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「恐怖のメロディ」(1971)クリント・イーストウッドの監督レビュー作品!

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クリント・イーストウッドの監督レビュー作品。何が描かれているかと、WOWOWの監督特集で鑑賞しました。

人気ラジオDJのディーヴ(クリント・イーストウッド)はリスナーの美女イヴリンと一夜をともにするが、以降、彼女にしつこく付きまとわれる・・という心理スリラーでした!

ちょっと意外な感じでしたが、実に彼らしい作品でした。

監督:クリント・イーストウッド脚本:ジョー・ヘイムズ/ディーン・リーズナー撮影:ブルース・サーティース音楽:ディー・バートン。

出演者:クリント・イーストウッドジェシカ・ウォルター、ドナ・ミルズ、ジョン・ラーチ、ドン・シーゲル、他。ドン・シーゲルには予算軽減のために頼み込んだものらしいです。(笑)

あらすじ:

KRMLのラジオ局のDJ・ディーヴ(クリント・イーストウッド)は「居るかな?」と、カーメルから離れた荒海の波が押し寄せる絶壁に立つ、彼女の別荘を訪ねるが、ディーブの肖像画を描き上げて不在だった。オープンカーを走らせモンタレーの局に戻り、アル・モンテ(ジェームズ・マクィーケン)と交代してDJの任につく。 エドガー・アランポーのある詩を紹介すると、いつものように女性から、エロール・ガーナーの「ミスティ」のリクエストが入った。

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事務所代わりに使っているバーにいくと女性が待っていた。バーテンダードン・シーゲルが「来てる!」と合図して、チェスでこの女性との恋の行方を賭けた。ディーヴはこの女性・イヴリン(ジェシカ・ウォルター)を家に送って行って、「俺には彼女がいる、1日だけだぞ」と一夜を過ごした。(笑)

ところが次の日にはディーヴの家に食材をもって訪ねてくる。「仕事がある!」と断った。

ディーヴが偶然カーメルの街で恋人・トビー(ドナ・ミルズ)に出会い、復縁を迫った。トビーは「すこし考えさせて欲しい。今はメイドがいる」という。

バーでバーテンダーと話していると、イヴァンから電話が入る。留守居を使うと留めておいた車の中で待っている。追い払えば大声を上げる。この声が怖かった!(笑)

ディーヴが家に帰るイヴァンが待ち伏せていた。ここで荒れる海の大波が映し出される。「帰ってくれ!」とせかしたが、イヴァンの巧みな誘いに乗ってしまった。彼女の家での食事に誘われ、「行く!」と返事するありさま。(笑)

ディーヴはイヴァンの家での食事に出かけ、きっぱりと断った!。このとき「あの女のせいなの、写真の!ベッドも下手糞で!」と罵られた。(笑)その後、イヴァンが侘びの電話を入れてくる。いいようにディーヴはイヴァンにあしらわれていた。

ディーヴはセコイヤの森の中でトビーに会い、パーティーに連れていくことを約束した。これをイヴァンが見ていた!(怖い!)

その夜、激しくドアーを叩いてイヴァンが訪ねてきた。部屋に入ってベッドを調べ、女(トビー)がいないことを確認して「私があなたとの関係を壊している!私は愛している」と激しく泣く。そして帰るから顔を洗わせてと洗面所に入り手首を切った。ディーヴは医者を呼んで手当し、そのまま部屋で休ませた。そこにトビーからの電話が入り、今夜のパーティー行を中止した。これを聞いたイヴァンが「海で溺れた夢を見た!」とディーヴに飛びつく。これでまたまたディーヴはイヴァンと夜を過ごすことに。(笑)

ディーヴがカフェでサンフランシスコ局の女性社長と会って、局への引き抜きについて話しているところに、イヴァンが現れ、「年寄り女が!」と罵声を掛け、この取引がダメになった。ディーヴは怒ってイヴァンをタクシーに乗せ「送ってやれ!」と運転手に指示した。

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家政婦がディーヴの部屋に来ると、部屋の中が大混。衣服がナイフで切り裂かれていた。家政婦が「誰かがいる?」と探すと、イヴァンが飛び出してナイフで家政婦の首を切った。家政婦は病院に収容され、ディーヴはマッカラム警部(ジョン・ラーチ)の取調べを受け、「行きずりの女だ!精神病院に入れてくれ!」と注文を付けた。

ディーヴはトビーに真相を話してデートを、そしてモンタレー・ジャズフェスティバルキャノンボール楽団の演奏を楽しんだ。トビーはメイドと一緒だったが間もなくアナベルと代わるという

その夜、ディーヴのDJが始まるとイヴァンから電話が入った。「釈放され今からハワイに発つ。これ謝罪よ、“この乙女、愛のみ胸に生きていた”」とリクエスト電話は入った。

家に戻って寝ていると、イヴァンがナイフで襲ってきた気配を感じた。マッカラム警部を呼び事情を話すと「1週間前に出所している、やられる前に捕まえてやる」という。

次の夜、マッカム刑事が局を訪ねてきて「曲をかけるときのあの詩はなんだ!」と聞く。ディーヴは返事しなかった。「必ず来るからここを離れるな!トピーは俺が見てくる」と出て行った。ディーヴがトビーに電話すると「アナベルと一緒だから大丈夫!」という。この名前が気になってエドガー・アランポーの詩文を調べるとそこにアナベルという名があった。

イヴァンがアナベルだった!そのころトビーはイヴァンに縛られ、ディーヴの肖像画はメッタ割きされ、訪ねてきたマッカム警部はナイフで胸を刺され絶命。そこにディーヴが駆けつけた!

感想:

“怖かった!”。どんどん女の罠にはまって、遂にラストシーンの殺人劇。闇の海に落ちていく女。“女の情念”をカーメルの海岸に打ち寄せる“荒波”をメタファーとして描くサスペンス。

伏線としての放送前に流すエドガー・アランポーの詩文次いで流すエロール・ガーナーの「ミスティ」曲。これをラブシーンやジャズフェスティバルロケで間を取り、伏線がうまく繋がり、ラストでヒチコック張りの圧巻の殺人劇を見せるという、見事でした。今観ても古さを感じない!

自分の大好きなモンタレー、カーメで、好きなジャズで、尊敬するドン・シーゲル監督と描きあげるという一途さ、頑固さに!これがイーストウッド監督なんだと思わせてくれる作品でした。

しかし、まるでこの地のCMビデオのようなシーンもありました!(笑)

舞台の背景がモンタレー、カーメル。サンフランシスコから南に200キロにある景勝地、ハリウッドスターの高級別荘が多くみられます。イーストウッド監督には、これは外せなかった。「クライ・マッチョ」(2021)の主題曲もここで仕上げられたと言い、監督には欠かせない場所なんでしょうね!

冒頭の高台の別荘から見下ろす荒海。長い海岸線を走る道路、風に吹かれ曲がったセコイヤの森、モンタレー、カーメル市街。実はこの地を1980年に訪ねていて、この海岸線を車で走っています。しかし当時この映画のことは知らなかった!それだけに本作、印象深く観ました。

音楽がとても良い、それもジャズ。これは現在の監督作品と比較しても変わらない!

テーマとなるエロール・ガーナーの「ミスティ」。彼は1947年に当時全盛を誇ったサクソフォーン奏者チャーリー・パーカーと共演を果たしていて、おそらくこれが縁で、監督は後にパーカーの一代記映画、「バード」(1988)を作っています。

モンタレー・ジャズフェスティバル(ロケ)の紹介なんて、おそらくジャズフアンにはたまらないでしょう。

明るいカーメルの浜から薄暗いセコイアの森林を歩きながら奏でられる「愛は面影の中に」曲。ここでの全裸でのラブシーンはサービスでしたね。(笑)もうひとつ、ユーモアを忘れない、粋なセリフがあります。

きっとこの作品はそのうち監督の代表作のひとつになりますよ!要必見です!

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