映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ルパン三世 THE FIRST」(2019)

f:id:matusima745:20191208070253p:plain

ルパン一世が唯一盗むことに失敗したという伝説のお宝「ブレッソンダイアリー」に挑むルパン一味の活躍を描くという。「ルパン3世」を3Dにするとどうなるのかな!と楽しみにしていました。

映像はそれなりに評価できるが、テーマがよかったにもかかわらず、ストーリーが薄っぺらという印象。でも、これが「ルパン三世」の面白さなのかもしれません!「アナ雪2」にぶつけての公開はきついでしょう!

モンキー・パンチさん原作による国民的アニメ「ルパン三世」。宮崎駿監督の名作「カリオストロの城」から40年、日本のVFXの第一人者山崎貴さんの監督・脚本による3DCGアニメーション。23年ぶりの劇場場作品です。

タイトルが「THE FIRST」には、3DCGアニメーションで描かれた「ルパン三世」の第1作で、「山崎解釈のルパン」という意気込みを表現しているのでは。
エンデイングに、「これからもルパンを世界に向けて、いろんな冒険をさせたいと思います」とありますので、この想いに間違いないでしょう。しかし、今作はまだ「宮﨑解釈のルパン」でした!

声優さんたちは「ルパン三世」シリーズのオリジナルキャスト、栗田寛一・小林清志浪川大輔沢城みゆき山寺宏一さんらに加え、広瀬すず吉田鋼太郎藤原竜也さんらが出演です。

あらすじ:
20世紀最高の考古学者ブレッソンが遺した最大の謎・ブレッソンダイアリー。その謎を解き明かした者は莫大な富を手に入れることができるとされ、第2次世界大戦時にはナチスもその行方を追い求めたという。ルパンの祖父であるルパン一世でさえ盗み出すことに失敗したという。そんな伝説のターゲットを狙うルパンは考古学を愛する少女レティシア広瀬すず)に出会い協力して謎を解こうとするが、秘密組織・アーネンエルベの研究者ランベール(吉田鋼太郎)と組織を操る男・ゲラルド(藤原竜也)もブレッソンダイアリーの謎を追う。ブレッソンダイアリーの謎とは何か。パリー、メキシコ、ブラジルを駆け巡る謎解きの旅、その先に見たものは・・。

感想
〇3DCGによる表現、

第2次世界大戦のなか、フランスのパリ郊外。プレッソン博士が若い夫婦にプレッソンダイアリーを託す。このあと博士はナチスに射殺された。ハイウエーを走る夫婦と追うナチスの兵士の車。激しいカーチェイス。夫婦の車がクラッシュして二人は死亡。しかし幼いレティシアが生きていた。このカーチェイスは見せ場でした!

10数年後、パリ。街の映像が良い。が、パリだけ!メキシコ、ブラジルはなし。
プレッソン回顧展示場。ここにルパンが「いただきに参上!」と登場。秘密組織のランベールに命じられ警備員に化けていたレティシアが「金庫に入れる」と持ち去る。これを追うルパン、ルパンを追う銭形。上空からヘリで不二子がやってきてレッソンダイアリーの争奪戦。

捕えられ護送されるルパンの救出に、フィアット500で駆けつけた次元と五ェ門。五ェ門が護送車を真っ二つに斬り裂いてルパンを救う。いつものメンバーが登場し、あの曲がかかればなつかしさに心が躍り出す!(笑)

f:id:matusima745:20191208070336p:plain

キャラクターの映像は、表情は口の動きに会わせて作ってあり、髪の毛・着物の裾が乱れるというリアルさ。ただ、不二子の色気がないのが気になる。(笑) 人物の表情はしっかり描かれるが、バックの風景が貧弱! メキシコ、ブラジルというのは大嘘だった。(笑)

声優さんの演技。広瀬さんが予告編で棒読みに聞こえるが劇場ではほとんどそれを感じなかった。むしろレティシアの役が広瀬さんに合っていた。他は自然に耳に入ってきてよかったと思う。

ルパンはレティシアの部屋に忍び込み、レティシアの考古学の知識に惚れて手を組むことにした(これはレティシアの嘘でランベールに通報されていた)。秘密組織の輸送船に移動し、さらに飛行艇へと移る。

アクションは、ルパンの柔らかい身体能力を張った演技と五ェ門の斬鉄剣による剣劇ぐらい。大部がヘリ、小型機と飛行艇の空中戦。時代設定が‘60年代とは言え、ちょっと寂しい!

ブレッソンダイアリーの謎解き、
秘密組織の飛行艇に乗っていたルパンは、艇の書庫に収納されていたブレッソンダイアリーを盗み出し、ダイアリーの鍵を開けるには5つの英文字の組せで8文字で表現できるパスワードが必要だと、ある推測で開けてしまう。パスワードにレティシアの名前が使われていたとは!あまりにも人をバカにしたはなし。この軽さを笑うか!

ブレッソンダイアリーに隠されていたのは至宝エクルプスを探し出す手引書。手引書が見つかったことで、レティシアはランバールの元に戻った。

レティシアは、軍事にエクルプスが使われることに疑念を持ったことで、飛行艇から空中に捨てられる。ルパンは大空に飛び彼女を救助することになり、小型機による不二子の支援を受け地上スレスレの飛行で次元の操縦するフィアット500に乗り換え、大型ヘリで駆けつける銭形を騙してヘリを乗っ取り、ヘリにロープで縋る銭形を説いて一次休戦とし、ともに大西洋の基地に着陸。
大仕掛けのレティシア救出作戦は、実に面白く描かれ満点ですが、宮崎アニメ「紅の豚」(1992)を思い出しました!(笑)

手引書のエクルプスを見つける策は「メキシコにあるエクリプス洞窟で3つの試練をパスしなければならない」というもの。
ルパンは自分のじいちゃんとブレッソンの因縁の関係を明かし、レティシアにエクルプス探索に協力することを約束させた。

f:id:matusima745:20191208070419p:plain

メキシコでのエクルプス捜索は秘密組が先に挑む。ゲラルド配下のハンスが盗掘の扉を開くために近づくと一瞬にして消えてしまう。「手引書がないと進めない」と諦めた。このあと秘密組織の面々は・・・

これを見ていたルパンたちは、手引書を頼りに3つの試練に挑む。

エクルプスの3つの試練、肉体を圧縮して消滅させてしまう扉、五ェ門の斬鉄剣でないと掛けられない星の橋、四方八方の光線が射てくる洞穴、これらの難所を経て、じっちゃまが出来なかったエクルプスの前に立つことができた。そこにランベールとゲラルドが「俺たちの猿芝居を信じたな!」とやってくる。この設定の軽さ? ルパンらは縛られ、レティシア飛行艇に連れ去られた。ルパンは馬鹿か!(笑)

洞窟内の岩崩れ、大空に大竜巻が登る。ルパンらは束縛綱を解き大型ヘリで脱出したが、竜巻に巻き込まれる。

f:id:matusima745:20191208070614p:plain

飛行艇は氷の翼と竜の尻尾をもつ飛行艇に変形。この力を見たランベールは「我こそが王だ」とゲラルドに刃向い、彼に射殺される。大竜巻、変形した飛行艇の映像には驚かされる。

そのときランベールの元にブラジルから電話が入る。

〇テーマとして、
ブレッソンダイアリーの謎解きで見つけた至宝・エクルプスは人間の力では制御できない自然現象を引き起こすというものだった。この力を使おうとする秘密組織を無効にするというテーマはすばらしい。

f:id:matusima745:20191208070525p:plain

エクスリプの力を知ったあとのルパンの行動。ヒトラーに化けてブラジルにゲラルドをおびき出し、ゲラルドと対決して葬り去るところがこの物語のハイライトだが、ルパンがいかにして大竜巻を脱出しブラジルにやってきたのか、ゲラルドが‘60年代にヒトラーの死を知らなかったという設定。設定が浅すぎる? ヒトラーに化けたルパンの声が、そのままであったのは良くない。

飛行艇の翼の上でのルパンとゲラルドの決闘は面白かった。

秘密組織に利用されたレティシアを解放し、次元と五ェ門が迎えにきたボートで去るルパンを、大型ボートで銭形警部が追うというエンデイング。この物語の軽さに、もったいないという感じ。(笑)
              *
第Ⅰ作だから、無難に「カリオストロの城」をベースにしたような作品でしたが世界制覇の作品にするには、これからの脱却とテーマ性をしっかりすることが求められるでしょう。楽しみにしています。
***


映画『ルパン三世 THE FIRST』予告2【12月6日(金)公開】