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「おとなの事情 スマホをのぞいたら」(2020)岡田脚本と演者の顔色を見る作品

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今週は作品選びに苦労しました!そこで選んだのが脚本:岡田恵和さんで、常盤貴子さん出演作ということで、「間違いないだろう」とこの作品を選びました。大正解でした。😊

7人の男女がホームパーティのテーブルで、互いに秘密がないことを証明するため、スマホを公開するゲームをスタートしたことから、それぞれが誰にも言えない大人の事情を抱えていて、7人がつながりながら、その行き先を追うというはなし。みごとな脚本でした!

結婚とはなにか、大人の事情ではなく大人の選択、ものの見方を描いた作品で岡田脚本と演者の顔色を見る作品でした。ワンシチュエイションの密室劇だけど大きな世界を見せてくれ、“笑って”“感動する”物語でした。

監督:光野道夫、脚本:岡田恵和、撮影:須藤康夫、音楽:真鍋昭大。

出演者:東山紀之鈴木保奈美常盤貴子益岡徹田口浩正木南晴夏淵上泰史、他。

出演者のみなさん、これまでの作品では見られない役を演じていますが、これがうまく嵌っています。キャステイングが見どころです!(笑)

原作は世界で18作ものリメイク作があるとうイタリア映画「おとなの事情」、未見です。日本版リメイク作とは言え、この作品のテイストは岡田脚本そのもので、オリジナルと言っていいと思いました!


『おとなの事情 スマホをのぞいたら』予告編 2021年1月8日(金)全国ロードショー

あらすじ(ねたばれ):

物語は雨の中でひとりの男がコンビーフを開けるところから始まります。これが何を意味するのか皆目見当がつきませんが、最後に、これがテーマであったとは驚きでした。

カフェレストランの雇われ店長・向井幸治(淵上泰史)35歳を、動物病院の獣医として働く妻・杏(木南晴夏)顔を見せ、ウキウキしている夫の顔をみて去ろうとすると「待て!」とキスをする。そこに携帯の着信が・・、浮気相手の女か?

高級マンションで暮らすセレブな夫婦。夫・六甲 隆(益岡徹)は叩き上げの美容外科医、60歳。妻・恵理(鈴木保奈美)はテレビ出演もする売れっ子精神科医50歳。隆がネクタイをつけ始めると「これはわけありだな先生、おしゃれ!」と声を掛ける恵理。「もてるけど奥さんが一番だ!」と隆。そこに携帯の着信音。ひとり娘の智慧は「先に」と声を掛け、「ママとは無理!」と連絡してきた!この夫婦が一番危ない夫婦にみえましたが・・・。

安アパートで暮らす法律事務所で勤務のパラリーガル・園山零士(田口浩正)50歳。妻・薫(常盤貴子)は家計を助けるためにパート勤務。夫の母親と3人の子と暮らしている。母とは折り合いがよくない。(笑)子供たちは部屋でTVゲームに熱中。零士の携帯に着信、トイレに入ってにやにやと眺めている。ふたりはこれからパーティに出掛けるのだが、薫がパンティを脱いで出掛ける。なんで脱ぐねん? このふたりはかなりの訳ありのように思えました。(笑)

公園でメールする元教師の塾講師・小山三平(東山紀之)48歳、独身。誰にメールしているのか?手土産の一升瓶を落としてパーにするというダサイ男です。(笑)48までなんで独身なの?

向井夫婦が準備してくれたカフェレストランでのパーティ。

六甲夫婦と園田夫婦が手土産を持って訪れ、夫婦仲がとてもよさそうで、杏が「羨ましい!」と涙を見せる。

三平がまだ顔を見せない。毎年開いているこのパーティ。今年は三平が夫婦でやって来るものと期待していたが、今年もひとりでやってきた。皆が残念がった。

メインデッシュがコンビーフということでパーティが始まった。三平がやたらハイピッチで飲む。結婚してよかったのかという話になり、杏が「私は結婚に向いてない。夫婦ってなんですか?夫婦の間に秘密ごとがあるんですか?」と言い出した。「そんなものはあっても小さな秘密だ!」と皆が同意したので、携帯をテーブルに出して、着信があるとお互いに見せ合うことになった。

ところが最後まで携帯を出すことを渋ったのが三平と零士だった。三平の出し渋りは意外だった。

何も秘密はないと言いながら、着信音が鳴るとピクリとする面々。なかなかスリリングです。こんなゲームを思いついたことこそが、この作品の面白さです。

三平に「就職先が決まった!」という知らせ、次いで零士に母親から「嫁が作った夕飯が拙い!」という苦情が来た。(笑)薫が苦笑い。

零士は緊張感に耐えるためにと三平をベランダに連れ出し「俺には彼女がいる!もうすぐメールが来るんだ!」と携帯電話の交換を言い出した。零士は嫌がったが無理強いした。ふたりがベランダに居たところを薫が見ていた。

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三平の前の携帯に着信。女の子からだった。これにうまく三平が返事し、零士は安堵したが、次に零士のまえの携帯に着信。「裏切者!」という女装男性からの動画だった。(笑) これを見た薫が「あんたゲイなの?」と怒って席を外した。(笑)三平は「ゲイでも誰でも好きというのではないから」とシランプリ。(笑)

席に戻った薫が「3人も子供がいて私ともしている。あんたがゲイ?」と三平を疑った。(笑)

そこに薫に着信。見ると「ちゃんと穿いて過ごしているか?猫ちゃん」と会った」!(笑) 「お前穿いてないのか?」と零士が疑う。仕方がない、薫は皆の前でスカートを上げた!(笑) 「私は誘われたとおり会っておけばよかった!あの人は若い女と寝てるくせに!」と悔しがる。(笑) これはもう離婚話になるのかなと。恵理がしっかり薫を慰めていた。

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薫は調理室で杏に「夫婦には夢も希望もないよね!しかし、六甲さんのところには希望がある」という。杏が「どうかな?」と懐疑的になっていた。

そこに着信音。隆の携帯だった。「パパ妊娠してなかった。パパに話しておいてよかった!」というもの。

これに恵理が「私を無視して!私が傷つくことを気付かないの。ひどい人だ!」と声を荒げた。隆が「性格が強い君から逃れるためだった」と告白した。理恵は娘が妊娠してなくてよかったと安堵した。

そこに隆の携帯に遠山メンタルクリニックから次回診察予定を連絡してきた。

同じ精神科で敵愾心のある遠山クリニックに隆が相談に行っている、もう理恵の怒りは止まらない。「妻には話せない!」という隆に、零士が同情した。

幸治の携帯に着信音。杏が携帯を見て悲鳴を上げた。「幸治君、彼女からご懐妊の連絡よ!」と読み上げた。杏は「幸治に不妊検査に行こうと誘って断られた。そういうことか!私に原因があったんだ!」と幸治を睨みつけた。幸治は「俺は杏を幸せにする!」と言うが、これを杏は受け入れられるか?この状態を見ていた恵理が化粧室に入ると、幸治も化粧室に入った。

恵理が化粧室から戻ってきたところに、杏の携帯が鳴った!杏が幸治の調査を依頼した興信所からのものだった。幸治と恵理が一緒に写ってる写真だった。皆がふたりを見た。幸治は泣きっ面、恵理は怒り顔だった。

恵理は「私は謝らない!」という。杏は「そんな!」と怒る。続けて恵理は「私はほっとしている。あなたが優位になって。あなたはずっと劣等感があった。金持ちに、母子家庭であることに、父から金を借りたことに。娘の理解者になって、私に対して優位に立ちたかった。こんな夫婦は止めにして!浮気がバレて、負けてよかった」と隆の手を握った。隆は「勝ちたくはない!俺は君を尊敬しているんだ!」と応じた。恵理のやったことは悪いが、隆への“人生の同志だ”という気持ちがよく伝わり、これに対する隆の「尊敬している」という言葉にもこの感じがある。60歳の大人の選択にはこのくらいの思慮がなければならないと思った!

このふたりのやりとりに、薫が泣いた!恵理は「私たちの夫婦を踏台にしないで!」と駄目出しした。

隆と恵理のやり取りがあって、場の雰囲気が一変した。

三平が携帯を零士と交換していることを白状した。これに薫は「携帯を取り換えようと強いたのは零士。浮気するなら妻が“う~ん”と思うほどやりなさい!人に罪を押し付けるなど最低だ!」と零士をこき下ろし、三平のことを心配した。

三平は「ヒデを連れてくるのを今日になって断った。彼は怒った。あんたたちが心配だったから」と告白。皆が「三平ちゃんが好きな人ならいいよ」と言う。「俺が臆病で、彼が傷つくのを見たくなかったんだ」と。「そんな寂しいこと言わないで!」と薫。三平は「ありがとう」と泣いた。三平が不安を口にすることで仲間から癒されていった。

皆でテラスに出て、月を見た。杏が「どうなるのかな?」と不安を漏らす。

大型台風の中、コンビーフを食べて、皆で励まし合って耐えた3日間のことを思い出した。恵理はしっかり娘の智慧を守り、これを見た薫はこんな親子になりたいと子供を作ったという。隆は歌えないのに皆のために歌った。杏はこの時幸治に恋した。「この気持ちを忘れないように集まっているんだ。あの時見た月は何事もなかったように元に戻ってくる」と隆。「夫婦にはいろんな気持ちがある。困ったり、失敗したり、最低なことがある。それが生きていることかな!」と三平。

感想:

スマホを覘くと、何が出てくるかとドキドキ。とんでもないものが出てきて、どう対処するかと、驚きました!なんでこんなに懐の大きな夫婦になっていくのか。それには隠されたシチュエイション、台風で3日間塩っ辛いコンビーフを食べながら身体に綱を巻き付けて頑張った7人であったということ。これは東北大地震につながるもので、死の淵で見た絆をこんな不倫?ごときの雑念で人生を失ってならないと、大人の判断を見せてくれる作品でした。😊 

年の差のある夫婦。子供の出来ない若い夫婦、倦怠期の夫婦、ゲイ男の悩みがみごとに描かれました!隠していたことがバレて傷つくのは辛いことだったが、これによって生まれ変わることができるというすばらしい脚本でした。

 当初オロオロしながら強いゲイ男に変身していく東山さん。大股を拡げ旦那を小者と罵りながら、旦那を受け入れていく太っ腹母さんの常盤さん。さらに不倫?が発覚しても堂々と旦那と張り合う妻を演じる鈴木保奈美さん、みごとでした。

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