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宮﨑あおいさんを応援します

「プリズナーズ」(2014)

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あけましておめでとうございます。

 娘を取り戻すため法をも犯す決意を固めた父親の姿を描いたサスペンススリラー。

世界的に注目されているカナダ人監督ドゥニ・ビルヌーブのハリウッドデビュー作ということで、正月、DVDでの鑑賞、年明けにはちょっと重い作品でした。(笑)

監督:ドゥニ・ビルヌーブ脚本:アーロン・グジコウスキ撮影:ロジャー・A・ディーキンス、音楽:ヨハン・ヨハンソン

出演者:ヒュー・ジャックマンジェイク・ギレンホールビオラデイビスマリア・ベロテレンス・ハワードメリッサ・レオポール・ダノ、ディラン・ミネット、ゾーイ・ソウル、他。

あらすじ(ねたばれ含む):

冒頭、父親のケラー・ドーヴァー(ヒュー・ジャックマン)と長男のラルフ(ディラン・ミネット)が鹿狩りをしていて、ケラーのキリストの主の祈りの後、ラルフが一発で鹿を仕留めるシーンで物語が始まります。ここでケラーはとても敬虔なキリスト教であることが大切な伏線となっています。

仕留めた鹿肉でペトヴァー家と黒人のバーチ一家が感謝祭の祝いをしていて、幼い女の子ふたりが表に遊びに出て、気づくと姿が見えなくなっていた。警察、地元の人たちで大々的に捜索するが発見できなかった

ケラーは長時間駐車していた見知らぬRV車に疑念を持ち運転手のアレックス・ジョーンズ(ポール・ダノ)が犯人だとロキ刑事(ジェイク・ギレンホール)に通告した。

ロキ刑事はアレックスを尋問するが、無表情でIQ10程度、ほとんど会話ができない状況。叔母のホリー・ジョーンズ(メリッサ・レオ)はらも事情聴取したが犯人と断定できるものはなく、抑留時間を迎え釈放した。

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釈放時ケラーが駆けつけ、激しくアレックスに迫り、「僕は声を聴いていない!」と声を発したが、誰もこの言葉を気に留めなかった!実はアレックスの重大発言だったということが後に分かってきます。これを見落としたケラーの罪はとう問われるのでしょうか?。

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ケラーは「もっと調べるべきであると抗議したにも関わらずこの様だ」と、自ら、亡くなった父親が残した館にジョーンズを連れ込み、嫌がるフランクリン・バーチ(テレンス・ハワード)夫婦も引き込み、激しい尋問を始めた。しかし、アレックが話すことはなかった。父親としての怒りは分かりますが、犯人という証拠は何もなく、思い込みでこんな無茶な尋問が許されるのかと思いました!

ロキ刑事は必ず犯人を捕まえると、区域の性犯罪者をひとりひとり訪ねてアリバイを取り、最後に教会に懺悔記録なないかと神父を訪ねた。が。神父は泥酔で聞き取りができず、秘密の地下室のあることを知り、調べると絞首死体が見つかった。改めて神父を尋問すると12人の幼児を殺し、これからも殺すと懺悔した男がいて、怖くなり殺害したと告白した。この告白で過去の記録を調べると事実であることが分かった。

ふたりの女の子をキャンドルで追悼する会に、子供が持っていた人形を持って現れた男が出現。ロキ刑事が追ったが取り逃がした。子供衣装店を調べて、この男性らしき人物が少女の衣類を買っていたことを突き止めた。

そんな折、アレックスの姿が消えたというので、ロキ刑事はケラーを自宅に訪ねた。が、ケラーは不在で妻マリア(ベロ:グレイス)が対応し「夫は警察と一緒に子供を探している」という。

ロキ刑事はケラーの行動に疑念を持ち、彼を追う。雨の中でケラーを待ち伏せするシーンにはぞっとさせられます。

ロキ刑事がPCでケラーの親父が刑務官で自殺したことを知った。父親の館を訪ねると館の窓がベニヤ板でふさがれていた。中に入ると、酔い倒れたケラーに出会い、室内を案内させる。「アレックスは見つかるか」とハラハラドキドキ。そのとき刑事の携帯が鳴った。

電話の主はフランクリンの長女イライザ(ゾーイ・ソウル)からのもので、男が家に忍び込み物色して帰っていったというもので、車番を覚えていた。ロキ刑事はケラーの家にも男が現れていないかを確認した。ケラーの妻グレイス(マリア・ベロ)が「窓が空いていたから誰かが侵入した」と証言した。

アレックスはいくら拷問をしても話さない!雨の夜、ケラーが寝ていると、激しい雨が攫われた娘アン(エリン・ゲラシモビッチ)の姿になって微笑む。

ロキ刑事は男(テイラー)を自宅で逮捕した。部屋を捜索すると鍵のかかった黒い箱があった。中に少女が隠されていると開けると、どの箱にもヘビは入っていた!この異様な空気にぎょっとさせられます!

押収物をケラー、ファランクリンに確認させ、娘たちものものであることを確認した。ケラーは愕然とした。

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ロキ刑事がテイラーに女の子たちがいる場所を書かせると迷路の絵図を書く!頭にきたロキ刑事が殴りかかると、止めに入った刑事の拳銃を抜き取り、テイラーは口に加え引き金を引いた。重要な容疑者を失ったロキ刑事は落ち込むが、テイラーが書いた迷路図が自宅の庭に書かれた絵図に似ていることが分かった!謎めいた物語に誘われます!

翌日、ケラーがアレックスを拷問すると、「ふたりは迷路だ」という。ケラーには理解できない。そこでアレックスの叔母ホリーを訪ねた。ホリーは「夫婦で息子をつれてRVで旅し布教活動していたが、息子が癌で亡くなり、神を信じなくなった。そんなときに養子にしたのがアレックスで、夫が飼うヘビに驚き、物を言わなくなった」と話した。テーブルに置かれた新聞で新たな容疑者テイラーが死亡したことを知った。ホリーは「あの子は死んでよかった」という。ケラーは「アレックスは間違いか?」と・・。

テイラーの住宅地には頭をぶち抜かれて2体のマメキンが埋められていた。男の遺留品から元刑事の書いた誘拐事件を真似た仕業であったことが分かった。

ロキ刑事はケラーの妻グレイス(マリア・ベロ)が話した「窓は空いていた」を思い出し、ケラーの家の窓の下を調べると、そこに少女の靴下が落ちていた。「少女は生きている!」という確信を持った。

攫われていたフランクリンの次女ジョイ(カイラ・ドリュー)が逃げ出し、通行人に救われ、病院に収容された。これを知らされたケラーは「アンは生きているのか?どこだ?」と怯えて話そうとしないジョイに聞くと、「おじちゃんもいた!」という。ケラーは走り出した。これをロキ刑事が追った!

ロキ刑事はケラーの親父の館に駆けつけ、アレックスを確保した。一方、ケラーはアレックスの叔母ホリーの家に「娘はここにいる!」と走りこんだ!

ホリーは「神を信じられなくなり、夫とふたりで子供を誘拐し殺した!今回も私が誘拐した」と告白し、ケラーに拳銃を突きつけ、娘を隠していた穴に連れ出し、封じ込めた。ケリーは壕の中で娘の笛を見つけ、「娘を助けて!」と神に祈った!

ロキ刑事がアレックスを確保したことを報告にホリーの家に来ると、ホリーがアンに毒薬を注射しているところだった。ロキ刑事はホリーを射殺し、雨の中、アンの命を救うべく救急病院に急いだ。この運転は神業技でした!

ケラーの妻グレイスがアンを保護してくれたことに感謝し、「夫のしたことは許されないことだとしても、子供を助けるためにしたことで、善人だ」と泣いた。

ロキ刑事がホリーの屋敷の掘開作業を見届けに来ると、凍結のため作業を止めて帰るところだった。誰もいない中で、笛の音が聞こえた!

感想:

テーマは神を信じる者と信じないものの戦いということは冒頭のケラーの祈りとホリーの神は信じられないという告白から明確で、「ケラーの行動にも罪もあるが、神を信じる者は救われる」という結末になっています。

娘を取り戻すため法を犯してもがむしゃらに頑張る父親の姿を描く中で、普遍的な“人としてどうあるべきか”が描かれると期待していましたので、キリスト教に疎い私にとっては、この結末はよくわからなかったです。しかし、「ボーダーライン」(2015)でこのことがしっかり描かれていると思います!

むしろ、怪奇というほどのミステリアスなストーリー展開と美しい映像に感動しました。

娘をさらわれたケラーの激しいアレックスへの尋問、また、ロキ刑事がテイラーから得た迷路図をもとに犯人像へと近づいてくる展開。暴力、ヘビ、迷路など何が起こっているのかと奇怪で、どんな結末になるのかと終始不安なミステリー。すばらしいミステリーだと思いました!

そして暗い雰囲気を“引きしまった”画で美しく描き、雨などを巧みに使って、ミステリーらしく、ハラハラドキドキさせてくれます。特に雨の使い方がすばらしかった。

ケラー役のヒュー・ジャックマン家族を守り切ると、苦しみながら、強く生きる父親役が見事でした。そして、これに対するロキ刑事役のジェイク・ギレンホール使命のためにはどんな危険にも飛び込んでいるという、正義感あふれる演技がすばらしかった。こんな刑事がいるのにケラーがなんででしゃばるのかと不思議でした!(笑)

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