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「チェルノブイリ1986」(2022)真実のほどは分からないが、見えない放射線と隠れた体制に恐怖を感じる!

 

2020年度製作作品。2022年5月に公開されたロシア製作作品原発事故、さらにウクライナ戦争関連ということでWOWOWにて鑑賞。

監督:ダニーラ・コズロフスキー、脚本:アレクセイ・カザコフ エレナ・イワノワ。監督は主演兼務です

出演者:ダニーラ・コズロフスキー、オクサナ・アキンシナ、フィリップ・アブデーエフ、ラフシャナ・クルコバ、ニコライ・コザック、イゴール・チェルニェビチ、他。

1986年4月26日、当時ソビエト連邦だったウクライナのプリピャチで起きたチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故で、未曾有の事態に命を懸けて挑んだ消防士の姿を描いたドラマ。

物語は

恋人のオリガ(オクサナ・アキンシナと10年ぶりに再会を果たし、彼女とともに新たな人生を歩もうとしていた若き消防士アレクセイ(ダニーラ・コズロフスキー)

しかし、地元にあるチェルノブイリ原発で爆発事故が起こり、彼の穏やかな日常が一変する。事故処理委員会の会議に出席したアレクセイは、深刻な水蒸気爆発により、溶け出した核燃料が貯水タンクに達した場合、ヨーロッパ全土が汚染されるほどの大量の放射性物質がまき散らされる事実を知らされる。アレクセイはタンクの排水弁を手動でこじ開ける決死隊に志願するが、その先には想像をはるかに超えた数々の試練が待ち受けていた。

突然の原発事故発生に遭遇し、水蒸気爆発を阻止するまでの消防隊班長アレクセイの目線から描いたドラマです。ドラマはアレクセイと10年前に別れた女性オリガ(オクサナ・アキンシナ)との恋の行方を絡ませたものになっています。

どこまでが真実なのか、今なぜ公開なのかと疑念を持ちながらの鑑賞。


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あらすじ&感想

オリガは美容室で働いていた。アレクセイは髪を切りに美容室を訪ね、そこで偶然オリガに再会した。オリガにはアレクセイという名の10歳の男の子がいることを知り、自分の子だと直感で分かった。

アレクセイは消防の仕事は自分には合ってないとキーウへ移ろうと考えており、「一緒に行かないか」とオリガに勧めるが、彼女は「また置き去りにされる」と拒否した。アレクセイは思い出にと息子に8mmn撮影カメラをプレゼントした。

早朝、車でキーウに向かう途中で一羽の鳥がウインドにぶちあたり異変を感じた。そこにやってきた消防車に乗せてもらい原子発電所の火災を知った。

このころ、友達と遊んでいた息子は大きな火災発生をカメラで撮っていた。

アレクセイが火災現場にいつくと大混乱。放射能防護衣の着衣なく消化活動を行っていた。ロシアの爆破技術は世界の中でトップクラスだと思っていたから驚いた。こういう状態で原発が管理されていた!

アレクセイは3人の行方不明隊員を捜しに建物の中に入って行ったゾンビのように顔が爛れた男、倒れて呼吸しない男、吐き気で座り込んでいる男、現場は消火活動ができる状況でなく、これらを救出するのがやっとだった。

現地に政府の処理委員会が作られ、国から派遣されたエーゼント(イゴール・チェルニェビチ)、委員長のミハイル(アルトゥール・ベシャストニィ)、軍隊の代表者、消防隊からアレクセイと技師のヴァレリィ(フィリップ・アヴデエフ)が参加。

原子炉がメルトダウンして直下の貯水槽の水を反応して水蒸気爆発を起こす危険性がある。全ヨーロッパに大きな影響を与えるというので、これへの対応策として排水バルブの開放が検討された。それにしては組織が小さい!

委員長も軍人も熱水に潜ることに疑念を抱くが、7番ゲートから進入してバルブを開くことになったが誰がやるかは決まらなかった。エーゼントから褒章金のほかに、スイスでの治療、モスクワへの居住権を与えると提示され、すべての権限をこのエーゼントが握っていた。

プリピャチ市が放射線汚染で大混乱に陥った

アレクセイはオリガを心配して訪ねると、息子が被爆してダウンしていた。キーウに疎開することになるという。医療勤務者による喉の異常有無を調べて移動バスに搭乗した。「病院は自分で探せ!」と相手にしてもらえない。アレクセイもバスに乗り、オリザにキーウで一緒に暮らしたいというが受け入れられない。「必ず治してやる」と水蒸気爆発阻止作戦に参加することに決め、途中でバスを停めて下車した、

アレクセイは事故処理委員会に出頭し、建設図面にはない別ルート(工期短縮ために作ったルート)から配電盤を作動させる案を提言し、現場が分かる消防隊員として直ちにヘリで現場に送り込まれた。この際、アレクセイはエーゼントに「スイスで治療を受けたい!自分ではなく被爆している息子にしてくれ!」と申し出て、許可された。

ヘリは空中で放射線を計測しながら飛行して着陸した。メンバーは4人。大佐のポリス(ニコライ・コザック)が任務の監視役として付いていた

水槽に潜り、途中で1名を失うもヴァレリィと配電盤に辿り着き、作動を開始したがすぐに作動停止。アレクセイが懸命止めたがポリス大佐がバルブを開くと奥に入ってマグマに被爆。ポリス大佐を確保して脱出した。ポリス大佐は700レム以上に被爆で亡くなり、作戦は失敗に終わった。

 事故処理委員会。エーゼントが排水弁を手動で解放することを求めた。が、ミハイル委員長は「発電施設の欠陥による事故で、人災だ!あたなたちは人でこの穴を埋めようとしている」と反対した。これにエーゼントは「放射線と同じだ!目に見えない筋の命令だ!」と実行を命じた。ヴァレリィは「やる者はいない、どうせ命じられる!やらねばならないだろう」という。

アレクセイはオリガを訪ねた。息子は入院しており、オリガは悲観にくれていた。アレクセイは息子をスイスの病院に送ることを告げ、ふたりで息子がスイスに飛び立つ飛行機を見送った。オリガはやっとアレクセイの気持ちが分かり、ベッドを共にしたが、朝起きるとアレクセイの姿は消えていた。

アレクセイは災害事故処理委員会に戻り、ヴァレリィと一緒に排水弁を開く作戦に参加したいと告げた。アレクセイが自分の身体の異変に気付いていたのではないでしょうか。

アレクセイとヴァレリィがしっかり命綱を着けて40度の水槽に潜り排水線を開くことに成功したが、ヴァレリィの命綱が廃材にひっかかり、ヴァレリィは時間内に浮上できないと自らの命綱を切り放した。

排水に成功し貯水槽の水が河川に流れ出した。この汚染水はどこに流れたのか?

オリガがアレクセイの収容されている病院を訪ねた。重傷者病棟で「汚染されて危険、身体には触れるな!」という状況下で面会した。オリガは防護衣とマスクを外し、アレクセイの顔に自分の顔を触れて感謝した。

3カ月後オリガは空港でスイスで治療を終えた息子を空港で迎えた。

まとめ

当初の爆発現場の消火活動が生々しい!そして 水蒸気爆発の阻止作戦(行動)2段階に分けて、原発炉下の巨大な貯水槽に潜り、1回目の配電盤の改修による方法、2回目の排出弁を手動で解放する方法と手段とエピソードに変化をつけて描かれ、ヒヤヒヤドキドキのリアリティを感じながら観ました。邦画「Fukushima 50」(2020)以上の恐怖感がありました。放射線防護処置が不十分で行われていたから驚きました。

原爆事故の裏事情は描かれないが、当時事故を隠すことに必死ではなかったのかと。事故処理委員会に見えない組織の力が介入し権力で処理することが恐ろしかった。

恋物語は取って付けたような物語でした。恋人役のオクサナ・アキンシナの美しさに魅せられたのが救いでした。(笑)アレクセイとオリガの過去に何があったかのか、別の地域で暮らしていてこの地に流れ着いたのか?

この作戦に参加すると報奨としてお金のほかに、スイスでの療養、モスクワへの居住権が与えられるという、大きな権力社会の存在を見る思いでした

オリガは強い女性でしたが、この他にも女性看護師、医者、救急士が出てきますが、いずれも恰好よくて強く働き者のロシアの女性でした!

ウクライナ戦争という視点から、ロシアの原発施設攻撃はウクライナ市民にとっては大きな恐怖になるでしょう。

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