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「エヴェレスト 神々の山嶺」(2016)

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エヴェレスト 神々の山嶺」(2016
山に憑りつかれた男(阿部寛さん)とこの男を追うカメラマン(岡田准一さん)のドラマ。「山に何故登るか」、よく分りませんでしたが、圧倒的な山への情熱に取りつかれた男を見て、その想いが伝わって来ます。登山は「人生そのもの、生ききる」という感を深くしました。この点で、「エベレスト3D」(2015)に比べて、この苦難に耐えて登る人の魂が描かれて、突っ込みどころもありますが(最大は岡田さん演じる深町の登山技術)、ストーリー性に優れ、登山という単純なドラマをとても楽しめる作品にしていると思います。
物語は、エベレストの初登頂者はだれかというジョージ・マルローの伝説話からはじまり、数々の逸話の登山家たちをモデルにした登場人物のキャラクター、そして主人公が阿部さんから岡田さんに変わり物語のテーマ「生きる」が描かれる展開に飽ることがありません
標高5000mでのロケによる映像はやはり圧倒的で、日焼けした阿部寛さん、岡田准一さんの熱演には感動。また、尾野真千子さんの登山スタイルは美しかったです。(笑)
ねたばれ(感想):
エベレスト登山の歴史に触れ、誰が最初に頂上を踏んだかのナレーションで始まります。登山目的が謎めいて、ミステリアスなところも面白い。
登山中雪崩に巻き込まれる映像が流れ、岡田准一さん(深町誠)が、次いで阿部寛さん(羽生丈二)がカトマンドウの街を歩く姿が写しだされます。二人ともしっかり日焼けしてたくましく、登山家に見えます。特に阿部さんの歩き方が登山家としての風格を感じさせます。
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深町は、日本のエベレスト遠征隊のカメラマンとして参加、事故で登山中止となり、結果、写真は撮れず途方に暮れて街を彷徨っていた。一方、羽生もかってのエベレスト登頂に失敗し現地に滞在して再登頂を狙っていた。
深町が骨董屋で見つけた古いカメラ、これがジョージ・マルローのものらしく、これを購入しようとするところにビサル・サルパという男が現れ、これは自分が盗まれたものだと言い持って行ってしまう。深町は、この男が数年まえに消息を絶った孤高の天才クライマー羽生であることに気付き、これが二人の初めての対面で、深町の運命を決定づける。
羽生は何故このカメラを持っているのか。そして何故ここに居るのかという疑問を持ち、これはスクープになると、彼を追うことになる。
深町は羽生のことを深く調べることで、羽生の過去、やろうとしていることが明らかになってくる。
彼は天才的なクライマーと称えられながら、人間として最低だと言われている。それは、彼を最も慕う山岳会の後輩岸文太郎風間俊介さん)と二人で北アルプス屏風岩を登攀中に岸が落下して死亡。これは、羽生がザイルを切り自分だけ助かったというもので、これ以来彼の山行きは単独行になったという。 
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この調査中に文太郎の妹涼子(尾野真千子さん)、羽生の恋人でもあるが、に会い、彼の悪い評価とは全く異なる彼の人間性を知る。また、羽生のライバルである長谷川渉(佐々木蔵之介さん)に会い、彼が冬のグランドジョラスで滑落しながら片手片足と歯だけで奇跡の生還を果たしたこと、そして一緒にエベレスト遠征に参加したとき二番手はいやだとスポンサーのために登ることを拒否し最も厳しいルートでの登頂を主張し失敗していること、彼はエベレストの南西壁登攀に憑かれてること耳にする。
羽生が現地に残り企んでいることは、どえらいこと、前人未踏の冬季南西壁、単独、無酸素登攀と見破り、涼子とともにスクープを物にするためカトマンドウに入る。
羽生には現地人妻がいること、羽生の予想どおりの登攀を計画していることが明らかになる。涼子は「必ず死ぬと分っていることはしないで、約束です」と言葉をかけ、深町はこの登攀に同行、写真を撮らせて欲しいと申し出、彼の許可を得る
ここから、現地ロケによる、3440mのナムチャバール、4330mのペリチェ、5300mのベースキャンへの登山が続く。うつくしい風景です
羽生にマルローのカメラのことを聞くと、「8100mのところに白人の遺体があり、その側にあった。フィルムはなかった」という。
そして、「死ねばゴミだ」、「マルローはそこに山があるからと言うが、おれはここに居るからだ。おれが居るから山に登る」と言う。
そして7200mのザイルベースを目指す。
ここで、岸のこと「あんたがザイルを切ったのか」を聞くと、「文太郎を殺したのは俺だ」と言う。
「冬の最大の敵は風だ、3泊4日は、そこだ!」とこの登攀にかけていることをほのめかす。
「ここから先は無干渉だ、おれを撮れ!!」と登山開始。5700mのアイスボールで赤いエベレストの頂上を仰ぐ。
氷壁を登り始め、深町は披露困ぱい。羽生は深町とロープを結び、負ぶわれて、氷壁を登る。テラスで大風の中、ピバーク。「あの時、助けてくれたのは岸だった。あんたを助けたので、これでチャラだ」と。「文太郎は自分でザイルを切った。おれの言葉があいつを殺した」(回想シーンで文太郎が自らロープを切ったことが映し出される)。
実は羽生はこのことを終生悔いていることが分り、彼の尽きない登攀意欲は死を探しているようにも思える。羽生は、文太郎を背負うていたんだ。山の男の友情に涙です
深町が「3泊4日が、1日無駄にしてすまなかった。あんなところを登るのは不可能だ」と言うと「おれは死なん」と。
ここから、深町は下山し始めるが、「ここで俺を撮れ」と言った羽生の言葉を思い出し後悔しながらベースキャンプに。
ここで大ベテランのセルパに「羽生は頂上に立てるか」と聞くと「登れる人間はいない」と言う。
深町は望遠鏡で羽生を追うが何も見えない。「頂上に立てるのは羽生しかいない。その羽生の写真を撮っていない」、カメラマンの自分がばからしくなる。彼は帰国し、これまで撮った羽生の写真を燃やし、命を削って生きる羽生の人生に比べ自分のいい加減な人生に苦悩する。

ここから、物語は次のステップ、深町の物語になる。
「おれがここにいるから、山に登るんだ」の羽生の声が聞こえ、深町は、もう一度羽生を追う決心をする。そして、涼子とともにカトマンドウに。イメージ 3
涼子の「必ず帰って」を胸に、登り始める。(山の景色はこれまでのものと全く違っている。)
「何故登るか、ここにおれがいるから登る」を自分に問いかけながら、サウスマル7800mに至る。
「やれるぞ、おれは」。ベースにいる涼子は「降りて、生きて還って」と祈る。
 一体この山は何人の命を奪うのか、こんな日にあうのとは、おれはここに来てはいけなかったのか。誰かおれを助けてくれ! 8500mだ、もういい。と、そこに羽生が眠っていた。ここでの羽生:阿部さんの目を開けて(彼の言葉どおり)氷付いた形相は荒ましい。見事です!!
羽生と言葉を交わすが返事はない、当たり前だ。しかし、そこに、「もういいか、まだか、休むのは死。生きているうちは休むな!。休むなんておれは許さない!。生きて戻る。生きて戻る。飛んだらゴミだ。足がだめなら手で、手がだめなら指で、指がだめなら歯でかめ、それがだめなら目で、目がだめなら本当にだめなら心で想え、そして前に、前に、遂にエベレストの頂上8848mに立った。しかし直後の嵐、「おれは神に嫌われてい」という羽生のメモを発見した
羽生は頂上を踏んでいた!! 「おれはこれを確認してやった」と深町は羽生と無言の会話。
「お前が探しているものはジョージ・アロウのフィルムだ、フィルムはザックの中になかった。」「もういいんだそんなもの」「なにしに来た」「なにしに来たかわからない」。
深町は涼子から預かったペンダントをかけてやる。「おれと帰ろう、おれに取りついてこい。」「雨だ、足が動かない」「だめなら想いで行け」「想い!!」「おれは生きる」、彷徨しながら涼子の待つベースキャンプに急いだ。
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記事1 20160315
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