
2019年に起きた新宿ホスト殺人未遂事件を題材に主演を橋本愛で描く作品。ということで観ることにしました。ところは映画COMの評価は2.8という稀にみる低さ。これも又観る動機になりました。(笑)
ホストに入り上げた女性。これが愛だと男を刺して自殺を図るも未遂。その6年後平凡な男性と再婚、夫やホストの妻などを通して真の愛を見つけていく話。
東京藝術大学大学院出身の英才といわれる監督の商業映画デビュー作と銘打った作品。平凡な物語で結末に驚きはない!閃きを感じなかった。分けわからない脚本、演出に参ったという感じ。あなたが分からないだけと言われるかもしれませんが・・・・。(笑)
監督:山本英、脚本:イ・ナウォン、編集:大川景子、音楽:岡田拓郎。
出演者:橋本愛、仲野太賀、木竜麻生、坂井真紀、木野花、鳴海唯、水上恒司。
物語は、
自分の愛を貫くため、ホストの隼人(水上恒司)を刺し殺そうとして逮捕された沙苗(橋本愛)。事件から6年後、彼女は自分の過去を受け入れてくれる健太(仲野太賀)とお見合い結婚し、平穏な日常を過ごしていた。しかしある日、謎めいた隣人女性・足立(木竜麻生)が沙苗の前に現れたことから、運命の歯車が狂い始める。(映画COMより)
あらすじ&感想:
〇冒頭、早苗がホスト隼人と自殺したが、未遂の終わったシーン。
血を浴びた早苗が階段を下り、この部屋まで逃げて倒れた血だらけの隼人の姿を確認した。タバコを喫って、火災検知が作動しシャワーが作動する。しかし、血は乾ききっている。どのような愛で何故この行為に至った。ふしぎなオープニングでした。(笑)

〇6年後、早苗は母の勧めで健太とお見合い結婚した。
母親(坂井真紀)の容姿から早苗は良家の娘さんだと思いました。早苗は伊勢エビの食いつく健太を見るだけで何も喋らず結婚を決意。健太の過去分からないでの結婚だった。健太は早苗の過去を知っているが、良家の出だし特に愛情があるわけでもないが美しい人に憧れての結婚だった。見合いのあと、健太は森林業会社のハーフトラックで海を見に誘った。早苗にとって隼人との生活では考えられないことだった。
ふたりは湖畔のぺンションを改造して住むことにした。
ふたりは湖畔を散歩し、健太は指輪を早苗に渡した。早苗は不思議な感覚でこれを受け取った。その後、指輪を流し台に落としてしまうが、あまり気にしない。平穏な日々が続くが、ふと早苗を塞ぎ込みタバコを喫う。

〇早苗はかかり付けの精神科医師の診断を受けるために上京。
藤井先生(木野花)から「結婚して変わりましたか」と聞かれ、「夫は好きだが幻覚の中で生きている感じ。ドラッグと同じ。こんなほのぼのとした愛を愛と認めるのは悲しい」と話した。
医院からの帰り、ホストグラブの呼び子に誘われ、店に立ち寄った。隼人はいなかった。が、相手の男は隼人の女だと気づいた。
この頃、健太は木の剪定を依頼され足立よしの宅を訪ねていた。
呼んでも出て来ないので家に入ると猟銃があった。探すとよしこ(木竜麻生)は森の中で熊の仕掛けを作っていた。ここで農業をはじめるらしい。

その日、健太は駅に早苗を迎えに行く再、東京に帰るよしこを車で送ることにした。駅で早苗とよしこ出会うことになった。よしこが「やっと会えた」と云った。よしこは早苗に会うためにわざわざこの田舎にやってきていた。
〇早苗がよしこの誘いで、よしこの自宅に訪ねた。
足立さんは早苗を猟に連れ出し、鳥を見つけて発砲。早苗は恐ろしがった。足立さんが「夫を殺したい!隼人の妻よ」と名乗った。スリラーになってきた感じ。(笑)
早苗は怯えて逃げた。暗くなってきて、湖に入り死のうとした。が、そこに健太が駆けつけ救出された。早苗には“助けられた”という記憶が残ったと思う。

健太は社長に転属を願い出た。
健太は引っ越しの準備を始めた。健太は沙苗に「隼人はクズだ」というが、「それは世間のことで実際はそうではない」と否定する。健太が「身を売ってまで金を渡した」と云えば「私は騙されていない」と云う。早苗の中にはまだ隼人がいる感じだった。
よしこは東京に戻り、日焼けマシーンを浴びながら男の子に食事をさせ、おばあちゃんが来ると話していた。隼人はここには居なかった。よしこは水商売の人ではないかと推察。
〇早苗に警察から隼人の失踪について問い合わせがきた。
早苗は隼人のその後を知るためによしこを訪ねた。ふたりは教会で話すことにした。牧師の説教、讃美歌を聞いたあと懺悔室で対峙した。
早苗は「私は隼人を殺してない。遠い存在となった。失踪とか一体、何があったの?」と聞く。よしこが「私たちは普通の夫婦、月に1回海に、向かい合って寝るそんな夫婦よ」と応えた。早苗は「それはだだ見ていただけ、消えるのを待っていただけ。あなたは死ぬまで実感できない。隼人には深い愛でなければダメ」と非難した。よしこは「あなたは夫に愛されていなかった。現実を見なさい、過去は終った。」と部屋を出て行った。
このあと、早苗は「生きることも死ぬこともできない、疲れた」と交番に飛び込んだ。
健太が引き取りにやってきた。
帰りの車の中で早苗は「引っ越しはどこでもいい、ついていく」と話すが、健太は「無理だ!俺は怖い!」と別れる意志を示した。
〇早苗は精神科医を尋ねた。
早苗は「私は矛盾している。私の生き方はダメ。差が埋められない。夫の愛が受け入れられない」と相談した。先生は「診察を続けていると立ち直れる」と答えた。
医院を出てぼんやりしているところに、前にホストクラブで会った男から「隼人さんに頼まれた」と“星座の記憶”というパンフレットが渡された。プラネタリウムで会いたいというものだった。
その帰り、健太は駅に迎えにきていた。そこによしこが「離婚した」と言い、近づいてきた。
〇よしこは健太と早苗を家に招いた。
よしこは隼人のものを処分し始めた。靴をストーブに燃やし始めた。早苗は自分が贈ったものだと嫌悪した。早苗が「隼人に会う、会いに行かせて欲しい」とよしこに申し出た。健太は「足立さんが行くべきだ。撚りを戻してください」と足立さんに薦めた。よしこは「言葉にはしなかったが夫を愛している」という。健太が「絶対に行かせない!なんで俺を俺としか見ない、なんで結婚した」と息巻く。早苗は「あなたの子を産み、育てる未来を描けない」と応えた。
そこに会社の子、美紀(鳴海唯)がフルーツかごを持って友人の男性と尋ねてきた。
男性が「これは受け取れない」と文書(会社への辞表)を隼人に渡した。美紀がフルーツかごを渡すと健太は美紀にキスした。フルーツかごにどういう意味があるの。(笑)

これを見た早苗が健太を殴った。すると健太はナイフを差し出し、「これで刺せるか?」と問う。早苗は「できない!」と答えると、健太はナイフを捨ててその場に座り込んだ。健太は美紀と関係を持っていた。突飛な出来事に驚いた (笑)早苗はナイフを持って家を出た。美紀は車で帰る健太に「愛とはなに?」と問うた。健太はこれを振り払い帰っていった。
〇よしこは湖水にボートを漕ぎ出し自殺した。よしこは自殺するほど弱い人には見えなかったので、これには驚いた。
説明もなくどんどんの物語が進み、ついて行けないという感じ。
〇早苗はプラネタリウムで隼人に会った。
早苗は隼人の香水を嗅ぎ「私が嫌いなやつ、どうしようもなく好きだった。また始まった。どうしようもなく。よく話した過去は繰り返せる、すべてを取り戻せる」と隼人の言葉を待った。しかし、ひとことも彼の言葉はなく早苗を抱いて涙を流した。隼人はなぜ早苗に会いたいと伝えたのか?隼人はよしこの死に影響されたのか?よく分からない。
〇健太はホテルで美紀と自殺を図った。
健太は美紀の願いを聞き入れ心中自殺することにした。美紀が銃で健太を撃ちその後美紀が死ぬという手配だったが美紀が銃を撃てずふたりで薬を飲んだ。目が覚めた健太はぐったいした美紀を残して駐車場に出たところで美紀に襲われた。美紀の健太に対する復讐だった。分からないでもないが健太がバカに見えた。(笑)
〇早苗は退院する健太を自分でクルマを運転し、迎えにきた。
健太は「何故もどった」と聞いた。早苗が「時がたったから。私も彼も変った。初めて愛を疑った」と答えた。健太は「別れよう」と応えた。早苗は「覚えている!60秒!」と叫んだ。車は交差点を右折中で、前後の車からクラクションが鳴り響く。

まとめ:
自殺未遂に終わった健太を病院に迎えにきた早苗は・・・。
早苗は失くした結婚指輪を探し出し、それと着けて病院に健太を迎えにきた。健太を車に乗せて自宅への帰り、右折する交差点の中で車を停め「覚えている、60秒(待つ)」と「別れる」という健太に返事を待った。前後からクラクション。早苗がサイドブレーキを引くというエンデイング。これをどう膾炙するか?健太がうんと返事するまで待つ早苗の決意とみました。
早苗は平凡な健太の中に愛を見出しました。しかし、何故交差点の中でこれをやらねばならぬ!名シーンということなんですかね。(笑)
早苗は隼人に共に生活する意志がないことを知り、健太との平凡な生活のなかでかけがえのない愛を見つけたと思ったが、このことがはっきり見えない。なにかすっきりしない結末だった。
早苗がプラネタリウムで隼人と別れる決心をするシーン。
早苗が物言わぬ隼人に長い言葉を掛けて愛を確認する際、子供が「恐ろしいこと言っているよ」と泣く声、これは隼人が息子の声を聴いている設定なのだと思いましたが不自然。さらにこれを匂わすように隼人の妻よしこが自殺した後、湖畔で息子が「キラキラ光るお空の星よ・・」と歌う影像。これでプラネタリウムシーンは説明がつくと考えたと思いますが、相当なこじつけのように思いました。(笑)
さらに、隼人の妻よしこの自殺したボートが釣りをする若い恋人のところに到着する設定にいかなる意味があるのか。(笑)他にもたくさんあるのですが、ここまでに。
正しく理解できているのか気になる作品でした。(笑)
橋本さんは好みの女優さんだけに彼女の演技に救われました。
橋本さんにはイメージ的に早苗のような役は難しいと思いますが、特に喋り方や発声に工夫してうまく演じていたと思います。楽しみにしています
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