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「すずめの戸締まり」(2022)ひとめで好きになった瞬間が、こんな壮大な物語になっていく新海監督らしい作品でした!

「天気の子」から約3年、新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」。九州に暮らす女子高生が、全国各地で開いた災いの「扉」を閉めていくロードムービーです。

監督・原作・脚本:新海誠企画・プロデュース:川村元気音楽プロデューサー:成川沙世子、キャラクターデザイン:田中将賀作画監督土屋堅一、美術監督丹治匠、音響監督:山田陽、音楽:ADWIMPS 陣内一真主題歌:十明。原作、ノベライズ未読です。

声優:原菜乃華(岩戸鈴芽)、松村北斗(宗像草太)、深津絵里(岩戸環)、染谷将太(岡部稔)、伊藤沙莉(二ノ宮ルミ)、花瀬琴音(海部千果)、他。

物語は

九州の静かな港町。この街で叔母と暮らす17歳の少女・岩戸鈴芽は、自転車で登校している途中、長髪の美しい青年・宗像草太とすれ違いました。

扉の「閉じ師」であるという彼を追った先にあったのは、山中の廃墟に取り残された白い扉。すずめは導かれるように扉へ手を伸ばし、迷い込んだ先で“すべての時間が溶け合ったような”空を見ました。

しかし、扉の向こう側からは“災い”がやって来るため、開いた扉は閉じなければいけません。扉は各地で次から次へと開いていき、それを戸締まりするための旅が始まるのでした。

物語は魔女の宅急便」であったり、「星を追う子ども」「君の名は。」「天気の子」のようだったりする。(笑)

本作のファンタスティックな世界感に入り込めるかどうか?キャラクターが分かりづらく初めての人は戸惑うのではないかと思いましたがどうでしょうか。


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あらすじと感想(ねたばれ:注意):

母の妹・岩戸環に引き取られて宮崎県に住む岩戸鈴芽(17歳)。東北大地震時、雪の降る寒い中、津波の去った海辺で母親を呼ぶ記憶な中で目覚めた。

海を臨む坂道を自転車で下っているとき、徒歩で登って来る宗像草太に出会った。「このあたりに廃墟はないか?扉を捜している」と聞かれ、「あっちのお山!」と教えた。この男性に鈴芽はときめいた!教えた山に行ってみると、そこは廃墟の温泉施設だった。広い野外温泉のなかに扉があった。開けると時間が止ったような静謐な風景、常世だった。傍にあった石(要石)を引き抜くと、猫の姿になって走り去った。

この映像の美しさで、物語の中に一気に持っていかれます!

学校について窓から外を見ると、山に赤い煙が上がっていた。鈴芽には見えるが他の人には見えなかった。「地震震度4」と放送され、激しく揺れた。鈴芽が直ちに現場に駆け付けると草太が必死に扉を閉じていた。鈴芽が手伝い閉めることができた。閉じ終ると草太は「かけまくもかしこき日不見の神よ・・・」と祝詞を上げ、鍵を掛けた。草太が傷を負っていた。

家に草太を連れ戻り、治療した。草太は「日本列島の地下にはミミズがいて、こいつが暴れると地震が起きる。要石が止めている。開いた扉を閉めるのが俺の仕事だ」と話した。そこに白い猫がやってきて「鈴芽は優しいが、お前は邪魔!」と今は亡き母が作った、脚が一本無くなくなっている椅子に封じ込め、外に逃げ出した!

鈴芽は白い猫(ダイジン)を追い、椅子になった草太がふらふらしながら、鈴芽の後を追った。(笑) 

ここでのミミズ、要石、ダイジン、椅子のキャラクター、特にダイジンと椅子が分かりづらいのではないでしょうか。

鈴芽と椅子はタイジンを追って、行き先も知らないままフェリーへ乗り込んだ。こうして東南海地震関東大地震、東北地震帯に沿って、ミミズを封ず込める旅を続けます

大洲市

四国に上陸し、愛媛県大洲市で同い年の千果と出会った。草太は「帰れ!」と勧めるが、鈴芽はこれを聞き入れなかった。廃墟となった学校からの赤い煙を見つけ、ふたりが駆け付けて扉を閉じた。が、草太の力が弱っていて、鈴芽が鍵を閉めた。

明るい性格の千果はこんな鈴芽を見て「あなたは大きなことをなしとげるそうな人」と評価した。叔母の環が心配してメールしてくるが、「好きなようにやらせて!」という気持ちだった。

ダイジンがSNSで話題になり、明石大橋で発見されたことを知った。千果の実家の民宿に一晩泊まり、ダイジンと同じ明石海峡大橋経由で神戸に移動することにした。

神戸市

通りかかったルミの車に乗せてもらい神戸市へ移動した。ルミが経営するスナックを手伝っているとダイジンが現れた。スナックは大混乱。ふたりがダイシンを追いかけた先の観覧車にミミズがいた。鈴芽は観覧車の扉を閉じようとして扉の向こうの常世の世界に引き込まれた。扉を閉めることに成功したが、草太から常世は見るな!」と注意された。

太は動くのがやっとの状態。夜、自分の身分を明かした。「大学生だが、叔父の閉師を手伝っているが、早く学業を終えた閉師と教師になりたい」、そして「ダイジンを要石にする」と語った。SNSでタイジンが東京に移動したことを知り、新幹線で東京に向かうことにした。

東京都

鈴芽は草太のアパートを訪れ、草太が集めた膨大な地震に関する資料を目の当たりにした。ミミズはダイジンと東京のどこかにある要石で釘づけされていることを知った。草太(椅子)は「地震を防ぐためには東京の要石のありかを知ることが大切だ。ダイシンはこのことを知っている」と話した。

そんなときに、神田川の電車用トンネルから巨大ミミズが現れた。ふたりが駆け付け

た。天に舞いあがるミミズに飛び乗ってこれを抑え込もうとしたが、地下道に振り落とされた。現れたダイジンに「要石になれ!」と諭すが、聞き入れない。草太は自分が要石になることにした。鈴芽は「必ず救い出す!」と約束し、この要石でミミズを制した。鈴芽は草太を失ったことを悔やんで泣いた。

 

鈴芽は草太の祖父・羊郎を訪ねて、「草太を常世から救いたい」とお願いする「あなたは常世を知っている。あなたの入り口を使いなさい!」と教えてくれた。鈴芽は幼いころ迷い込んだ常世への入り口、宮城県名取市?に向かうことにした。

福島

草太の友人・芹澤が赤いスポーツカーで送ってくれることになった。鈴芽を心配した叔母・環が宮崎からやってきた。さらにダイジンとダイジンの友の黒い猫・サダイジンが加わった。

草太の友人・芹澤が赤いスポーツカーで送ってくれることになった。鈴芽を心配した叔母・環が宮崎からやってきた。さらにダイジンとダイジンの友の黒い猫・サダイジンが加わった。

この旅で鈴芽と環が衝突した。お互いの気持ちをぶつけることで今までになかった信頼感を持つようになっていった。

すずめは実家跡で幼い頃の日記を見つけ、被災の記憶の中に入って、ダイジンに導かれて扉を見つけた。鈴芽が常世に入ると、そこは燃える世界で巨大なミミズがいた。家屋が燃える中、光輝くところに椅子があった。「草太さん私が要石になる。私は草太さんと生きたい!」と救い出した。ダイシンが「鈴芽の母にはなれなかった」と要石になり、襲い掛かるミミズに立ち向かった。ふたりはこの場を逃げて祝詞を挙げた。明るき風景になり、事態は収まった。ふたりでミミズの尻尾を切った。地震は収まった。ミミズは廃墟の姿に変わっていた。その向こうに幼かったころの鈴芽が泣いていた。「もういいの」と椅子に座らせ、ちゃんと大きくなる!未来なんかこわくない!」と声を掛けた。

 

鈴芽が草太を伴って現世に戻ってきた。草太は「命は仮初め。死はとなりに。今一時だけでも永らえたい。どうかお頼み申す」と祝詞を上げた。

 

草太は再び閉じ師の仕事をはじめた、ある日、鈴芽のもとに帰ってきた。

まとめ

地震生起という門の扉を閉じながら旅を続ける鈴芽と草太のバディー物語であり、この仕事を通しての鈴芽の成長物語。鈴芽が初めて草太に会って、一瞬で好きになった瞬間が、こんな壮大な物語になっていくといういつもの新海監督らしい作品でした!

祝詞をあげながら扉を閉じていく。「過去に繁栄したものが消えていく、生きていたものが死んでいく、その中で自分たちは生きていく」というメッセージが、震災に対する鎮魂を通じて描かれていました。

新海監督特有の緻密な映像のうつくしさ。日本各地での地震(ミミズ)とのバトルには災害国日本の知見や神道の要素を加えた、アニメならではの面白さがあり、うつくしい日本の心(言葉)が込められていて、勇気をくれる作品でした。

君の名は。」「天気の子」のあと何をどう描くのかと楽しみにしていました。前2作の背景が災害でしたから、今回も災害というのは意外でした。しかし「天気の子」で災害を許したことへの贖罪、失われた魂を鎮魂する旅というのは、自然な帰着であったんですね!穂高と陽菜がこの作品では椅子と鈴芽になり、女の子の物語として穂高の贖罪の旅”を描いたように思えました。前作への反省かもと

人と人の関係で衝突するのではなく、和解しあう、最後に過去の自分と向き合って自分の成長を確認するという結末に感動し、こういう作業を続けることの大切さを痛感しました。

このことは監督が過去作「星を追う子ども」(2011)で描ききれなかったことを、この作品で確認し、改善し、次のステップに踏み出す作品だと思いました

草太を母の作ったもので脚が欠けて動くことが不自由な椅子に、地震を地下で生きるミミズに、要石を勝手に動き回る猫をするという発想でストーリーを簡潔にして、キャラクターが浮き上がり、テーマが明確になったと思います。これまでの作品に対して、より哲学的になり、宮崎駿さんを追う姿を見る思いでした。

声優の演出では原菜乃華さんと松村北斗さんのフレッシュコンビがよかった。中でも松村北斗さんは椅子の役で、声でしかキャラクターを表現できない大変な役でしたが、落ち着いた声が心よく届きました。私的には深津さんの九州弁?がやさしくて、重苦しい雰囲気を癒してくれました。(笑)

みなさんが凄い!凄い!と声を上げ、劇場はこの作品で埋め尽くされるという状況には驚いています!

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