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「バンクーバーの朝日」(2014)

イメージ 1バンクーバーの朝日」(2014
日本映画専門ch
2/07(日)16:05
1900年代初頭に新天地を求めてカナダへと渡り、過酷な肉体労働、貧困や差別と戦いながら生きた日本人移民たち。そんな人々に勇気と希望をもたらした実在の日系人野球チーム「バンクーバー朝日」の姿を描いています。
野球をすることで日々が過ごせた若者、この試合を見ることで希望をつないだ人々、これで結ばれた白人と日本人、野球のよさ・すばらしさが描かれており、野球の物語ではなく、人間のドラマになっています。
当時のバンクーバー市街地を再現した町の美しさ、美術セットのすばらしさ、ロケ規模等のスケール感で当時の日本移民者の生活や考え方が再現され感慨深いです。青みをおびた映像は異国、歴史を感じさせます。
この作品、野球物語と勘違いし、ここに出てくる野球は大下手くそで(そのとおり)、面白くないとして評価が低いですが、もっと評価されてよい作品だと思います。イメージ 3
この時期、あおいさんは仕事を控えていましたが、石井監督は「舟を編む」でご一緒した監督で、監督からのオファーを喜んでお受けしたようです。あおいさんの出演シーンはわずかですが、それでも彼女は「大好きな監督さんなので、呼んでいただけたことが何よりもうれしかったです」とコメント、日本人学校の先生:笹谷トヨ子、移民差別という逆境のなかでの日本語学校の先生役を演じ、慎み深く、気品があり、身震いがするほどのオーラがあります。
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物語は、
大きな移民船がカナダに到着したとこらから、妻夫木さんのナレーションで始まります。3年で楽になれると信じてカナダにやってきた人々、ゴッタ返す人々。日本人はよく働いた。労働時間に関係なくどんな条件でも働くためカナダ人労働者の反発をかっていた。そんななかで野球チームが生まれ、カナダ人のなかで野球をするようになる。
製材所で働く妻夫木、勝地、手がうごかなくなるほどに働くのでカナダ人に嫌われる。港ではたらく亀成。ボーイとしてホテルで働く池松。
仕事が終わると野球の練習、ここでは昼間の労働と違って生きいきと練習に励む。彼等は、野球があるから厳しい労働に耐えられる。夜遅くまで練習し、日本人街に戻るなか、町の女たちに「今年もだめ」と軽蔑の眼で見られる。
妻夫木は帰宅し親父不在の夕食。その後、酒場で飲んで管巻き眠っている親父佐藤浩市、白人に強い反感を持っている、を迎えに。連れて帰ると、ミシンの音、母は「この人には日本の親のことしか頭にない、これからどうなるのか(金を渡さない)」と嘆く。
妹の高畑充希は、ハウスキーパーとして白人宅で年老いた夫人の面倒を見ている、白人でも悪い人ばかりではないと言う。
家族のなかにも、白人に対する見方には差があり、1世代は反感を持っているが2世代になると、ここで生活しようと、それほどの反感はない。

白人チームとの試合では完敗続き。監督は、この惨状に頭を下げるが、若手は不満、なんとかしたいの想い。次の監督妻夫木に大きな期待を寄せる。
折しも、日本人に対する排斥が強くなってきて、日本人会会長はもっとしっかりしようと訴え、朝日軍は勝ってもらいたいと言うが、妻夫木は「はじめから負けるつもりはないが、カナダ人は大きくて力が強い」と言い訳をする。

日給21ドルの人夫集めに多くの人が群がる。仕事に炙れる人々、父親はまた出稼ぎに出ることになり「よくあいつらと働けるな。負けるな、ぶちかましたれ」と嘯く。父は出稼ぎで、土工作業。家は、兄妹と母で頑張ることになる。
妻夫木はそっと新しいユニホームにそでを遠して投球フォーム、グラブを磨く。そして、日本人住民からは頑張れと声援が送られ、生きいきと球場へ向かう。
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日本人学校では「カナダに生まれても日本人、漢字がかけないでは悲しいでしょう」とあおいさんの教育風景が・
野球観戦には日本人みんな集まって、白人をぶっつぶせの応援。でも三振の山。ボードにはまだ打席が終わらないのに三振と表示され、5ゼロで負け。球場からの帰りには、白人からの罵声が、これに亀成が激しく反発する。その後の試合も、相変わらずの試合展開。ボールがストライク判定されたりピンボールで無理やりに打たされるという小馬鹿にされた試合。風呂で「ボールがストライク判定では勝てない」と言う妻夫木。
こんな試合展開のなかで、亀成の「なんかやってみろ」に妻夫木はバントで応ずると、これが成功、そして盗塁、牽制球で暴投を誘い、1点を奪う。これが日本人街で「バント1本で1点」と大きな話題になる。次のお試合も、バントと盗塁で相手を搔き乱し、遂に勝利。「こんなの野球じゃない」という批判にも、バントと走塁の特訓をする。

日本人への反感が強まるなかで「くやしさを野球で」と、走る・バント戦術。朝日軍、頭脳野球で勝利」と新聞ニュースが流れ、これで町の女たちまでもプライドを持つようになる。
妻夫木たちは、職場では“あの野球は”とバカにされるが、おれたち凄いことやってんじゃないかと気づく始める。
妻夫木が帰宅すると、父が食べていて、充希が「お金全部日本に送っておかあさん困っている。カナダの人を理解しないから、バカにされる」と言い家庭内での言い争い。母は「私は夫を責めるが、あんたたちが責めるのは許さん」。この言葉、感動しますね。

試合でのひどい審判に、白人からも非難の声があがり、日本人への見方が変わり始める。が、ピンボールに亀成が怒り暴力に。合い乱れての殴り合いで出場停止処分となる。「ばかなことをしたな」と日本人の皆が反省。妻夫木は「一度つけあがるとつけ上がる」と製材所で非難されるも黙って聞く。日本人に強制退職者が出始める。
佐藤浩市も、出稼ぎを急遽中止して怪我をした息子を見舞うなど野球をする息子を見直し始める。

出場停止が解け、これは白人からの抗議が多かったからだった。事件を起こした亀成は苦しい仕事のなかで野球をすることに意味があるのか悩む。日本人会の集会で、充希がどうしても言いたいことがあると「朝日の試合を楽しみにしています。試合を見て頑張らなくちゃと思う。わたしだけではない、くじけちゃだめだ。投げ出しちゃだめだし、私も何かしたくて」と発言し私を野球に連れてってTake Me Out tothe Ball Game)」を唄って選手を激励する。このシーンは感動的です。ここで亀成は皆に「あいつらはでかいし強いことがよく分った」と謝る。そして、妻夫木と亀成は白人達のいるバーへ、謝罪に。
親日では会社に損害がでる」と充希が解雇される。夫人へ挨拶に伺い「奨学金がだめだったこと(日本人だから)を報告、でもこの国がすきだと伝える。

試合が再開され、朝日軍の連勝が続く。
妻夫木は父と気心が通じるようになり、父は「おまえはおやじ達がでけんことをやっている」と言い、妻夫木は「おやじ達がここに来たから、おれたちはここに居れる、感謝している」と。そしてこの年のチャンピオンシップ試合。
緊迫した試合での妻夫木が本塁に突っ込んだセーフ判定、公正な審判で逆転勝利。このシーンにはあおいさんも観戦、拍手を送っています。見逃さないでください!
その後、
バンクーバー朝日人気一位のチームになり「野球に人種は関係ない。何かが変わるかもしれない」と思っていた。が、日本軍がハワイを攻撃、日本人は敵性外国人として強制収容所に送られる。
61年後の2003年朝日軍はカナダ野球殿堂入り戦争というものは、全てを壊す。ここでは、それゆえに野球のすばらしさが浮彫になります。
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