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「夏目アラタの結婚」(2024)現代社会の闇をバックにした犯罪劇!あっと驚く展開を楽しむ!

 

乃木坂太郎の同名ベストセラーコミックを堤幸彦監督のメガホンで実写映画化し、死刑囚との獄中結婚から始まる危険な駆け引きの行方を描いたサスペンス映画。

死刑囚との獄中結婚”とは何事か?これに惹かれて観ることにしました。(笑)

死刑囚は何者なのかそして誰を殺したのか、何で獄中結婚をしたのかと展開する物語に引き込まれました。ちょっと粗っぽい展開ですが・・・。「罪は罪なんだけれど救ってやりたい」という原作者乃木坂さんの暖かい心情に、社会への怒りが見えて面白くみました。(笑)

監督:堤幸彦脚本:徳永友一、撮影:神田創、編集:洲﨑千恵子、音楽:ガブリエル・ロベルト A-bee ノグチリョウ、主題歌:リビアロドリゴ

出演者:柳楽優弥黒島結菜中川大志佐藤二朗、他。

物語は

日本中を震撼させた連続バラバラ殺人事件の犯人で、逮捕時にピエロのメイクをしていたことから「品川ピエロ」の異名で知られる死刑囚・品川真珠。児童相談所職員の夏目アラタはその事件の被害者の子どもに頼まれ、まだ発見されていない被害者の首を探すため真珠に接触を試みる。

アラタの前に現れた真珠は、残虐な事件を起こした凶悪犯とは思えない風貌だった。アラタは真珠から情報を引き出すため、大胆にも彼女に結婚を申し込む。毎日1回20分だけ許される面会の中で、会うたびに変わる真珠の言動に翻弄されるアラタ。やがて真珠はアラタに対し、自分は誰も殺していないと衝撃の告白をする。(映画COMより)


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あらすじ&感想

○品川ピエロ事件の概要

3年前の秋、警察が踏み込むとバラバラにした人の手足をバックに詰めていたピエロの顔したデブの女性を発見され、都内で発見された連続殺人事件の犯人だった。

名は品川真珠、被害者はいずれも社会的に成功した人だった。

建築家の周防英介、文学者の相沢純也、スタイリストの山下良介。4人目は室内血痕から発見された人物で、身元不明で立件されなかった。最初の2名は左腕と右脚を切断されているが発見されていない。3人目の山下良介は首を切断、発見されていない。真珠は黙秘を貫き一審の判決は死刑。

○夏目アラタ(柳楽優弥)はピエロ事件の犯人品川真珠に面接を引き受けた

三番目の被害者・山下良介の息子・拓斗から「夏目の名前で真珠(黒島結菜)と文通していたが会いたいと言われ、代りに会って父の首を探して欲しい」という要望に応えるためだった。匂いのする手紙に惹かれた

○夏目は最初の面会で「結婚したい!」と告げ、度々の面会で謎を追う

最初に会った時、真珠は太った女性と聞いたが全く印象が違っていた。短い髪で歯並びが悪い、自分を僕と呼び、頭が切れよく喋る。結婚することに「ここを出る」と遮断ガラスを壊すほどの関心を示した。

このあと真珠の過去を調べると

真珠は幼少のころから勉強について行けず中学も学業は低調、看護学校に通うも2年で退学、その後バイト過ごしていた。真珠への手紙は拓斗に浄書してもらうことにした。下手な字だった!(笑)

国選弁護士の宮前(中川大志)が「真珠は結婚を言われて泣いていた。協力して欲しい」と結婚届を持って尋ねてきた。宮前は真珠の8歳時のIQは悪いが現在は非常に高く幼児時大きな事件にあったと思われ、ここがブラックボックスで、解明し無罪を目指したいという。

夏目が真珠に結婚届を渡すと「もっと夏目のことを知りたい。僕は誰も殺してない」と言い、血まみれの腕が江戸川にある夢を見たという。これを捜索すると周防のものだった。真珠は「ストーカーされていて、外出から戻るとバラバラの遺体が転がっていた。父が嫉妬してストーカーを殺した」と言うが、誰にストーカーされたかを言わない。夏目はこのころの真珠は痩せていてストーカーされてもおかしくない、4人目の被害のことだと考えていた。

真珠は「君の字が下手で子供のような字だから、大人が興味本位で近づいてくるのと違う、会いたいと待った。早く結婚届もってきて!」と催促された。

夏目は白いタキシードで結婚届と差し入れ物を持って刑務所を訪ねた

差し入れ物は死刑囚相手のコレクター藤田(佐藤二朗)から教わった下着にした。

真珠は喜んだ。「必要なものは?」と聞くと「会える時間、自分では開けられない箱、アキラとなら箱から遺体とかも勇気をもって開けられそうだ」と答えた。その夜、真珠はしっかり下着を匂い嗅いだ。

○控訴当日

真珠は白いドレスで入廷。夏目は可愛い姿に驚いた。裁判長の「お名前は?」に「夏目真珠、先月結婚しました」と答えた。「ストーカー被害に遭っていたこと」について、「看護学生になってすぐ、実習先の病院に川島省吾が運ばれてきた。意識が戻り品川珠喜を知っているねと言って来た。珠喜は私の母。真珠と名付けたのは俺だ、一緒に暮らそう。俺は働けないから助てくれ。私が付き合っている人に絡み真珠を返せ!と脅した。私は病院から薬を盗んだのは殺すためだった。が、父にそんなことはできない。薬は押し入れに入れ自分に使う考え。父にお金をあげ、学費も払えず死のうと考えた。私は死刑でいい。駄目人間で生きている価値はない」と証言した。宮前弁護士が「自暴自棄ですからしばらく時間は欲しい」と休憩を求めた。

夏目は全てが本当とも嘘とも思えない感想を持った。

その後、真珠は当日の行動を次のように述べた。

その日、周防さんと買い物を約束していて家に帰るとそこに血まみれの父と周防さんの血まみれのバラバラ遺体があった。「お前のためにやった。ひとつでいいから隠してこい」と言われた。その後の事件のことはよく覚えてない。「遺体をどこに隠したのか?」私は悪夢の中にいるようだった。気付いたら家にいてご飯ばかりいて食べていた。3人目の山下さんをバラバラにした父が「こんなこと続ける自分が嫌になったと言い、自分の始末は自分でつけたい」と言ったので・・・。「私は誰も殺していません」と証言した。

検察官が「三島は殺した手段は何か?3人は毒殺されている。成人男性が無抵抗で注射されており、被害者が心許した人物でないと難しい」と質問した。宮前弁護士が「初めての質問で準備時間が欲しい」と答えた。裁判長がこの日はこれで閉廷した。

夏目は決して有利な裁判ではないが真珠には余裕があると思った。

夏目は真珠に面会し、「俺なら親父を殺した」と話した

真珠は「やりそうだ!」と笑って、アキラが来ることを待っていたようで、「子供のころすてきな家族が住んでいた家に脚を埋めた」と話す。「山下さんは?」と聞くと、「出て行って!」と突然叫びだし、面会中止になった。

脚は相沢純也のものだった

夏目は「あとは真犯人が誰かだ?」と思った。「面会で初めて会った時の真珠の顔は本物だ、真珠は誰かを待っていた」と確信した。

夏目は真珠の幼稚園時代の先生に会って幼いころの真珠のことを聞いた

真珠は字が読めなかった。母親がよく来ていたが「学校には行かせない」と言い、虫歯になっても歯医者に行かせなかった。カロリーの高いものばかり食べさせられ、赤トンボの歌が上手い子でデブの子だったと話した。

○2回目公判期日、前回に引き続き検察官からの質問で始った

検察官が三島と真珠の親子写真を写し、「毒薬は貴方が購入したもの。三島はあなたが殺した?」と質問。真珠がこの質問に激怒した。裁判官に「誰が埋めた!僕が品川真珠でなかったら、裁判はちゃらになりますか?」と聞いた。裁判官は「ならない!逮捕されたのがあなただから」と答えた。真珠は「絞首刑が一番いい方法!みんな私が殺した。死刑でいいです」と答え、傍聴席めがけて走りだし夏目に胸に飛び込んで、夏目に匂いを嗅いだ。真珠は警備官によって法廷から連れ出された。

夏目は「もうこれまで、庇えない!」と思った。

夏目は真珠に面会した。真珠は美しくなっていた

夏目は「お前は人殺しだ!無罪とは一度も思ってない」と話し掛けた。真珠は「初めて言ったね!」と微笑んだ。夏目は「お前に操りたい。首はどこだ?」と聞いた。真珠は「僕の母はいい母になろうと必死だった。僕は死刑になるがお墓は母の墓がいい。アラタだけは違う(信じられる)と思っている」と話した。

夏目は真珠の故郷に出向き、村人から墓のある森を聞き出し、墓を探した

村人は「真珠は6歳のころ母親と死別して新潟の遠縁で育てられたみたいだ」と話し、墓の場所を教えてくれた。墓には幼児の遺体が収められていた。夏目は「早く気付くべきであった、許してくれ!」と反省した。

夏目は宮前弁護士と発見した幼児の遺体は何を意味するかを論議した

結論は真珠の姉がいたが何かの事故で亡くし、母親は2年後次の子を作り、最初の子真珠として育てた。そのために過食にして太らせて年齢を誤魔化し学校に入れてIQが悪いのは当たり前、孤独になり、虐められた。真珠の年齢は犯行時20歳未満ということになり、死刑回避となることが分かった。

○これが第1のびっくりだった、物語が大きく飛躍して面白くなります

宮前弁護士が真珠に未成年者のため家庭裁判所に送られて、少年審判という手続を受けることを伝えた

真珠は「ひとつだけお願がある」と宮前にあることを託した。

○第3回公判期日、控訴を棄却が決まった

真珠はバイクファッションで法廷に現れた。裁判長から「品川真珠は品川珠喜の第2子であり20歳未満の可能性があり現判決を棄却すると判決が下された。

真珠は護衛官から「拘置所におくります」と言われ、「それは任意で強制できない。拘置所で再逮捕するんでしょう」と連行を断った。そこに夏目がオートバイで現われた。

○真珠は令状の出る隙を狙って、夏目の手を借り、警察の手から逃れた!

これが第2のびっくりだった。ふたりはオートバイツーリングを楽しみ、真珠の誘いでモーテルに泊まった。しかし真珠が「あれはダメ」と断わり、夏目も了解した。

夏目は何故児童相談所で働くかを問われ「父を小3で失い母は男遊びが盛んで、それで近所のアパートで小さな女の子がうずくまっているのを見て虐待だと思ってその子を救いたいと思ったからだ」と答えた。

スマホで真珠が逮捕されることを知った。

夏目は真珠に「何歳なのかを知るために何かないか」と聞いた。真珠は「母さんはスマホをメモ代わりに使っていた。山下さんの首と一緒に埋めた」と答えた。夏目は真珠と別れ、そこに行くことにした。

 夏目はスマホと頭蓋骨を見つけた。頭蓋骨は警察に渡し、スマホは自分で調べた。真珠の亡くなった姉の写真、真珠を妊娠した姿の写真が見つかり、妊娠時期が明らかになり、事件時未成年であることが証明できた。宮前弁護士を通して「頭蓋骨は山下のものでない」と知らされた。

夏目は真珠から刺される夢を見た。宮前弁護士から真珠逮捕の知らせがきた。

真珠はひとりで歩いているところを警察に逮捕された。真珠から夏目に離婚届が送られてきた。

○やり直し裁判、真珠は13年の懲役刑と判決された

真珠が事件を起こした年齢は17歳と認められた。墓地の頭蓋骨については真珠自ら説明した。

三島省吾のもの。私が殺した。姉がいることを唯一知る人で僕の秘密を知って金をせびった。金槌で殺した。母が死にたいといったが私が泣いたため辛い思いをさせた。あのとき死なせてあげればよかった。三人は母と同じように死にたがった。自分が病院の看護師見習いのとき注射して救ってあげた。でも僕は間違っていた。ずっと嫌なことが続く中で、もしかしたら救ってくれる人が現れるかもしれないと思った。可哀そうで醜い子だったが、アラタだけは迷わず信じてくれ「ただの人殺しだ」と認めてくれた。それなのにそこらの犬や猫のように私を捨てた!」

 これが第3のびっくりだった

夏目は真珠の話を聞き「俺の心の底にあるものを確かめにあの日外出したのか。俺と駆け引きなく向き合おうとしていたのか」と後悔した。

真珠は17歳の犯行で13年の懲役刑、山下さんの頭部は別のところで発見され事件は決着した

夏目は宮前弁護士に「俺は普通の家とは違う悲惨な家の子だった。自分より悲惨な子がいると働いてきたが実際は違っていて、助けられていたのは自分だった。本心は俺より悲惨なのがいる、俺はましだと思っていた。それを真珠が気付かせてくれた。俺に弱い子を助ける資格はない」と打ち明けた。宮前弁護士は「真珠さんは愛する資格はないと思いながらあなたに本当の姿を見てもらいたくて、ひとりの女性として気持ちをぶつけたんですよ。あなたもぶつけたらどうですか」と答えた。

○夏目は刑務所を尋ね、真珠に「一緒に生きて欲しい!明日神前結婚する。白無垢衣装で来い!」と告げた。第4のびくりだった!

夏目は和装で神社に出向き、結婚式を挙げて真珠の出所を待つことにした。真珠は白無垢で結婚式を挙げたと刑期明けを待つことにした。

第5のびっくり、真珠が匂いを嗅ぐのは幼い頃、夏目が真珠に渡した匂い袋の記憶を確かめるためだった。(笑)

まとめ

とにかく話しが面白かった!死刑罪は20歳に達した青年以上にしか適用できないという視点で、真珠が起こした殺人事件の罪を見直すという発想。ここが最大のみせどころだった。

現代の社会の闇を背負った真珠の罪。これは相当重いものだった。これを愛の力で救ってやるという発想、これが獄中結婚だった。獄中結婚を本物にするという夏目の心境変化も男らしくてよかった。

柳楽優弥さんのヤンキー風夏、とてもよかった。物語にリアリティを与えていた。黒島結菜さんも醜い顔のメイクで出演、幼さの中に狂気を見せ、ラストで素顔の美しい姿をみせるという難しい役をしっかり演じましたね。

死刑判決が未成年時の犯罪で死刑罪に当たらない、家庭裁判移行による拘置所変更手続きの隙を狙っての脱走、やってないから全部やったの犯罪認定、結婚届が離婚届けに、そして獄中結婚が本物の結婚式にと、びっくりするストーリー展開に最期まで面白く観ました

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