映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「映像研には手を出すな!」(2020)

f:id:matusima745:20200926161206p:plain

大童澄瞳さんの人気コミック。TVによるアニメ版、実写版がある。湯浅政明さんのアニメを作る覚悟と思いと狂気に満ちたアニメ版を観ていて、映画化は“手を出すな!”の暴挙だと思っていましたが、「思い、思われ、ふり、ふられ」(2020)の浜辺美波さんと福本莉子さんが出演。なかでも「思い、ふられ」の福本さんを観ないわけにはいかない!(笑)

湖に面した芝浜高校。人見知りだが監督としてすぐれた素質をもつ浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ、金もうけが好きなプロデューサー気質の金森さやかは、「映像研究同好会(映像研)」を結成し、自分たちが思い描く“最強の世界”を描くためアニメーション制作を開始する。が、そこに大問題が起こった。高校には部や同好会がなんと470もあって、生徒会は自主的にこれらを統合、廃部するという。はたして映像研は生き残れるか!というSFっぽい、コミカル青春物語です。

ぶっとんだ世界感で学園生活が描かれ、そんななかでどうやって「映像研」として生きていくんだと、アニメとはまったく違った視点で彼女たちの覚悟を見ることができました!

アニメでは感じられないキャラクターの性格やリアルな感情が、「アイドル侮ることなかれ!」と伝わってきて(失礼)、彼女たちの脳内イメージが爆音で“最強の世界”に昇華していくプロセスは感動ものでした。この作品、音質がとても良いんです!

監督は「ハンサム・スーツ」(2008)「前田建設ファンタジー営業部」(2020)の英勉さん。脚本:英勉 高野水登、撮影:川島周 古長真也、音楽:佐藤望、主題歌:乃木坂46「ファンタスチック3色パン」。

主演は齋藤飛鳥山下美月梅澤美波さんの乃木坂46人気メンバー。共演に小西桜子、福本莉子桜田ひより浜辺美波さんら人気若手女優の参加です。


映画『映像研には手を出すな!』本予告【公式】

あらすじ(ねたばれ):

学園の門前。生徒会の警備部が出入りを監視。ほかに校(公)安部もある(笑)。やってきた3人が検問で逃げる!これを見た三助と相棒。「う~ん、わからん!わからん!」。「映像研か?」「あんな部活はわからん」と名作「羅生門」(1950)の最初のシーンを持ってきて、以下映像研設立の経緯・活動が描かれます。このぶっ飛んだ出だしが気に入りました! (笑) 話があっちこっちと飛んで、映像研の三人が意気投合し、脳内イメージから空飛ぶポットカイトを作って、街のなかを飛ぶ映像など「TENET」を遙かに超えていて“わかんね~”です。(笑)

浅草みどり(齋藤飛鳥は想像力豊かだが極度の人見知り、水崎ツバメ(山下美月はカリスマ読者モデル、アニメーター志望だがアニメに関わることを両親に禁止されている。森さやか梅澤美波は金儲けに執着し対外的な交渉や資金集めに力を発揮し、プロデューサーを担っている。

f:id:matusima745:20200926161313p:plain

いよいよ大・生徒会であらゆる部活の統廃合しようと討論が始まった。ここか、らが本作の本番です。

大・生徒会委員の面子を見ただけで笑えます。会長が道頓堀透(小西桜子)そのサイドに並ぶのが切り込み隊長阿島(福本莉子、「この役はなんじゃあ!」という感じでびっくり。もうひとり書紀:さかき・ソワンデ(グレイス・エマ)、この人の存在感が凄い。これからが楽しみだ!この種映画にはこんな楽しみがあります。

f:id:matusima745:20200926161335p:plain

書紀のさかきから「アニメ部」との統合を打診されたが、金森は浅草が鉄巨人のイメージを持っていることを知っていて、ロボット研究部(ロボ研)と手を組むことを顧問・藤本先生(高嶋政宏)に許可を得て提携を打診する。

ロボ研(小野:板垣端生ら)は提携の申し出を「俺らは第3位の部、タロース・ロボットがある」と提携を渋る。が、帯同したアニメ部の伝令に「タロースでアニメを作る」と宣言。ロボ研に有無も言わせぬ速攻でした!

金森はロボ研提携を生徒会に報告。文化祭には参加しないで、ロボ研の反対を押し切って、コメット社に映像提供し、自立して活動する道を選ぶ。顧問の藤本先生にこの案を持って行くと断れた。

タロース・ロボットを使って怪獣を倒すアニメを作りたいと、映像研の三人が下水道のロケハンに出掛け、浅草がカニを見て、「これ!」と決まった。“巨大怪獣テッポウカニ”。このイメージを持ち帰りロボ部と話し合う。

f:id:matusima745:20200926161413p:plain

肝心のタロースのイメージ作りで、爪は?チェンソーは!とアイデアが固まっていくが、ロボ部は自分たちの存続とテクノロジーの可能性追及ばかりで、何の面白さも夢もない。両者の間で熱い論議が交わされ、「分かった、見つけた!」と浅草と水崎のアイデア絵図で、巨大ロボ・タロースが作られ、その操縦席に案内されたロボ部員はその精巧さに驚いた。ロボ部が金森の言うとおりに動くことになった。

f:id:matusima745:20200926161434p:plain

しかし、金がない。金森がふたりに生徒会でアルバイトを斡旋してもらうよう勧めた。ふたりは廃品部のバイトで音響部室の廃品回収に訪れると、廃部になると泣く百目鬼桜田ひよりに会った。桜田さんの持つ雰囲気がアニメを超えていました。物語はここから、アニメ創作者の感性を見ることになります。

浅草は華厳の滝の音源が75通りもあるという“ゴミ”音響部を合併することにして、研究室地下に置くことした。

金森が藤本先生にコメットとの取引を再度許可してもらうよう訪ねるとバカ、「学校の指導要領でダメだ!」という。金森は「指導要領には先生はバカしかなれないと書いてある」と皮肉って部室に戻ってきた。(笑) この作品のセリフはとてもユニークで面白い。笑えます!

金森はコメット出品を諦め、文化祭でDVDを得ることにした。時間がない!どこまで作品が出来上がっているかを水崎に聞くと「パソコンがないからまだ描けていない!」と応えた。金森が「高校生のアニメ制作にパソコンなんかいらない!」と言ったもんだから、浅草が「水崎に謝れ!」と怒った。この日から金森の姿が消えた。

金森はパソコンを手に入れるために駆け回っていた。音曲浴場でラーメンを食べていた浅草と水崎のところに「パソコン頼んだ!当日の上映は第1行動だ!」と金森が駆け込み、ラーメンを食った。(笑) 水崎は父母に隠れ自宅でも描きまくった。

この機に及んで浅草が「万人が希望するロボットが描けない!」と落ち込む。金森が「人の目を気にするな、バカ!」と蹴とばした。浅草にとって、人目に作品が触れることでこれほどの精神的圧力が懸かることに、ちょっと泣ける演出になっています。

浅草はこの日から姿が見えない。3日後、部室の地下から爆音がする。部屋に入ると、浅草がいた。3人で“ロボの足音”、“カニの足音”と大音響を聞きながらタロースとカニの対決を妄想して「巨大ロボ・タロースと巨大怪獣・テッポウガニの決闘」イメージが出来上がった。徹夜して完成した。

当日、こないはずの水崎の両親がくることになって、上映を躊躇したが、水崎がやると決心。人見知りする浅草が舞台挨拶に立ったが、すぐに水崎に代わった。アニメ上映は大成功で、水崎の両親が娘の才能に驚いた!

感想:

ぶっとんだ作品で、アニメとは別作品のようで、笑って、笑って、最後に感動するという作品。監督のこの作品に挑んだ勇気を褒めたいと思います。

テーマは「自分らしさを失うな!」でしょう」。

乃木坂の三人、しっかり演技ができていました!これが作品の「売り」でしょう。特に浅草役の斎藤さんはおどおどしているかと思えば話が止まらないほど広島弁で喋る子、イメージぴったりでした。

福本さんと、グレイス・エマさん、出番はわずかですが、存在感がありました。そして、桜田ひよりさんの演技は物語の後半、“アニメとは”想像力”を引き出すような雰囲気のある演技でした。浜辺美波さん、どこに出ていたんですかね。(笑) 

                           ***