映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「search サーチ」(2018)

イメージ 1
「物語がすべてパソコンの画面上を捉えた映像で進行していくサスペンス・スリラー」ということで、WOWOWで観ました。驚きました、見事なスリラーでした。
「カメラを止めるな!」(2018と同じように、すばらしいアイデイア勝ちでした! しかしこの作品は、それだけではない、犯人像が二転三転し最後までわからないというスリラー脚本としてとても優れています。
 
監督はGoogleグラスだけで撮影したYouTube動画で注目を集めたという、27歳のインド系アメリカ人・アニーシュ・チャガンティさん。次の作品が楽しみです。
あらすじ:
16歳の女子高生マーゴットが突然姿を消し、行方不明事件として捜査が開始されるが、家出なのか誘拐なのかが判明しないまま37時間が経過する。娘の無事を信じたい父親のデビッドは、マーゴットのPCにログインして、InstagramFacebookTwitterといった娘が登録しているSNSにアクセスを試みる。だがそこには、いつも明るくて活発だったはずの娘とは別人の、デビッドの知らないマーゴットの姿が映し出されていた。(映画・com
 
行方不明になった娘を探す父親が、InstagramFacebookTwitterSkype を駆使してまるで自分が探偵になったように捜索する様に、この父親に自分を重ねてとてもサスペンシフルです。さらに、ネット社会のなかで希薄になっていく家族の絆が、不明になった娘を探すことで真の娘の姿が見えてきて、父親に何が欠けていたかに気付くというヒューマンドラマにもなっていて、とてもすばらしいです!
 
しかし、ネットのなかで、娘が悪に嵌められていくところ。また父親がTwitter情報に振り回されているところを見ると、ネットの中だけで生活していていいのかと、ネットの恐ろしさに震えます。
***(ねたばれ)
冒頭、PCの家族のファイルを開けながら、マーゴットの成長過程、家族との絆が描かれる。マーゴットはピアノが大好きで、母に喜んでもらえるのがうれしい。しかし、8学生のとき母は子供を宿しながらガンで亡くなった。お腹の子にオモチャのピアノを弾くマーゴット。そして、父とふたりの生活。高校に入学。親子3人のキャラクラーが手際よく描かれ、みごとです。
 
木曜日、授業を終えたマーゴットは友人宅での勉強会に参加するとFaceTimeでデビッドに伝えてくる。
そこにデビッドの弟・ピーターがFaceTimeで「義姉パムの料理を作りたいのでレシピを送ってくれ」と。デビッドが「薬はまだやっているのか、やめろ!」と返事。薬が大きな伏線になっていく。沢山の伏線が張られるが、パソコン画面であるがゆえに、テンポよく回収されていく。
 
デビッドがすっかり安心して寝込み、マーゴットから3回電話が入ったのに出なかった。慌てて折り返し電話するが通じない。「誰と一緒に勉強しているんだ?」。 デビッドは妻・パムを亡くした悲しみで、マーゴットとのことまで手は回らない。ふたりの関係が完全に崩れていた。
 
音楽塾にFaceTimeで聞くと「半年まえから通っていない」との返事。マーゴットのファイルから、手当たり次第に学友を引っ張り出して電話する。そのひとりアイザックの母親から「キャンプに行ったのでは?」と聞かされる。デビットは聞いたこともない。直接アイザックに電話するとマーゴットは来なかったと。ピーターの勧めもあって、警察に捜索願を出した。
 
警察から担当官に任命されたと女性刑事・ローズマリー・ヴィックがやってきて状況を確認し、「娘さんの友達についての情報はなんでもいいから送って欲しい」と言い残し帰って行った。デビットはネットでヴィック刑事を調べ、捜査官として有能でさらに元犯罪者の更生などにも尽力していることを知る。
 
ここからデビットはInstagramFacebookTwitterを駆使して、娘に関する情報を集め出す。学習会に参加していた女の子を見つけマーゴットの様子を聞く。彼女は「マーゴットは9時に帰った。出来る子なので付き合っている。よく、tumblerをやっていた」という。マーゴットのtumblersiteを見ると風景写真が幾枚あった。実はこの風景写真のなかに事件のヒントがあったが、この段階では分からなかった。ここにある写真に、いくつかの情報が重なると、見えてくるものがある。これが面白い。
イメージ 3 
ヴィック刑事からSkypeでマーゴットの足跡を追っている映像を見せられ「マーゴットの言動を調べて欲しい」と言われる。
メールを調べていると「財布わすれたからモバイルで送金して欲しい」が見つかった。マーゴットの預金通帳を調べると、毎月のピアノレッスン料が預金され6日前に出金されている。「誰に?」。
 
インスタグラムのなかに「俺とやりたいんだろう」いう男を見つけ、メールするが返事がない。()
ヴィック刑事から「マーゴットはレイチェム・シュンの名で運転免許を取得している」と伝えてくる。この名に金が振り込まれていた。なんでこんなマネーロンダリングのようなことをするか? 「麻薬のとき、監視を逃れるために資金を移動するのよ」と刑事。
 
デビットはマーゴットのyouCastNow生配信!siteを調べる。“美しい女の子”とのチャット記事「母がガンで入院している。費用がかかる。ピアノをやめるとは言えない」を見つける。この女の子とチャット内容が、「まさか、騙しだった」とは思わなかった。ネットでマーゴットを追いかけていればこの程度の騙しは簡単、怖いですね!
 
ヴィック刑事が「この子がピッツバーグ郊外の食堂にいた」と知らせてくる。
デビットはその場所を地図で確認すると、その先にブルボサシ湖があり、この湖がマーゴットのtumblerファイルにあったことを思い出し、刑事に知らせた。
 
TVニュースで「木曜日マーゴットは失踪し、いまこの湖で彼女の車が回収されたが、彼女は見つからない。本件は誘拐事件として扱われる」と報道され、デビットも現地でマーゴットの捜索に加わったが発見できなかった。
イメージ 2
SNSでマーゴットの失踪の関する情報を求めると、「俺と一緒に居る」とかいい加減な情報にデビットは立腹し、こいつを特定して暴力を振るう。
 
葬祭会社・メモリアル・ワンからの配信された案内を見て「バカにするな!」と怒る。後に、この社のホームぺージの表紙モデルに大きな謎が隠されていることに気付く。
 
デビットは、誰が娘を誘い出したかと手がかりを求め、湖から引き揚げた車の内部写真を見る。そこにFINSというワッペンを発見する。これは弟・ピーターが付けていたものだ。ピーターとマーゴットのチャット記録を調べる。
「パパに言われると殺される」「兄貴にバレたら俺が殺される」「今夜は?」「あとで」。
デビットは「もしかしたら弟が・・」とヴィック刑事にメールして、弟のアパートに出向き問い詰める。そこにヴィック刑事から「犯人が見つかった」という知らせが入る。が、ここから先、デビットによる執念のSNS推理から、意外な人が逮捕される。
 
パソコンの画面で作ったサスペンスドラマという奇抜さだけではない、ストーリーの面白さとネット社会の闇が描かれ、今という時代に求められるすばらしいエンターテイメント作品でした。
***
キャスト

ジョン・チョウ:デビッド・キム

デブラ・メッシング:ヴィック捜査官

ジョセフ・リー:ピーター

ミシェル・ラー:マーゴット
***