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「ボーはおそれている」(2023)これ、アリ・アスター作品、大笑い。こんなやついる一杯!親の責任だ!

 

2023年度製作作品。「ミッドサマー」「ヘレディタリー 継承」の鬼才アリ・アスター監督と「ジョーカー」「ナポレオン」の名優ホアキン・フェニックスがタッグを組み、怪死した母のもとへ帰省しようとした男が奇想天外な旅に巻き込まれていく姿を描いたコメディースリラー。A24作品。ということで駆けつけました。

アリスターも3度同じにはしないだろうとは思ったが、そうだった。スリラーというよりコメディーだった。(笑)しかし、テーマは3作の中で一番わかり易い母性(血縁)の話だった。

監督・原作・脚本アリ・アスター撮影:パベウ・ポゴジェルスキ、美術:フィオナ・クロンビー、衣装:アリス・バビッジ、編集:ルシアン・ジョンストン、音楽:ボビー・クルリック、劇中アニメーション:ホアキン・コシーヌア、クリストバル・シオン。

出演者:ホアキン・フェニックス、スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソンエイミー・ライアンネイサン・レインパティ・ルポーン、ドゥニ・メノーシェ、他。

物語は、

日常のささいなことでも不安になってしまう怖がりの男ボー(ホアキン・フェニックス)は、つい先ほどまで電話で会話していた母(、パティ・ルポーン)が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。その後も奇妙で予想外な出来事が次々と起こり、現実なのか妄想なのかも分からないまま、ボーの里帰りはいつしか壮大な旅へと変貌していく。


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あらすじ&感想(ねたばれ含む:注意)

冒頭、闇の中で、大音響、おめでとうの声、女の悲鳴、赤ん坊の泣き声、子供を隠す、どこにという会話など、わけのわからないシーンから物語が始まる。出産シーンらしい

ボーを訪ねてきた医者のフリール(スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン)に「うがい水を飲んだ」と訴える。そこに母親のモナから電話が入る。「明日、父親の命日だから来なさい」という電話。

フリールが「なんか目的があるのか?母親を殺す気があるか」と聴く。物騒な話をする。(笑)新薬のシプノチクリルを与え必ず水と一緒に飲むようにと注意して帰って行った。

薬を飲んだが水道水が出ない。慌てたボーがコンビニに走り、水を買う。アパートの帰ると顔中いれずみの男に追われ(笑)、部屋に戻った。

錯覚なのか頭がおかしいのか?気持ち悪い男だなと

ボーは目覚ましをセットして寝るが、真夜中に数度「音量を下ろ!」とペーパーが投げ込まれる。これにいちいち反応し、寝すぎた。「誰の陰謀か?」と慌てて出て行くボー。「歯磨きを忘れた」と部屋のドアに鍵を残したままでトランクを置いて洗面所に引き返した。ドアの戻るとトランクがない。(笑)こんなボーにいらいらさせられる。(笑)

ポーは困り果て母のモナに電話する。ボーは自分で決められない。母は「来なさい、あなたに任せる」という

ボーは薬を飲んだ。水を飲むのを忘れた。これで大混乱。寝間着でコンビニへ。水を飲んで財布の金を全部叩いた。(笑)アパートに戻ると2階で喧嘩が始まっていた。部屋に入れない。夜部屋に戻った。

朝、目覚めて母に電話すると男に繋がった。「臭い匂いがするから来てみると女性が倒れていた。シャンデリアが落下して頭が破壊されている」という。ボーは「どうすればいい」と聞いた。(笑)「名前はモナ・ワッサーマン」と聞かされ、電話を切った。フリールに電話すると「後で電話する」と切られた。

風呂に入って考えていると天井に男がいる。(笑)こいつが降りてきてバスの中で格闘。真っ裸で外に飛び出て、警察に追われ、車にぶち当たった。(笑)この物語、ボーが頭を打つと次のエピソードに移るらしい。(笑)

ポーが派手な女の子の部屋で目覚めた

医者のロジャー(ネイサン・レイン)と妻のグレース(エイミー・ライアン)の邸宅に寝かされていた。

「2日寝ていた。跳ねたのは私たちだが、怪我はあなたがつけたもの」と罪悪感なし。(笑)

「すぐ母のところに行きたい」と交渉するが、ロジャーが「傷は深い、睾丸が潰れている」と反対する。(笑)するとボーはその気になってしまう。

ワッサーマン邸に電話すると弁護士から「モナの意志で3日目に埋葬する。早く来い」と言われた。

邸に誰もいないとき、PCで母の死のニュースを検索した。「シャンデリアの落下で死亡。MW社の大物です」とエレイン(パティ・ルポーン)が語っている映像だった

娘のトニ(カイリー・ロジャーズ)が自分の部屋をボーに占領されたことが不満で、男男ジーヴス(ドゥニ・メノーシェ)と一緒に車でボーを連れ出し薬を吸わせて追放しようとした。

このタバコのせいで昔の夢を見た

 

幼いころマーサという子が好きだったが、母に「人生で大切なのはいい伴侶を見つけること」と薦められエイレンと付き合うことになった。青年になって、キスしようとすると母に妨害される。常に母に監視されていた。(笑)

目が覚めときロジャーとグレースに保護されていた

グレースがチャネル15を観ておいてと仕事に出て行った。観ると、ここに来てからのこと、立派になった自分が写っている!「なんだ、これは?」と部屋の壁を調べた。(笑)

トニが「あんたをSNSで晒す」と壁にペイント塗りを始めた。突然自分の顔に塗料をぶっかけた。なにがあったかとグレースが飛び込んできて心臓マッサージを始めた。そしてボーに「八つ裂きにする」と言い出すジーヴスに追われ、庭に逃げ出して、立ち木に頭をぶつけた。(笑)

目が覚めた。森に中のキャンプ地だった。

妊婦に誘われ「孤独の森」という劇を鑑賞することになった。ボーは孤独の男の衣装を着けて参加した。

芝居が始まった

家を焼かれ孤児になった孤独男。「父母を失ったことで自分を無くした」と放浪の旅に出る。季節がどんどん変わり(アニメ)冬となり、そこに能面の女性(天使)が降臨、「あなたは家を再建する。ここに留まってはだめ鎖を解きなさい」と予言した。鎖を解き歩き出すと村に出会い、土地を見つけ、家を建て、友人ができ、運命の人に出会った。そして3人の子が産まれた。

ボーは自分の運命に似ていると思った(笑)ところが災害で家も家族も流され、孤独男は見知らぬ国に家族を捜す旅に出た。そこで大きくなったふたりの兄弟に会った。しかし母が居ない!孤児院で育ち叔父は亡くなったという。

ボーは「身ごもったときに父はいなくなった。私の腹の上で亡くなった。このことがトラウマとなり私を変えた」という母の話を思い出していた。(笑)

この芝居、自分の話によく似ているとボーは気分が悪くなった。そこに男が近づき「お父さん生きている」という。ボーは大混乱。狂った男に爆弾で襲撃され、ボーは倒れた。

ボーが目覚めヒッチハイクで、ワッサーマン邸を訪れた

ボーは歓迎され、邸に入ると母モナの功績をたたえるテープが流れ、モナの写真で埋まっていた。その中にボーと一緒の写真もたくさんあった。最後のMW社社員の顔で作ったモナのモザイク顔の中に、ボーがここに来るまでに出会った人たちの顔があった。(笑)シャンデリアが落下した位置に記念碑が作られ、そこにモナの棺が安置されていた。

ここに来るまでにボーが蒙った事件はボーを試す母の企みであったとは

ボーが2階に上がろうとするとエイレンが「追悼にきた」と降りてくる。ふたりは一気に燃え上がりベットを共にして3回はやった。(笑)ところがエイレンがその直後亡くなった。(笑)

死体はマーサだった。エイレンが現れ激怒する。ボーはモナの罠に嵌った!さらにフリール医師が駆けつけていた。

モナはボーを幼い頃2階の隠し部屋に上げて、内部を見せた

そこには鎖で縛られた兄弟と父の遺体が大きな男根とともにあった。(笑)モナは「嘘ついた意味が分かった?」という。ボーは許して欲しと謝ったが、「人生を捧げたのに、与えてくれたのは屈辱だけ、苦しみだけだ」という。

ポーは「実行できる」とモナを水槽の中に沈めた。そして、小型ボートで湖水に逃げ出した

そこは巨大アリーナで母モナによる“母親冷遇裁判”場だった。ボーは母の申し立てに反論したがエンジンから出火してボートとともに湖水に沈んだ。

まとめ

母親に支配され続けた息子ボー。ラストシーン、ボートが炎上、ボーは浮かんでくるかどうか?胎内に戻ったかもしれない。とんでもない母親の元に産まれたなとボーに同情した。(笑)親の血が問題だった。だから薄めるために水を飲むんだ。水の物語になっている。

ボーを襲った事件はすべて母が自分の愛を試すものだった。最後のボーの裏切りは母が最も忌み嫌うものだった。(笑)

 アリスターはこの作品を最初に発表したかったらしい。確かに血縁の恐ろしさは、分かりやすく、この作品にそれが一番よく出ていると思った。メッセージ性が、今の社会に繋がっていて、この視点でも一番だと思った。

ホアキン・フェニックスがよく出演を受けたたなと。(笑)彼がこれまでのキャリアーを持ってこのみじめの老息子を演じるから余計面白い。冒頭近くの全裸姿で走る姿、ラストのセックスシーン、苦悩の表情から満足の表情、もうたまらなかった!(笑)

途中で母親の企みがバレるが、最後までユーモアで楽しませてくれた。3時間を長いとは思わなかった。

親の葬儀に駆けつける話なら、宮崎駿さんの「君たちはどう生きるか」熊切和嘉さんの「658km 陽子の旅」があり、再会では成長するが、血縁をテーマのアリスターならこうなるかと、個性丸出しの作品だった。ボーの80%幻覚の話、面白かった!(笑)

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