映画って人生!

宮﨑あおいさんを応援します

「別れる決心(再)」(2022)サスペンスフルな断禁愛の結末!何度も観たくなる面白さ!

 

刑事の男と容疑者となった女のロマンティックなサスペンス作品。1回の劇場鑑賞では気付かなかった、理解できなかったところのある作品で、WOWOWで放送された機会に見直してみました。

事件の謎解きの中に愛の物語が巧妙に仕組まれ、脚本・演出が面白く、何度でも観たくなる!

監督:パク・チャヌク脚本:パク・チャヌク チョン・ソギョン、撮影:キム・ジヨン、編集:キム・サンボム、音楽:チョ・ヨンウク。

出演者:パク・ヘイル、タン・ウェイイ・ジョンヒョン、コ・ギョンピョ、パク・ヨンウ、他。

物語は

男性が山頂から転落死する事件が発生。事故ではなく殺人の可能性が高いと考える刑事ヘジュン(パク・ヘイル)は、被害者の妻であるミステリアスな女性ソレ(タン・ウェイ)を疑うが、彼女にはアリバイがあった。取り調べを進めるうちに、いつしかヘジュンはソレにひかれ、ソレもまたヘジュンに特別な感情を抱くように。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに見えたが……。(映画COMより)

第75回カンヌ国際映画祭監督賞受賞作品です。


www.youtube.com

あらすじ&感想(ねたばれあり:注意)

プサン警察署の刑事・ヘジュンは真面目で清楚、仕事熱心で寝る間もなく働き気鬱に悩むことがある。妻アン(イ・ジョンヒョン)は霧の街イボに所在する原発の職員でイボ市に住んでいる。週一ヘジュンがイボのアンに会うことにしているが、ヘジュンに早くイボ市に転勤するよう訴えていた。アンはセックスに不満を持っている。

刑事ヘジュンと彼の同僚刑事のスワン(コ・ギョンピョ)は岩山を登はん中に落下して死亡者が出た事件で出動。遺体の損傷状況の確認、携行品の押収。ヘジュンはエリート刑事といわれるだけに調査は綿密だった。さらにふたりで山頂まで登攀し数度岩壁に衝突していることを確認した。死亡者は出入国・外国人庁の元職員で60歳のキ・ドスだった。ヘジュンは事件性ありと判断した

遺体の確認にドスとは年の離れた妻のソレが現れた。「確認は写真しますか説明にしますか?」と聞くと、「説明」と答えて「写真」に変えた。「帰ってこないと心配だった」と中国語なまりの韓国語で意外と平然としていた。

ソレは看護師だというので、ヘジュンとスワンはソレの仕事場を監視したが、夫の死で落ち込んでいる様子は見られない。ヘジュンはソレにセックスのときの妻アンの姿を重ねていた。そこにドスの爪からソレのDNAが出たという解剖所見がもたらされた。

ヘジュンはソレを拘置して取り調べることにした

ヘジュン自身が尋問を担当した。中国から密航したが、叔父は朝鮮半島独立運動家で送還を免除されたと言い、朝鮮語は独学だと言う。「山は好きが」と聞くとスマホで撮った孔子の言葉「知者楽水、仁者楽山」を示し、「海が好きだ」と言う。ヘジュンは彼女の気品と文才に妻にないものをみた

夫の爪にDNAが残されていたことにソレは脚部を出して、「山に行かない!」と言ったことに夫が怒って傷つけたものだと言う。ヘジュンは「そのとおりだろう」と思った。夕飯にすしをふたりで食べ、食べ終わってヘジュンがテーブルの拭くとソレも一緒に拭くというすっかりふたりは打ち解けていた。ヘジュンがソレを拘置部屋に案内し歯ブラシを渡せば安堵の表情を見せる。ふたりには感じ合うものがあった。

署の懸案事案である秩谷洞事件が動きだし、ヘジュンたちもこちらに駆り出され、ソレの拘留を解いた。しかし、ヘジュンはソレのことが忘れられず、彼女のアパートを監視していた。猫に襲われ死んだカラスをバケツで土を掘り起こし埋葬しながら「刑事さんの心臓が欲しい」というのを盗み聞きした。

秩谷洞事件の犯人のホン・サンホ(パク・ジョンミン)をカフェで見つけ追い詰めて逮捕したが、そのときサンホから「あんたは彼女がいるか?」と聞かれ「いる」と答えた。「彼女に会っていなかったら俺の人生はなかったと伝えてくれ!」と頼まれた。ヘジュンはこの言葉に心動かされた

刑事のスワンらはソレが中国にいたころ母親を殺害したという情報を掴み、ヘジュンを再調査すべきだと迫った。ヘジュンはソレから彼女のアパートに呼ばれた。ソレは「介護していた母親がホミ山は私たちの山だと言い、楽に行かせて欲しいと言うのでフェルタニル4錠で逝かせてた。あと4錠残っている」と骨壺を見せ、さらに「夫は出入国業務の不正を暴露され、それを恥じて自殺した」という。

ヘジュンはソレをアパートに呼び無罪だと証拠押収品を返し、チャーハンをご馳走した。そこでソレはヘジュンの“未解決事件”の捜査証拠写真を目にした。ヘジュンは秩谷洞事件の犯人・ホン・サンホの話をした。ヘジュンは拒んだが、ソレは岩山登けん事件関連の写真を焼却した。ジュンが疲れてソファーに横になっているとソレが催眠術でやさしく眠らせた。

その後、ふたりは寺院にデートしたりで愛を深めていった。ヘジュンはソレを自分と同じだと思ったのは「夫・ドスの遺体確認時、説明でなく写真を選んだことだ」、「好きになったわけ」等を話した。

ソレはヘドン伯母さんを介護しているが、別件で行けなくなり、代わりにヘジュンが行くことになった。ヘジュンはそこでソレのスマホを見て、ソレはスマホをすり替え事件当日ここに居なかったと考えた。ヘジュンはスワンを伴って、岩山の登はんルートを再点検、安易に登れるルートがあることなどから、ソレのアリバイが崩れた。

登山から戻ったヘジュンはソレに「私は名誉を大切にしてきた。君とのことでこれを失いことになる。すべてが崩壊した」と別れる決心を伝え、携帯電話を海に捨てるよう促した。

1年後、

ヘジュンはイボ署に転勤したが、ヘジュンの頭からソレのことが消えることはなく、鬱症に悩まされていた。

一方、ソレは密航した仲間で怪しげな投資家を営むイム・ホシンと結婚した。母親がホシンに金を巻き上げられ治療できず苦しんでいると息子チョルソクが「母親が死ぬ前にホシンを殺す」とつけ狙っていた。これを恐れてソレとホシンはイボの街に逃げ込んだ。

霧の街イボ市の漁市場でヘジュン夫婦はソレとソレの新しい夫のイム・ホシンと出会った。ソレは最初に会ったときの青いドレスだった。すべてはソレのヘジュンに会いたい一心から出た計画だった。

事件発生!ヘジュンがソレの海辺の豪奢な邸宅に若い婦人刑事のビヨックと駆けつけた。夫ホシンが真っ裸で殺されプールサイドに座らされていた。ミジは「11時ごろ、17か所の刺し傷があり部外者だ」という。ソレを捜すと海を見ながら腕時計タイプの録音機に呟いていた。部屋を捜索したが夫のスマホと青いドレスが見つからなかった。

ヘジュンは「こうするしかない!殺人容疑で逮捕する」とソレに手錠を掛け、それを自分に繋いで、署に連行した。このときソレはヘジュンの手に触れてきた。

ヘジュンはソレを訊問。ビヨックに録音機の解読を命じた。ソレは「あなたが捜査に来る。プールから夫の遺体をプールサイドに上げて待っていた。殺していない!前の夫は自殺、今度の夫は他殺!」「青いドレスは焼却、夫のスマホは海に捨てた」という。嘘発見器はこれを認めた。ヘジュンは「証拠は完璧であって欲しい」と話した。今度はすしが出さなかった。(笑)

ソレの邸宅の監視カメラにチョルソクの車が写っていて、彼を母親の埋葬現場で逮捕し尋問した。「人に頼まれて殺しはしない、あの女には位置追跡アプリが仕掛けてある」という。プールサイドに裸で座るホシンの写真を見せると「何故座らせた?」という。これで真犯人は割れた。

ヘジュンは海に出かけ、スマホを投げた女がソレかどうかを漁師たちに確認しその帰り、スッポンは泥棒を捕まえた。一匹を家に持ち帰り妻のアンを喜ばそうとすると、「殺されたホシンから数度の電話があった。貴方がソレと組んで殺した」と罵る。

ヘジュンは海に投げたホシンのスマホを回収して調べることにした。

ソレの録音記録を見るとここに来た理由や先の殺人事件時にヘジュンに出会った思い出等が綴られていた。

ヘジュンは「あのスマホに何が掛かれていたか」を聞くためにソレの住まいを訪ねたしかし、彼女はここには居らず、スマホで「ホシ山にいる、居眠りしないできて!」とホミ山へと導いた。ホシ山は雪が降っていた。先祖にヘジュンを紹介し、「あなたは私を忘れられないでしょう」と言い母の遺灰を撒くよう求めた。ヘジュンは「君の真っすぐは身体が好きだ。薬を持っているか?」と答え母親の遺灰を撒いた。フェルタニルはどうしたかと聞いたがソレは返事しなかった。ソレは捨てろといったスマホを見せ、「崩壊するまえに戻って!未解決事件になりたくてイポにきた」と言いヘジュンを抱きしめた。

ヘジュンが家に戻ると、雪はなく、妻のアンがヘジュンと別れ上司・イ主任と去るところだった。

翌日、ヘジュンは出勤して、海から拾い上げたスマホの記録をみた。そこにチョルソクから逃げ廻っている夫ホシンに9時までの戻るよう促すメールと音声メールは消去されていた。

ヘジュンは拘置中のチョルソクに「母親はソレに殺されたか?」と尋問。チョルソクは「ソレは来てすぐ帰った。母は眠くなって亡くなった」と証言した。

ヘジュンはソレに「ホシンを殺したのも、チョルソクの母を殺させのも俺の責任だ」と伝えた。「音声ファイルの内容は?」と聞いた。「貴方が愛していると言った声」と返ってきた。ソレはあなたの愛が終ったとき、私の愛が始まった」のメールを発信し美しい海岸に向かっていた。これを受け取ったヘジュンはソレを追った。ソレは「海から拾ったスマホを遠くに捨てて!」「私を愛したと言ったスマホ」と発信して海に消えた。ヘジュンはソレを捜しに海へと消えていった。

まとめ

ソレの最初の夫キ・ドスの岩山の落下事件。ヘジュンはソレに惹かれ、ソレのアリバイを崩すことに抜かりができ、恋に落ち入った。ソレのアリバイが崩れ別れを決心したソレのヘジュンへの想いは止まらなかった。

ソレは次の夫・ホシンの殺害を仕組み、ヘジュンの愛を取り戻そうとしたが、アリバイが崩れ、別れを決心。ヘジュンはソレを追い海の中に

ふたりにとってこれしかない断禁愛の結末だった!脚本、演出がすばらしい!作品を再度見たくなり、新しい発見があるという深みのある恋物語で、とても面白かった。特に後段、ソレの別れる決心への展開が面白い!

 アリバイの検証、検証を通してソレとヘジュンの恋心の変化が、他の事件を絡ませ、過去と現在を交差させながら次第に明かされていく展開は、ミステリアスかつスリリングだった。スマホの記録、映像、翻訳、位置アプリが巧みに使われていて面白い。

 ちょっと風変わりな演出で、これが面白い。恋心が、ソレの韓国語は十分でないと中国語を通訳アプリで韓国語に変換して交わす会話がよりストレートな愛の表現になっている、またこれに応じるヘジュンの答え方が、警察の尋問室で夕食にすしを食べる。拘留所に一泊する際のヘジュンが渡す歯ブラシなどにみるように、料理やクリーム、ティシュなどとその場の愛情表現にふさわしい物で表現され、とても面白かった。さらに謡曲「霧」がふたりの先行きを暗示する。

タン・ウェイの美しいこと。中国生まれという彼女の生い立ちがしっかり生かされヘジュン刑事が惚れるのに理由はいらない!(笑)

            *****