コロナ禍の憂鬱を吹っ飛ばして欲しいと本作を選びました。一日2回の上映、それにパンフレットなし。大丈夫か?と思いましたが、そんな心配はいりませんでした。すかっと見事に鬱を吹っ飛ばしてくれました。
ハワイ旅行の懸賞に当たった一家が、乗り合わせた飛行機で、北朝鮮のテロリストにハイジャックされ、果敢に立ち向かうというミステリアスなアクション・コメディ。
密室旅客機のなかで、100分間のドラマ。何を見せてくれるのかと思っていましたが、これが凄かった。始めから終わりまでドンデン返しの連続でテンポが良い。最後にあっと驚く“落しどころ”、みごとでした。背景にたっぷりと韓国でなければ描けない南北問題が組み込まれ、アクションと家族愛、南北の友愛が描かれていました。
監督:イ・チョルハ。
出演者:オム・ジョンファ、パク・ソンウン、イ・サンユン、ぺ・ジョンナム、イ・ソンビン、キム・ナムギル、他。
あらすじ(ねたばれ):
冒頭、モンゴル・ウインバートルのロシア・北朝鮮原子力合同研究所から極秘資料を持ち出そうとする男女の秘密工作員。発覚され逃げるなかで女工作員が発砲。なんのことかさっぱり分からないオープニングでした。(笑)
ソウルに住む、ミヨン(オム・ジョンファ)とソクファン(パク・ソンウン)夫婦、その娘で小学生の娘ナリ。ミヨンは人気の揚げパン屋を営み、ソクファンはパソコン修理工で、貧しいながらも仲良くくらしている。ふたりは瓶蓋についているハワイ旅行の懸賞を目当てに、オロナミンを飲み続けてきた。(笑)スポンサーはこれでしたね!(笑)
ミヨンが飲んだオロナミンでハワイ旅行に当選。これまで飛行機など乗ったことがないと三人家族でハワイの旅に。
搭乗機はボーイング777。集まってくる乗客にはヤクザ風の男たち、黒いマスクをした謎の女性((イ・ソンビン)と男たち、ハワイで出産するという姑と嫁、国会議員、等々。客室乗務員はチーフのキム(ぺ・ジョンナム)、ドジなヒョンミン(ぺ・ジョンナム)ら。
ミヨンとナリがビジネス室。ソクファンはエコノミー室の席に着いた。ソクファンの隣に温和な謎の老紳士が着席。ふたりはすぐに会話が出来るなかになった。
離陸時、怖い!と精神安定剤をたっぷり飲んで寝る居眠り紳士(キム・ナムギル)。
巡航飛行に入り、ピーナッツタイム。初めての飛行機旅、ミヨンはピーナッツが無料だと知って食べに食べた!(笑) トイレに走るが、謎の女が入って使えない。堪らない!とエコノミー室の夫の元に。「ナリを見て!」とエコノミーのトイレに走り込んだ。
機が乱気流に入り、機内は大混乱。
エオノミー室のヤウザ風の男たち。リーダーのチョルソン(イ・サンユン)の指示で一斉に立ち上がり、部屋を捜索、乗客を前方の部屋に集める。この間、ミヨンは長いトイレ!(笑)さらに入念にお化粧をする。(笑)
パイロット室では犯人たちが機長を脅して航路変更。
チョルソンはビジネス室にやってきて、“あの女に似ている”と謎の女に目をつけマスクを取る。なんとアクション女優として名の知れた女優アン・セラだった。テロリストが大喜びで写真を撮る。国会議員が「何故国会議員を・・」と抗議する。(笑)
ミヨンは捜索にきたテロ犯人を倒し、「昔の癖が出た!」と呟き、客室乗務員に化け、カートを押して客室に入り、派手にテロ犯人たちと戦うが・・・。
一方のソクファンは床の羽板を外し貨物室に潜り、機のコントロールパネルに辿りついた。パソコンに繋いでハイジャック情報を発信した。
そこにドジのヒョンビンがやってきて、「もうひとり味方がいる」と通信機を渡す。これでミヨンと話すが、音声秘匿装置付きの声の判別が出来ない。一体だれが戦っているのか分からない。まさか妻が・・。韓国らしい発想です!
ソクファンはハイジャック犯人たちが北朝鮮の工作員と知り、機の航路を変更する。
ソクファンはチョルソンに捕えられ個室に。そこにミヨンも連れて来られた。「こいつは元情報院にいた!」と明かされ、ミヨンは驚く。チョルソンはミヨンを「モクレン」と呼び、あのモンゴルウインバートル事件でのパートナーだった。ソチョルソンが「原子爆弾資料が・・・」と言い、「なんで俺を撃った!」、ミヨンが「外して撃った!」と揉め始めた。ソクファンはもう気が気ではない。(笑)
ミヨンはその後整形手術をしてソウルの焼き鳥屋にいた。これを監視していたのがソクファン。監視中に北工作員に襲われたところに揚げパンを持ってきて、これで難を逃れ、ふたりは結婚したという。ソクファンは「こんなことになったが、お前がモクレンでいい」と言い、これにミヨンが泣いた。(笑)
テロ犯人たちが「これからどうするか?」と揉め始めた。高度を下げて脱出、機体を爆破する」という犯人たちを「乗客は民間人ぞ!」と反対するチョルソン。
仲間割れしたテロ犯人たちに、ミヨン、チョルソン、それに乗務員、映画監督たちも加わって大乱闘。そして、ソクファンが電源を切った。
テロ犯人を制圧したところで、謎の老紳士が熊のぬいぐるみをナリに渡し、自らはオパラシュートを身に着け、ミヨンにパラシュートを着けるよう促す。これに刃向かうソクファンが撃たれて起きてこない!
機体ドアーを開けた瞬間にぬいぐるみを機外に。爆弾だった。ミヨンが蹴とばして老紳士を機外に。
なんとソクファンが目を覚ます。チョルソンから防弾チョックを着けてもらっていたという。(笑) チョルソンはパラシュートで機外に消えていった。
機長に「機は仁川に迎え!」と指示が入った。困ったソクファンがスタンガンで機長と交渉し、機の燃料放出が始まった。(笑)機は予定通りハワイに着陸した。
ハワイでくつろいだソクファンがミヨンに「全て俺の計画どおりだった!」と告白。ミヨンは「お金を頂戴!」(笑) 結婚式を挙げてなかったのでこれが目的だった。オロナミンの蓋の懸賞は誰が作った?やっと機内で目を覚ました居眠り紳士。この人はだれ?
感想:
次から次へと続く機内の危機エピソード、その中で繰り広げられる夫婦の物語。
原題はOKAY MADAM。邦題の「ノンストップ」の方が生きた題名に思えます!
南北エーゼントが結婚、北朝鮮のエーゼントだったふたりが韓国機の中で仲直りするという、ずいぶんと北に気遣いのある作品でした。(笑)
さらに今の韓国状況を伝えるかのような、国会議員の資質、嫁姑の問題、女優と監督、格差エピソードも笑えます。
エンドロールまで、はらはらドキドキしながら、謎解きをしてくれました。オム・ジョンファの熱演を楽しみました。イ・ソンビンを整形してオム・ジョンファになったというキャスティング。(笑) 万事、笑いが一杯でした!
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