映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「青くて痛くて脆い」(2020)しっかり傷つけ、傷つく自分を疑似体験したらいい!

f:id:matusima745:20200831083855p:plain

原作が「君の膵臓をたべたい」の住野よるさん。未読です! 吉沢亮さんと杉咲花さん主演作ということで観ることにしました。監督はテレビ演出が多い狩山俊輔さん。初めてお目にかかります。

高校時代と違って、何か意義のあること、自分のアイディテンティを求めたいという大学生活。理想と現実な狭間で、「青くて痛くて脆い」自分を丸出しで、ぶつかり合い、成長していく姿がリアル描かれた物語。この時期、しっかり傷ついたらいい、こうして大きな人物に育って欲しいと思います。

傷つくのが嫌で人との関りを避けてきた大学1年生の僕が、大した動機のなく能天気に世界平和を訴え、なりたい自分になろうという彼女のサークル活動「モアイ」部の立ち上げに参加し、なんとなくやる気がなくなって辞めて3年後。「モアイ」が就活活動の場になっていることに怒りを感じ、「モアイ」を潰そうと画策。画策するなかで彼女の本当の生き方や世間の見方を知り、己の器量の狭さや配慮のなさで相手に大きな傷を負わせたことに気付くという青春ドラマ。


『青くて痛くて脆い』予告【8月28日(金)公開】

あらすじ(ねたばれ):

大学1年生の田畑楓(吉沢亮)は人に不器用に近づかず、相手を否定しないことで、人を傷つけない、自分もそれで守られると考えていた。

「戦争は必然」と説く教授に、「この世界に暴力はいらない!皆が望めば可能です」と喰いつく秋好隅寿乃(杉咲花)。理想を目指しあまり空気の読めない、他学生から浮いている大学生。

f:id:matusima745:20200831084021p:plain

楓は「こんな人いるのか?」と思ったが、学食で一緒にご飯を食べることになり、「模擬国連をやりたい!」という彼女の興味をもって、1か月ほどこんなことがあって、ふたりで飯喰ってるのが噂になり、「世界を今より良くしたい」という彼女に「自分でやったらいい」と勧めた。

彼女に「秘密結社で、なりたい自分になれるよ」と言われ、嫌々だったが、楓はこのサークルに参加した。

部員の勧誘、部室の準備は全部、彼女がやった。しかし、その彼女はもうこの世界にはいない!(俺が消した!)

ここから、楓がモアイ部を辞めるまで(過去パート)と、モアイ部を廃部に追い込む(現在パート)の交互に描かれます。

3年後、

モアイ部は大きな部になり「なりたい人になれます」と部案内ビデオも出来て、活発に活動しているが、親友前川董介(岡山天音)によると「だたの、就活活動する学校の顔になっている」という。

「この部は俺ともういないやつと作った。そいつのために出来ることはないか?」とふたりで相談して、部をぶっ潰して本来のモアイに作り直すことにした。

秋好は秘密基地だと自分がペンキで部名を書いて、部がスタート。楓は「自分の力で戦争を止める」という秋好の言葉に酔った。そして、人形劇などをやって平和を訴えた。彼女は白線だけ踏んで渡ると願いが叶う!だから横断歩道を渡る度に世界は平和になっていく」という。小さなボランティア活動で出来ることをやれば救える世界はあると説いた。

楓は前川と前川のゼミの後輩でかくれ部員の本田朝美/ポン(松本穂香)をモアイ交流会の場に送り込み、その実態を調べることにした。前川は携帯電話で内部の状況を映像で伝えてくる。幹部の天野巧(清水尋也)/テンに目をつけてその行動を追うが、彼に掴まって何も得られなかった。「何してるの?」と問われ、「秋好をこの世界から追い出したやつは許せん!」と怒りを露わにした。

f:id:matusima745:20200831084146p:plain

秋好と青少年自立支援施設にボランティアに行き、ここでの出来事で、アモイを去ることにしたことを思い出す。

生徒と野菜作りをしたり勉強を教えたりしながら平和を説くボランティア発動。

楓は歌うことが好きで不登校になった西山瑞樹(森七菜)の勉強を見ることになったが、「あんたは暇な人、こんな活動で役に立てる人間になれるとは思えない」と言われ、傷ついた。

ここに大学院生の脇坂(柄本佑)が「研究室にいても永遠に問題は解決しない」とモアイを支援にやって来た。

施設の野外バーベキューで瑞希がみごとに「サメに喰われた娘」を唄う。これは圧巻でした!森七菜さんにこんな演技ができるとは! 彼女を学校に戻そうとやってきた担任・大橋(光石研)と激しく揉み合う。楓は何にもできなかった。楓には痛い出来事だった。

「こんなやり方が私たちが望んだものか意見を頂戴!」と秋好に求められたが、何も言えず、ただの同志で世界は変えられると思った。脇坂が「効果を上げるには組織を大きくすることだ」と言い、秋好と意気投合するのを見て、ここを去った。

大学に戻り学食で秋好に「付き合っていられない」と宣言した。秋好は「分かった!それでいいの?」と確認し、別れた。これ以来会っていない。

モアイの女性交友実態を掴もうとバーベキュー大会に楓、前川、ポンが参加。楓はバイトの後輩でモアイに入部したという川原理沙(茅島みずき)に出会った。

川島に近づく男子部員を見てポンが心配する。(笑)

テンが女性を誘って消えるのを見て、追った。テンが「お前ら最低だ!俺のことを遊び人だと思っているが、俺は好きな人でなければ付き合えないし、つき合いたくないんだ!」と突き放された。

秋好が来たから紹介する」とテンが示すむこうに秋好が白線を踏んでみんなの輪に加わっていた。楓は逃げた! 楓は「秋好は俺を紐にしただけ!モアイは世界を変えるといった大嘘つきだ!」と秋好批判ビラを部室に忍び込みばら撒いた。

このビラは整理され、部室に展覧されたが、秋好は「本当のこと!」と気にもしなかった。

文化祭に瑞希がやってきて「大学に行きたい」と秋好に漏らした。秋好はこのことを楓にメールで知らせた。

そのころ楓は、前川のアパートで、前川、ポン、川原と飲んでいた。川原は楓に「秋好は本気に世界は変えられると考える、青臭い本気の人だ!」とはっきりものをいう。これに楓が「川原さん食べてください!」と敬語で応じた。川原は「人との距離感をしっかり測って生きるのはわるくないと思います!」と言葉を投げて出ていった。この言葉は楓には痛かった!

楓は迷惑メールが最近増えるのは、モアイから個人情報が流されているからだ。こいつをつきとめる」と前川に話した。前川はこれを止めた。楓は前川も疑った。前川は「モアイはいいやつらなんだ!笑っている俺たちの方がよっぽど痛いやつだぞ!」と再考を促した。

f:id:matusima745:20200831084308p:plain

楓は「モアイが個人情報を横流ししている」とSNSでつぶやいた。「モアイはやばい!」という噂が一気に広がった。

このことで秋好は部員に状況説明をするための報告会を開くことにした。

楓は早めに会場にやってきて、秋好に会った。

「世界は変えられる、なりたい自分になれるは大嘘だ」から「秋好の周りにはいつも人が居て、(俺の出番はなかった)」まで、ふたりは思いの丈をぶつけた!

秋好が「ちょっと待って!私のこと好きだった?」と聞く。楓は「お前を相手にしなければよかった。サークルに入らなければよかった。君は自分のためにやっただけだ!お前なんかいなければよかった」と言い終わって会場を後にした。」

f:id:matusima745:20200831084341p:plain

秋好はこの言葉に泣いた!

秋好は「モアイという自体はたったふたりのものだったの!」と部の解散を宣言した。

感想:

先が読めない青春時代のエピソードをミステリアスに拾い出し、ハラハラドキドキの物語の進展。楓がモアイ部を辞めるまで(過去パート)と、モアイ部を廃部に追い込む(現在パート)の交互に描くことで、楓が何に不満で廃部に覆い込もうとしているのか、秋好がこれをどう捉えているかが分かり、最後にふたりが対決し思いの丈をぶつけ、それぞれが青くて、痛くて、脆かった青春を涙で振り返るシーンに震えます!

こういう体験は早い時期に済ませておくのが良い!

しかし、SNSでこんなバカなことをしてはいかん!!

楓は秋好の部解散宣言をネットで観た。彼は自分が世界を歪めたと部屋を飛び出し、脇坂の研究室に飛び込んで「秋好に謝りたい!傷つけられ、数合わせされたと思った」と自分の気持ちを正直に打ち明け、秋好の居場所を聞いた。

脇坂は「1年前に別れ、居場所は知らない」と言い、「みんなそうやって、誰かを間に合わせに使いながら生きているんじゃない?間に合わせでも、その時は必要だとされたんだから、それで十分だと考えないと」と諭した。悩める若者にはとても響く言葉ではないでしょうか。

1年後、楓は川原が立ち上げたモアイのボランティア活動に参加していた。とてもあと味の良い、青春物語でした。

吉沢さんの自分は絶対に正しいときつい目で訴える演技が凄みがありました。また、杉咲さんは「世界を変えられる」と思わせる一途さ、そして自分の配慮のなさで楓を傷つけたと思わず涙するなど、感情豊かな演技がすばらしかったです。松本さんのヘラヘラしているようですごく芯のある演技、そして森七菜ちゃんの歌。出演者の演技は、みなさんすばらしかった!

                             ****