の「幼い君を戦争に出し、両腕を失ったことを思い出すので帰って欲しい」と話すのを聞いて、「私が少佐を苦しめている。今の私には少佐の気持ちが分かります!」と扉の前に佇んでいたが、開けられることはなかった。これを見たホッジンズは「大馬鹿野郎!」と叫んだ。ヴァイオレットは雨に中、野を走り、泣いた!

f:id:matusima745:20200922142922p:plain

その夜、灯台の一室に泊めてもらった。灯台が郵便社も兼ねていた。「ユリスキトク」という電報が入った。ヴァイオレットは「帰る!」と決心したが、3日はかかるというので、C.H郵便社からベネディクトとエリカが駆けつけ対応することになった。ヴァイオレットは知らせを待っていた。ユリスは死の直前にユカに電話で見舞いを断ったことを謝り、「ヴァイオレットの愛している人が生きていてよかった!」と話して亡くなったという。依頼された2通の手紙はベネディクトにより配達された。

ヴァイオレットは「少佐に生きて会えないと思っていたが、声を聞き、もうこれで十分」と郵便社に戻ることにして、子供たちにベネディクトへの手紙を託して翌朝の船に乗った。この手紙は、ギルベルトが島民のために収穫したブドウを山から港に降ろすために作ったリフトで彼の元に。(笑) そのとき、ディートフリートが訪ねていて「ヴァイオレットの気持ちを察しろ!」と説得していた。

読み終えたベルベットは、兄に「素直になれ!」と声を掛けられ、泣いた!そして出航した船を追って走った。

テイジーはエルカ島の灯台を訪れ、ここで沢山の手紙を代筆したドールがいたことを聞き、「両親に素直な気持ちを伝えたい」と手紙を書き、家路を急いだ。

感想:

館に入って来るコツコツという足音。オープニングはヴァイオレットが初めてマグノリア家の館に訪れた足音。そしてラストの足音はテイジーがヴァイオレットの足跡を探す旅を終えて帰ってきたもの。ヴァイオレットが亡くなり、電話が発達した時代になっても、ことばでは言えない手紙なら伝えられる「愛している」の伝え方があることを訴えています。SNSの今の時代だからこそ求められる手紙の役割ではないでしょうか!

作画がその時々のヴァイオレットの感情を表現していて素晴らしい。しかし、それ以上にディートフリートとギルベルトの兄弟愛、ユリスの父母や弟、さらに友人への感謝の想いが、ヴァイオレットがギルベルトに与える「愛」に全て繋がっているという、“脚本のうまさ”に感嘆しています。

この物語のキーは戦場シーンだと思っています。ヴァイオレットが少佐を思い出すシーンでは必ず戦場での別れのシーンが挿入されている。生かされて生還した兵士が亡き戦友の墓参りを欠かさない話はいっぱいあります。戦場は「生きることの意味を知る」ところです。

ヴァイオレットも生かされていることの意味、「生きて、人のためになりなさい」を知り、代筆の仕事を通して一層この思いが磨かれている。この作品にはこのことがしっかり描かれ、あの炎のなかで感じた京アニの人達の気持ちがしっかり出ているようで、他の人には描けない感情・表現があります。

ヴァイオレットがエラルテ島を訪ね、ベルベルトとの長い別れの空白を埋めていく作業にはっきり出ています。

どんなことがあっても“あんな”惨めな想いをさせてはならない、生きることの大切さを説いています。決して自分のことではなく、相手の幸せを願う「愛」です。このことに胸打たれます。京アニの優れているのは「深い相手への想い」だと思っています。

ヴァイオレットの少佐に当てたラストレター。「最後の手紙です。私が生きて誰かを思えるのはあなたのせいです。受け入れてくれありがとうございました。教えてくれ、ブローチありがとうございました。いつも側においてくれ、ありがとうございました。“愛している“をありがとうございました。少佐を愛しているのが”生きるみちしるべ“です。愛しているを知って、愛したいとは思いません。少佐本当にありがとうございました」。愛の本質を表現しています。

 希望と命の大切さのメタファーである、大きな青空、海、夕日、花火が本当に美しい。これに音楽と声優さんの声の演技が被さり、すばらしい愛の物語になっていました!

             *****

「TENET テネット」(2020)

f:id:matusima745:20200920201023p:plain

クリストファー・ノーラン監督作。とても評判のよい作品で期待しておりました。

スパイとしての能力を買われた男が、ある組織から、未来からやって来る敵と戦って、第三次世界大戦を阻止して欲しいと頼まれる。彼は時間が逆行する兵器を売買する商人を炙り出し、彼らを通して未来の敵と対峙する。

時間が順行や逆行しながら展開するスパイもので、ストーリーはシンプルですが重みがある。しかし、時間が逆行する展開は読めないところがあり、とてもミステリアスでした。見たことのない逆行アクション、そしてリアルさに拘る監督らしい映像を楽しめます。

1回目の所見。ハラハラドキドキは嘘で、よく分からなかったが本音です!(笑)

順行逆行を同時に描いて、時間内の情報量を2倍にするんだから、分からないは当たりまえ!

監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン、撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ、音楽:ルートヴィッヒ・ヨーランソン

出演者:ジョン・デビッド・ワシントン、ロバート・パティンソンエリザベス・デビッキケネス・ブラナー、ディンプル・カパディア、アーロン・テイラー=ジョンソン、ヒメーシュ・パテル、クレマンス・ポエジー


映画『TENET テネット』本予告 2020年9月18日(金)公開

あらすじ(ねたばれ):

キエフ国立オペラ座。テロ事件が発生!と同時に準備していた特殊部隊がワッペンをつけて?場内に侵攻。名もなき男(ジョン・デビッド・ワシントン)が合言葉「黄昏に生きる!」と発声し、男に近づく。「物は?」「クローゼットだ」。クローゼットを調べ、場内に戻ると爆発物を発見。「観客に罪はない!」と安全処置を施すと敵に捕らえられ「お前は誰だ!」と拷問に掛けられ、自ら毒薬カプセルを噛んだ。このテロ襲撃は誰が仕掛けたか?

f:id:matusima745:20200920201149p:plain

名もなき男が病院船で目覚めると、フェイという男から「ようこそ未来へ!お前は死んだ!」と声を掛けられ「未来からくる敵から民を守る」という任務が課せられた。彼はしばらく洋上風車のタービン室で休養・体力回復を待って、トロンヘイムに所在する「時を逆行する武器」を研究している施設で、弾丸は前に進むのではなく戻ってくるという“逆行”の実態を教わる。

時を逆行させる武器の売買をやっている商人シン(デンジル・スミス)をムンバイに尋ねることにした。

ムンバイのシン商社待合室。ニールという男が現れ、昔あったことがあるように話しかけてきて、名もなき男の作戦に同行するという。面談に時間がかかりそうなので、夜、バンジーロープを使ってシンのペントハウスに乗り込むことにした。

f:id:matusima745:20200920201308p:plain

部屋にはシンとその妻ブリヤ(ディンプル・カパディア)が居た。ブリヤから「逆行する武器ならセイダー(ケネス・ブラナー)が良い。しかし、仲介がいる」という情報を得た。

名もなき男は、ロンドンに飛び、馴染みのある英国情報員クロスビー(マイケル・ケイン)に面談。「セイターはスタルスク12の出身。2週間前オペラ座のテロ事件があった日に、核事故があった町だ。妻の名はキャット(エリザベス・デビッキ)、贋作鑑定士だ。画家のトマス・アレポと出来ている。スーツには拘ること!」と教わった。

名もなき男はアレポのゴヤ贋作絵を持ってキャットのオークション・ハウスを訪ねて、艦艇をしてもらった。キャットは名もなき男の意図を読み取り、冷え切った夫婦関係を打ち明けた。セイターはキャットを繋ぎ止める担保として、キャットがアレッポの贋作に高価な値を付けた絵を買い取ってオスロー空港内のロータス社フリーポートで管理していると話した。名もなき男はこの絵を取り戻すことでキャットとの関係を築き、セイターへの接近を試みることにした。

名もなき男とニールはオスロ空港に飛び、いかにして絵を取り戻すかを検討。ニールが輸送機を盗んで仲間の操縦手マヒア(ヒメーシュ・パテル)に操縦させロータス社ビルに突っ込み火災を起して、その混乱に紛れて盗み出すことにした。

結果は成功!しかし、どの部屋にも絵が見つからない。奥の回転ドアーを開けようとするとふたりの黒服男が出てきた。名もなき男は相手に挑むが変だ!「逆行戦闘」だった。ニールが男のマスクを剥ぎ取るとドアーの向こうに逃げこんだ。部屋に入るとそこに絵が見つかった。

f:id:matusima745:20200920201230p:plain

名もなき男はムンバイのブリヤを訪ねこの奇妙な体験を話し援助を請うた。ブリヤは「逃げた男は未来から来たやつ。セイターはプルトニウム241を狙っている。セイターを殺してはダメ!プルトリュームを餌に捕まえなさい!」と教えてくれた。

f:id:matusima745:20200920201401p:plain

名もなき男はキャットの仲介でアマルフィでセイターに会った。豪華なヨットに誘われ、レーシングヨットを楽しんでいるとき、キャットがセイターの安全ベルトを切って海に放り出した。彼を名もなき男が助け上げた。セイターは名もなき男を呼び助けてくれたことに謝意を示したが「プルトニューム241は苦労して探したもので誰にも渡さない!」と言う。

夜間、ヘリがヨットに金塊が運び込まれ、フリーポートビルに運び込まれた。名もなき男がこれを覘き見したためボルコフ(ユーリー・コロコリニコフ)に捕らわれ、セイターの信頼を失った。

名もなき男はセイターと組んでプルトニュームを盗むことを諦め彼を監視していた。セイターとキャットがフリーパスポートビルに入るのを見た。ここでキャットはセイターが武器売買人だと知った。彼を殺そうと拳銃を向けたが、奪われて駄目だった。

タリン。名もなき男らが見張っているとプルトニュームを乗せた警察の大型トラック出てきた。これを追跡し、高速道路のカーチェイスで追い詰め、赤いバッグを盗み出すが、バッグの中身は部品だった。そこにマスクを着け逆走で駆けつけたセイターが、キャットで脅しながら、バッグを寄こせ!という。そこに横転した車両が元に戻り逆走で中に割って入ってきた。名もなき男は部品を逆走車に投げ、バッグをセイターに渡した。セイターは下車し、キャットを乗せた車が走り出す。名もない男はこの車に乗り移りキャットを救出した。車は炎上しセイターの一味に捕らわれた。「逆行カーチェイスシーン、ここはとても複雑でよくわからない!()

名もなき男はガレージに連れてこられ、キャットをガラス越しに対面した。キャットの部屋は逆行で、セイターはキャットを拳銃で脅しながら、「プルトニュームはBMWか?」と聞いて来る。ニールが「俺の処だ!」という。キャットはセイターに拳銃で撃たれた。

f:id:matusima745:20200920201455p:plain

名もない男とニールはキャットを救うために彼女のいる部屋(逆行ゾーン)に入って行った。ふたりはマスクを着け高速道路のカーチェイスを辿った!横転した車は名もなき者の車だった。そこにセイターがやってきてプルトニウムを奪っていった。

ロータス社のコンテナーのなかに傷ついたキャットを見つけ出した。彼女が「爆心地にアナゴリズムを届けたい!」と喋った。ニールが注射で眠らせた。キャットをオスロに匿うことにした。ニールが「起きたことは仕方がない!破滅から救おう!」とキャットの治療にあたった。

ブリヤをオスロに呼びセイターのアルゴリズム完成度について聞いた。「セイターは部品を全て揃え、アルゴリズムを組み立てるとろに来ている。組み立て場所はセイターの生まれ故郷スタルクス12だ」「トロンハイムで準備して、毒をもって毒を制するしかない。TENETは現世でなく未来で作られる」と示唆した。

トロンハイムの基地(母艦)。キャットが「セイターはガンよ」と告白。名もない男は「死ぬ前にアルゴリズムを奪う。死に場所はどこだ」と聞くと「ベトナム!」

母艦で作戦準備を整え、スタルクス12へ乗り込んだ。一方キャットはベトナムでセイターの自殺を防ぐ役目だった。

軍は逆行するブルー部隊(ニール)と順行するレッド部隊(名もない男)をもって行う時間挟撃作戦を計画。ブルー部隊でトラップを察知処理しカプセルを探索、レッド部隊でこれを回収するとともにブルー部隊を収容するというもの。

名もなき男が爆心に辿りついたが鉄格子があってカプセルに近づけない。そこにニールが現れ鉄格子は開けられ、妨害するボルコフを射殺して任務を達成した。地表に戻ってきたニールは「世界は終わった。やったことは仕方がない」とブルー部隊とともに去って行った。

キャットは「やられたらやり返す女よ」とセイターを射殺して島を離れた。

感想:

第三次世界大戦はなぜ生起するか?未来世界は“食料難”で行き詰まり、未来人が現在に逆行してきて生活圏を争うという設想に、将来起こりうるかもしれないという感があり、この物語を面白くしてくれます。

時間の逆行をバカ話ではなくエントロピーの逆転で説明し、その物理現象を明らかにして、順行と逆行という時間の流れのなかで人の行動や物の動き、環境を描く物語には説得力があります。が、難解でした。(笑) 

逆行を当初研究所で、拳銃弾の動きで基本を教わり、回転扉を使った逆行戦闘、逆行カーチェイス、時間挟劇作戦と、逐次レベルアップしていく逆行描写が、未だに掌握しきれていませんが(笑)、見事でした。

オペラハウス、洋上風車群、ボンベイアマルフィ海岸など世界を駆け巡る風景が楽しめました。お気に入りはアマルフィでのレーシングヨット

ペントハウスの逆バンジー登けん、オスロー空港でのボーイング747ジャンボジェットのビル突入炎上、高速道路でのカーレースなど迫力のある映像でした。難解さでカーチェイス、映像の面白さでラストの時間挟劇作戦がよかった!

ラストでスタルクス12における軍の活躍と、キャットとセイターの動きがシンクロされて描写され、とても緊迫感が感じられる面白い演出でした!

キャットとセイターの愛憎劇。キャットを演じるエリザベス・デビッキがとても魅力的で面白かった!ラストは少しやり過ぎ!

ニールが別れ際名もなき男に「お前が呼んだから来た!」というセリフ、一体ニールは何者か?そして時間挟劇作戦を終えて、名もなき男が結果をキャットに伝える「あなたではなく俺だ!作戦は終わった!」の言葉。彼は何者か?俺か?、確認しなければなりません。😊

             ****

「ホテル・ムンバイ」(2018)

f:id:matusima745:20200917135834p:plain

2008年のインド・ムンバイ同時多発テロでテロリストに占拠されたタージマハル・パレス・ホテルでの人質脱出劇の映画化。オリンピックを控えている日本としてはぜひ観ておくべき作品とWOWOWシネマで観賞。

2008年11月26日夜、インドを代表する五つ星ホテルが赤ちゃんを伴った富豪夫婦や実業家など500人以上の宿泊客と従業員を人質にテロリストによって占拠された。宿泊客を守るために、プロとしての誇りをかけてホテルに残ったホテルマンたち。部屋に取り残された赤ちゃんを救出するため、決死の覚悟で銃弾の中へと向かう父と母。テロリストたちに支配される極限の状況下で、特殊部隊の到着まで数日間、どう耐え生き、脱出したが描かれます。

テルマンの「ホテルは安全!」という誇り高い使命感に感動するとともに、テロリストがTVニュースを見て動いていたという「報道の在り方」を考えさせられ、またテロリストの顔が明かされ、この種テロの背景を垣間見たように思います。

何もない日常がいかにすばらしい日々か。突発的な襲ってくる非日常に置かれて、日常で培われた絆が試されることを教えられます。

監督は本作が長編初監督作となるオーストラリア出身のアンソニー・マラス。

脚本:ジョン・コリー、アンソニー・マラス、撮影:ニック・レミー・マシューズ

出演者:デブ・パテル、アーミー・ハマーナザニン・ボニアディ、ティルダ・コブハム=ハーベイ、アヌバム・カー、ジェイソン・アンザックス。


【公式】『ホテル・ムンバイ』9.27(金)公開 /本予告

あらすじ(ねたばれ):

若い10人のテロリストを乗せたボートが「私とともにある。神とともにある。楽園が待っている。神は偉大なり!」という言葉を胸に、ムンバイの海岸を目指していた。彼らの最後は自爆である。

海岸に上がると、3組に分かれてタクシーを拾い、夕闇のなかCTS駅、カフェ・リロバ、タージマハール・ホテル(以下ホテルと略称)に急いだ。タクシーから見るムンバイの猥雑な市街地が印象的でした。

このころホテルのレストランで働くボーイのアルジュン(デブ・パテル)。シーク教徒であり、しっかり“パグリー”でめかしてホテルにスクーターで出勤。ところが出掛ける際、バッグから仕事時に履く靴が落ちたことに気づかなかった。アルジュンが住んでいるところは貧民窟でホテルとは別世界!あまりにもひどい貧富の差に驚きです。

テロリストたちは「(お前たちが襲うのは)“彼らが奪ったもの”。お前たちの父親や先祖から奪ったものだ。世界が観ているぞ!」という指導者グリーの言葉に従い、まず駅を襲う。次いで30分後カフェ、ホテルを襲うという計画。「彼らが奪ったもの!」とは何を示し、テロリストは何者か?

ホテルでは超豪華VIP、富豪ガルシア家の娘ザーラ(ナザニン・ボニアディ)とその子・キャメロン、夫である米国人の建築家デヴィッドアーミー・ハマー)を迎えていた。二人はまだ正式には結婚していないので別々に車でやってきた。

「ザーラ夫人に失礼があったら殺されるぞ!」というフロントの噂。インドには今もカースト制があるらしい。

ホテルではもうひとりの要注意VIP・実業家のワシリー(ジェイソン・アンザックス)を迎えた。女癖が悪いらしい。(笑)

f:id:matusima745:20200917140014p:plain

厨房ではボーイたちの服装点検がオペロイ料理長(アヌバム・カー)によって行われていた。アルジュンが靴を履いてないので勤務を降ろされるところだったが、妻が妊娠で金が必要だということで、サイズの小さい予備の靴で働くことになった。

夕食時。デヴィッドとザーラは4階の部屋にキャメロンをシッターのサリー(ティルダ・コブハム=ハーベイ)に預けて、一階のレストランでメニューを検討していた。ワシリーは夜を過ごす女をメニューからふたり選定していた。(笑)

CTS駅で、二人のテロリストがトイレで銃器を組み立て、無差別に乱射を開始。手榴弾を投げ、街頭の市民を乱射しながら警察車両を奪って逃走。カフェ・リロバ付近でもテロリストの乱射が始まり、逃げ惑う市民がホテルに押しかけていた。

f:id:matusima745:20200917140045p:plain

ホテルに逃げ込む市民に紛れて、3人のテロリストが侵入。いきなりロビーで無差別に乱射!ロビーを制圧し、ひとりがレストランに入ってきた。アルジュンの指示で客は一斉にテーブルの下に身を隠した。そのとき「第一段階は終了!」の声でレストランの捜索が止み、彼らは4階のBIPルームの捜索に移って行った。

f:id:matusima745:20200917140131p:plain

ザーラとデヴィッドは娘が気になる!携帯で確認しようにも、サリーは事件に気付かずシャワーを浴びていた。そこにテロリストが入ってきたが、サリーはキャメロンを抱えうまく別室に身を隠し難を逃れた。テロリストがトイレを覘き「糞を流す機械がある」と驚く。

f:id:matusima745:20200917140207p:plain

デヴィッドがひとりでキャメロンの救出に向かった。テロリストに出会ったがうまくかわし娘とサリーに会うことができた。一方、ザーラはレストランでデヴィッドたちを待つことにした。ワシリーはザーラに「これを捲け!仲間と分かるように!」とスカーフを渡す。ザーラは「仲間じゃない」と断った。ワシリーは何者かとヒヤヒヤさせられる。

TVニュース:

「金融都市が廃滅した。武装集団が暴れ回っているが、地元警察では対応できない。ホテルには1000名の客。500人の従業員がいる。ムンバイには特殊部隊がなく、ニューデリーに要請した。到着までに数時間かかる」。このニュースはテロリストが欲しがる情報を送っていた!!

ニュースを見た地元警察官の4名がアルジュンの誘導で2階管理室に入り、モニターで全館の状況把握に動く。

厨房室では、お客様を守ると、オペロイ料理長の指揮のもと、客の安全を確保できる6階チャンバーズ・ラウンジに非常階段を使って集めることにした。アルジュンはレストランに隠れている客を無事ここに誘導した。ザーラはチャンバーズにいることを携帯でデヴィッドに伝えた。

TVニュース:

イスラム原理主義者の反抗。ホテルに“ラビ”のホルツベルグと妊娠中の妻がいる」。これもひどい!

デヴィッドが6階チャンバーズ・ラウンジに行こうとサリーと娘を連れて廊下に出るが、テロリストに見つかり、デヴィッドは英人と米人を集めた特別室に軟禁され猿ぐつわをされる。サリーと娘は415室に逃げ込み、敵をかわした。

ザーラが母親に原語で携帯により話をする。これを見た英国夫人が「やつらの言葉!何を話した!一味?」と疑いの目を向けた。ヘタをするとラウンジで騒動が起きるのでは? ワシリーが「関係ない!」と夫人を宥めた!

アルジュンの髭とにも嫌疑がかかる。アルジュンは丁寧にテロリストとは無関係関係と説明した。このテロがインドの歴史と深くかかわっていることが分かります。

アルジュンはラウンジ内の病人を外に逃がすことに(失敗したが)、また「コラバ警察だ!」と名乗ってラウンジの扉に近づくテロリストをモニターで発見し、オペロイ料理長に知らせて扉を開けさせないなど、客を守ることに必死だった。

f:id:matusima745:20200917140322p:plain

2人の警察が制圧に当たり、撃ち合いとなり、ラウンジ内は恐怖で一時大混乱に陥った。

負傷したテロリスト・イムランが「本当に金を家族に原ってくれたのかな」と家族に携帯で確認した。「俺たちは神のしもべだ!」と泣いた。生きたいんだよな!

9時間後、ザーラはラウンジで待つことに耐えられず、デヴィッドたちに会いに行くことをオペロイ料理長に申し出た。これにワシリーが「この場所は相手に知られている」と同行を申し出て、6人が一緒に外に出ることになった。しかし、テロリストに見つかり、ザーラとワシリーが捕までデヴィッドのいる特別室に軟禁されることに。他は全員射殺された。ザーラは夫と話は出来なかった。

f:id:matusima745:20200917140351p:plain

12時間後、TVニュース。「ホテルを特殊部隊が囲んでいる現場映像」。

ワシリーが拷問で責められ「NDキャピタル社長で、元ソ蓮軍特殊部隊の将校であること」が分かり、「アフガンを償え!」と処刑された。

この騒ぎの隙に、デヴィッドが猿ぐつわを自分で解いてザーラに「キャメロンは4階415号室にいる」ことを教え、射殺された。ザーラは泣いた!

グリーから「軍が着いた!ワシントンに悲鳴を聞かせろ!」とホテル爆破を命じた。ホテルが火災炎に包まれる!イムランに「監禁者を全員射殺しろ!」という命令が下ったが、アラーの聖典を口にするザーラを討つことはできなかった。

オペロイ料理長が火災と特殊部隊の到着を知って、非常階段を使ってホテルを脱出することをお客に説得した。

TVの現地レポート:

ラウンジにいるホテルマンと繋がり「北棟のチェンバーズ・ラウンジには多くのVIPがいる」とレポートした。これは最悪だ!

ブルーから「チェンバーズへ行け!」と命令が下された。

お客は、ホテルマンたちに導かれ非常階段を使い、厨房を経て、途中で特殊部隊に遭遇し、表に脱出した。このなかにサリーとキャメロンの姿があった。

ザーラは415室に入り、リーサたちが逃げ出したことを確認し、窓を割って助けを求めた。

f:id:matusima745:20200917140422p:plain

感想:

全く動揺を見せないでAK47や拳銃を撃ちまくる銃撃現場。この残忍性にショッキングでした。人間としていかなる正義があるにせよ、許されない!

テロリストがTVニュースを見ながら、要人確保から皆殺し、ホテルの爆破・崩壊へと戦術を変えていく有様をリアルで、さらにインドのカースト制度や民族の悲しい歴史が添えられるという脚本がすばらしく、迫力がありました!

テロリストの厳しい捜索にひたすらチャンバーズ・ラウンジに籠って耐える。うろつき回るテロリストを捲いて、非常階段からの脱出など、スリリングに描いています。オペロイ料理長の的確な状況判断とアルジュンらのボーイのお客様もためにと自らを投げ出し勇気をもってお客を守り抜いた行動がすばらしい!

こんな状況で、カーストが残るなかで断禁の恋で結ばれた夫婦が、自分たちを犠牲にしてもふたりの間に生まれた赤ちゃんを救いだそうとする夫婦の物語。

感動的でした!

特殊部隊の不在や到着日時、VIP情報、その隠れ場所など、生命に関する情報やテロ制圧計画が漏れるという報道現場がしっかり描かれていた。さらにこれにSNS情報が加わったらどうなるか?

若きテロリストたちは、グリーという人物に操られ、これまでに見たこともない文明に触れ、親たちを心配し、決まっているとはいえ、最後には涙を見せて死んでいった。テロは許されることではないが、その背景に激しい貧富の差の拡大があることを訴えていた!

             ***

「窮鼠はチーズの夢を見る」(2019)

f:id:matusima745:20200914201925p:plain

この作品、ホモセクシュアルの愛の物語ということで、観るのを躊躇しました。(笑) が、もうそんな時代ではないということを実感させてくれました。「愛はなんだ」(2019)ホモセクシュアル版といったところ、観客もこの作品公開時と同じように若い女性で溢れ、ほとんど男性がいないという状況。(笑) 

大学時代に関係があった大伴と後輩の今ケ瀬。受け身の恋愛しかしらない大伴が7年ぶりに自分を想い続けていた今ケ瀬に出会って、猛烈なアタックを受け、この男を好きになり、受け入れるまでの恋模様。

性描写は「火口のふたり」(2019)を超えているのではないでしょうか?主演の大倉忠義さんと成田凌さんがみごとに演じており、「his」(2020)もこの種作品の話題作でしたが、遙かにこれを凌駕し、これほどしっかり描かれた作品はないのではと思っています。

テーマは「惚れるということはどういうことか?」男とか女とか関係ないその行き着く先をしっかり描いています。二人の恋愛ゲームがミステリアスでヒヤヒヤしながら楽しめ、ラストシーンに余韻があります。

原作は水城せとなさんの同名コミック。監督は「世界の中心で、愛をさけぶ」「ピンクとグレイ」の行定勲さん。ちょっと突き抜けた作品に挑戦でしたね!脚本:堀泉杏、撮影:今井孝博。

主演:大倉忠義成田凌。共演:吉田詩織、さとうほなみ、咲妃みゆ、小原徳子。


映画「窮鼠はチーズの夢を見る」予告編(出演:大倉忠義 、成田凌)

あらすじ(ねたばれ):

貿易商社に勤める大伴恭一(大倉忠義)をつけるかって関係にあった探偵・今ケ瀬渉(成田浚)。大伴の妻・知佳子(咲妃みゆ)からの依頼で不倫を調査していた。

f:id:matusima745:20200914202037p:plain

オフィスで証拠写真を示すと、「なんとかごまかしてくれ!」と大伴は今ケ瀬を食事に誘い、その後ホテルで今ケ瀬のキスを受け、愛撫される。こういうきわどいシーンから物語に入っていく。大倉さんと成田さんの演技がとても美しいし、美しく撮ってあり、いつの間のかホモセクシュアルのセックスに対する拒否感はなくなるという、うまい導入だと思います。(笑) この段階では大伴は「舌はいかん!」と拒否姿勢。

今ケ瀬のレポートで知佳子は「あなたとは金で繋がっていた関係のように思う。あなたのために離婚したい」と言い出す。

大伴は「2年の結婚生活で、セックスもうまくいってなかった」とこれを受け入れ、ひとりになって生活を始めた。

そのアパートに今ケ瀬が転がり込んで来てふたりの生活が始まった。今ケ瀬が料理、洗濯し、開けっぴろげにセックスを要求してくる。大伴はちょっと乗れないという感じ。

このころ大伴には、女性社員・井出瑠璃子(小原徳子)が、プレゼンテーションの指導受けと称して、近づいてくる。

今ケ瀬が掃除中にテーブルに置かれた同窓会の案内状を見た。送り先は松井夏生となっていた。夜帰宅した大伴に参加の可否を聞くと参加しないという。今ケ瀬はこれを聞いてほっとし、大伴の耳かきをしてやる。(笑) しかし、大伴は夏生にあって口頭で返事した。

f:id:matusima745:20200914202125p:plain

今ケ瀬は不在時、瑠璃子が「会社では会えないから」とアパートを訪ねてきて、セックスして帰っていった。その夜、今ケ瀬は大伴の異変に気付き、大伴が寝たあと、彼の携帯を調べた。大伴が「仕事の関係だ」と嘘ついたが今ケ瀬にはこの嘘は通じなかった。「最低のやつだ!完璧な人を探す!」とアパートを出て行った。

大伴はひとりでケイタリングのめしを食べてみて、今ケ瀬に悪いことをしたと反省をし「帰って来い!」と電話した。

今ケ瀬が帰ってきてからしばらくふたりは恋人のように身体に触れながら楽しそうに過ごした。

f:id:matusima745:20200914202225p:plain

夏生と大伴がレストランで食事中。そこに今ケ瀬は彼の恋人高杉を連れて訪れた。今ケ瀬は学生時代に大伴を紹介してもらった夏生に挨拶した。大伴は高杉に興味を持った。大伴が嫉妬するなんてことはこれまでなかった!

酔っぱらって大伴を夏生がアパートに送ってきて、大伴が今ケ瀬と一緒に住んでいることを知り、帰っていった。

目が覚めた大伴は、いつもパンツ姿で椅子に座ってタバコを吸う今ケ瀬に「大学時代お前は俺を嫌っていたと思った!」と声を掛けた。今ケ瀬は口をきかなかった。今ケ瀬は夏生を強く意識しだした。 

f:id:matusima745:20200914202340p:plain

夏生にふたりはレストランに呼び出された。今ケ瀬は「引いてください!」と夏生に求めたが、「恭一、あんたは誰にでもついていくネズミ。どぶネズミにはならないように!」と念を押し、「私と今ケ瀬、どちらを連れて帰る?」と大伴に決を求めた。「普通の男にはお前は無理!」と夏生と消えた。

ホテルで大伴は夏生と寝た。大伴は「ああ言うしかなかった!やつを悲しませたくなかった」と言うと、「立たない言い訳にするな!」と夏生が帰って行った。

大伴がアパートに帰ると今ケ瀬がTVを見ていたが、なにも語ることなくふたりはベッドに。

ある日、大伴が専務の妾の娘・国村たまき(吉田詩織)に出会った。すぐに専務が亡くなり、悲しむたまきに同情するように付き合いが始まった。感の良い今ケ瀬はふたりの関係に気付き「将来を取り戻すために寝たいか?」と言う。「女とするのは駄目だ!」を聞いた大伴は「終わりにしよう」とふたりの関係を切った!

今ケ瀬は泣いて去った。高杉に「大伴は長く煮込みをするような女が向いている。お前はもっと情の深い男を探せ!」と慰められた。

f:id:matusima745:20200914202414p:plain

たまきは母親を大切にして、結婚願望の強い女性だった。料理や掃除は慣れておらず、セックスも今ケ瀬の方がいい。大伴はホモセクシュアルが集まるライブを訪ねたが、今ケ瀬のような男はいなかった。

今ケ瀬は大伴を諦められず監視していて、大伴に見つかって、ふたりが激しく抱き合った。このシーンは夢のように美しく撮られています。音響がまた凄い!

今ケ瀬が再度「たまきにバレないようにうまくやればいい」と申し出たが、大伴が「人生で大切なことは一杯ある、もうそういう歳ではない」と拒否した。今ケ瀬は灰皿を整理して、もう戻らないと消えた!

たまきは「私が側にいては駄目ですか?彼が帰って来たらおとなしく引きます!」と大伴に訴えた。大伴は今ケ瀬がいなくなって分かった!たまきに真実を語った。

感想:

大伴が関わる妻・知佳子から始まって、女性社員・出井瑠璃子、同窓生の夏生、専務の娘・國村たまきを通して、大伴と今ケ瀬のお互いを思う「想い」が変化していく様がスリリングで丁寧に描かれました。愛されることしか知らない大伴が、相手を想うようになり、何が最も大切なのかに気付いていく様。そして、今カ瀬の決してぶれることのない「特別な人」としての恋心。

その中で性愛をしっかり捉え、これも変化していく様が描いています。大倉さんと成田さんの演技に感嘆、何か賞をあげたいですね!

             ***

「ミッドウェイ」(2019)リアルな戦場描写で戦争の痛みを感じる作品!

f:id:matusima745:20200912183732p:plain

太平洋戦争のターニングポイントとなったミッドウェイ海戦を描いた戦争ドラマ。監督が「インデペンデンス・デイ」「ホワイトハウス・ダウン」のローランド・エメリッヒということで、楽しみにしていました。

日本の真珠湾奇襲。ハワイ西方で訓練中であった米空母エンタープライズパイロットが駆けつけ、その惨状を目にするところから物語が始まり、その後の日米海軍の戦略、作戦準備を経て、日米海軍の決戦ともいうべきミドウエイ海戦が時間単位で描かれます。

戦闘経過に沿って、史実を大切に、尺の都合でその深さには限度がありますが、丁寧に描かれています。特に日米どちらが善で、どちらが悪という視点ではなく、どういう戦略・目的で、いかに戦われたかに焦点を当てて描いています。

戦史だけの紹介ならドラマにならない!戦友や家族の絆や苦しみ・悩みを絡ませながら、近代の海戦がいかなるものであったかが浮き上がる、うまい演出であったと思います。

この作品のテーマは何か?今という時点で何を描きたかったのか、愛国心に多少疑問を持ちましたが、危機管理にあっての戦略の重要性、戦術ではカバーできないこと、そして情報の収集や分析、組織の在り方など、コロナウイルスの危機管理戦略はどうあるべきであったかと考えさせられます。

そして、描かれるのはCGを使っての圧倒的なリアルな戦場描写です。空母への離着陸の緊張感、敵艦への急降下爆撃時の恐怖感。矢のように飛んでくる銃弾のなかで戦う精神力など、軍人たちに敬意を表したくなるシーンが多く、戦場の痛みが感じ取れる描写がよかったです!

脚本:ウェス・トゥーク、撮影監督:ゴビー・バウムガルトナー、編集:アダム・ウルフ、音楽:トーマス・ワンカー&ハラルド・クローサー

出演者:エド・スクラインパトリック・ウィルソンルーク・エヴァンスアーロン・エッカート豊川悦司浅野忠信國村隼


映画『ミッドウェイ』予告編

あらすじ(ねたばれ):

1937年12月4日。エドウイン・トレイトン少佐(パトリック・ウィルソン)が駐日大使館付き武官補として来日し、武官交流会で山本五十六豊川悦司)と会話を交わすシーンから始まる。

f:id:matusima745:20200912183901p:plain

これがこの物語の肝です。彼は日本文化・産業を知るエキスパートだった。山本は「日本は長期戦では勝てない!資源のないない国だから日本を追い詰めるなよ!」と注文していた。トレイトンは4年後、太平洋艦隊情報主任参謀の任に就いており、ミッドウエイ海戦の情報戦において山本サイドと競うことになる。こういうエキスパートが第一線の軍レベル参謀としているというのが凄い!(陸大出身だけでは戦争ができないことを示しています!)

1941年12月7日エンタープライズはハワイ170哩西方で訓練中。ディック・ベスト大尉(エド・スクライン)は母艦への着陸訓練中だった。ふらつきながら着艦するシーンはリアル感がたっぷり。

急遽「ハワイに飛べ!」とウイリアム・ハルゼー(テニス・ウエイド)から命令される。

真珠湾ではロイ・ヒューズ大尉がまさに旗艦アリゾナから下船寸前。そこに日本海軍機の奇襲攻撃。

f:id:matusima745:20200912183952p:plain

奇襲攻撃は、舐めるようにアリゾナに集中爆撃。炎上する真珠湾停泊艦船。血液が流れるアリゾナ甲板。燃えるアリゾナからハイラインで隣接艦に脱出する兵士。対空射撃。この惨状を描くなかでどのシーンにも苦しむ兵士が写し込んであるのがいい。

情報主任参謀のレイトン少佐は現場に駆け付け、惨状を確認し、予測し得なかった自分の責任を強く感じた。

ロイ・ヒューズ大尉の家族にはまったく空爆の影響はない!山本長官の「民間人を標的にするな!」の指示がよく守られていた。ハワイ急襲はうまい描写でした。この日本軍の奇襲に対する米国の怒り・罵声は、ほとんど描かれてない!

ディックはなすすべもなく爆弾を抱えたまま母艦に帰還。そしてハワイに戻り、アナポリス同期のヒューズの安否を尋ね、真っ黒こげの彼を発見した。同期生が集まり彼を送った。

山本長官はハワイの惨状を伝える米ニュースを見て、「眠った巨人を起こした。恐ろしい決断は避けられない!」と感じ、第2航空戦隊司令官山口多聞少将(浅野忠信)を伴って海軍本部に赴き、「米空母は健在だ!」「米海軍の止めを刺すことの必要性」を訴えた。

最高戦争会議で、東条から出された「南方での資源確保のため海軍はこれを支援すべし」が決定されたが、山本は「ミッドウエイ決戦を計画せよ!」と山口に指示した。

一方、米海軍は、太平洋艦隊司令長官にチェスター・ニミッツ大将が着任。この人事システムも凄い!

f:id:matusima745:20200912184028p:plain

ニミッツウディ・ハレルソン)はレイトン少佐を呼び「山本の動きを読め!」と指示した。この情報要求が凄い!彼は自国の戦略家マハーンをしっかり読んだ海洋国家としての戦略を心得た男だった。

レイトンは暗号解読の天才能力を有するジョセフ・ロシュフォード少佐(ブレナン・ブラウン)の助けを借りで、広大な情報収集分析室を運営。自分の山本五十六感と膨大な資料の中から山本の動きを追っていた。

1942年2月1日。エンタープライズのハルゼー中将に、「敵を騙す!マーシャル群島で暴れて、出来るだけ日本海軍に損害を与えろ!と指示した。デイックはこの作戦に参加し、新米パイロットを指導しながら、戦闘に参加し多大の戦果を上げた。ダグラスSBDドーントレスで空母から海面すれすれで飛び出し、日本軍ゼロ戦に追われると、ジェイムス・マレー(キーアン・ジョンソン)通信手に機関銃を撃たせて対応し、急降下での爆撃、スリリングな戦闘シーンでした。しかし、デイックのこの闘い方にマレーは怖れを抱くようになる。(笑) ディックは第6飛行中隊長を命じられた。

1942年4月18日。ディックがエンタープラズから見ると空母ホーネットにノースアメリカンB-52ミッセルが搭載されていた。ジミー・ドーリットル中佐アーロン・エッカート)が荒天の中、この編隊で東京、名古屋、神戸、新潟等日本縦断の都市爆撃に飛び立った。この飛び立つシーン、一瞬、波に消えたように沈み飛び立つ映像は鳥肌ものでした。ドーリットルは日本爆撃のあと、海上に不時着し中国浙江省に脱出した。米海軍はドーリットルの戦果を潜水艦ノーチラスで日本の放送を傍受していた。

ドーリットルの空爆で陛下が防空壕に入るという事態が生じ、山本の戦略に決定的な影響を与えた。米海軍をミドウエイで撃つ!

1942年5月8日、米海軍は珊瑚海海戦で空母レキシントンを失い、稼働空母はエンタープライズとホーネットだけとなった。

山本、山口はミッドウエイ決戦を図上演習で、その構想を固めていた。

f:id:matusima745:20200912184156p:plain

ニミッツはレイトン少佐に「日本の本当の狙いはなにか?」を問うた。レイトンは「ミッドウエイで数週間後!」と日本軍の作戦を予測した。決め手は作戦のコードネーム「AF」だった。

ニミッツの処置はすぐにエンタープライズを戻せ!そしてワシントンを説得せよというものだった。

1942年5月28日フォード映画監督が戦意高揚映画を撮るとミッドウエイ島にカメラを設置した。日本軍がここに来るという情報に絶対的な確信を持っていた。(笑) 爆撃機偵察機をミッドウエイ島に配備し作戦準備を促進していた。

ディックは激しい条件下の離着艦訓練を部下に課して死傷者を出し苦しんでいた。妻のアン(マイティ・ムーア)が「部下はあなたを信じています」と優しく寄り添っていた。

空母ヨークタウン真珠湾で修理中であったが「72時間で完成させよ」とニミッツが厳命した。

レイトンのこの時点での予測は「6月4日0700ミッドウエイ島175哩に日本海軍進出」というものであった。

6月4日午前6時40分。日本軍のミッドウエイ島攻撃。フォード監督がこれを撮影。撃たれて負傷した。

午前7時10分日本海軍第1機動艦隊への米軍航空攻撃が始まる。山口少将が「素人だな!」というほどに、米軍機は艦船に近づけない。

第1航空艦隊司令長官南雲忠一中将(國村隼)のもとに「敵空母発見」の報が入る。このとき空母搭載機はミッドウエイ島爆撃のための爆弾を抱えていた。南雲は「まさか?」と表情を曇らせた。彼はミッドウエイ島を奪取した段階で米海軍は出くると決め付けていた!

f:id:matusima745:20200912184234p:plain

デイックは片翼を海水面に浸しながらエンタープライズを離れて敵空母に向かった。第2航空戦隊(山口少将)と米潜水艦ノーチラスの水雷作戦が始まった。

午前9時38分エンタープライズの第6雷撃隊が戦闘加入して米軍に有利に戦況が変わり出す! 9時55分ホーネットから雷撃隊が出撃。

f:id:matusima745:20200912184302p:plain

この状況に山口少将は南雲中将に「(装備の変更を辞めて爆弾のままで)そのままで戦闘機を発進させられたし!」と意見具申したが、南雲は「俺に何をやらせるか!」と無視した。これが日米航空決戦戦に決定的な影響を与えた!

空母が次々と火災。パイロットは帰る母艦がない!

午後4時30分。戦艦大和の山本長官のもとに「加賀、赤城、蒼龍が大火災!」の報が入る。山本は「米軍の罠に嵌った!現実を受け入れよう」と戦場離脱を命じた。その後、山口少将は「責任を取る」と部下に退艦を命じ、命を飛龍とともにした。

最後に:

米軍の動きが主体で、日本はこれに合わせるように描かれ、日本軍の多くは描かれない。それでも要領よくまとめられ、豊川、國村、浅野さんの雰囲気のある演技で、日本海軍の考えはよく表現されていました。

 ミッドウエイの戦略目標は米海軍の撃滅と同島の占領だった。これが空戦に決定的な影響を与えた。戦略目標は単純明快でなければならない。これを戦術でカバーすることは出来なかった。

 山口多聞少将が乗員を退却させ、自らは飛龍とともに沈み、最後の爆撃に出掛けたディックが生きて帰還するシーンで終わる“ミッドウエイ”海戦物語。「勝者も、敗者も、海に全てを捧げた」物語でした。

捕虜となった米軍パイロットを錨とともに海に落とすシーンは、本当にこんなことがあったのかといただけない。

        ****