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「インデペンデンス・デイ」(1996)

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エイリアンの形態はこれまでに描かれているものだが、高度なテクノロジーを持っている。巨大な宇宙船で攻撃しくるエイリアンに現存武器で戦うというSF物語。

ティーブン・スピルバーグ監督をして「お金を払っても観たい映画」と言わしめた作品ということで(笑)、DVDで鑑賞しました。

監督:ローランド・エメリッヒ脚本:ディーン・デヴリンローランド・エメリッヒ音楽:デヴィッド・アーノルド撮影:カール・ウォルター・リンデンローブ、特撮:フォルカー・エンゲル、編集:デヴィッド・ブレナー。

出演者:ウィル・スミス、ビル・プルマンジェフ・ゴールドブラム、ジャド・ハーシュ、マーガレット・コリン、ランディ・クエイド、ロバート・ロッジア、ジェームズ・レブホーン、ハーヴェイ・ファイアスタイン、他。

あらすじ(感想含む):

1969年7月20日米国宇宙飛行士が月面に立ち、「我等惑星地球より来たれり。全人類の平和を希求してここに来れり」の碑文を紹介して始まる物語。これに続くアメリカの偉業を描こうという意欲満々の作品です。

インデペンデンス・デイ」とは「宇宙人の侵略に、我々は戦わずして絶望はしない。我々は生き残り、存在し続ける。それが今日、我々がたたえる人類のインディペンデンス・デイ(独立記念日)だ。」という劇中での大統領の開戦宣言から出た言葉。当時、ベトナム戦争の傷も癒え、アメリカはこういう夢を持っていたんだ!

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突然、米国の地球外知的生命体探索所のアンテナが異常電波を捕らえた。TV局の放送電波が乱れる。この現象が世界中で捉えられた。「月に直径25kmの小型宇宙船(シティ・デストロイヤー)を伴ったに直径500kmの宇宙母船(マザーシップ)が出現、地球には25分で到着できる」と情報分析。これは第二次世界大戦時の日本海軍の戦法。(笑)監督が後に「ミッドウエー」(2019)海戦を描いていますが、(笑)本作はほぼこの海戦シナリオで進み、特攻攻撃、最後は原爆で止めを刺すという日米戦争を彷彿させます!ということで、エイリアン戦争シナリオに新鮮味がなく、戦闘状況を巧みなCGや特撮技術で観せる作品に作りあげたことに意義があるんだろうと思います。

ロサンゼルス、ニューヨーク、ワシントンD.C.上空にシティ・デストロイヤーが出現。ウイットモア大統領(ビル・プルマン)は緊急事態宣言発令を命じ、情報収集を命じた。ヘリで接近し情報収集。この際、大統領は市民に動揺を与えないようギリギリまでワシントンに留まる準備を指示した。ファーストレデイー・マリリン(メアリー・マクドネル)と息子はヘリで避難。

混乱する避難状況が写される。みごとです!

このころ、TV局の技師デイヴィット(ジェフ・ゴールドブラム)は電波を分析していた。彼の父親・ジュリアス(ジャド・ハーシュ)はかってロズウエル事件ニューメキシコにエイリアンが出現)に関わっていて、親父の話から、エイリアンの攻撃が始まる危険性を感じ、大統領の秘書官で元妻のコニーにワシントンから離れるよう助言した。デイヴィットがコニーと別れた経緯や大統領との関係に言及がありますが、なんでこんな話が必要なのか(笑)と思うわけですが、これがラストでデイヴィットの勇気ある行動で二人が元の夫婦に戻る感動の物語になるわけです。(笑)

さらに元海軍パイロットで今は農薬散布をやっている男・ラッセル(ランディ・クエイド)。彼がバーで飲んで「俺がエイリアンに出会った」と喋り、客からバカ扱いされていた。避難指示が出て、こんな親父に愛想尽かした息子と娘が避難バスで街を脱出。なんでこんな話がいるのかと思うんですが、ラスト近くで、ラッセルがシティ・デストロイヤーの砲口に特攻攻撃し撃沈させるという英雄行為で、息子たちに親父として認められ、彼の名誉回復となる物語になるんです。(笑)

ネバダの海軍航空基地に勤務するF/18パイロットのヒラー大尉(ウィル・スミス)がストリッパーで恋人のジャスミン(ヴィヴィカ・A・フォックス)と彼女が面倒を見ている少年デイランに基地に避難するよう命じて、出勤を急いでいた。なんで恋人がストリッパーで子どもがいなければならないのか?ヒラー大尉が困難な状況のなかで彼女らが生きる糧になる、感動の話しになっていくんです。(笑)

ワシントン上空のシティ・デストロイヤーは一向に動く気配がない!

デイヴィットが親父とホワイトハウスに乗り込み、大統領に「エイリアンは攻撃してくる」と説得を試みていた。

突然、シティ・デストロイヤーが攻撃を開始。ビルを破壊し、人・車とともに巻き上げて落下。大混乱の避難民の状況。

間一髪で、大統領以下の主要スタッフはエアーフォース・ワンで脱出。しかNORAD(北アメリカ指揮所)は破壊されており、エリア51のあるネバダの指揮所に移動することになった。このあたりは学ぶべき危機管理でしょう。

大統領はニムジッキ国防長官(ジェームズ・レブホーン)の進言により、ロサンゼルス上空に現れたマザーシップを核攻撃で撃破することに決心した。この決心にいたる過程で、デイヴィットが激しく抗議したが、大統領は聞き入れなかった。

原爆搭載機の護衛のため、海軍基地全機を上げての航空作戦。これにヒラー大尉も参加。しかし、マザー・シップのバリアで跳ね返され、作戦が失敗。ここで空中戦もみごとに映し出されます。国防長官が引き続き核攻撃を求めたが、大統領は認めなかった。

ヒラー大尉機も被弾したが、パラシュートで脱出し、敵エイリアンの遺体を基地に戻ってきた。

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エイリアンの実態を知りたいとエリア51の研究所を訪れ、研究主任のオーキン博士(ブレント・スパイナー)の説明を聞いた。「エイリアンは高度のテクノロジーを持っている」という事実を隠していた国防長官を即刻罷免した!これはマッカーサー元帥が朝鮮戦争で中国軍の介入に原爆投下を示唆したことで、トルーマン大統領から司令官を罷免されたという故事にあやかったものでしょうか。

ヒラー大尉によって捕らえられたエイリアンを検査していると、遺体が蘇生し博士を襲ってくる。地球にきた目的を聞くと「根こそぎにする!」という。このとき大統領は先発した妻の死を知らされた。

大統領はエイリアンとの決戦を企図するが案は浮かばない!

悩むデイヴィットに「神を信じろ!俺は風邪を引いた!」と慰める父ジュリアスの言葉にヒントを得て、彼はコンピューター・ヴィルスで敵のバリアを無効にできるという戦法を考えついた。このあたりの説明がよくわからない!(笑)

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ロズウエル事件で捕獲しているエイリアンのアタッカーを修理し、これをヒラー大尉とデイヴィットが乗り込み、マザー・シップに潜入してウイルスを撒く。このウイルスが地球上の中継局を経由して世界各都市に侵攻しているシティ・デストロイヤーに伝染し機能停止している間に、我が持てる全アタッカーで攻撃して撃破する。最後にヒラー機がマザー・シップに原爆を仕掛けて脱出するという計画。

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大統領は「我々は戦わずして絶望はしない。我々は生き残り、存在し続ける。それが今日、我々がたたえる人類のインディペンデンス・デイ(独立記念日)だ。」と世界に向けて発信し、戦士たちを鼓舞した。

この戦いでラッセルが敵シティ・デストロイヤーの砲口に特攻攻撃し、これで撃破できることが証明され、全世界でこの戦法が取られ、全シティ・デストロイヤーの撃破に成功した。また、マザー・シップも計画通りに撃破できた。

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まとめ:

この作品についての感想は描き難いですね!(笑)いろいろ書かれていますが、私の感想は危機管理の組織とリーダーシップには見るべきものがあるという感じ。

ストーリーはエイリアンと米空軍の戦いを軸に、この戦に関わる大統領や作戦に参加するパイロトさらにTV局の技師、退役軍人の家族の絆を描き、観る人の身近な危機問題をして宇宙戦争を見せるところに、この作品の面白さがあります。

妻の死を乗り越えようようする大統領、勇敢な行動で別れた妻の信頼を取り戻す技師、身寄りのない子の面倒を見るストリップダンサーの黒人女性。この女性と結婚する海軍パイロット、バカと言わる元パイロットの男が特攻で見直される等、うまい浪花節の利いたキャラ作りで盛り上げてくれました。

もうひとつは、映像技術を使って、観たこともない宇宙戦争を見せてやろうという監督の野心があったでしょうね!

大宇宙船の造形、光雲を伴い空に浮ぶ姿。宇宙船の攻撃で逃げ惑う市民、大編隊による空中戦、軍施設や指揮所・・、特撮を含めて、見事な出来栄えでした。

さらに米国の核戦略や過去のエイリアン発見事件などを絡めた物語。おそらく米軍の協力があってのこととも思え、これに興味を持つ人もいるでしょう!

しかし一方で、エイリアンやその宇宙船に関する資料、装備する武器やエネルギーの考察に深みがなく、SFとしては物足りない。また、核を使用することの軽さが気になります。

今年のアカデミー主演男優賞候補のウィル・スミスの若かりしころの無邪気で無鉄砲な姿を観ることができるという楽しみがありました。

エンターテインメント作品とはいえ、コロナ禍の中で観たせいか、危機管理のあり方を考えさせられる作品でした。

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