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「ソウルメイト」(2023)太陽が輝くのは影があるから!太陽と影の関係!

 

タイトルの響きがいい。これで観ることにしました。(笑)実はこの作品、女性の友情物語で、お爺にどの程度響くか、これが問題でした。(笑)

登場人物はほぼふたり、12年間のふたりの関係を2時間で描いて見せる、深い心理描写の作品で、何度も見直しが必要かもしれない。男女を問わず、「太陽が輝くのは影があるから」という太陽と影の関係、秘密が私たちを強くするという。ソウルメイトとはそういうものかと思わせてくれる作品でした。

 文章でふたりの心情を描くのは難しいぜひ、人気の若い女優さんキム・ダミとチョン・ソニの演技を見てください。

原作:香港のデレク・ツァン監督が手がけた「ソウルメイト 七月と安生」とのこと。

監督:ミン・ヨングン、長編レヴュー作品。

出演:大ヒットドラマ「梨泰院クラス」や映画「The Witch 魔女」で知られるキム・ダミ、ドラマ「ボーイフレンド」のチョン・ソニ。「力の強い女 カン・ナムスン」などのドラマで活躍するピョン・ウソク

物語は

絵を勉強しながら世界中を旅したいという夢を抱く自由人のミソ(キム・ダミ)。そんな彼女に憧れを抱きながらも堅実に生きることを願うハウン(チョン・ソニ)。性格も価値観も真逆な2人の幼なじみは、楽しい時もさみしい時もずっと一緒だった。

そんな日々がずっと続くと思われたが、ある出会いをきっかけに2人の関係は急激に変化していく。互いのことを思い合いながらもすれ違い、やがて疎遠になって16年が過ぎたある日、ハウンはミソにある秘密を残し、こつ然と姿を消してしまう。


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あらすじ&感想

冒頭、画廊から招かれたアン・ミソが大キャンパスに描かれた鉛筆画「高校生時代の自画像」に面会するシーンから物語が始まる

学芸員から「これは貴方ですね、公募で選ばれた正体不明の絵です。作家さんを御存じですね、紹介してください」と言われる。「幼いころ遊んだだけで、今は連絡先を知りません」と答えた。

帰り始めて「ミソ!」と男性に呼び止められた。男性はジヌ(ピョン・ウソク)、ジヌが「ハウンと連絡とっているか?」と聞く。ミソは「とってない。ここに何の要件で?」と聞くと、学芸員が「お待たせしました」とジヌ呼びかけたのでそのまま帰った。絵を描いたのはハウン。

ミソとハウン、そしてジヌ。ハウンは何故ミソを描いたか、ハウンとミソそしてジヌの関係が高校生から始まって12年間に渡り語られる。

1998年、ミソがハウンの教室に転校してきた

ミソは母親の男運次第で転校を繰り返す子だった。ミソはハウンと馬が合い、母親がソウルに戻っても「一人で済州島に残る」とゲストハウスで働きながらここにとどまった。

ふたりは食べ物の好き嫌い、下着の選び方、絵の描き方など正反対の子だった

 ミソは明るくて自立心があり積極性のある子、絵は抽象画。一方ハウンは堅実でおっとりした包容力のある子、絵は写実画。ハウンはミソから絵の説明を聞いて「絵には心がある」と思った。ミソは「将来絵を描きに、列車でバイカル湖を経てアフリカまで行く。好きな歌はジェニス ジョプリンで、彼女は27歳で亡くなったから自分も27歳で死ぬ」と話し、ハウンを悲しませる。ミソはハウンよりも年に合わないませた子だった。

ミソは「15歳の誕生日にピアスの穴を開ける」とハウンを店に誘い、ハウンが穴を開けているとき、店に展示品されている鏡を落とし「展示場所が悪い」と逃げ出す悪童。これに従うアウン。ふたりはこれが楽しかった。ふたりは良いことも悪いことも一緒にする関係だった。

ミソはハウンにはバスケ部に好きな生徒(ジヌ)がいると知った

 ミソは「君の好きな子がいるから」とジヌに「パーティーに行け」と囁く。ジヌはパーティーでハウンから好きと名指しされ、付き合いがはじまった。ジヌが「なんで俺なんだ?」とハウンに聞くと「あなたを描きたい、書けば心が分かる」と答えた。実は、この言葉は後にとても大切な言葉になる。

ハウン、ジヌにミソが加わり、3人で海や公園で楽しく遊ぶようになった

森を散策中に、ミソは神社に詣でたくなった。が、ハウンは靴擦れで歩けないと断った。ミソが神社に参拝しているとジヌがやってきて、ついはずみでジヌがミソにキスをした。ジヌが「怪我をしないように!」と木で出来ているお守りをミソに譲った。この現場をハウンが見たかどうか?ミソは罪悪感から、これ以降、ふたりから離れるようにした。

ミソが突然、ゲストハウスで働く男性と「ソウルで絵を勉強する」と去っていった。

ハウンは「何故、今なの」と泣いて見送った。ハウンは太陽が輝くのは影があるからだ。ひとつになれないが遠くに影があるから太陽は寂しくない、そんなミソの言葉を思い出していたという。

2006年、ミソからハウンにメールが入った

携帯を亡くしたからという。(笑)「広い家を借りて絵を勉強、バーで働いている。きついが頑張る」というものだった。ハウンは「受験で専攻に悩んでいる。先生やジヌの意見で教育科に進むことになるが、退屈そう。受験で人生が決まるのはおかしい」と書き送った。

こうしてふたりの間に文通が始まった

 ミソは「シベリア旅行が始まった。アルバイトしながらバイカル湖に寄る」と書き送った(実際はバーで働きシベリア旅行は嘘!男とは別れ、客の接待で昔のミソではなくなっているが、昔のようにハウンを元気づけることに癒しを求めていた)。ハウンは「ミソを見ていると元気が出る。勇気が出て来て絵を始めたい」と書き送った。

ジヌが「医者になるためにソウルの大学に編入する」と言い出した。ハウンは又寂しくなると泣いているところに、

ミソが「絵の旅から戻った」と土産を持って釜山を訪れた

ミソはロシアで買ったものとハウンの両親に帽子を贈った。これに両親が喜んだ。ミソにはバイカル湖の絵葉書だった。

ミソは釜山から出たことがないハウンにソウルを案内することにした

ソウルに着いて、安ホテルに泊まろとするとハウンが嫌がる。そこで立派なホテルに案内し食事代をミソが持つことした。

入浴時、ハウンはミソがジヌが贈ったお守りを持っているのを知った。

食事のテーブルについて、ミソはメニューを見て「高すぎる、別の店にしよう」と言うが「私が半分払う」とハウンが止めた。

すると、ミソがグループで楽しんでいる男たちに酒をセイクして振る舞い高価なワインを貰い「さあ、飲もう!」と言う。ハウンは「恥ずかしい、私が支払う」と怒った。ミソは「恥ずべきことではないよ、あなたは私の生活を知らない」と言い「私が釜山を発つときあなたは泣いていたが、あれは嬉し泣きだったでしょう」と言い返した。ハウンは席を立った。

ふたりは昔と同じように友情を温めようとしていたが、想いが食い違った。ミソはハウンにソウルを案内したかった。一方、ハウンはミソが逃げるように釜山を離れた理由を知っていて、ミソに感謝したい気持ちがあった。ミソは余計なことを口にした。

2012年まで、ミソとハウンに交流はなかった

ミソは不動産業の男性と一緒になり、不動産の仕事をしていた。事務所で、家を探すジヌに出会った。ジヌと話している間にハウンから電話が入る。ジヌはこれを無視していた。ミソは「夫のところ帰る、分譲の仕事が終ったらカナダに移住する。いつ結婚するの?」と聞いて、「おめでとう」と立ち上がったところに救急車のサイレン。夫が首吊り自殺で亡くなった。

ジヌはハウンを自分のアパートに連れ帰った。そこにハウンがやってきた

ハウンはジヌを外に残し、アパート内でミソを話し合った。ハウンは酔っ払ってトイレで吐く状態だった。

ミソは「全部胸の中を吐き出したい。もう構わないで!あなたのせいで辛い!」と言う。ハウンは「それはこっちの言うこと、これ何でつけているの」と木のお守りを差し「いつも辛くて不幸なのは自分だけ、周囲の人の悩みに無関心だ」と罵った。ミソは「わたしが間違っていた、」と泣いた。

ハウンは「ジヌと寝たか?」と聞いた。「ちがう、ハイン、誤解しないで」と答えた。ハウンは「あなたを愛しているのは誰か?恋人?あんたの母親?ジヌ?あなたを愛しているのは私以外にいない」と言い放った。ふたりは手を取り合って泣いた。

1カ月後

ジヌの言葉「君に誤解させた、一生かけて償う」でハウンはハウンと同棲生活に入った。ハウンが「教師を辞めて絵を勉強したい」と言うとジヌが「絵は趣味にしたらいい。君が持っているのは技術で才能ではない」と云った。

結婚式の日、ハウンは式場を跳び出した

ハウンも両親に詫びを入れ離婚が成立した。母は「人の顔が違うようにひとりひとりに生き方がある。心のまま生きなさい」と送り出された。

家を借り鉛筆絵を始めた。両親やジヌを思い出し悲しかったが一番恋しかったのはミソだった。絵の教室でミソに会った。シエアハウスしているミソの部屋に招かれた。ミソは楽しそうに過ごしていた。ハウンはウラジオストクからロシアの旅を続けることにした。ミソは空港で「写真を送って」とハウンを見送った。ハウンは列車で旅をしながら「昔のミソのように生きる」と誓った。

ミソの勤務場所にジヌが訪ねて来た

ジヌは「学芸員から聞いた。ハウンはどこにいる?」という。

ミソは「知らない」と答えたが形態に「ハウン」と電話が入った。ミソは幼稚園児を迎えに出た。幼稚園児には「アン・ハウン」と名札がついていた。

ミソはジヌに「あなたの子だよ」と教えた。

ミソは絵の教室でハウンから妊娠していることを打ち明けられた

そして結婚したらジヌが好きなのは自分だが、本当の自分を失うと離婚したこと。神社でミソとジヌがキスし、この後ミソは自分を避けたことを知っていた。それが嫌で怖くて逃げていたと話し、「私を憎んだでしょう」と謝った。そしてあなたに見せたいものはあると見せたのが「アン・ハウン」の名だった。

「病院でアン・ハウンが誕生し、一緒に育てることにした。まだ早いというのにハウンは絵を描きに出て行った。それが最後だった」とジヌにハウンに「子供には言わないで、ハウンに頼まれている」と話した。

ハウンは出産後、大量出血で亡くなった。アン・ハウンをミソが引き取った。「私たちの大切な時間をありがとう」という手紙が残されていた。

ミソはハウンの母からハウンが住んでいた家の整理を依頼された

整理していると沢山の鉛筆絵、そして大きなキャンパスに書かれた高校時代のミソの絵があった。

レミギャラリー

ミソはアン・ハウを連れて訪れた。そこにはハウンの描いた母、猫、ジヌ、ミソの鉛筆画が展示され、学芸員が「ハウンさんはメールで難しいが新作を作ると言って来た」と話す。ミソは「次はあなたを描きたい。愛がなければ書けない!」と呟いた。

まとめ

大泣きするシーンがあったかもしれませんね。感情を捕らえたうまい脚本でした。ラスト近くはミソがジヌにハウンが亡くなっていることを隠すため、編集で分かり難くしているところがあります。これが又、ミステリアスでよかった!(笑)

ソウルメイト。ここまで描くかと思いましたが、ミソとハウンの「太陽と影の関係」、なるほどと思いました。後段、女性の自立の問題が取り上げられました。ソウルメイトがいれば新しい世界に飛び出しても怖くない!

キム・ダミとチョン・ソニの名演技と美しい釜山を背景に描いた物語。映画で確認してください

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