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「バビロン」(2022)圧巻の映像美と音楽を堪能しましたが、よく分からなかった。(笑)

1920年代のハリウッド黄金時代を舞台に撮り上げたドラマ。監督が「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼルブラッド・ピットマーゴット・ロビーら豪華キャストの出演ということで観ることにしました。

今年のアカデミー賞に3部門、作曲賞、美術賞、衣装デザイン賞にノミネートされています。

公開第1日目の初回、なんと観客はまばら。全部アニメに走ったようでした。(笑)

監督・脚本デイミアン・チャゼル撮影:リヌス・サンドグレン美術:フローレンシア・マーティン、衣装:メアリー・ゾフレス、編集:トム・クロス、音楽:ジャスティン・ハーウィッツ。

出演者:ブラッド・ピットマーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、ジョバン・アデポ、リー・ジュン・リー、トビー・マグワイア、他。

物語は

夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニー(ディエゴ・カルバ)と、彼と意気投合した新進女優ネリー(マーゴット・ロビー)。サイレント映画で業界を牽引してきた大物ジャック(ブラッド・ピット)との出会いにより、彼らの運命は大きく動き出す。恐れ知らずで美しいネリーは多くの人々を魅了し、スターの階段を駆け上がっていく。やがて、トーキー映画の革命の波が業界に押し寄せ……。ゴージャスでクレイジーな映画業界で夢をかなえようとする男女の運命を描くというもの。


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あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

1926年(WW1の7年後)、サイレント映画の絶頂期。2年後に長編トーキー映画が出現するという映画革命の前夜。

スタジオのボス:ドン・ワラック(ジェフ・ガーリン)邸で実施されるパーティーから物語が始まる。

このパーティーをチャゼル監督でなければできない圧巻の色彩とパフォーマンス映像にジャズミュージックを融合させて、これぞ映画と見せてくれます。

実在した人物をモデル化したキャラクターを登場させて、当時のハリウッドの気概を今の時代に蘇えらせる。良いことも悪いことも含めて夢を追求する彼らの必死さ、映画への情熱、そのエネルギーに魅入りました

パーティーは紀元前6世紀に栄えたバビロンの酒池肉林の世界。パフォーマンス、ジャズ、セックス、酒、麻薬が入り混じった、死人も出るというパーティー。ここで彼らは夢を見る。

ネリーは車で会場に登場しすぐに麻薬を捜し、いい気分で肌を露出させた衣装で、プッシーを連発する汚い言葉で男たちを挑発するように踊り、参加者の目を引く。黒人のトランペット奏者:パーマー(ジョバン・アデポ)がジャズで煽る。

マニーは映画関係の仕事を得たいとパーティーのサプライズである象の世話係。ネリーのパフォーマンスに魅せられ、ふたりはなんとかして映画に出演することを誓い合う

東洋のエメラルドと言われるレディ・フェイ・ジュー(リー・ジュン・イー)が歌を拾う。これが「マイ・ガールズ・プッシー」という歌、なんとも言いようがない歌詞だった!(笑)そんな彼女はネリーのパフォーマンスに惹かれる。

 ジャックは妻を帯同して参加、ホールに入ると人気俳優として参加者に取り囲まれる。もてない盟友のジュージにレディ・フェイを紹介し、参加者に声を掛け大物ぶりを発揮。泥酔して、マニーに車を運転させて帰宅。そのまま、付き人を命じた

キネコープ社のセットで映画の撮影が始まる。サイレント映画の作り方を大掛かりなセットで見せてくれます。

ネリーは汚い部屋で目覚め「怪我で欠員が出た」と呼び出されセットに急いだ。マニーはジャックの付き人としてセットに。

ここではネリー出演の酒場シーンとジャック主演の中世騎士物語?のふたつの映画作り現場が描かれます。

マニーが顔を出すと「ドイツ人の監督が騒いでいる!見て来い」と言われ、騒ぐ大量の暴徒役エキストラを目にして驚く。失業者の集まりでこれをなだめる現場。(笑)戦闘シーンの撮影が始まると暴徒に騎士団が突入するシーンで死人が出るという激しさ。(笑)カメラを壊されて、ネリーが街のカメラ屋に調達に走る。たった数分の夕陽の中でジャック演じる騎士のラブシーンを撮るために。(笑) これが名シーンとなった。

一方、ネリーは女性監督のアドラー(オリヴィア・ハミルトン)の指示で、酒場で暴れるシーンの撮影。ネリーはカウンターに上がりワラック邸のパーティーで見せた派手な踊りを見せ、アドリブで酒を呑み男にあそこをなめさせ、〇〇を握った!(笑)オッパイを見せてバーテンを蹴り上げる!(笑)監督は「出来る!」と判断した。次に泣くシーン、何度も涙が出てスタッフの拍手を浴びた。この演技でネリーは一躍スターの座にのし上がった。

1927

ジャックはワーナーからトーキーを撮らないかと誘われ、OKを出した。マニーをニューヨークのワーナー劇場で行われるワールドプレミアムに参加させた。そこでマニーが見たのはパーマーがトランペットを吹く映像だった。ジャックにこのことを伝えた。マニーは時代の風を掴む才があった。

マニーは賭けで負け追われているネリーに出会った。ネリーから「ドーピングの失敗で失神する。自分が制御できない」という告白を聞き、ネリーの行き先に不安を覚えた。

1928

ネリーはアドラー監督に呼ばれ、トーキー映画「底抜け騒ぎ」を撮った。音響に細心の配慮を払わねばならず、ちょっとした雑音、人の動きでCUTが入り、テイク8でやっとワンシーンを撮り終えた。ここでもネリーの演技はスタッフから高く評価された。

豪邸でのパーティー。パーマーのトランペットが響き渡るが、どんちゃん騒ぎはなく、ワラック邸のパーティーとは趣が違う。ネリーは父親をマネージャーといて参加させていた。レディ・フェイがネリーに急接近してくる。マニーはMGMの重役:アーヴィング(マックス・ミンゲラ)から目を掛けられ名刺を貰った

「あばずれ女の父親か?」という話が耳に入ったネリーは悔やんだ。そこで「父がヘビ使いの名人!」と言いふらし余興としてパーティー参加者を砂漠に連れ出し、父親に展示させようとしたが、酔っぱらって実施できず、自分が行うハメに。ヘビに喰いつかれたネリーをレディ・フェイが救出。このことでふたりはレズの関係となった。

ジャックは嫌だったが、パナマウントのセットで「雨に唄えば」を撮った。伴奏の音楽メンバーには一切カメラは向かない。マニーがパーマーの気持ちを確認すると「グッドプレイヤーと褒められたい」という。

マニーはアーヴィングから「パーマーの担任は君か?やってくれ」と言われる。マニーはネリーのことを話題にすると「彼女は時代遅れ、ロバのような声だ。ネリーの役は変える。次は黒人の音楽だ!」という。

マニーはネリーに役変更を受け入れさせ、演技を見ることにした。また、ネリーはレディ・フェイから言葉を教わる努力を始めた。しかし、「ネリーの時代は終わり」という記事が出た。

ジャックは「映画は低俗か?市井の人は映画を求めている」とこの世界を去る気はなかった。レディ・フェイがロンドンへと旅立った。

1930年、MGMのパーティー。インタビューはパーマーに集中。マニーにハリウッドへの誘いがきたジャックはまだまだいけると思っていた。ネりーは「フはランス語で勝負する」と酒を口にするが、もはや出番はなかった。酔っぱらったネリーは周囲に毒舌まき散らし、遂にMGM重役に大量のゲロを浴びせた。(笑)これでマニーは終わったなと。

1932年、マニーが監督でパーマーの映画を撮った。照明の関係で、パーマーも他メンバーと同じように黒くメイクすると要求が出され、パーマーは化粧して撮り終えた後、クラブで演奏することにした。

ジャックは記事「ジャックの時代は終わった」についてエリノアに抗議した。

エリノアは「死んだゴキブリは闇で生きる!私も同じ、50年後の子供があなたの映画を観る。この与えられた運命を大切にしなさい。永遠に生きられる」と応えた。ジャックはこのことばに感謝し、その後誰も出ない端役をこなしていたが、最期は拳銃自殺した

ネリーの最期。賭けで負けたネリーがマニーに助けを求めた。マニーはカジノのオーナー:マッケイ(トピー・マグワイア)に掛け合い、「怪物男の映画を撮ってくれ」と条件を出された。これがとんでもない男で逃げ出した。マニーはネリーに結婚を約束しメキシコに脱走中に、ネリーが脱走した。その後死亡が報じられた。

1952ネリーは妻と子供を伴ってハリウッドにやってきた。ひとりでハリウッドの映画史を見た。ジャックやネリー、パーマーの懐かしい映像が写し出され涙が出てきた。

雨に唄えば」(1952)のジーン・ケリーの映像に涙が止まらなかった。そしてネリーはデイミアン・チャゼル監督となり「ベン・ハー」、「2001年宇宙の旅」、「ターミネーター2」、「アバター」・・と流れる映像を観て「その時代の色でどの作品も生きている」と感動した。

まとめ:

サイレント映画から長編トーキー映画への端境期にいたベテラン俳優のジャック、女優願望のネリー、映画に関わりたいマニー、さらにトーキー映画で見直される音楽家の生き様を、大恐慌へと進む世情の変化とともに、ネリーとマニーの恋を絡ませて描くというもの。

圧巻の映像美と音楽を堪能しましたが、ストーリーはしっかりと当時のエピソードを拾いリアリティのあるものにして楽しませてくれますが、ジャックとネリーの顛末は予想できるもので単調、テーマも曖昧なものになっているように感じました。

ネリーとマニーがギャングに追われメキシコに逃げるなんぞどこかの映画にあったシーンを思い出しました。その先は「ラ・ラ・ランド」のラストシーン似でした。

マニーが映画館で感慨にふけるのは分かりますが、観たいのはその先で、この結末はいまひとつピンとこないが、エリノアの言葉「永遠に生きる」ですかね

この作品、象の糞を浴びるシーンから始まって、劇中で何度となく糞、糞と叫びゲロを吐く下品なシーンが多かった。(笑)ネリーなんか、時に、バカにしかみえないくそ女なんですね。作品そのものがバビロンの宴会になっている

ネリーを演じるマーゴット・ロビー、これまでに見せたものに、この作品に賭ける気迫が見え、すばらしいものになっていました。主演女優賞にノミネイトされないのが不満です!

冒頭、「権利問題で字幕が付いてないシーンがある」と紹介があるが、字幕がないのはネリーがMGM重役のパーティーでゲロ吐いて、マニーと罵り合うシーンだった。これがアカデミー賞に選ばれない理由?と感じましたが・・。

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