映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「ソラニン」(2010)

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勤続2年で自由を求めて会社を辞めたヒロインの芽衣子(あおいさん)と、一緒に暮らすバンドマンでフリーターの種田(高良健吾さん)、バンド仲間のビリー(桐谷健太さん)、加藤(近藤洋一さん)らが夢と現実の間で葛藤しながらも前に進もうとする青春恋愛物語。
ソラニン」は、芽衣子の勧めで音楽への思いをつないだ種田が作る曲の名前で、あおいさんは作中で歌に初挑戦します。篤姫で絶頂期にあったあおいさん、この時期はソラニン状態で、これまでやってこなかった歌を唄うことで、ここから抜け出すために選んだという作品です。
このために、短時間で歌とギターの練習をしたというあおいさんの女優魂をみることが出来ます。
将来の不安のなかでの同棲、将来に絶望した恋人の突然の死、これを乗り越えようと悩む日々、ラストのライブの舞台で一瞬たじろぐ表情そして熱唱するあおいさん、すばらしいです。
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物語は、
芽衣子は、「会社やめちゃおう」と赤い風船がふわふわと空に飛ぶように、その日辞表を提出します。種田は「それ現実逃避だよ、やばいよ」と言うが「種田がどうかするといったじゃん」と丸投げです。
種田は音楽の夢をあきらめきれず、フリーターをしながら音楽活動を続けていましたが、「趣味が音楽なんて一銭にもならない、これからの生活どうするか」と不安を漏らします。
今の仕事はつらいの、好きならやったら、バンドやってよ。才能ないからといつも逃げている。評価されて価値が出る。本当にだめだとわかったらその時は考えたら」という芽衣子のすすめで、「失敗したら、一緒に死んでくれるか」と種田はアルバイトを辞め、「ソラニン」という楽曲を書き上げ、レコード会社に持ち込みます。

会社は楽曲には触れず、アイドル歌手のバックバンドにならないかと誘いますが、芽衣子の一存でこれを断ります。種田は、社会は才能を求めているのでなく、需要と供給の関係で動いているという現実を思い知らされます。
種田は「もうバンドはやめる」と言い「君は何もしないで、おれに押し付けているだけだ」と芽衣子を責めます。
芽衣子は「おれがどうにかするといったじゃん」と反発、これからの生活に不安を募らせていき、二人の仲はぎぐしゃくしていきます。

種田は「おれ出かける」と出て行き帰って来ず、芽衣子は音楽活動をすすめたことを後悔します。5日過ぎて、種田から電話で「前の会社に戻って働くことを決めた、自分は音楽が好きなだけだったんだ、これからは険しいみちではあるが頑張る」と伝へて、芽衣子の「もう別れるということは言わないで」に「それから、最後のひとこと(きみが好きだ)」で電池切れ。夢を諦め無念の涙でオートバイを走らせる種田は信号無視で事故!!!

ここまでのあおいさんは、とても可愛くて、ふわふわした感じ、種田とのらぶらぶ感、時に見せる不安感をうまく見せてくれます。
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特に、楽曲が出来上がって、大きな希望が見えて、仲間と一緒に花火で祝うシーンは夢のなかにいるようで、美しいです。後半の芽衣子の苦しさが強調されるうまい演出です。
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芽衣子は、一人暗い部屋のなかで、もしすんなり別れていたら、もし私が何も言わなければ、会社を辞めなければ、付き合っていなければと苦悩します。あおいさんの暗い表情が印象的です。それでも種田の音楽友達、ビリーと加藤に励まされながら、お花屋さんでバイトを始めます。

種田の父が、遺品整理に訪れ、「彼は田舎に帰るつもりでいたらしいが、東京で大切なものが見つかったから・・」と語る彼の思い出に芽衣子は涙します。そして、「彼を忘れないでやって欲しい。彼が居た事を証明し続けるのが、あなたの役割なのかもしれない」と言い、芽衣子の希望で種田のギターを形見分けしてもらいます。
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そして種田の音楽仲間ビリーと加藤に「音楽をやりたい、死ぬほど練習する」と告げます。練習でのあおいさんの指の動かし方が半端ではありません。しっかり練習を積みましたね。

加藤が「ライブやるが、あの歌えるやつもういないんだ」に、芽衣子が「ソラニン」を歌いたいと言う。初めてのライブだけに、度胸付にとギターを背負って路上ライブに向かうシーン、絵になります。
悲しみは消えているように見えて、時に見せる悲しみ、練習の最終日迎えにきたビリーの自転車でスタジオに向かう際、ビリーの「もう平気か? 悲しむだけではだめ。悲しくないが、あんな死にかたして、考えると涙が出て・・」の言葉に、うつむく芽衣子。このシーンには泣かされます。
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いよいよライブ、芽衣子は「ソラニンは君との別れの歌」だと思っていたが、「いまは過去との別れの歌に思える」と言う。
熱のこもったライブシーンには、この物語に込められた「大切な人間を失った悲しみを乗り越えるために歌う」といメッセージが込められていて、あおいさんの歌声、ギター演奏が最大の見せ場です。
汗ぐっしょりでありったけの魂をこめたその歌声は迫力があります。プロでもこうはいきませんね!!
種田の遺した「ソラニン」を自ら歌い上げることで、新しい人生がスタートします。
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三木孝浩監督は、このシーンについて、
「宮崎さんは、最初のリハーサルの時には“恥ずかしいからギターだけ”と言っていたのですが、気持ちがのってきてオフマイクで歌った時、その歌声が聞こえた瞬間に鳥肌が立ちました。宮崎さんの歌がすごく良かったので、実際にライブのシーンで使えることになり、とてもうれしいです」と語っています。
この後、あの有名な”earthmusic&ecology”のテレビCM、ロックバンドTHEBLUE HEARTSの「1000のバイオリン」をアカペラで歌うことにつながります。

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