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「プロミシング・ヤング・ウーマン」(2020)死してなお、許さない!若いときの苦い思い出では済まないぞ!

コンペで男子学生にレイプされたことが原因で自殺した親友・ニーナ。ニーナは「医師を目指す将来有望な女学生(プロミシング・ヤング・ウーマン)だった。彼女のため自らも医者への道を捨て、復讐に執念を燃やす女性・キャシーの物語。ブラック・コメディ、サスペンスタッチで描かれている。

「第93回アカデミー賞」(2021)で作品、監督、主演女優など5部門にノミネートされ、脚本賞を受賞した作品です。

監督・脚本:エメラルド・フェネル長編映画監督デビュー作。製作に「ザ・スーサイド・スクワッド」のマーゴット・ロビー が参加。撮影:ベンジャミン・クラカン美術:マイケル・T・ペリー、衣装:ナンシー・スタイナー、編集:フレデリック・トラバル、音楽:アンソニー・ウィリス。

出演者:

キャリー・マリガンカサン、 ボー・バーナム、アリソン・ブリークランシー・ブラウン、 ジェニファー・クーリッジ、ラバーン・コックス、コニー・ブリットン、他。

アカデミー賞の評価作品であること。製作者にマーゴット・ロビーが参加している。ということで観ることにしました。(笑)


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あらすじ

クラブで酔っぱらって、ソファーに座り、時折股を開いて男の視線を向けさせる。男たちが「泥酔した女性が悪い」「隙を見せる女性が悪い」と呟き、「俺がやる!」と近づく男。この男によってホテルに連れこまれ、いよいよそのときに目覚め、金玉を蹴り上げて天罰を加える女キャシー。(笑)「やっていいとは言っていない」、この男たちの言い分が気にいらない!これがテーマです!(笑)

毎夜、こうやって過ごすキャシーは、「30にもなって!早く出て行って!」と両親に責められるが、昼間はヒーショップでバイト。店長・ゲイル( ラバーン・コックス)が近寄ってくる男を監視している。ここでラバーン・コックスならこの役に適任です。(笑)

そこに「フォレスト医大だよね」と男が店にやってきてコーヒーを注文した。キャシーはコーヒーに唾を吐いて渡したが、男はこれを呑む。男はフォレスト医大出身の小児科医ライアンで、優秀だった医学生・キャシーにデートを誘った。彼から昔の学友たちの話しが出た。「浮気者のマディソン(アリソン・ブリー)がいまでは双子の母親、ニーナは自殺した、アル・モンロー(クリス・ローウェル)は水着モデルと結婚する」と。キャシーの脳裏にニーナが自殺した忌々しい記憶が戻ってきた。キャシーは復讐することに決めた。

復讐の第1標的はマディソンに決めた。彼女は男好きでゴシップ大好。彼女の噂でニーナが追い込まれた。

彼女をホテルに呼び出したっぷり酒を呑ませて、泥酔したところに頼んでいた男を呼びホテルの部屋へ連れていった。

翌朝、「なにがあったか分からない、教えて!」と電話してきたが、「レイプされたと噂される苦しみを味わってもらう」と電話を切った。

第2標的が学部長のエリザベス・ウォーカー(コニー・ブリットン)。彼女はレイプ犯罪があったことを認めなかった。そのためニーナは退学・自殺に追い込まれ、犯人のアル・モンローは退学することなく、今では麻酔医として生活している。

ウオーカーとの面接前に、娘を「人気ミュージシャンのビデオのロケがある」と嘘ついてレストランに誘い、ここで待ちぼうけさせておく。ここでは飴をしゃぶりながら娘を誘うキャシーのコスチュームが面白い。

そしてウオーカーに対面。「疑わしきは罰せずよ!」というウオーカーに「娘さんが今、モンローとあの部屋で会っている」と話すと「悪かった!場所を教えて!」とわめく。「ニーナーの苦しみを知れ!娘がレイプされる親の苦しみを味わえ!レイプという重大な問題を学校経営や金の天秤に計るな!」と罰した。

この問題は男性だけの問題にしないところがいい。女性ふたりに天罰を加えたので男性を巻き添えにと、違法駐車してこれに文句をつけてきた男性の車をハンマーでぶん殴った!(笑)

第3の標的は弁護士のグリーン。ニーナがレイプを起訴しようとしたのを止めた弁護士。キャシーが訪れると、「SNSのたった一枚の写真で人生がダメになるのを見て、自分がやったことに苦しんでいる。許して欲しい」と謝罪した。キャシーが「赦す!」と去った。

帰りにニーナの父母に会うと「貴方の人生を生きて!先にすすんで!」と忠告された。家に戻りアル・モンローのホームぺージを削除し、復讐を辞めることにした。

ライアンを父母に紹介し喜んでもらった。ふたりでショッピングし、将来を楽しむようになっていった。

そこにマディソンが心配でやってきてので「何もなかった!」と教えると喜んで、「皆が喜んで観たもの。二度と来ないで!」とニーナのレイプ動画が渡された。嫌がるニーナを犯すモンロー、「ライアン!」と叫ぶ声があった。キャシーは泣き、驚いた!「赦せない!」。

ライアンを病院に訪ね動画の話を切り出した。彼はにやりと笑い、「ガキだった!」と反省を示した。キャシーはこの“にやり顔”が許せなかった!彼のアドレスとモンローの“独身さよならパーティ”の場所を聞き出した。

第4の標的はニーナをレイプしたアル・モンロー

医者たちが集まる山小屋。キャシーは看護師のコスチュームでストリッパーに化けて「二度とレイプできないようにしてやる!」と乗り込んだ。

医者たちには眠り薬入りの酒を飲ませて眠らせ、モンローを二階のベットに誘い両手に手錠をかけて、お医者さんごっこと思わせてナイフで斬りつけると、モンローが暴れて片手の手錠が解け、その手でキャシーは枕で口を塞がれ絶命した。朝、二階に上がってきたジョー(マックス・グリーンフィールド)の提案で、モンローはキャシーを深い山奥で火葬に伏した

キャシーは万一の場合を考えて弁護士のグリーンにニーナのレイプ動画と「行方不明の場合は警察に届けて欲しい」とメールを送っていた。

盛大な結婚式。式を終えて招宴に移ったところに、ライアンの携帯にニーナのレイプ動画とキャシーとニーナ名で“愛してる!”のメールが送られてきた!周りはポリスが囲みモンローは花嫁の目前で逮捕された!

第5の標的は恋人ライアンだった。

感想:

まさか主人公・キャシーが亡くなるとは思わなかった、死してなお、レイプを傍観していた彼氏・ライアンに天罰を加える “ここまでやるか”という驚愕のラストに驚きました。しかし、やはり男は強い!(笑)

友人がレイプされている姿をSNSで流して喜ぶ医学生、傍にいてレイプを止めない医学生、コンペでレイプは当たり前という医学生、医者になってもレイプが止めない医者たち、金になると告訴を止める弁護士、疑わしきは罰しないと大学の名誉と金のためレイプを容認する学部長、これらはいつかどこかで見聞してきた風景です。

若い時の過ちとして見逃されたことで男の暴力が続く。苦しむのは被害者女性だけでない。家族、優秀な医生友人、医者を辞めなければ多くの子供を救えたのに、良心の呵責で苦しむ弁護士、アル・モンローと結婚した妻も苦しめられる!

悪しき男性の性風習を叩きのめそうとする彼女(監督)の気迫への評価だったのではないかと思っています。(笑)

この年ハリウッドは有名監督が性暴力で次々と訴えられるというスキャンダラスな年だった。女性監督・エメラルド・フェネルの怒りが分かります。

何とも重苦しい世界をスーサイド・スクワッド」よろしく、コミカルに男性たちを懲らしめる演出は、女性には痛快だったかもしれませんね!ラストが・・と思ったら少しは反省もあるのかな!(笑)

エメラルド・フェネル監督の次回作が「Saltburn」に決定。イギリスの上流貴族を描く内容になるとのこと。「ゴーン・ガール」でアカデミー賞にノミネートされたロザムンド・パイクが主演です。楽しみにしています。

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