映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「第三の男」(1949)アントン・カラスのツィター演奏によるテーマ音楽!こんな話だったとは知らなかった!(笑)

f:id:matusima745:20220104100039p:plain

何となく古典を観てみたいと本作を選びました。第二次世界大戦直後のウィーンを舞台にした“フィルム・ノワール”?犯罪映画、日本での公開は1952だったようです。

なぜこの作品を選んだか?あのアントン・カラスのツィター演奏によるテーマ音楽です。他は何も覚えていませんでした。(笑)こんな話だったとは知らなかった!(笑)

監督・製作キャロル・リード脚本:グレアム・グリーン撮影:ロバート・クラスカー編集:オズワルド・ハーフェンリヒター、音楽:アントン・カラス

出演者:ジョゼフ・コットンオーソン・ウェルズアリダ・ヴァリトレヴァー・ハワードバーナード・リーパウル・ヘルビガー、ルンスト・ドイッチュ、他。

あらすじ

第2次大戦終戦直後、米英仏ソの四カ国による分割統治下にあったウィーンに親友ハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)を訪ねてきたアメリカ人作家のホリー(ジョゼフ・コットン)。だが、ハリーの家に着くと、守衛から「ハリーは交通事故で死亡した」と告げられた。腑に落ちないホリーはウィーン中の関係者をあたり、真相究明に奔走するが……。(映画COMより引用)

感想:

冒頭で、美しいウイーンも戦争で荒廃したというナレーションが入りますが、とんでもない!建物には彫刻が施され、いたるところに銅像が立ち並び、下水道はしっかり整備されており、とても美しい街です。この下水道が物語の最後を飾ります!いかに東京が激しい米軍の空襲にさらされたかが分かります!

三文小説家(西部劇作家)のホリーが幼馴染の親友ハリーに金を払ってもらって、仕事を求めてウイーンにやってきたが、ホテルに着くと、ホリーは宿泊ホテルの前で自動車事故に遭い、今、まさに葬式中だと聞かされる。(笑)ホリーは葬儀に駆けつけハリーを見送った。その帰り、米軍のキャロウェイ少佐(トレヴァー・ハワード)に呼び止められ、「ハリーは街一番の悪党だ!明日帰国せよ!」と告げられた。「どんな本を書いた?」と聞かれ、本名を挙げるが、「知らない!」という。ところが副官のペイン軍曹(バーナード・リー)は読んでいた。(笑) グレアム・グリーンには“西部劇は受け入れられなかった”のかもしれませんね!

ホテルに戻るとGHQのクラビンから現代文学についての講演依頼を受け、クルツ男爵(ルンスト・ドイッチュ)と名のる男から「会いたい」という電話は入った。目印はホリーの著書「サンタフェの無宿人」(友人を殺す保安官の話)だという。この作品の結末を示唆する書名です。結構“だじゃれが効いた作品”になっています。(笑)

クルツ男爵に会った。クルツは「交差点でハリーが車に跳ねられ、ふたりで病院に運んだが、ダメだった」という。「相棒はポペスコ、診断した医者はウインケルだ」という。他に、カサノバ・クラブの踊り子に知合いがいたと教えてくれた。

f:id:matusima745:20220104100209p:plain

ホリーは劇場を訪れ、踊り子アンナ・シュミット(アリダ・ヴァリ)にハリーが亡くなったことを話すと、「葬儀に参加していたの!お抱え運転手に跳ねられたと聞いている」という。「それはおかしい」とホリー。ふたりが話す劇場部屋が傾いている!この作品では”傾いた背景(橋とかビル等)”がふんだんに使われています。なぜか?(笑)

ホリーとアンナはハリーの宿を訪ね、管理人に事故当時の状況を聞いた。「事故はヨセフ像の前だ。ハリーを運んだのはふたりでなく3人だ」というが、ドイツ語でよく分からないうえに、何かに怯えている!ホリーは「第3の男がいる!」と考えた。管理人と言い争うホリーを見る男の子がいた!

ホリーはアンナをアパートに送ってくると、部屋をキャロウェイ少佐たちが捜査して、アンナのパスポートとホリーからの恋文を押収していた。アンナは「自分はチェコスロバキア人だが、ハリーが偽造パスポートを作ってくれた」と話した。

アンナはGHQに連行されることになり、ホリーは「ハリーは生きている!証明してやる」と元気づけて、見送った。

ホリーは医者のウインケル(エリッヒ・ポント)に会って話を聞いた。しかし、「介添えは2人だった」と言い、あいまいな返事だった。

一方、アンナのパスポートはソ連側に送られ審査待ちとなった。キャロウェイ少佐からハリーとの関係を聞かれたアンナは「愛していた!」と答えた。「クラブにいるならハービンを知っているか?」と聞かれたが「知らない」と返事した。

ホリーがアンナを伴ってカサノバ・クラブで飲んでいると、男爵がバイオリンを弾いていて「ポペスコだ」と男を紹介した。ポペスコが「ハリーを運んだ!トラックにやられた!」と言うので、ホリーは「ハリーを運んだ3人目は誰だ!管理人から聞いたぞ」と喋った。するとポペスコは席を外し誰かに「橋で会おう!」と電話していた。

橋で会う映像には4人の男が映っていが、4人は誰か?分かり難いんですよね!(笑)

ホリーはアンナの部屋を訪ねると「ハリーのことを何でもいいから聞かせて!」という。幼いころのふたりの話をした。そして、クラブで飲もうと外に出て歩いていると、ハリーのビル管理人が殺されて運びだされるところに出くわし、顔見知りの男の子が「犯人だ!」と騒ぎ、ふたりは逃げた。

アンナを映画館に隠れさせ、ホリーはキャロウェイ少佐に援護を求めたが、少佐は不在で、「HQへ!」と指示したが待機していたタクシーに乗せられて、劇場の講演会会場に連れてこられた。(笑)

講演会場にポペスコが現れて「リアルな小説が書けるのか?」と不躾な質問をして、散々な講演会になった。終わって部屋を外に出ると、ふたりの男が追ってくる。空き部屋に逃げ、窓から飛び出して瓦礫の中に身を隠し、追跡を逃れた。そしてキャロウェイ少佐の元に逃げ込み、事情を話すと、少佐は「ハリーはペニシリンを水で薄めて販売し、それで多数の死人が出ている」と具体的な取引現場の写真を見せてハリーの犯罪を明かした。病院の看護師ハービンを通して入手していたのだった。

ソ連はアンナ逮捕に踏み切り、キャロウェイ少佐が保管しているアンナのパスポートを引き取った。

これでホリーによるハリーの身元調査は終わりです。(笑)

ここからねたばれ(要注意)

ホリーは花を持ってアンナを部屋に訪ね、「ハリーは重犯罪者であった」と告げた。するとアンナも「少佐から聞いた、天罰だ!」という。ホリーが「もう諦めて・・」と自分を売り込もうとするが、アンナは涙を見せるが、ホリーの気持ちを受け入れなかった。

f:id:matusima745:20220104100336p:plain

ホリーはアパートの外に出ると、暗闇の中にホリーが居た。追っかけたが姿が突然消えた。キャロウェイ少佐らが調べ、下水道の入口から逃げたことが判明した。

ハリーの墓を掘り起こして調べると、ハリーではなくハービンの遺体だった!

アンナが国際警察所に連行された。途中でキャロウェイ少佐から「ハリーは生きている。どこにいる?」と聞かされた。アンナは「死んでいれば追われないのに!」と言い返した。

f:id:matusima745:20220104100409p:plain

ポリーはクルツ男爵と交渉して、観覧車のある遊園地で会うことにした。ふたりは観覧車で話し合った。ポリーが「アンナは送還される、どうするか?」と聞くと「俺には何もできない」と。「ロシア地区は安全だ!証拠になるものはお前だけだ!手伝ってくれ!どこにでも行く」という。「ボルジア家支配のイタリアでの30年間は戦争、テロ、殺人、流血に満ちていたが、結局はミケランジェロダヴィンチ、ルネサンスを生んだ。スイスの同胞愛、そして500年の平和と民主主義はいったい何をもたらした? 鳩時計だよ」と自分の立場を正当化して去って行った。この言葉はある一面正しい!面白いですね!

ポリーはキャロウェイ少佐に呼び出され、ハリー逮捕のための協力を要請された。ポリーは、アンナを自由国に出国させることを条件に、この役を引き受けた。

アンナは、出国の列車に乗ったところで、ポリーが見送りにきている姿を見て下車し、なぜ自分が出国できたのかを知って、「未練はないが、まだその一部はある」とパスポートを破り、出国を取りやめた。

ポリーは協力を降りようと考えたが、少佐に病院に連れていかれハリーの犯した罪を見せられ、思い直した。

夜になって、ポリーはカフェでハリーと会う約束して待っていた。実はポリーが囮となって、警察隊がハリーを待ち受けていた。カフェにハリーが現れると、そこにアンナも現れ「逃げて!」と大声を上げた。

ハリーは下水道に逃げ、ここからハリーの逃走劇が始まる。ハリーは行き場を失い、ついに警官隊の射撃で倒れる。

f:id:matusima745:20220104100450p:plain

ハリーの葬儀を終えて、少佐のジープで空港に送ってもらっていたポリーはアンナを認めて、下車。アンナが近づいてくるのを待っていたが、アンナはハリーを無視して去っていった!

まとめ

分かり難いハリーの身元調査でした!(笑)しかし、映像は天下一品!夜間の映像が多く、光と影の使い方が絶妙でとても美しかった。石畳みの道路を照らす光、そこに現れる大きな影、傾斜した背景にドキドキ感がありました!

大罪を犯した親友を、悩んだ末の結論だったが、警察に渡すホリーと、パスポートを偽造して守ってくれた男、そこには愛があったと警察から守るアンナ。ラストシーンは「あなたはどちら派ですか?」と問うているようなシーンで、西部劇にならなくてよかった!このシーンで物語が締まりました!

                                                         ****